百年法: 1日１冊

2015年01月11日

百年法

すっいません
昨日投稿すると
言ったのに…

本日ご紹介します
こちらです

『百年法』

HAVIを受けることによって、
永遠の若さを得ることが出来るようになった人間

HALLOという世界機関に加入してはじめて
HAVIを国で実施することが出来るのですが
その為に必要な条件の一つが
生存制限法の制定です

日本では百年法と呼ばれます、曰く
不廊下処置を受けた国民は
処置後百年を以て
生存権をはじめとする基本的人権は
これを全て放棄しなければなない

基本的人権の放棄とは
結局のところ「死」です
つまり、国による施設で安楽死を受けることを意味します

しかし、日本はこの法律を未だ制定していませんでした
日本に遅れてHAVIを導入した韓国や中国は
日本が生存制限法を制定しなかったがための
様々な問題を見出し、独自の運用モデルを構築した上で
導入。結果として、日本は韓国や中国に
大きく遅れを取ることとなってしまいます

そのような事態の中、百年法の制定の必要性を
強く感じる遊佐らは、百年法を国民に受け入れさせる為
生存制限法特別準備室室長として
奔走するのですが、官僚の中にも
HAVIを受けてから既に百年経っている人間も多く、
導入するにあたって大きな障害となってくる

それでも、遊佐や、彼が心から敬愛する笹原による
首相への必死な意見が少しは作用するのか否か……
永遠に生きることが出来るようになった世界で
本来死ぬはずの人々が生き続け、
経済的に衰退してしまった日本

「死」というものが、まるで絵空事のように
遠い存在になった世界で、
若い身体を保ったまま百年生きた
人々は自ら死を受け入れられるものなのか

自国の未来のみを見据え、希望を託す官僚達
保身ばかりを考える官僚達
HAVIに違和感を感じあえて受けなかった人
HAVIによって永遠に生きることに違和感を感じる人
一方で死から逃れ続けあくまで生にしがみつく人

そんな社会の中で、現れたテロリスト
そして、静かに人々の間に広まる病気

「生」と「死」が見失われる異様な世界が
こうまで生生しく描けるものなのでしょうか

登場人物達の関係や、思考が複雑に構成され
個人の問題、政治の問題、医療の問題等々が
絡み合いながら、
瞬く間に１０年２０年と時は過ぎ
情勢が変わっていく

一体、日本はどうなってしまうのか？

上・下とありますが、あっと言う間でした
特に、もう下に入った頃からは
作品から目が離せず一気に読み切りました

面白いSFが読みたい！
そんな方に特に
お勧めです