2019年08月12日
元素と周期表、その小歴史
あなたは、元素周期表をどこで習いましたか?。
在学中の人や理系の現職の人はともかく、学校から離れた人はどれだけ元素や周期表を覚えているでしょうか。元素周期表は全ての人にとはいいませんが理系特に研究者・技術者にとってのあいうえお(五十音)と言えるでしょう。
今年2019年は、メンデレーエフが元素の周期律を発見してから150周年に当たり世界中でイベントが開催されています。
ところで
元素の種類には、現在まで自然に存在する元素と人工的に作られた元素とを合わせて計118種の元素が知られています。
2016年には日本生まれ(アジア初)の元素である113番目のニホニウム(Nh)が登録されました。
元素や周期表に関しては本やサイトが数多く存在しますが、非常に楽しく遊びながら学べるオススメのサイトがあります。
東京エレクトロンは数年まえから、新聞広告として元素や周期表を出してきており、またギネス登録されたAR技術を使った周期表を発表しています。(当ブログで紹介ずみ)
今年は7月21日付け朝日新聞見開き2ページで、元素の発見と周期表に関する歴史をビジュアルな記事で要約した記事を載せています。
そこで今回のブログはここから主要事項を抜粋しA4の1,2枚程度に要約してみました。(その分ビジュアルは消滅しましたが)
尚細かい付帯記事は省略したのでこれを知りたい方は図書館等で見て下さい。
しかし科学の歴史を知ることが重要なのと同じく、元素の発見や周期表の歴史を知ることも大事です。
そこで今後この元素年表を一つの骨格(幹)として、これに自分なりに重要と思うことを加筆修正(枝葉)しながら、自己の元素年表に出来たらと思い整理してみました。
<元素の歴史>
(7/21付け朝日新聞「メンデレーエフ周期律発見150周年企画、世界の全ては元素で出来ている」の要約)
およそ138億年前→H,He:ビッグバンで宇宙誕生数分後水素、ヘリウム等の軽い元素が生成された。
その後これらを含め宇宙を漂うガスやダストが集まることで星が生まれ、
最後に星の死(超新星爆発)で重い元素も誕生したと考えられている。
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
およそ46億年前→地球誕生
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
およそ23億年前→O:バクテリアによって海の中で酸素(O)が発生
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
およそ7億年前→酸素が現在の大気中濃度(21%)になる
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紀元前9000年頃→Cu:人類が初めて使った金属は銅(Cu)
紀元前3000年頃→Ca:ピラミッドの建材として表面に石灰岩が使われる。(内部は花崗岩)
紀元前300年頃→Pb:古代ローマの水道管は鉛製。加工しやすく広大な領土に張り巡らせた。
紀元前50年頃→Sb:古代エジプトの女性はアイシャドウにアンチモンを使用
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
100年頃→Si:古代ローマでガラスが普及。原料は砂(SiO2)と天然ソーダ。
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13世紀→イスラム圏で錬金術が盛んになりこれが後ヨーロッパに伝わった。
1550年頃→Au:武田信玄によって日本の鉱山技術が発展!?山梨や長野の金山を開発。
1712年頃→産業革命始まり、1776年ワットが蒸気機関を発明
1772年→N:ラザフォードにより窒素(N)が発見された。空気が単一の元素ではないことが証明される
1799年→Pt:フランスが1kgを定義する基準器として白金(Pt)の分銅を作製。
(キログラム原器は1889年にイリジウム(Ir)10%の合金となり、2019年5月まで使われた)
1800年→Cu、Zn:銅(Cu)板と亜鉛(Zn)板の間に塩水を含ませた布を挟んで何層にも重ねた
ボルタ電池が発明された。
1839年→Ag、Hg、I:ヨウ化銀(AgI)を感光材料として水銀(Hg)蒸気で現像する銀板写真が誕生。
日本には1840年頃伝わる。
1859年→Cs,Rb,Tl,In:ブンゼンとキルヒホッフは分光器を発明し、セシウム(Cs)とルビジウム(Rb)を
発見した。また別の研究者はこれでタリウム(Tl)とインジウム(In)を発見した。
1869年→メンデレーエフにより元素周期律が発見された。当時発見されていた63個の元素を原子量と
化学的性質で整理し、空白の部分に元素があると予言し、後にそこに入る元素が発見され
その正当性が証明された。
1879年→C:エジソンが炭素電球を発明。京都の竹が使われた。竹は炭となり炭は黒鉛となってよく光った。
1903年→Ra、Po:キュリー夫妻がノーベル賞を受賞。夫妻とベクレルの3人が「放射能研究」で
ノーベル物理学賞受賞。妻のマリーは夫の死後の1911年にラジウムとポロニウムの発見で
化学賞も受賞した。
1908年→Re:小川正孝が43番目の元素を「ニッポニウム」と発表したが、追試で確認されず幻の元素に。
後年の検証で、この元素が1925年ドイツ人研究者により発見された75番目元素のRe(レニウム)と
同じものだったことが判明。
1912年頃→Ne:世界最初のネオンサイン点灯はパリ。視認性が高く、電力も抑えられると広告照明用として
広がった。1918年に東京銀座のカバン店で使われた。
1937年→Tc:初めての人工元素テクネチウム(Tc)誕生。
1930年代に加速器(サイクロトロン)が誕生すると 人工元素の研究が加速。
これを使ってモリブデン(Mo)に重水素(D)の原子核を衝突させてTcが作られた。
元素名の由来はギリシャ語の「人工的」から。
1944年→Cm:新発見元素はキュリー夫妻にちなんでキュリウム(Cm)と命名された。
1955年頃→Md:メンデレビウム(Md)が合成された。アインスタイニウム(Es)にアルファ粒子を照射して
製造。この元素名は周期表の発見者メンデレーエフにちなんで付けられた。
1984年→Nd:世界最強といわれるネオジム磁石が誕生。ネオジム、鉄、ホウ素を使い、日本人により誕生。
スマホやEV、風力発電機、工業用ロボットなどに使われている。
1993年→Ga:1989年窒化ガリウム(GaN)を用いて青色LEDが発明され、その4年後、100倍の明るさが
得られるようになり実用化につながった。既に開発されていた赤、緑とで光の3原色が完成し
信号機やディスプレイに取り入れられた。
1997年→Ni:ニッケル水素電池を使用した世界初のハイブリッドカー(HV)が発売された。
当時のガソリンエンジンの約2倍という燃費の良さが特徴。
その後電気自動車(EV)には、日本で開発されたリチウムイオン二次電池がよく使われている。
1998年→Nb:超電導磁石を使ったリニアモーターカーで初の試乗会が時速450kmで実施された。
この時のリニアモーターカーの超電導磁石には強度と加工し易さが特徴のニオブチタン合金が
使用された。
2008年→Sc:群馬県の草津温泉からスカンジウム(Sc)が抽出された。
2014年→Xe:小惑星探索機「はやぶさ2」は地球から2億8千万km離れた小惑星リュウグウへ向け
打ち上げられた。そのイオンエンジンの燃料にキセノン(Xe)ガスが使われた。スペースを
取らないことや燃費の良さ等から採用された。
2016年→Nh:2004年に理化学研究所でビスマス(Bi)に亜鉛(Zn)を衝突させて合成された新元素が
ニホニウム(Nh)と命名された。Bi(83)+Zn(30)→Nh(113)
これと米国とロシアで合成された他の3元素とも合わせ116番までの4元素名が確定され、
周期表の第7周期までが完成した。
上記の歴史をまとめると更にいろいろ知りたいことや疑問が生じました。
同じ様に思われた方も多いと思います。
これらについては今後特定の小テーマに分けまとめてみたいと思います。
<参考サイト>
○東京エレクロトンのサイト
げんそ博士の元素周期表スペシャルサイト
○お勧めです。行ける方は是非。
巡回展:国際周期表年2019特別展
○誕生から150周年を世界中で祝福される「周期表」はココがすごい!
周期表誕生150周年
<最新の大判ポスターを入手しよう。>
○文部科学省の科学技術に関する知識をまとめた「一家に1枚」(科学技術)ポスター
○一家に一枚元素周期表(周期表大判)
ポスター以外の本やグッズについては通販サイトにラインナップされているので一応目を通してどんなものがあるのかしっておくのも良いと思います。
<推薦図書>
在学中の人や理系の現職の人はともかく、学校から離れた人はどれだけ元素や周期表を覚えているでしょうか。元素周期表は全ての人にとはいいませんが理系特に研究者・技術者にとってのあいうえお(五十音)と言えるでしょう。
今年2019年は、メンデレーエフが元素の周期律を発見してから150周年に当たり世界中でイベントが開催されています。
ところで
元素の種類には、現在まで自然に存在する元素と人工的に作られた元素とを合わせて計118種の元素が知られています。
2016年には日本生まれ(アジア初)の元素である113番目のニホニウム(Nh)が登録されました。
元素や周期表に関しては本やサイトが数多く存在しますが、非常に楽しく遊びながら学べるオススメのサイトがあります。
東京エレクトロンは数年まえから、新聞広告として元素や周期表を出してきており、またギネス登録されたAR技術を使った周期表を発表しています。(当ブログで紹介ずみ)
今年は7月21日付け朝日新聞見開き2ページで、元素の発見と周期表に関する歴史をビジュアルな記事で要約した記事を載せています。
そこで今回のブログはここから主要事項を抜粋しA4の1,2枚程度に要約してみました。(その分ビジュアルは消滅しましたが)
尚細かい付帯記事は省略したのでこれを知りたい方は図書館等で見て下さい。
しかし科学の歴史を知ることが重要なのと同じく、元素の発見や周期表の歴史を知ることも大事です。
そこで今後この元素年表を一つの骨格(幹)として、これに自分なりに重要と思うことを加筆修正(枝葉)しながら、自己の元素年表に出来たらと思い整理してみました。
<元素の歴史>
(7/21付け朝日新聞「メンデレーエフ周期律発見150周年企画、世界の全ては元素で出来ている」の要約)
およそ138億年前→H,He:ビッグバンで宇宙誕生数分後水素、ヘリウム等の軽い元素が生成された。
その後これらを含め宇宙を漂うガスやダストが集まることで星が生まれ、
最後に星の死(超新星爆発)で重い元素も誕生したと考えられている。
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
およそ46億年前→地球誕生
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
およそ23億年前→O:バクテリアによって海の中で酸素(O)が発生
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
およそ7億年前→酸素が現在の大気中濃度(21%)になる
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紀元前9000年頃→Cu:人類が初めて使った金属は銅(Cu)
紀元前3000年頃→Ca:ピラミッドの建材として表面に石灰岩が使われる。(内部は花崗岩)
紀元前300年頃→Pb:古代ローマの水道管は鉛製。加工しやすく広大な領土に張り巡らせた。
紀元前50年頃→Sb:古代エジプトの女性はアイシャドウにアンチモンを使用
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
100年頃→Si:古代ローマでガラスが普及。原料は砂(SiO2)と天然ソーダ。
↓・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13世紀→イスラム圏で錬金術が盛んになりこれが後ヨーロッパに伝わった。
1550年頃→Au:武田信玄によって日本の鉱山技術が発展!?山梨や長野の金山を開発。
1712年頃→産業革命始まり、1776年ワットが蒸気機関を発明
1772年→N:ラザフォードにより窒素(N)が発見された。空気が単一の元素ではないことが証明される
1799年→Pt:フランスが1kgを定義する基準器として白金(Pt)の分銅を作製。
(キログラム原器は1889年にイリジウム(Ir)10%の合金となり、2019年5月まで使われた)
1800年→Cu、Zn:銅(Cu)板と亜鉛(Zn)板の間に塩水を含ませた布を挟んで何層にも重ねた
ボルタ電池が発明された。
1839年→Ag、Hg、I:ヨウ化銀(AgI)を感光材料として水銀(Hg)蒸気で現像する銀板写真が誕生。
日本には1840年頃伝わる。
1859年→Cs,Rb,Tl,In:ブンゼンとキルヒホッフは分光器を発明し、セシウム(Cs)とルビジウム(Rb)を
発見した。また別の研究者はこれでタリウム(Tl)とインジウム(In)を発見した。
1869年→メンデレーエフにより元素周期律が発見された。当時発見されていた63個の元素を原子量と
化学的性質で整理し、空白の部分に元素があると予言し、後にそこに入る元素が発見され
その正当性が証明された。
1879年→C:エジソンが炭素電球を発明。京都の竹が使われた。竹は炭となり炭は黒鉛となってよく光った。
1903年→Ra、Po:キュリー夫妻がノーベル賞を受賞。夫妻とベクレルの3人が「放射能研究」で
ノーベル物理学賞受賞。妻のマリーは夫の死後の1911年にラジウムとポロニウムの発見で
化学賞も受賞した。
1908年→Re:小川正孝が43番目の元素を「ニッポニウム」と発表したが、追試で確認されず幻の元素に。
後年の検証で、この元素が1925年ドイツ人研究者により発見された75番目元素のRe(レニウム)と
同じものだったことが判明。
1912年頃→Ne:世界最初のネオンサイン点灯はパリ。視認性が高く、電力も抑えられると広告照明用として
広がった。1918年に東京銀座のカバン店で使われた。
1937年→Tc:初めての人工元素テクネチウム(Tc)誕生。
1930年代に加速器(サイクロトロン)が誕生すると 人工元素の研究が加速。
これを使ってモリブデン(Mo)に重水素(D)の原子核を衝突させてTcが作られた。
元素名の由来はギリシャ語の「人工的」から。
1944年→Cm:新発見元素はキュリー夫妻にちなんでキュリウム(Cm)と命名された。
1955年頃→Md:メンデレビウム(Md)が合成された。アインスタイニウム(Es)にアルファ粒子を照射して
製造。この元素名は周期表の発見者メンデレーエフにちなんで付けられた。
1984年→Nd:世界最強といわれるネオジム磁石が誕生。ネオジム、鉄、ホウ素を使い、日本人により誕生。
スマホやEV、風力発電機、工業用ロボットなどに使われている。
1993年→Ga:1989年窒化ガリウム(GaN)を用いて青色LEDが発明され、その4年後、100倍の明るさが
得られるようになり実用化につながった。既に開発されていた赤、緑とで光の3原色が完成し
信号機やディスプレイに取り入れられた。
1997年→Ni:ニッケル水素電池を使用した世界初のハイブリッドカー(HV)が発売された。
当時のガソリンエンジンの約2倍という燃費の良さが特徴。
その後電気自動車(EV)には、日本で開発されたリチウムイオン二次電池がよく使われている。
1998年→Nb:超電導磁石を使ったリニアモーターカーで初の試乗会が時速450kmで実施された。
この時のリニアモーターカーの超電導磁石には強度と加工し易さが特徴のニオブチタン合金が
使用された。
2008年→Sc:群馬県の草津温泉からスカンジウム(Sc)が抽出された。
2014年→Xe:小惑星探索機「はやぶさ2」は地球から2億8千万km離れた小惑星リュウグウへ向け
打ち上げられた。そのイオンエンジンの燃料にキセノン(Xe)ガスが使われた。スペースを
取らないことや燃費の良さ等から採用された。
2016年→Nh:2004年に理化学研究所でビスマス(Bi)に亜鉛(Zn)を衝突させて合成された新元素が
ニホニウム(Nh)と命名された。Bi(83)+Zn(30)→Nh(113)
これと米国とロシアで合成された他の3元素とも合わせ116番までの4元素名が確定され、
周期表の第7周期までが完成した。
上記の歴史をまとめると更にいろいろ知りたいことや疑問が生じました。
同じ様に思われた方も多いと思います。
これらについては今後特定の小テーマに分けまとめてみたいと思います。
<参考サイト>
○東京エレクロトンのサイト
げんそ博士の元素周期表スペシャルサイト
○お勧めです。行ける方は是非。
巡回展:国際周期表年2019特別展
○誕生から150周年を世界中で祝福される「周期表」はココがすごい!
周期表誕生150周年
<最新の大判ポスターを入手しよう。>
○文部科学省の科学技術に関する知識をまとめた「一家に1枚」(科学技術)ポスター
○一家に一枚元素周期表(周期表大判)
ポスター以外の本やグッズについては通販サイトにラインナップされているので一応目を通してどんなものがあるのかしっておくのも良いと思います。
<推薦図書>
価格:3,024円 |
完全図解元素と周期表 美しい周期表と全118元素を読み解こう!【1000円以上送料無料】 価格:1,944円 |
【このカテゴリーの最新記事】
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9060609
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック