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2016年10月05日

今年の自然科学系ノーベル賞は医学生理学賞で3年連続

今年のノーベル物理学賞及び化学賞に日本人の名前は無かった。

物理学賞は英出身の米大学の研究者3人が受賞。

授賞理由は「物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見」。
新世代のエレクトロニクスや超伝導、将来の量子コンピューターに役立つと期待される研究。


また化学賞はフランス、米国、オランダの研究者3人が受賞。

授賞理由は「分子機械の設計及び合成」
「知恵の輪」のように結びついた2つの分子などに刺激を与えると形が変わり、
あたかもスイッチやモーターのように機能する「分子マシン」と呼ばれる分子の合成などに成功した。


結局今年の自然科学系ノーベル賞は東工大の大隅良典栄誉教授の医学生理学賞単独j受賞だけでした。
各種新聞やサイト等の情報から予想した中の4番目の候補者だった。

受賞理由は、生物の細胞が不要なたんぱく質を分解して再利用する「オートファージ」の仕組みを解明したこと。

簡単に言えば細胞がたんぱく質をリサイクルする仕組みだ。
いらなくなったたんぱく質や機能が落ちたミトコンドリア等を分解して新しいたんぱく質を作る。
生物が生きるための必須の機能だ。
がんやパーキンソン病に関する創薬研究に道を開いた。

今回は他の2賞が3人の共同受賞だったのに単独受賞だったが、
実は弟子にあたる東大の水島昇教授の業績も多く、共同受賞を期待する声も多かった。

一昨年の青色LEDの時の赤崎教授と天野教授の様に共同受賞という形なら尚良かったと思った。



これらの受賞を起爆剤にますます研究が発展・進化することを願うものです。

しかし自然科学系のノーベル賞を喉から手が出るほど欲しいと思っている国が多々あるのに(特に隣国)
連続して受賞している事に対して不謹慎な物言いをしている輩がいるのは残念だ。

明日以降まだ平和賞、経済賞、文学賞が残っているが、特に文学賞は世界のハルキの受賞の声は高いがどうだろう。

いずれにしても、自然科学系の候補者は前回列挙した通り多数おられる。来年もまた期待が持てるので楽しみだ。

尚ノーベル賞の発表はこれまで事後報告だけで聞いていたが、今年初めてライブで発表の瞬間を視聴した。

フジテレビで夕方6時50分位だった。来年もライブで発表を聞いてみようと思う。


posted by taiga at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ノーベル賞

2016年10月01日

2016年日本人ノーベル賞は誰?

遂に10月1日になり、ノーベル賞の発表が明後日からと迫りました。
3日は医学生理学賞、4日は物理学賞、5日は化学賞ですね。13日は文学賞もありますが。
私の関心はもちろん自然科学系です。

日本は2000年以降16人も受賞し、米国に次いで2番目の受賞国になりました。

2000年以降の受賞者は(敬称略)

 <年>  <物理学賞>  <化学賞>   <医学生理学賞>

2000年         白川英樹
2001年         野依良治
2002年  小柴昌俊   田中耕一



2008年   南部一郎   下村 脩
       小林 誠      
      益川敏英
2010年         鈴木 章
             根岸英一


2012年                 山中伸弥

2014年   赤崎 勇
       天野 浩
       中村修二

2015年   梶田隆章            大村 智

2000年以降
 合 計   8人       6人       2人

今年も受賞者が出ることが大いに期待されています。

医学生理学賞候補では
@米国人博士と共同で、免疫でがんを直す治療薬「オプジーボ」を開発した本庶佑(ほんじょたすく)京大名誉教授
Aコレステロールを下げるスタチンを発見した東工大の遠藤章特別栄誉教授。スタチンは毎日4000万人が飲み続けているそうだ。
B細胞内の小胞体という器官の中でたんぱく質の異常な蓄積を検知して修復する品質管理の仕組みを解明した森和俊京大教授
C細胞内のたんぱく質の分解やリサイクルに重要なオートファージの仕組みを解明した大隅良典東工大教授。

私の予想ではAの遠藤教授。理由は昨年の大村智氏と同じ様に貢献対象人数が莫大なため。

次に物理学賞
これは米国の重力波天文台{LIGO」を使って昨年9月と6月に2つのブラックホールの合体によって生じたと見られる重力派を観測したことに対して。1916年アインシュタインがその存在を予言していたことが実証された。これにより新しい天文学が開くと期待されている。
しかしもう少し様子を見られるかも知れない。
実は物理学賞は物性物理と素粒子・宇宙理論が交互に受賞していて(昨年はニュートリノだったので)今年は物性物理の順になっている。
重力派が見送りになるなら、物理物性になり、日本人研究者の可能性もある。
@電気抵抗がゼロになる超電導の研究で不可能とされていた鉄系の超電導物質を発見した細野秀雄東工大教授。
A将来の省エネメモリーに繋がるとされるマルチフェロイック物質という新材料を開発した十倉好紀・創発物性科学研究センター長。
Bカーボンナノチューブ(CNT)の発見者、飯島澄男名古屋大特別招聘教授。
BのCNTは既にフラーレン(C60)やグラフェンが受賞していて、応用もこれら以上に進んでいるのにと思うが・・・。

最後に
化学賞
@世の中への貢献度という味方ではなんといってもリチウム電池の開発だろう。
 これには、日本では旭化成の吉野彰氏が有名だが、もともとこの分野の第一人者は
 米テキサス大のグッドイナフ教授で彼の右腕だった水島公一氏、元ソニーの西氏らが関係している。
 3人なので人選が難しそうだ。
ところで
日本が得意な化学合成が01年と10年に受賞しているが、今年はそろそろではと言われている。
それで
A有機物同士をつないでより複雑な有機物を作る「向山アルドール反応」を開発した向山光昭東大名誉教授。
B精密に設計した分子を触媒として利用し有用な化合物を選択的に合成する手法を開発した山本尚中部大教授
が候補。
また
C建物の外壁など汚れ防止に既に多方面で使われている光触媒の開発者藤島昭・東京理科大学長
これは毎年の様に候補に挙がっているが実績も多くなっているのでそろそろでは。
 
とにかく先ずは3日の生理学賞を楽しみに待ちましょう。


posted by taiga at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ノーベル賞

2016年09月28日

イグ・ノーベル賞

9月もそろそろ終わりですね。10月に入るとすぐ世界が注目するイベントがやってきます。
それは10月3日から始まるノーベル賞の発表です。

これについては10月1日に書くつもりですが、
その前座としてイグ・ノーベル賞の事を書いておきます。(一寸遅くなりましたが)
今年もまた日本人が受賞したので22日から24日位にかけて殆どのメディアが取り上げていましたね。

そもそもイグ・ノーベル賞とは
1991年に創設された「他の誰もやりそうにない、ユーモアと独自性を兼ね備えた研究や開発」に対して与えられるノーベル賞のパロディー版」です。

イグノーベル(Ig Nobel)という名称は、ノーベル賞と英語の「ignoble(あさましい、不名誉の)」を組み合わせたもの。 接頭語としてのigには否定的な意味があり、「裏ノーベル賞」ともいわれます。

今年の日本人の受賞は、頭を逆さにして両足の間から見る「股のぞき」によって、物の見え方が変わることについて調べた立命館大学の東山篤規教授と大阪大学の足立浩平教授が知覚賞を受賞しました。

東山教授らは、「股のぞき」をすると物の大きさは実際よりも小さく、距離は近くに見え、奥行きがなくなったように感じることを実験で確認しました。

そのうえで、180度逆さに見えるめがねをかけて実験したところ、物の大きさや距離の見え方は変わらなかったことから、見え方の変化は、目から入る情報よりも、体を逆さにする感覚の変化によるところが大きいこともわかりました。

しかし日本人にとっては、この股のぞきは昔から京都府にある日本三景の一つの天橋立で行われてきたことです。
図らずも日本人は、今回東山教授らが確認した事をしっかりと感覚として感じながら股のぞきをしていたのでしょうね。
そして誰かが、この効果を判っていて観光名所として広めたのかも知れません。

ところでイグ・ノーベル賞が始まって今年で26回目を迎えますが日本人はなんと20回も受賞し、
米英と共に常連となっています。
2007年からは10年連続受賞です。列挙してみます。
<年>  <分野>  <受賞内容>
2007年 化学賞   牛のふんからバニラの香り成分そ抽出
2008年 認知科学賞 粘菌のパズルを解く能力を発見
2009年 生物学賞  パンダの分〜採取した微生物でなまゴミを90%削減
2010年 交通計画賞 粘菌を用いて最適な鉄道網を構築
2011年 化学賞   わさびを使った警報装置の開発
2012年 音響学賞  相手の発言を妨害する装置の発明
2013年 医学賞   心臓移植したマウスにオペラを聞かせて延命効果を確認
2013年 化学賞   玉ねぎを切ると涙が出る仕組みの解明
2014年 物理学賞  バナナの皮を踏んだときの滑り易さの解明
2015年 医学賞   キスによるアレルギー反応の改善効果を確認

私が特に注目するのは粘菌を使った2件の受賞です。
菌や微生物の能力を使うことは、人類が大昔から利用してきたことです。
味噌、醤油、乳製品、酒などの食品からペニシリンなどの抗生物質、活性汚泥法など
枚挙にいとまがありません。
まだまだ未発見の微生物、及びその能力は沢山あると思います。
ノーベル賞でもイグ・ノーベル賞でもこれからも生物を使った発見・発明が出てくる事でしょう。

今年は日本人の研究者が受賞した「知覚賞」を含めて10の部門に贈られました。
その中でチョット注目されたのは、「医学賞」で体の左側がかゆいときには鏡を見ながら右側をかくとかゆみが治まることを示したドイツの研究者の成果?です。使えそうですね。 
また今回の化学賞には、検査の時だけ排ガス対策装置を稼働させ燃費を向上させるVWのソフトが受賞しましたが
誰も受取りには来なかったそうです。
当然かもしれませんが、何せイグ・ノーベル賞です。”折角のチャンス?”この際幹部が堂々と受け取りに来てしっかり陳謝し次はまともな物を開発しますと開き直り逆宣伝する、というのはないかなとは思いました。

来年も受賞が途絶えないように誰か必ず受賞して欲しいものですね。

そしてさあ次はいよいよ本家ノーベル賞です。
10月3,4,5日が楽しみですね。
posted by taiga at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ノーベル賞

2016年09月20日

日本発、夢の新素材、セルロースナノファイバー(CNF)

3日前に新素材セルロースナノファイバー(CNF)について本ブログに投稿しましたが、
昨日18日(日)のNHK Eテレ「サイエンスゼロ」でも放送されましたので、
その内容をまとめてみました。
セルロースナノファイバーに興味のある方は両方とも御覧頂ければ幸甚です。

尚番組では全く触れられなかったチクソ性の逆の性質(ダイラタンシー)に関する話も4)として追記しました。
ご参考まで。

しかし読むのは面倒、直接番組を見たいと言う方はここからどうぞ。
動画で見た方が面白く且つ判りも易いですよね。

当ブログは番組の文章での記録として以下記述しておきます。

サイエンスゼロ(2016.9.18)
「日本発、夢の新素材、セルロースナノファイバー(CNF)
ゲストの開発者は京都大学生存圏研究所 矢野浩之教授。


1.初めに
植物は自身の細胞の壁を強くするために長い進化の過程で獲得した構造でありセルロースナノファイバー自身はとても強く細い繊維である。
これを人の手によって植物が持つ強さを最大限引き出したのがセルロースナノファイバー。
細い繊維をナノサイズまで細かく分離すると結合点の数が数万倍に増加し細かくなった繊維同士が絡み合う事で鉄をしのぐ強さになる。
ナノファイバーは非常に細く、細胞壁の厚みの中に1000本のCNFが入る位の細さ。
これは髪の毛を東京山手線の大きさにした時、僅か直径1mの棒になる位細い。

2.作り方の発見
矢野教授は少量をミキサーでかき混ぜて作る方法を開発しましたが、この方法では大量生産が難しかった。
しかし大量生産に結び付く技術を開発した日本人がいる。
それは東京大学の磯貝明教授。
2015年スエーデンで、森林分野のノーベル賞といわれる「マルクス・ヴァレンベリ賞」を日本人として初めて受賞。
この技術は、電荷の反発を利用するもので、CNFを簡単かつ大量取り出ることができるようになった。コストも約1000円/kgとなり、研究が世界中で加速するようになった。
具体的にはパルプの水溶液にマイナスの電荷を持たせる特殊な薬品を入れ反応させると、マイナスの電荷を帯びた繊維同士が互いに反発しあうようになるというもの。

3.CNFの特性と製品への応用

1)軽さと強さの利用
CNFは鉄の5分の1の軽さで、5倍の強さがある。
CNFの応用で現在最も期待されている産業は自動車産業で、
その軽くて強い性質を利用して鉄の代わりにドアやボンネットの利用が研究されている。
しかし、CNFは乾燥すると体積が10分の1に減少するため大きく変形し複雑な形状に加工することができない。
この欠点を、収縮し難いプラスチックと混ぜることにより、解決を図っている。
例えはCNFを10%混ぜることにより鉄より軽い同じ強度の製品が出来るようになった。
(但し現在は倍の厚みが必要)
ドアやボンネットに使うと20%位の軽量化が図れ、20%の燃費が向上するそうだ。

問題はCNFをプラスチックと混ぜるのが難しいことだった。
セルロースは基本分子単位の中に水酸基を6個も含むため水とよくなじむ。(木綿の吸水性)
この問題を解決するために、セルロースの水酸基(OH基)を化学処理して油と親和性のあるものに置き換えるとプラスチックとよく混じりあうようになった。
また思わぬ効果も現れた。
CNF内では水酸基同士が水素結合していて繊維同士が容易に分離しない構造になっていたが、
化学処理により水酸基ではなくなったので水素結合しなくなり容易に繊維同士が分離するようになり、
プラスチックと混合する時、自然とほぐれて良く混じる様になった。
これでコストが10分の1になった。

車以外の用途としては家電製品、ケータイ、情報端末が考えられている。夢はリニア。

2)CNF含有液体のチクソ性を利用した商品開発。
チクソ性とは、止まっているときには硬くて、力が加わるとトロトロになり、放置して置くとまた硬くなる性質。
ペンキが、攪拌して塗るとスーッと塗れ、塗った後ではタレない等の性質。
CNF混合液のチクソ性は、静止状態では繊維同士がくっ付きあって固まりゲル状になっていて、
これに力が加わると繊維同士の構造が壊れて液体となり、またしばらく放置していると繊維同士がくっ付きあってゲル状になる。

チクソ性を活かした製品。→ボールペン
ボールペンのインクには、増粘剤が入っているが十分混ざっていないと字がカスレたり、インクが固まりとなって出てくる。
増粘剤にCNFを混ぜたインクでは、ペン先に力が加わると増粘剤の粘土が下がり、すらすら書けるようになる。

別の応用では、日焼け止めクリームがある。
従来品は塗った後も肌がベト付くが、CNFが入った製品はサラサラしてべとつきが無くなる。

またスプレー製品は、出口で圧力が掛るとチクソ性がでて薄く均一に綺麗に広がる。

3)CNFが極めて細いことによる広い表面積を利用した商品開発

@消臭シート
一定の臭気成分を入れた容器に、CNFを入れない容器では、臭気が残っているのに、
CNFを入れた容器は完全に臭気が感じられない。臭気が吸着されている。

その応用として、大人用の紙オムツがある。
CNFを入れてない製品と比べると3倍以上「気になる臭い」が無くなるそうだ。

A食品
 CNFはもともと水酸基があるので水分を抱き込む性質がある。
 これを使って、ジューシーなハンバーグが出来る。
但し食品は体内に入るため、安全性の確認が必要である。



4)追記
 CNFの性質のチクソ性はオリジナルの呼び方はチクソトロピーといいます。
これと反対の性質はダイラタンシーといい、力を加えた時に流動性が無くなり一時的に固まってしまう現象。
身近な現象としては海岸の砂がある。海水と一緒にゆっくり手で取るとさらさら流れてしまうが、強く握ったり、げんこつで打ったりすると硬くなっているのが分かると思います。

この性質を利用した面白い実験を米村でんじろう先生が良くやっていたのを覚えている人は多いはず。
内容は、大きな箱に入った白い液体にゆっくり足を突っ込むと当然そのまま足が沈んで隠れてしまうが、足をバタバタさせて液面を速く押すと沈まず何と水面の上に人が留まれるのです。
長い箱にこの液が入れてあれば水面を渡れる仕掛けも出来る訳です。(一度見た様な)
水に分散された(完全に溶けてはいない点が要注意)白い粉は片栗粉だそうです。(他にも色々あるのかも知れません。興味のある人は調べて下さい。)

このチクソ性(チクソトロピー)とダイラタンシーという言葉と意味は覚えておけば
意外なところで役に立つかも知れませんよ。(見直される?)

posted by taiga at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 新素材

2016年09月16日

新素材セルロースナノファイバー(CNF) (ポスト炭素繊維)

新素材という言葉が新聞紙上を常に賑わしていますが、繊維に関してはこれまでは主に炭素繊維が主役でした。

炭素繊維使用製品はスポーツ用品から始まり、機械部品を経て航空機、車に使われ出し完全に一大産業素材となりました。
世界の主要メーカーが開発を断念するなか、日本のメーカー3社が50年以上も頑張り続け、世界生産量の大半を製造するに至りました。

ポストカーボンファイバーとし、最近は、カーボンナノチューブ(CNT)、炭化珪素(SiC)繊維、クモの糸、セルロースナノファイバー(CNF)などが新聞を賑わしています。

このなかでセルロースナノファイバー(CNF)はカーボンナノチューブ(CNT)と言葉上は一寸紛らわしいのですが、
全く違った素材ですので、今回はより身近で、大量生産の可能性が近いセルロースナノファイバー(CNF)についてその概要をご紹介します。

CNFはセルロースからなる植物に化学的、機械的処理を施して取り出した直径数〜数十ナノメートルの極細繊維状物質で、重さ(軽さ)は鉄鋼の5分の1、強さは5倍以上とされ、熱による膨張収縮が少なく、樹脂等に添加することで様々な機能を持つ素材を製造出来、国も経産省始め農水省、文科省も積極的に産業化を支援する体制に入っています。(詳しくは下記動画@、Aご参照)

原料が炭素繊維の様に石油ではなく植物なので、森林国である日本が原料から自給出来る素材です。
その結果、木材産業、竹産業、製紙産業、柑橘類処理業等々植物廃棄物が出る日本全国でCNFを新たな地域産業に育てようと実用化を目指す連携組織が相次ぎ発足しています。

「セルロースナノファイバー(CNF)の概要は分かった。一体どんな製品が出来ているの?」という声が聞こえてきそうなので、早速現在迄の応用品の一部を紹介します。(出所:5月7日経産業新聞)

<CNF使用による効果> →  <基礎製品>   →  <市販商品> → <メーカー>
・粘りを増す      → インク、塗料、化粧品 →  ボールペン   → 三菱鉛筆ら
・金属イオンを吸着   →  消臭性物質    →  紙おむつ    → 日本製紙
・高い透明度となる   → 透明フィルム    →  曲面ディスプレイ → 王子、三菱化学(開発中)
・機密性が高い     → 高気密性シート   →  食品包装材   → 大王製紙、愛媛大学(開発中)
・軽くて強い      → ゴム、樹脂強化素材  → スポーツシューズ → 神栄化工(開発中)
                         靴底
そうそう、
今年の伊勢志摩サミットで上記ボールペンが各国代表に配られ好評だったことは記憶に新しいことですね。

CNFを使ったボールペンはここから購入出来ます。

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またCNFを使った紙おむつ

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感想(1件)



       
尚、日本の状況は上記の通りですが、当然新セルロースファイバーの開発は世界中で競争が起きています。 
各国の特許出願状況では、さすがに森林王国フィンランドの2社が上位1,2位を占め圧倒していますが、
3位には三菱化学、中国精華大学、5位王子ホールディングス、6位日本製紙、7位凸版印刷、8位花王、9位カナダ企業、10位京都大学。(1980〜2013年、天然高分子系ナノファイバーでの調査結果)
と日本勢が頑張っています。


セルロースナノファイバー(CNF)は現在はまだ高価(1万円/kg)の為、電気製品や自動車などの本命部材で実用化はまだなされていませんが、製造コストの大幅な低減が進めば大きな産業に育つ可能性は大です。
その時汎用品の分野から現在の炭素繊維製品に置き換わっていく事は十分予想されます。

今後セルロースナノファイバー(CNF)は眼を離せない素材分野です。


以下の動画をみればCNFが良く分かりますよ。
@優しい解説動画:脚光浴びるセルロースナノファイバー

Aより詳しい動画:TV「夢の扉」

posted by taiga at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 新素材
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大手化学系メーカーで各種の研究、製造現場、技術営業等種々経験。 特に各種素材に携わった事が財産。退職後現在某大手不動産系列で勤務の傍ら、朝日、読売新聞、日経産業新聞、日刊工業その他季刊誌、雑誌、折り込み等からの情報収集、及び面白そうなイベントには極力顔を出し、自分自身体験しながら、面白情報、お役立ち情報を仕入れています。 これまで取り溜めた膨大な情報は残念ながら殆ど発信しなかったので今後は新規入手情報は逐一小出しに発信して行こうと思っています。乞うご期待。
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