2021年07月10日
史上初の10代でのタイトル初防衛と10代の九段誕生。 しかし今後藤井九段と呼ばれることはない?
先日7月3日、藤井総太棋聖(18)(王位と合わせ二冠)は、渡辺名人(37)(棋王・王将と合わせ三冠)の挑戦を退け、タイトル初防衛を果たした。この時掲げたのがこれ。浮かれることなく、気を引き締める言葉だ。
この時点でタイトル獲得通算3期(下記参考1参照)となり同日付けで九段昇段も果たした。
いずれも18歳11カ月での達成は史上最年少だ。
渡辺名人・三冠は棋界で最強と言われており、直前名人位を防衛して勢いに乗っている。
その三冠をストレートで下したのだ。
その3局の様子はプロの解説(下記リンク)からどうぞ。
その結果
藤井二冠と渡辺名人と対戦成績はこれで8勝1敗となった。普通トップ棋士同士の対戦結果ではこんなに差が開くのは異例だそうだ。
単に「相性が悪い」で片づけられない。これについて谷川九段はこう解説する。
「渡辺名人の長所は良い手と悪い手の見切りを早くつけて読むところ。一方藤井棋聖は全ての可能性を追い求めていろいろな手を読むタイプ。その違いかもしれない」と。
<参考1>:九段への昇段規定
将棋界の最高段位。名人一期か竜王2期、あるいは以外のタイトルを3期獲得か、八段昇段後に250勝する。タイトルを取らない場合継続的にトップクラスの成績を残す必要があるため、必然的に20代前半での達成は難しく、30代から40代で九段になる人が多い。
<参考2>
尚、”普通”の棋士にとっては九段は最高の段位で十分な栄誉だが、単なる九段では不十分!な棋士がいる。
言わずと知れた羽生九段だ。羽生九段は現在タイトル獲得回数が99で現役棋士では第二位の渡辺名人の29回を3倍以上大きく離しダントツの位置にいる人だ。
現在無冠となっているので規定通りなのだが、永世**とか全前**という呼ばれ方もあった。
結局本人の希望でこの九段という呼び方に落ち着いているのだが。(詳しくはここから)
今後あと一回タイトルを取れば通算100期の大記録を達成し、九段とも言われなくなるのだ。
ここでやっとタイトル副題に言及するが、タイトルを一つでも持っていれば段位では呼ばれない。
藤井二冠が今後無冠になることはなさそうなので敢えて八段昇段の時に騒がれたこの言葉(文)を付けた次第です。次の三冠どころか将来の8冠(2017年叡王戦参加で)も期待されているだ。
では
九段の上の十段はないのだろうか?
十段というのは正式な段位ではなく、1980年代まであった十段戦(じゅうだんせん)は、読売新聞社が主催していた将棋の棋戦であり、のちに発展的解消して竜王戦となった。
(詳細はここから)
ところで
藤井二冠の師匠杉本八段(52歳)についてですが、
小学一年で出会い、小学4年から師匠として成長を見守り、支えてきた。
藤井二冠は小学校の卒業文集に「将棋界の横綱になりたい」と書いていたそうだ。
正に「栴檀は双葉より芳し」というところか。
その後誰もが驚く異次元の成長を遂げ、昨年師匠と同時に八段に昇段した。
しかしその後のスピードも凄まじく通算プロ入り後わずか4年9ヵ月で最高位の九段まで昇段した。
この昇段について、杉本八段は「私の最終目標だった九段をいとも簡単に、というのはちょっとずるいですね(笑い)」とユーモアたっぷりに祝福したそうだ。
杉本八段は師匠として、弟子が活躍するたびにメディアにコメントを求められたり、
初タイトル戦の時は対局用に和服をプレゼントしたり、最近は新聞の「藤井総太の時代」の連載に対し
時折「棋道哀楽」(もちろん喜怒哀楽のもじり)として寄稿するなど大忙しだ。
藤井総太が超天才だとしても弟子が自分を追い越し、更に成長、活躍を続けていくのは師匠として大いに嬉しいだろうが、人間としては半分嬉しい、半分寂しい(いろいろな感傷で)所はあるだろう。
藤井総太自身は師匠に相談はしたのかどうかわからないが、1月末高校(名古屋大教育学部付属高校)を自主退学し高校生活を打ち切り将棋道に専念した。
前から思ってはいたことだが、他の棋士は将棋に専念する中、高校生として勉学もしながら場所や時間に拘束される大きなハンディを背負っての対局は本当に大変だったと思うし、よくそれで勝ってきたと思う。
今後は更に将棋に専念でき進歩してゆくことだろう。
こと将棋に関し、「青は藍より出でて藍より青し」を19歳を待たずして実現してしまった。
尚、
藤井二冠の今後の予定は、
@すでに始まっている豊島叡王2冠とのおーいお茶、王位戦7番勝負の防衛戦と
A7月25日から始まる豊島将之叡王(31)との叡王戦5番勝負とがある。
これらの結果次第で藤井二冠は9月までに三冠になる可能性もあるが
ご存じのように豊島将之叡王は、藤井二冠に対して大きく勝ち越している棋士であり、
まさに藤井キラーである。(昔は天敵という表現を多用していたが)
したがって、当節の第一人者の渡辺名人三冠にストレートで勝ったとはいえ、
豊島叡王に対してだけは、叡王挑戦、王位防衛戦の両方負けるかもしれないのだ。
そうなれば藤井一冠となってしまう可能性もある。
しかし若く研究熱心な藤井二冠がそれを許すことは考えられないのだが・・・はたして結果は?
今後の対局から目が離せない。
<参考サイト>
・藤井総太vs豊島は現在1勝7敗
・藤井総太棋聖3連勝で初防衛
第79期棋聖戦
第1局
第1局ハイライト
第2局
第3局
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