価格:2,161円 |
だいぶ久しぶりになってしまいました。玉置浩二ファーストアルバム『All I Do』です。1987年8月発売、地味な茶色のジャケット写真が逆にTSUTAYAとかの新譜コーナーで目立っていた記憶があります。
「一流ミュージシャンの伴奏で玉置浩二の歌を聴かせる」というコンセプトだったそうですが(『幸せになるために生まれてきたんだから』より)、当時の私には、いや今でも(笑)、安全地帯でない演奏で歌う玉置さん
のボーカルはしっくりきません。『CAFE JAPAN』で玉置さん自身が演奏をはじめて、ようやくいくらか違和感が和らぐくらいです。武沢さんだけが不参加だった『To me』もなんだかなー、です。ですから、「こんな浩二もいいじゃん」なんてとても思えませんでした。『安全地帯V』にもさんざんスタジオミュージシャンが参加しており、中にはメンバーの演奏でないものもけっこう含まれているというのに、クレジットが違うだけで結構幻惑されるものです(笑)。
とはいえ、さすがの玉置さん、曲と歌はマーベラスな出来で、安全地帯のことを頭から消して聴くとものすごい威力をもったアルバムです。実験的、際どい、などと、貶してもいないけど褒めてもいない評価の散見されるアルバムですが(笑)、それは玉置さんが曲と歌で思いついたことを、スタジオミュージシャンの苦労など気にかけずに好き放題やったからであって、そのぶん玉置時空に引きずり込まれる快感を他のアルバムより多く得られるものとなっています。
では、一曲ずつご紹介を。
1. She Don't Care
リズムが大胆な、爽快ギター・ロックです。キターのカッコよさがかなり強いんですが、玉置さんのボーカルが対等以上に強いものになっています。
2. Love ''セッカン'' Do It
前の曲とこの曲を足して二で割ると「じれったい」になるんじゃないの?というくらい、安全地帯・Bananaテイストの強いナンバーです。
3. 1/2 la moitie
「不思議な夜」系統の、玉置浩二・Bananaテイストソングです。この二人がやりたいようにやると、こうなるんですね。オーケストレーションが美しいのに、歌メロが泣かせに来ないという、なかなかない趣向の曲です。
4. Hong Kong
安全地帯は当時からすでに香港で大人気でしたが、日本でも香港人気があったんですね、この頃。きっと『ブレードランナー』のせいでしょう(笑)。曲はちっとも香港っぽくないですが、それ抜きで楽しめるロックナンバーです。
5. Only You
シングル「All I Do」カップリングです。美しいバラードですので、安全地帯的なバラードを期待した人はきっと、ここでようやく期待に応えてもらった快感に咽び泣いたことでしょう(笑)。逆を言うと、ここまで裏切られ続けたわけです。
6. Holiday
これも安全地帯的バラードを求めた人が喜んだ曲でしょう。かわいらしい演奏でせつない歌詞という、玉置・松井コンビの真骨頂です。
7. All I Do
シングル曲にして、タイトルナンバー、このアルバムのメインと言える曲です。歌メロは安全地帯ですが、曲もアレンジも従来の安全地帯にはないテイストの、ハードなミドルテンポ・ロックです。ソロ活動するならこれくらい毛色の違うことをやらないとね、という決意が伺えます。歌メロとボーカルは安全地帯ですので、うっかりすると違いがわかりません。
8. Check on Myself
前三曲で安全地帯ファンを喜ばせた玉置さん、また遠くへ走り去ろうとしています(笑)。チェックということばの、音・リズムの面白さと、半ば意味のない歌詞との融合が見事な、リズム主体のロックナンバーです。
9. なんだ!!
明後日への疾走はもう止まりません(笑)。エポックメイキングさが際立つこの曲をシングルにすればいいんじゃないの?と思うのですが、おそらくレコード会社は止めるでしょう(笑)。「なんだ」のリズムと、意味の強さを前面に出したロックナンバーです。わたし的には、このアルバムで一番カッコいい曲ですね。
10. Time
安全地帯・玉置浩二随一の美しいピアノで、これこそ歌を「聴かせる」バラードです。pukupukuさんにご指摘頂いてその存在を思い出した(笑)、小曲です。すみません!大作家の掌編小説みたいな……、芥川の『蜜柑』にも似た輝きを放っています。
11. I'll Belong.... 結婚式で歌う人がいるそうですね、この曲。たしかに結婚式の雰囲気に似つかわしい、隠れた名曲です。バラードのアレンジが安全地帯でないとちょっと弱めになりがちな玉置さんなんですが、このくらいあっさりでないと、結婚式にはよろしくなさそうです。もちろん玉置さんはそんなつもりで作ってないと思いますが。
12. このゆびとまれ
音程の確かでない子どもコーラスは、玉置さんの必殺技の一つですが、この曲が初のお披露目でしょう。当時は驚きましたが、いまはすっかりニコニコです(笑)。「ゆびきり」へと続く、童謡ライクなかわいらしい曲です。松井さんの、思わせぶりな歌詞が泣けます。ソロ活動を始めた玉置さんに「このゆびとまれ」と歌わせるんですから……。
次回より、一曲ずつ語らせていただきます。この更新だって一年か二年ぶりですから、いつになることやらとちょっとあやしいものですが(笑)、なるべく頑張ります。
【追記】AMAZONSのみなさんがトーク動画をアップしてらして、このアルバムに関してもいろいろ知らなかったことがわかりました。現地のコーラスだとどうしてもしっくりこないからと、ノーギャラで急遽ロンドンに呼ばれたそうです。面白いですねえ。
価格:2,161円 |
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
きっと学生さんなんですね。バイト頑張ってくださいね。でも古いCDばかり買って、現代の若者の楽しさを味あわないのは非常に気の毒な気がしますから(笑)、全部買え!大人買いだ!ではなく、次のオススメを少しだけ。ズバリ『安全地帯II』と『CAFE JAPAN』です。いくら昔のCDが安いと言ったって、それでも数千円もしますから、ムリしないでくださいね。Amazon Prime Musicでも聴けたような気がします。
ケンカして仲直りして週末に燃え上がるって、うれしいけど、なんか残るんですよ。それが数年分くらいたまってくると、抜き差しならなくなってきて……ああ、これはオジサンの説教だ、これはウザい(笑)。
気をつけないといけませんね。
MONDAY一人で遊ばないで、は、楽しい謎ですね。
ところでわたくし間違っていたかもわかりません。『最高でしょ』を玉置さんが歌ったのは、HEY!HEY!HEY!でなく、ミュージックフェアだったような気がしてきました。それこそ鈴木杏樹さんの。間違っていたら大変失礼いたしました(ダウンタウンもとんだとばっちりで音楽のわからない人扱いをしてしまいました。そこがあの番組の面白いところだったんですけども)。Youtubeとかでも頑張ったら観られるかもわかりませんよ。
なるほど…!!全く何も分からなかったけど、トバさんの返信読んで分かりました(*>∀<*)
玉置さんがちゃんと考えて書てくれてるとしたら「週末楽しく遊んだから、もう一人で遊ばないでね」の意味だと思いました(「せっかくの週末だから」の意味よりも)。私が今まで思ってたのは、「電話握ってすぐ切って」とか「ごめんなさいって素直に言えるようにして」とかってあるから、恋人同士ケンカして、彼女が電話で謝ろうとしてるのかな?ってこです。そこまでは自分なりに解釈してたんですけど、「一人で遊ばないで」が解らなくて。
最後の歌詞は、
Sunday 夢から覚めたらもう
Monday 一人で遊ばないで
じゃないですか。夢から覚めたのに、また一緒に遊ぶの?って疑問だったんですけど、トバさんの返信読んで、そのケンカした週は全然会わなくて、でも途中でお互い謝ったから、Sundayに会ってラブラブで、だから、「(もう仲直りして)土曜日は楽しかったし、もう一人で遊ばないでね」って意味なのかもしれないって思えました!私だけの勝手な解釈ですが!ありがとうございます。
「遊ぶ」っていうのが、honeybeeの2番の歌詞っぽい意味とは、ヤバイですね笑笑。
それ系の意味って、また疑問が浮かんだけど自分で考えます笑
でも、トバさんの仰るように、裏には真面目な意味もあって、ちゃんと考えて書いたんじゃないかなと思いました。そもそも、このアルバム自体が、色んな愛についての歌が入ったものだって玉置さんが仰ってましたし、honeybeeと違って、ちゃんと真面目に愛情について言ってる歌だと思います。好きな人同士なら自然なことでしょうって言ってると思うんですよ。
私は最初に買ったのが、LOVE SONG BLUEと、安全地帯VとWです(*^^*)どの歌も全部好きです!演奏も、機械じゃなくて人間がやってると思ったら信じられないですね…。その3つしかまだ持ってないんですけど、バイト代入ったら買うんです、今春休みで!E-girlsのアルバムとか7000円くらいしたのに、昔のCDは安いなってびっくりでした!
ありがとうございます!
こちらこそよろしくお願いします(*>∀<*)
更新、前の記事読みながら気長に待ってます☆
何度もしつこくコメントしてすみませんでした!
『LOVE SONG BLUE』くらいの時代になると、もうわたくしも情熱の変化があったのか、あんまり音符の一つひとつが骨身にしみるまで聴き込むということをしていなかったようで、かなり新鮮に聴こえました。これは、おかげさまでしばらく楽しめそうです。ありがとうございます。
「一人で遊ばないで」は、かなり難しいですね……。大した意味がなく、リズムにうまく合う言葉が口をついて出ただけなのか、本当に一人で遊んでほしくないという切なる願いがあってそれを最後にねじ込んだのか、なんともわかりません。歌に限らず、日常の会話でもこんなことはありがちですし、玉置さんのことだからリズムにうまく合う言葉がポロッと出て、それが妙に思わせぶりな言葉だったというのが一番ありそうなんですけども(だから、おっしゃるように、意味不明な歌詞でもすごく聴けちゃうわけです)。ただ、玉置さんは、じつは歌詞にかなり悩むタイプだそうで、メガネを買わなくちゃならなくなるほど歌詞ノートに向かい合う日々があったそうですから、ここはちゃんと考えた上で「一人で遊ばないで」と綴ったと仮定してみましょう。
待ちに待った折角の週末なんだから、もしくは週末をあんなに楽しく過ごしたのだから、一人で遊ぶなんてさみしいことしてないで、一緒に遊ぼうよ!なんですけども、これだけさらりと言い換えると面白くもなんともないです(笑)。この歌い方はもっと情念がこもってますよね。後の「イエス、Honey Bee!」と似た、もっと……そう、セクシャルな何かが感じられます。ただ、そこまで露骨な意味は表面だけのことで(表面的には露骨だからこそ、聴いてる方は歌の最後にドキリとさせられます)、玉置さん的には、精神・身体のあらゆる面を含んだ総合的な交流の意味で言っている、と考えたいところです。ボカしたところで結局最後は一緒なんでしょ、と言われればそうなのかもわかりませんけど(笑)、玉置さんは人生を目一杯、必死に、大真面目に生きている人であるように思えますので、野球も音楽も恋愛も、何もかもフルパワーで「遊」んで(それこそたまに電池が切れちゃうわけで)、この歌での折角の週末に行うあらゆることにも全身全霊を注ぐわけです。
どんなにつまらない週末を過ごそうとも、どんなにダイヤモンドの気分で週末を動き回ろうとも、私たちは等しく人生を、命を削っているわけですから、折角なら真剣に、楽しく、遊ぼう!と思えてきます。そこにセクシャルな要素が入っていることすら、ごく真面目で自然なことのようにすら……無理がありますかね(笑)。
この歌ですが、ファンの間で人気があるかないかは……ちょっとしたわかりかねますけども、いまコンサートで演奏したら、きっと客席から歓声があがると思います。玉置さんの歌は、リリース当時には大した曲に聴こえなくても、長年にわたってかなり強力に心に浸透してきて、あるとき無性に聴きたくなる、気がついたらトリコになっている曲がけっこうあるんですよ。この曲はまさにそんな曲だと思います。
旧石器時代から令和とは!下手すると数万年に一人の天才ということになりますね。でも本当にそうなんじゃないかと思えるくらい、あの歌にはオーラというかスピリットというか……迫力があります。おっしゃるとおり、歌詞が意味不明でも聴かせちゃうパワーがあります。
ビートたけしさんが書いた小説に『教祖誕生』というのがありまして、奇しくも玉置さんも映画に出たのですが、そのなかに、こんなセリフがあります。オレたちが考える神なんて所詮人間の想像力の範囲内のものでしかない、例えばものすごいロックバンドがあったとして、その演奏で家のネズミが踊りだすくらい、圧倒的でワケがわからないのが神なんだ、と……。
玉置さんの歌なら、それくらい本当にあるんじゃないの?と思えてくるわけですから、玉置さんが神レベルなのか、もしくはそのくらい凄い神でも所詮は私たちが想像できるレベルに過ぎないのか、と思わされます。
なんか、しばらく記事を書いてないのでもうかつてのテンションでは書けないかもな……と思っていたのですがいっぱい書けそうです(笑)。折を見て更新していきたいと思いますので、どうぞ当ブログをご愛顧頂けましたらと思います!
スケジュールっていう歌の歌詞、見てみたかったけど、検索してもなかったです。涙
真面目なラブソングだと思ってたのですが、世間的には結構ふざけた元気な歌なんですね(笑)。でも確かに、玉置さんっぽくないというか、誰が歌ってもいいような曲だなと思っていました。ファンの人からもあまり人気ない曲な感じがします。でも、玉置さんが本当にやりたかったことで、しかも「いい曲」って言ってたのは嬉しいです。
こんなふうにイチイチ細かく歌詞を見るのって、あんまり良くないですけど、私は、金曜日までは彼女側が主人公で、ワクワクの土曜日からは彼氏側が主人公だと思ってるんですけど(逆だったらちょっと引くww)、難しいですね。エリスと同じくらい歌詞が難しいと思います。分かりそうで分かりません。最後の「一人で遊ばないで」は、どういう意味ですか?
でも、玉置さんは本当に歌が超絶上手いので、旧石器時代から令和までの全世界の歌手の中で一番上手いので、歌詞でもメロディでもなく、こんな私でも歌全体が聴けるんです。すごいです。歌の技術的にもそうですが、感情表現もすごいですよね。意味不明な歌詞が多いのに、よくあんなに表現できると思います。
HEY!HEY!HEY!でも歌ってたのは知りませんでした!見たかったな。ダウンタウンさんは、何となく、玉置さんの歌の良さは分からなそうですね(笑)。
「最高でしょ」ですか!なんといきなり難しい曲を……イヤハヤお目が高い……。玉置さんの4thアルバム『LOVE SONG BLUE』に収録されていまして、当ブログで扱うことができるのはまだ先になりますが、折角ですからここで少し……。
「行かないで」のカップリングに「スケジュール」という小品があります。「最高でしょ」と同じく、ロシア民謡のように月曜、火曜と歌詞が進んでいくパターンです。「スケジュール」は非常に花が枯れた感じで(笑)、ワビサビ的なラブソングになっていますが、「最高でしょ」はこれと対照的に、週日を鬱々と過ごした後での週末が、ウッキウキの濡れ場となっているんですね。これでもかというくらい、楽しい楽しい「ダイヤモンド」の気分を表現しまくりです。なんの証拠もありませんが、わたくし、これはわざとだと思っています。意図的に「スケジュール」を脱却しようと、「スケジュール」を破るように歌詞とメロディー・リズムを構成したのだと思っているのです。
安全地帯が沈黙し、玉置さんは『あこがれ』のようなバラード、『カリント工場』のような郷愁ソングといった、あんまりロックスター的でない時期を何年も過ごします。それこそ「スケジュール」のような、日々だったのではないかと推察されるのです。
玉置さんは、もともと明るいキャラで、それこそ「最高でしょ」のように人を愛する人なんだとわたくし思うのですが、安全地帯の時代からずーっとシリアスキャラを演じてきたわけですから、音楽的にはかなりストレスを抱えていたのではないか、だから『LOVE SONG BLUE』でドカッと発散することになったのではないか、と思うわけです。シリアスキャラを予想・期待していた私のようなファンは、当時それこそステレオの前でひっくり返ったわけですが(笑)。
当ブログで何度か言及している『HEY HEY HEY』に出演したときに、この「最高でしょ」を歌っているんですよ。「すごくいい曲ができたんです」と言って。ダウンタウンの二人にそんなこと言ったって「はあ」に決まってますけど、あれは当時のファンに宣言してるんだと思います。いまおれが作るいい曲ってのはこういう曲なんだよ!と。当時のわたくしも、別段いい曲には思えなかったんで、なんで「ふたりなら」とかでなくこの曲が「いい曲」なんだと、不思議に思ったのですが……いまなら「最高でしょ」こそが、玉置さんの愛し方に近い姿だったのだろう、と思えます。
中古CDはたしかにアーティストその他の関係者にとって儲けにならないものですが、そりゃー見つけたら買っちゃいますよね。
入ったところ、キティレコードの
未開封All I do (CD)を発掘しました。
玉置さんの儲けにならなくてゴメン!と、
思いつつ買っちゃいました……
やっぱ、CDはちゃんと歌詞カードついてて
いいなあ……
カセットテープでも頭出しができたのですが、曲間の無音を検知する仕組みでしたので、このアルバムのように曲間がやけに短かったり、なかったりすると、あの曲が聴きたいのに!と歯がみすることもしばしばでした。お節介なことに曲間を強制的に空けて録音する機能もありましたが、もちろんこのアルバムの場合、非常に聴き苦しいカセットテープが出来上がります(笑)。
当時は、アルバム単位で楽しむという習慣が形成途上でしたもので、そのような悩ましい事態が生じたのですが、今思うと、このアルバムに育ててもらったという側面があるのかもしれません。
本日『All I Do』を注文しました♪ 繁忙期ゆえに、すぐにはゆっくり聴けないかも知れませんが、買っただけでも嬉しいというか…笑。
勝手気ままにバラバラで聴いていたのですが、ちゃんとアルバム単位の玉置時空を味わいます!