2015年07月06日
過ぎゆくもの
おはようございます
今日からまた一週間。
さてさて、本日は、こちらです
山本容子 / 浅田次郎 / 嵐山光三郎
池内紀/ 池澤夏樹/ 江國香織
小川洋子/ 関川夏央/ 谷川俊太郎
中沢新一 辻原登/ 湯川豊著 著
山本容子イラスト
『過ぎゆくもの』
大型本です。
まずは、この本が
できた経緯から。
銅版画家の山本容子さんが
2007年に、
さいたま市にオープンする
鉄道博物館のための
鉄道をテーマとする
縦3m、横10mの
ステンドグラスを
制作する際、
その着想をえるために、
本書の一番最初に
乗っている
谷川俊太郎さんの詩
「過ぎ行くもの――SL挽歌」
を基調として、
現代の書き手たちに
書いてもらった
鉄道にまつわる
エッセイを書きおろして
もらったのだそうです。
そして、これは、
その10点の
エッセイと、
それぞれのエッセイから
インスパイアを得て
山本さんが描いた
絵が挿絵として載っています
うーん、とにかく
読んで見て欲しい。
芸術ですね…
いや、私あまり
そういうものに
聡い訳ではないのですが
まず、どうして
鉄道とは、こうも
夢があって、
どこか懐かしげで
センチメンタルな面が
あるんでしょうか
著者は見ての通り!
私が紹介したことが
何度もある書き手さんも
ちらほらちらほら
何と言いますか、
この著者軍を見ただけでも
思わず、手をとりたく
なってしまうではないですか
ふっと開けば
まずはマルセス・プルースト
『失われた時を求めて』
より引用が載っていて
時間軸が変わる。
今私のいる時間が
少し、何か変わる
そんな気がすると
谷川俊太郎さんです
ぐっと心にきて
すーっと遠ざかっていく
さあ、私は今から
旅に出るんだ、
汽車に乗るんだ、
そんな気分になる
そうして、10点の
エッセイがはじまる――
この構成だけでもう、
素晴らしいと思うのですよ
そして、また
エッセイもやはり素晴らしいぃ
10点それぞれに
言及する訳にはいきませんが
説明的文章的なもの
まさに随筆、というもの
小説ちっくなもの……
それぞれがそれぞれに
独立して素晴らしいけれども
根底にある「鉄道」
というテーマが
何となく、どこか
同じ雰囲気を作品たちに
持たせていて
最後まで、ずっと
同じ汽車に乗っているような、
そんな不思議に安心した
気持ちで読み切ることができます
挿絵の雰囲気も良くて、
この本を読んでいる間は
全体的に現実感が薄くなります
それぞれ独立した
エッセイをもとに
やはり、それぞれ
独立した絵を描きながら
それらが一枚の絵と
なるように描かれた
大きな大きな絵。
それぞれの挿絵として
のっているだけでなく
これらの10枚の絵が
一枚となって見開きでも
本書にはのせられています
是非是非、全てのエッセイを
読んだ後に
見開いて見て欲しい
すうっと、それぞれの
エッセイが頭の中を
駆け巡って
もう、それだけで
旅をした気分になれます
何だか、寂しいような
嬉しいような、切ないような
幸せなような……
そんな気分になれる。
この本そのものが
一つの作品として
非常に価値あるものなのだと、
思いました
是非是非、読んでみて下さい
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