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2019年10月06日
2019年の自然科学系ノーベル賞。化学賞受賞で2年連続。
2019年の自然科学系ノーベル賞の結果は、
1.医学生理学賞
10月7日スエーデンのカロリンスカ医科大が3人の受賞者を発表した。
業績名:「細胞が低酸素を検知し応答する仕組みの発見」
これにより貧血や心血菅疾患、ガンなどの多くの病気に関わり治療法の開発にもつながった。
受賞者:米のウィリアム・ケーリン氏(61)、英のピーター・ラドクリフ氏(65)、
米のグレッグ・セメンザ氏(63)。
解 説:人間などの動物は低酸素になると「エリスロポエチン」というホルモンが増えて背血球が多く
作られ酸素を確保する。
3氏の発見でエリスロポエチンが作られ難くなり重い貧血を引き起こす慢性腎臓病の患者向けに
赤血球を増やして血液が酸素を運ぶ能力を高める薬が国内で9月に承認された。
2.物理学賞
8日、スエーデン王立科学アカデミーは3人の受賞者を発表した。
受賞者:ジェームズ・ピーブルス氏(84歳、米)、ミシェル・マイヨール氏(77歳、スイス)、
ディディエ・ケロー氏(53歳、スイス)
業績内容:ピーブルス氏は宇宙が誕生した直後の光の名残から宇宙の成り立ちを理論的に読み解いた。
それにより、星や私たちといった目に見える物質は宇宙の5%程に過ぎず、残りは殆ど
ークマタ―やダークエネルギーだという新たな知見に繋がった。
マイヨールさんとケローさんは1995年太陽系以外で初めてとなる惑星を、約50光年
離れたペガス ス座の方向に見つけた。この惑星は木星の様な巨大な惑星で、恒星の周りを
回っておりこれまでの常識を 覆した。
その後、これまで4000を超える系外惑星が発見された。
この中には生命が有りそうな惑星も見つかっている。
同アカデミーは3氏の発見を「私たちの世界観を永遠に変えた」と称えた。
3.化学賞
9日、スエーデン王立科学アカデミーは3人の受賞者を発表した。
受賞理由:リチウムイオン電池の開発
受賞者:旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)、米テキサス大のジョン・グッドイナフ教授(97)、
米ニューヨーク州立大ビンガムトン校のスターリン・ウィッティンガム卓抜教授(77)
3氏はスマホやEVに搭載するリチウムイオン電池の開発で主導的な役割を
果たし、人々の生活を大きく変えITを始め産業の発展に貢献した業績が評価された。
リチウムイオン電池の開発の歴史は、
先ず1970年代、ウィッティンガム氏は最初にリチウムを電極に使う二次電池を初めて作り突破口を開きリチウムイオンが正極に出入りする原理を解明した。しかし発火や爆発がありそのままでは使えなかった。
次にグッドイナフ氏がその原理を応用して正極の材料を開発した。リチウムを酸化化合物にすると電圧を高く出来る事が判り、コバルト酸リチウムを見いだし、1980年論文発表した。しかし爆発の危険性は残ったままだった。
その後吉野彰氏が正極の対になる負極として炭素材料を採用することを考案。また正極と負極の接触によるショートを防ぐためのセパレータ―等を含め電池の基本構造を確立し、1985年に基本特許を出願し現在のリチウムイオン電池の原型になった。
そしてその後各種改良が加えられて現在の液体電解質型リチウムイオン電池になった。
(ただ現在はやはり電解質を含む有機液体の可燃性が問題となり、不燃性の全個体電池が開発されつつある)
尚補足として、
有力候補の一人とされていた東芝の水島公一エグゼクティブフェローは、東大助手だった70年代後半、英オックスフォード大学教授のグッドイナフ氏と共に研究に取り組みコバルト酸リチウムが正極になると言う事を発見しその論文の筆頭著者。ノーベル賞の人数制限(3人)の為に外されたという事でしょう。
ただ新聞は、大勢の人の貢献の上のピークの3人だと言う事を忘れないで欲しいと結んでいます。
商用化とその後の量産体制
リチウムイオン電池の商品化は1991年にソニーが世界に先駆け商品化し、三洋電機やパナソニックが参入したが、その後韓国メーカーが大型投資を繰り返し、近年中国メーカーも参入し、日本メーカーは後塵を拝するようになった。
リチウムイオン電池の改良と全固体電池の台頭
現在あらゆる電子機器のバッテリーとして使われているリチウムイオン電池だが、火災の危険性がなく、
更に充填速度、エネルギー密度、耐久性等でより高性能を目指した電池が開発されている。
その一つに最近最も注目されている全固体電池がある。
備考
・今回のノーベル賞受賞で、日本人の受賞者は27人(米国籍を含む)、化学賞は8人となった。
・今年は、2次電池が生まれて160年目の年。(フランスのブランテが1859年初めて発明)
本記事は、各社新聞、科学記事サイトを参照としてまとめた。
追記
水島公一氏は東京大学からその功績に対し総長特別表彰を授与された。
・東京大学総長特別表彰の決定
・ヤフーニュース
<参考サイト>
ノーベル化学賞・吉野彰さんが乗り越えた「ダーウィンの海」とは? リチウムイオン電池が全く売れず苦悩した3年間
=================================================
以下10月始め事前予想として書いた記事を付記
昨年は10月1日から順に発表されたが、今年2019年はいよいよ明日7日からの発表が始まる。
予定は
10月7日はノーベル医学生理学賞、8日は物理学賞、9日は化学賞が発表される。
1.医学生理学賞
昨年は免疫研究で大きな功績を挙げた本庶佑京大特別教授が受賞。
がん治療薬の「オプジーボ」など免疫に働きかける新たながん治療に道を開いた事が評価された。
1)今年の候補
@功績の対象としては、生物の設計図であるゲノムを狙い通りに書きかえられる様にしたゲノム編集技術
「CRISPR/Cas9」が最有力候補。日本人も貢献したとされ可能性は0ではないがやはり
ノーベル賞の登竜門とされるガードナー賞を受賞した米仏の研究者3人が有力視されている。
日本人の有力な候補としては次の2人を挙げておこう。
A細胞の内のたんぱく質の品質管理を解明した京大の森和俊教授。
やはりノーベル賞の登竜門とされるラスカー賞を受賞している。
近年の糖尿病やアルツハイマー病に等に係る事が判り薬の開発が盛んになっている。
B血中コレステロール値を下げる「スタチン」を発見した東京農工大の遠藤章特別栄誉教授が有力。
Cエイズの発症を抑える薬を開発した満屋裕明国立国際医療研究センター研究所長。
2.物理学賞
昨年は重力波の発見で米国の3人が受賞。
1)今年の予想
日本人の候補者は数人いるが、世の中へのインパクトの大きさからいえば
@強力なネオジム磁石の開発者佐川真人氏(大同特殊鋼顧問)
ネオジム磁石30年以上トップに君臨し、モーター、記憶媒体性能向上や省エネルギーに多大な
貢献をしている。
A380億年に1秒しかずれないとされる「光格子時計」を発明した東大の香取秀俊教授。
時間の定義への応用もさることながら、アインシュタインの相対性理論の検証に役立つとされる。
例えば、高いところと低いところでは時間の進み方が違うことの検証。
(昨年東京スカイツリーの展望台に設置された。)
B鉄を含む超電導物質の発見、その他アンモニア合成触媒の開発、透明な酸化物半導体の発明の東工大
の細野秀雄栄誉教授。
C多くのマルチフェロクロイック物質の発見した理化学研究所の十倉好紀創造物性科学研究センター長
DCNT発見の飯島澄男氏他と大量合成法の開発の信州大遠藤守信特別特任教授
フラーレンとグラフェンが受賞したため、CNTはもう駄目と言われていたが、最近単層CNTの応用
が盛んに研究されている。そもそもグラフェンは単層CNTを切開したものであり、世界に貢献出来る
ような画期的な商品が出来れば可能性はあるのではないかと思う。
量子科学分野はもう少し先だろう。
3.化学賞
1)今年の予想
@リチウムイオン電池の開発の3氏
これは米テキサス大のグッドイナフ教授が基礎研究を始め、同所で正極活物質としてのコバルト酸
リチウを発見した水島公一氏とこれを使ってリチウムイオン電池を完成した吉野彰旭化成フェロー。
A科学反応を使わずに金属イオンと有機化合物を混ぜるだけで巨大な立体構造を汲みあげる
「自己組織化」と言う研究をさせた東京大学藤田誠教授
B人類を救う技術として最近研究開発が盛んになった人工光合成の研究の発端となったホンダ・フジシマ
効果発見の藤島昭栄氏。光のエネルギーで水を酸素と水素に分解する「光触媒反応」を発見。
抗菌や汚れ防止に使われている。
明日7日から連続3日間で全て判明。期待できるかな。
1.医学生理学賞
10月7日スエーデンのカロリンスカ医科大が3人の受賞者を発表した。
業績名:「細胞が低酸素を検知し応答する仕組みの発見」
これにより貧血や心血菅疾患、ガンなどの多くの病気に関わり治療法の開発にもつながった。
受賞者:米のウィリアム・ケーリン氏(61)、英のピーター・ラドクリフ氏(65)、
米のグレッグ・セメンザ氏(63)。
解 説:人間などの動物は低酸素になると「エリスロポエチン」というホルモンが増えて背血球が多く
作られ酸素を確保する。
3氏の発見でエリスロポエチンが作られ難くなり重い貧血を引き起こす慢性腎臓病の患者向けに
赤血球を増やして血液が酸素を運ぶ能力を高める薬が国内で9月に承認された。
2.物理学賞
8日、スエーデン王立科学アカデミーは3人の受賞者を発表した。
受賞者:ジェームズ・ピーブルス氏(84歳、米)、ミシェル・マイヨール氏(77歳、スイス)、
ディディエ・ケロー氏(53歳、スイス)
業績内容:ピーブルス氏は宇宙が誕生した直後の光の名残から宇宙の成り立ちを理論的に読み解いた。
それにより、星や私たちといった目に見える物質は宇宙の5%程に過ぎず、残りは殆ど
ークマタ―やダークエネルギーだという新たな知見に繋がった。
マイヨールさんとケローさんは1995年太陽系以外で初めてとなる惑星を、約50光年
離れたペガス ス座の方向に見つけた。この惑星は木星の様な巨大な惑星で、恒星の周りを
回っておりこれまでの常識を 覆した。
その後、これまで4000を超える系外惑星が発見された。
この中には生命が有りそうな惑星も見つかっている。
同アカデミーは3氏の発見を「私たちの世界観を永遠に変えた」と称えた。
3.化学賞
9日、スエーデン王立科学アカデミーは3人の受賞者を発表した。
受賞理由:リチウムイオン電池の開発
受賞者:旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)、米テキサス大のジョン・グッドイナフ教授(97)、
米ニューヨーク州立大ビンガムトン校のスターリン・ウィッティンガム卓抜教授(77)
3氏はスマホやEVに搭載するリチウムイオン電池の開発で主導的な役割を
果たし、人々の生活を大きく変えITを始め産業の発展に貢献した業績が評価された。
リチウムイオン電池の開発の歴史は、
先ず1970年代、ウィッティンガム氏は最初にリチウムを電極に使う二次電池を初めて作り突破口を開きリチウムイオンが正極に出入りする原理を解明した。しかし発火や爆発がありそのままでは使えなかった。
次にグッドイナフ氏がその原理を応用して正極の材料を開発した。リチウムを酸化化合物にすると電圧を高く出来る事が判り、コバルト酸リチウムを見いだし、1980年論文発表した。しかし爆発の危険性は残ったままだった。
その後吉野彰氏が正極の対になる負極として炭素材料を採用することを考案。また正極と負極の接触によるショートを防ぐためのセパレータ―等を含め電池の基本構造を確立し、1985年に基本特許を出願し現在のリチウムイオン電池の原型になった。
そしてその後各種改良が加えられて現在の液体電解質型リチウムイオン電池になった。
(ただ現在はやはり電解質を含む有機液体の可燃性が問題となり、不燃性の全個体電池が開発されつつある)
尚補足として、
有力候補の一人とされていた東芝の水島公一エグゼクティブフェローは、東大助手だった70年代後半、英オックスフォード大学教授のグッドイナフ氏と共に研究に取り組みコバルト酸リチウムが正極になると言う事を発見しその論文の筆頭著者。ノーベル賞の人数制限(3人)の為に外されたという事でしょう。
ただ新聞は、大勢の人の貢献の上のピークの3人だと言う事を忘れないで欲しいと結んでいます。
商用化とその後の量産体制
リチウムイオン電池の商品化は1991年にソニーが世界に先駆け商品化し、三洋電機やパナソニックが参入したが、その後韓国メーカーが大型投資を繰り返し、近年中国メーカーも参入し、日本メーカーは後塵を拝するようになった。
リチウムイオン電池の改良と全固体電池の台頭
現在あらゆる電子機器のバッテリーとして使われているリチウムイオン電池だが、火災の危険性がなく、
更に充填速度、エネルギー密度、耐久性等でより高性能を目指した電池が開発されている。
その一つに最近最も注目されている全固体電池がある。
備考
・今回のノーベル賞受賞で、日本人の受賞者は27人(米国籍を含む)、化学賞は8人となった。
・今年は、2次電池が生まれて160年目の年。(フランスのブランテが1859年初めて発明)
本記事は、各社新聞、科学記事サイトを参照としてまとめた。
追記
水島公一氏は東京大学からその功績に対し総長特別表彰を授与された。
・東京大学総長特別表彰の決定
・ヤフーニュース
<参考サイト>
ノーベル化学賞・吉野彰さんが乗り越えた「ダーウィンの海」とは? リチウムイオン電池が全く売れず苦悩した3年間
=================================================
以下10月始め事前予想として書いた記事を付記
昨年は10月1日から順に発表されたが、今年2019年はいよいよ明日7日からの発表が始まる。
予定は
10月7日はノーベル医学生理学賞、8日は物理学賞、9日は化学賞が発表される。
1.医学生理学賞
昨年は免疫研究で大きな功績を挙げた本庶佑京大特別教授が受賞。
がん治療薬の「オプジーボ」など免疫に働きかける新たながん治療に道を開いた事が評価された。
1)今年の候補
@功績の対象としては、生物の設計図であるゲノムを狙い通りに書きかえられる様にしたゲノム編集技術
「CRISPR/Cas9」が最有力候補。日本人も貢献したとされ可能性は0ではないがやはり
ノーベル賞の登竜門とされるガードナー賞を受賞した米仏の研究者3人が有力視されている。
日本人の有力な候補としては次の2人を挙げておこう。
A細胞の内のたんぱく質の品質管理を解明した京大の森和俊教授。
やはりノーベル賞の登竜門とされるラスカー賞を受賞している。
近年の糖尿病やアルツハイマー病に等に係る事が判り薬の開発が盛んになっている。
B血中コレステロール値を下げる「スタチン」を発見した東京農工大の遠藤章特別栄誉教授が有力。
Cエイズの発症を抑える薬を開発した満屋裕明国立国際医療研究センター研究所長。
2.物理学賞
昨年は重力波の発見で米国の3人が受賞。
1)今年の予想
日本人の候補者は数人いるが、世の中へのインパクトの大きさからいえば
@強力なネオジム磁石の開発者佐川真人氏(大同特殊鋼顧問)
ネオジム磁石30年以上トップに君臨し、モーター、記憶媒体性能向上や省エネルギーに多大な
貢献をしている。
A380億年に1秒しかずれないとされる「光格子時計」を発明した東大の香取秀俊教授。
時間の定義への応用もさることながら、アインシュタインの相対性理論の検証に役立つとされる。
例えば、高いところと低いところでは時間の進み方が違うことの検証。
(昨年東京スカイツリーの展望台に設置された。)
B鉄を含む超電導物質の発見、その他アンモニア合成触媒の開発、透明な酸化物半導体の発明の東工大
の細野秀雄栄誉教授。
C多くのマルチフェロクロイック物質の発見した理化学研究所の十倉好紀創造物性科学研究センター長
DCNT発見の飯島澄男氏他と大量合成法の開発の信州大遠藤守信特別特任教授
フラーレンとグラフェンが受賞したため、CNTはもう駄目と言われていたが、最近単層CNTの応用
が盛んに研究されている。そもそもグラフェンは単層CNTを切開したものであり、世界に貢献出来る
ような画期的な商品が出来れば可能性はあるのではないかと思う。
量子科学分野はもう少し先だろう。
3.化学賞
1)今年の予想
@リチウムイオン電池の開発の3氏
これは米テキサス大のグッドイナフ教授が基礎研究を始め、同所で正極活物質としてのコバルト酸
リチウを発見した水島公一氏とこれを使ってリチウムイオン電池を完成した吉野彰旭化成フェロー。
A科学反応を使わずに金属イオンと有機化合物を混ぜるだけで巨大な立体構造を汲みあげる
「自己組織化」と言う研究をさせた東京大学藤田誠教授
B人類を救う技術として最近研究開発が盛んになった人工光合成の研究の発端となったホンダ・フジシマ
効果発見の藤島昭栄氏。光のエネルギーで水を酸素と水素に分解する「光触媒反応」を発見。
抗菌や汚れ防止に使われている。
明日7日から連続3日間で全て判明。期待できるかな。
2016年10月05日
今年の自然科学系ノーベル賞は医学生理学賞で3年連続
今年のノーベル物理学賞及び化学賞に日本人の名前は無かった。
物理学賞は英出身の米大学の研究者3人が受賞。
授賞理由は「物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見」。
新世代のエレクトロニクスや超伝導、将来の量子コンピューターに役立つと期待される研究。
また化学賞はフランス、米国、オランダの研究者3人が受賞。
授賞理由は「分子機械の設計及び合成」
「知恵の輪」のように結びついた2つの分子などに刺激を与えると形が変わり、
あたかもスイッチやモーターのように機能する「分子マシン」と呼ばれる分子の合成などに成功した。
結局今年の自然科学系ノーベル賞は東工大の大隅良典栄誉教授の医学生理学賞単独j受賞だけでした。
各種新聞やサイト等の情報から予想した中の4番目の候補者だった。
受賞理由は、生物の細胞が不要なたんぱく質を分解して再利用する「オートファージ」の仕組みを解明したこと。
簡単に言えば細胞がたんぱく質をリサイクルする仕組みだ。
いらなくなったたんぱく質や機能が落ちたミトコンドリア等を分解して新しいたんぱく質を作る。
生物が生きるための必須の機能だ。
がんやパーキンソン病に関する創薬研究に道を開いた。
今回は他の2賞が3人の共同受賞だったのに単独受賞だったが、
実は弟子にあたる東大の水島昇教授の業績も多く、共同受賞を期待する声も多かった。
一昨年の青色LEDの時の赤崎教授と天野教授の様に共同受賞という形なら尚良かったと思った。
これらの受賞を起爆剤にますます研究が発展・進化することを願うものです。
しかし自然科学系のノーベル賞を喉から手が出るほど欲しいと思っている国が多々あるのに(特に隣国)
連続して受賞している事に対して不謹慎な物言いをしている輩がいるのは残念だ。
明日以降まだ平和賞、経済賞、文学賞が残っているが、特に文学賞は世界のハルキの受賞の声は高いがどうだろう。
いずれにしても、自然科学系の候補者は前回列挙した通り多数おられる。来年もまた期待が持てるので楽しみだ。
尚ノーベル賞の発表はこれまで事後報告だけで聞いていたが、今年初めてライブで発表の瞬間を視聴した。
フジテレビで夕方6時50分位だった。来年もライブで発表を聞いてみようと思う。
物理学賞は英出身の米大学の研究者3人が受賞。
授賞理由は「物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見」。
新世代のエレクトロニクスや超伝導、将来の量子コンピューターに役立つと期待される研究。
また化学賞はフランス、米国、オランダの研究者3人が受賞。
授賞理由は「分子機械の設計及び合成」
「知恵の輪」のように結びついた2つの分子などに刺激を与えると形が変わり、
あたかもスイッチやモーターのように機能する「分子マシン」と呼ばれる分子の合成などに成功した。
結局今年の自然科学系ノーベル賞は東工大の大隅良典栄誉教授の医学生理学賞単独j受賞だけでした。
各種新聞やサイト等の情報から予想した中の4番目の候補者だった。
受賞理由は、生物の細胞が不要なたんぱく質を分解して再利用する「オートファージ」の仕組みを解明したこと。
簡単に言えば細胞がたんぱく質をリサイクルする仕組みだ。
いらなくなったたんぱく質や機能が落ちたミトコンドリア等を分解して新しいたんぱく質を作る。
生物が生きるための必須の機能だ。
がんやパーキンソン病に関する創薬研究に道を開いた。
今回は他の2賞が3人の共同受賞だったのに単独受賞だったが、
実は弟子にあたる東大の水島昇教授の業績も多く、共同受賞を期待する声も多かった。
一昨年の青色LEDの時の赤崎教授と天野教授の様に共同受賞という形なら尚良かったと思った。
これらの受賞を起爆剤にますます研究が発展・進化することを願うものです。
しかし自然科学系のノーベル賞を喉から手が出るほど欲しいと思っている国が多々あるのに(特に隣国)
連続して受賞している事に対して不謹慎な物言いをしている輩がいるのは残念だ。
明日以降まだ平和賞、経済賞、文学賞が残っているが、特に文学賞は世界のハルキの受賞の声は高いがどうだろう。
いずれにしても、自然科学系の候補者は前回列挙した通り多数おられる。来年もまた期待が持てるので楽しみだ。
尚ノーベル賞の発表はこれまで事後報告だけで聞いていたが、今年初めてライブで発表の瞬間を視聴した。
フジテレビで夕方6時50分位だった。来年もライブで発表を聞いてみようと思う。
2016年10月01日
2016年日本人ノーベル賞は誰?
遂に10月1日になり、ノーベル賞の発表が明後日からと迫りました。
3日は医学生理学賞、4日は物理学賞、5日は化学賞ですね。13日は文学賞もありますが。
私の関心はもちろん自然科学系です。
日本は2000年以降16人も受賞し、米国に次いで2番目の受賞国になりました。
2000年以降の受賞者は(敬称略)
<年> <物理学賞> <化学賞> <医学生理学賞>
2000年 白川英樹
2001年 野依良治
2002年 小柴昌俊 田中耕一
2008年 南部一郎 下村 脩
小林 誠
益川敏英
2010年 鈴木 章
根岸英一
2012年 山中伸弥
2014年 赤崎 勇
天野 浩
中村修二
2015年 梶田隆章 大村 智
2000年以降
合 計 8人 6人 2人
今年も受賞者が出ることが大いに期待されています。
医学生理学賞候補では
@米国人博士と共同で、免疫でがんを直す治療薬「オプジーボ」を開発した本庶佑(ほんじょたすく)京大名誉教授
Aコレステロールを下げるスタチンを発見した東工大の遠藤章特別栄誉教授。スタチンは毎日4000万人が飲み続けているそうだ。
B細胞内の小胞体という器官の中でたんぱく質の異常な蓄積を検知して修復する品質管理の仕組みを解明した森和俊京大教授。
C細胞内のたんぱく質の分解やリサイクルに重要なオートファージの仕組みを解明した大隅良典東工大教授。
等
私の予想ではAの遠藤教授。理由は昨年の大村智氏と同じ様に貢献対象人数が莫大なため。
次に物理学賞
これは米国の重力波天文台{LIGO」を使って昨年9月と6月に2つのブラックホールの合体によって生じたと見られる重力派を観測したことに対して。1916年アインシュタインがその存在を予言していたことが実証された。これにより新しい天文学が開くと期待されている。
しかしもう少し様子を見られるかも知れない。
実は物理学賞は物性物理と素粒子・宇宙理論が交互に受賞していて(昨年はニュートリノだったので)今年は物性物理の順になっている。
重力派が見送りになるなら、物理物性になり、日本人研究者の可能性もある。
@電気抵抗がゼロになる超電導の研究で不可能とされていた鉄系の超電導物質を発見した細野秀雄東工大教授。
A将来の省エネメモリーに繋がるとされるマルチフェロイック物質という新材料を開発した十倉好紀・創発物性科学研究センター長。
Bカーボンナノチューブ(CNT)の発見者、飯島澄男名古屋大特別招聘教授。
BのCNTは既にフラーレン(C60)やグラフェンが受賞していて、応用もこれら以上に進んでいるのにと思うが・・・。
最後に
化学賞
@世の中への貢献度という味方ではなんといってもリチウム電池の開発だろう。
これには、日本では旭化成の吉野彰氏が有名だが、もともとこの分野の第一人者は
米テキサス大のグッドイナフ教授で彼の右腕だった水島公一氏、元ソニーの西氏らが関係している。
3人なので人選が難しそうだ。
ところで
日本が得意な化学合成が01年と10年に受賞しているが、今年はそろそろではと言われている。
それで
A有機物同士をつないでより複雑な有機物を作る「向山アルドール反応」を開発した向山光昭東大名誉教授。
B精密に設計した分子を触媒として利用し有用な化合物を選択的に合成する手法を開発した山本尚中部大教授
が候補。
また
C建物の外壁など汚れ防止に既に多方面で使われている光触媒の開発者藤島昭・東京理科大学長
これは毎年の様に候補に挙がっているが実績も多くなっているのでそろそろでは。
とにかく先ずは3日の生理学賞を楽しみに待ちましょう。
3日は医学生理学賞、4日は物理学賞、5日は化学賞ですね。13日は文学賞もありますが。
私の関心はもちろん自然科学系です。
日本は2000年以降16人も受賞し、米国に次いで2番目の受賞国になりました。
2000年以降の受賞者は(敬称略)
<年> <物理学賞> <化学賞> <医学生理学賞>
2000年 白川英樹
2001年 野依良治
2002年 小柴昌俊 田中耕一
2008年 南部一郎 下村 脩
小林 誠
益川敏英
2010年 鈴木 章
根岸英一
2012年 山中伸弥
2014年 赤崎 勇
天野 浩
中村修二
2015年 梶田隆章 大村 智
2000年以降
合 計 8人 6人 2人
今年も受賞者が出ることが大いに期待されています。
医学生理学賞候補では
@米国人博士と共同で、免疫でがんを直す治療薬「オプジーボ」を開発した本庶佑(ほんじょたすく)京大名誉教授
Aコレステロールを下げるスタチンを発見した東工大の遠藤章特別栄誉教授。スタチンは毎日4000万人が飲み続けているそうだ。
B細胞内の小胞体という器官の中でたんぱく質の異常な蓄積を検知して修復する品質管理の仕組みを解明した森和俊京大教授。
C細胞内のたんぱく質の分解やリサイクルに重要なオートファージの仕組みを解明した大隅良典東工大教授。
等
私の予想ではAの遠藤教授。理由は昨年の大村智氏と同じ様に貢献対象人数が莫大なため。
次に物理学賞
これは米国の重力波天文台{LIGO」を使って昨年9月と6月に2つのブラックホールの合体によって生じたと見られる重力派を観測したことに対して。1916年アインシュタインがその存在を予言していたことが実証された。これにより新しい天文学が開くと期待されている。
しかしもう少し様子を見られるかも知れない。
実は物理学賞は物性物理と素粒子・宇宙理論が交互に受賞していて(昨年はニュートリノだったので)今年は物性物理の順になっている。
重力派が見送りになるなら、物理物性になり、日本人研究者の可能性もある。
@電気抵抗がゼロになる超電導の研究で不可能とされていた鉄系の超電導物質を発見した細野秀雄東工大教授。
A将来の省エネメモリーに繋がるとされるマルチフェロイック物質という新材料を開発した十倉好紀・創発物性科学研究センター長。
Bカーボンナノチューブ(CNT)の発見者、飯島澄男名古屋大特別招聘教授。
BのCNTは既にフラーレン(C60)やグラフェンが受賞していて、応用もこれら以上に進んでいるのにと思うが・・・。
最後に
化学賞
@世の中への貢献度という味方ではなんといってもリチウム電池の開発だろう。
これには、日本では旭化成の吉野彰氏が有名だが、もともとこの分野の第一人者は
米テキサス大のグッドイナフ教授で彼の右腕だった水島公一氏、元ソニーの西氏らが関係している。
3人なので人選が難しそうだ。
ところで
日本が得意な化学合成が01年と10年に受賞しているが、今年はそろそろではと言われている。
それで
A有機物同士をつないでより複雑な有機物を作る「向山アルドール反応」を開発した向山光昭東大名誉教授。
B精密に設計した分子を触媒として利用し有用な化合物を選択的に合成する手法を開発した山本尚中部大教授
が候補。
また
C建物の外壁など汚れ防止に既に多方面で使われている光触媒の開発者藤島昭・東京理科大学長
これは毎年の様に候補に挙がっているが実績も多くなっているのでそろそろでは。
とにかく先ずは3日の生理学賞を楽しみに待ちましょう。
2016年09月28日
イグ・ノーベル賞
9月もそろそろ終わりですね。10月に入るとすぐ世界が注目するイベントがやってきます。
それは10月3日から始まるノーベル賞の発表です。
これについては10月1日に書くつもりですが、
その前座としてイグ・ノーベル賞の事を書いておきます。(一寸遅くなりましたが)
今年もまた日本人が受賞したので22日から24日位にかけて殆どのメディアが取り上げていましたね。
そもそもイグ・ノーベル賞とは
1991年に創設された「他の誰もやりそうにない、ユーモアと独自性を兼ね備えた研究や開発」に対して与えられるノーベル賞のパロディー版」です。
イグノーベル(Ig Nobel)という名称は、ノーベル賞と英語の「ignoble(あさましい、不名誉の)」を組み合わせたもの。 接頭語としてのigには否定的な意味があり、「裏ノーベル賞」ともいわれます。
今年の日本人の受賞は、頭を逆さにして両足の間から見る「股のぞき」によって、物の見え方が変わることについて調べた立命館大学の東山篤規教授と大阪大学の足立浩平教授が知覚賞を受賞しました。
東山教授らは、「股のぞき」をすると物の大きさは実際よりも小さく、距離は近くに見え、奥行きがなくなったように感じることを実験で確認しました。
そのうえで、180度逆さに見えるめがねをかけて実験したところ、物の大きさや距離の見え方は変わらなかったことから、見え方の変化は、目から入る情報よりも、体を逆さにする感覚の変化によるところが大きいこともわかりました。
しかし日本人にとっては、この股のぞきは昔から京都府にある日本三景の一つの天橋立で行われてきたことです。
図らずも日本人は、今回東山教授らが確認した事をしっかりと感覚として感じながら股のぞきをしていたのでしょうね。
そして誰かが、この効果を判っていて観光名所として広めたのかも知れません。
ところでイグ・ノーベル賞が始まって今年で26回目を迎えますが日本人はなんと20回も受賞し、
米英と共に常連となっています。
2007年からは10年連続受賞です。列挙してみます。
<年> <分野> <受賞内容>
2007年 化学賞 牛のふんからバニラの香り成分そ抽出
2008年 認知科学賞 粘菌のパズルを解く能力を発見
2009年 生物学賞 パンダの分〜採取した微生物でなまゴミを90%削減
2010年 交通計画賞 粘菌を用いて最適な鉄道網を構築
2011年 化学賞 わさびを使った警報装置の開発
2012年 音響学賞 相手の発言を妨害する装置の発明
2013年 医学賞 心臓移植したマウスにオペラを聞かせて延命効果を確認
2013年 化学賞 玉ねぎを切ると涙が出る仕組みの解明
2014年 物理学賞 バナナの皮を踏んだときの滑り易さの解明
2015年 医学賞 キスによるアレルギー反応の改善効果を確認
私が特に注目するのは粘菌を使った2件の受賞です。
菌や微生物の能力を使うことは、人類が大昔から利用してきたことです。
味噌、醤油、乳製品、酒などの食品からペニシリンなどの抗生物質、活性汚泥法など
枚挙にいとまがありません。
まだまだ未発見の微生物、及びその能力は沢山あると思います。
ノーベル賞でもイグ・ノーベル賞でもこれからも生物を使った発見・発明が出てくる事でしょう。
今年は日本人の研究者が受賞した「知覚賞」を含めて10の部門に贈られました。
その中でチョット注目されたのは、「医学賞」で体の左側がかゆいときには鏡を見ながら右側をかくとかゆみが治まることを示したドイツの研究者の成果?です。使えそうですね。
また今回の化学賞には、検査の時だけ排ガス対策装置を稼働させ燃費を向上させるVWのソフトが受賞しましたが
誰も受取りには来なかったそうです。
当然かもしれませんが、何せイグ・ノーベル賞です。”折角のチャンス?”この際幹部が堂々と受け取りに来てしっかり陳謝し次はまともな物を開発しますと開き直り逆宣伝する、というのはないかなとは思いました。
来年も受賞が途絶えないように誰か必ず受賞して欲しいものですね。
そしてさあ次はいよいよ本家ノーベル賞です。
10月3,4,5日が楽しみですね。
それは10月3日から始まるノーベル賞の発表です。
これについては10月1日に書くつもりですが、
その前座としてイグ・ノーベル賞の事を書いておきます。(一寸遅くなりましたが)
今年もまた日本人が受賞したので22日から24日位にかけて殆どのメディアが取り上げていましたね。
そもそもイグ・ノーベル賞とは
1991年に創設された「他の誰もやりそうにない、ユーモアと独自性を兼ね備えた研究や開発」に対して与えられるノーベル賞のパロディー版」です。
イグノーベル(Ig Nobel)という名称は、ノーベル賞と英語の「ignoble(あさましい、不名誉の)」を組み合わせたもの。 接頭語としてのigには否定的な意味があり、「裏ノーベル賞」ともいわれます。
今年の日本人の受賞は、頭を逆さにして両足の間から見る「股のぞき」によって、物の見え方が変わることについて調べた立命館大学の東山篤規教授と大阪大学の足立浩平教授が知覚賞を受賞しました。
東山教授らは、「股のぞき」をすると物の大きさは実際よりも小さく、距離は近くに見え、奥行きがなくなったように感じることを実験で確認しました。
そのうえで、180度逆さに見えるめがねをかけて実験したところ、物の大きさや距離の見え方は変わらなかったことから、見え方の変化は、目から入る情報よりも、体を逆さにする感覚の変化によるところが大きいこともわかりました。
しかし日本人にとっては、この股のぞきは昔から京都府にある日本三景の一つの天橋立で行われてきたことです。
図らずも日本人は、今回東山教授らが確認した事をしっかりと感覚として感じながら股のぞきをしていたのでしょうね。
そして誰かが、この効果を判っていて観光名所として広めたのかも知れません。
ところでイグ・ノーベル賞が始まって今年で26回目を迎えますが日本人はなんと20回も受賞し、
米英と共に常連となっています。
2007年からは10年連続受賞です。列挙してみます。
<年> <分野> <受賞内容>
2007年 化学賞 牛のふんからバニラの香り成分そ抽出
2008年 認知科学賞 粘菌のパズルを解く能力を発見
2009年 生物学賞 パンダの分〜採取した微生物でなまゴミを90%削減
2010年 交通計画賞 粘菌を用いて最適な鉄道網を構築
2011年 化学賞 わさびを使った警報装置の開発
2012年 音響学賞 相手の発言を妨害する装置の発明
2013年 医学賞 心臓移植したマウスにオペラを聞かせて延命効果を確認
2013年 化学賞 玉ねぎを切ると涙が出る仕組みの解明
2014年 物理学賞 バナナの皮を踏んだときの滑り易さの解明
2015年 医学賞 キスによるアレルギー反応の改善効果を確認
私が特に注目するのは粘菌を使った2件の受賞です。
菌や微生物の能力を使うことは、人類が大昔から利用してきたことです。
味噌、醤油、乳製品、酒などの食品からペニシリンなどの抗生物質、活性汚泥法など
枚挙にいとまがありません。
まだまだ未発見の微生物、及びその能力は沢山あると思います。
ノーベル賞でもイグ・ノーベル賞でもこれからも生物を使った発見・発明が出てくる事でしょう。
今年は日本人の研究者が受賞した「知覚賞」を含めて10の部門に贈られました。
その中でチョット注目されたのは、「医学賞」で体の左側がかゆいときには鏡を見ながら右側をかくとかゆみが治まることを示したドイツの研究者の成果?です。使えそうですね。
また今回の化学賞には、検査の時だけ排ガス対策装置を稼働させ燃費を向上させるVWのソフトが受賞しましたが
誰も受取りには来なかったそうです。
当然かもしれませんが、何せイグ・ノーベル賞です。”折角のチャンス?”この際幹部が堂々と受け取りに来てしっかり陳謝し次はまともな物を開発しますと開き直り逆宣伝する、というのはないかなとは思いました。
来年も受賞が途絶えないように誰か必ず受賞して欲しいものですね。
そしてさあ次はいよいよ本家ノーベル賞です。
10月3,4,5日が楽しみですね。