2015年01月02日
ジョッキー
さてさて!2015年最初のものは
威勢の良い、元気になれるような
作品にしたいと思います
松樹剛史『ジョッキー』
主人公の中島八弥は、どうもパッとしない騎手
それまで乗る馬に恵まれず
さらに不運が重なって、所属していた千葉厩舎から
所属を外れることになり、
フリーの身すなわり、騎手のフリーターといった
ところでしょうか。
フリーで、そこまで成績のない八弥には
なかなか騎乗依頼も入ってこず
調教代でなんとか生活をしのいでいるような有様。
お財布は寂しく、冷蔵庫も寂しく
時にみみっちい考えに捕らわれながら
家族がないことを良いことに、なんとか
その日その日を暮らしている、そんな騎手
しかし、そんな騎手八弥だからこそ、
様々な馬に乗る機会があり、
その馬に対して、八弥は、馬の心に寄り添いながら
レースに挑んでいきます
馬だけではありません
馬の調教師や厩務員も、様々な人がいます
勿論、騎手にも。
自分の世話をした馬に並々ならぬ
愛着と思いを持っている厩務員らとの交流
ライバルなどという生易しい言葉では
片づけられないような関係性の
騎手同志の交流
八弥が、やたらと気にしている、兄弟子。
その人物は、登場はしないのですが、しかし八弥の
憧れとして、圧倒的な存在感を放っています。
しかし、この兄弟子に、こうまで八弥が執着していた
のにも、実は深い訳があったりして……
この物語を見ていると、決して八弥が
駄目な騎手、という訳ではないと思うのですが
如何せん、営業をしない等、自分の信念に
かなりこだわりがあったり……
馬に乗るのが上手けりゃそれでいい、
そんな簡単な世界ではないんですね、描かれているのは
お金が結構複雑に絡んでいるであろう、競馬という
競技の中で、馬主よりも何よりも
馬の気持ちを優先させてしまうあたりが
おそらく彼がなかなか日の目を見なかった
原因のように思うのですが…
それでも、彼のレースは読んでいて爽やかです
馬と呼吸を合わせて、ふっとした時に
突然スピードがつく。
競馬なんて、本当に全くもって
縁がなかったので、競馬用語が分からないのは
少し困りましたが、
しかし、八弥の周りの人々との交流が
丁寧に描かれ、
また、馬の気質、馬によってそれぞれの
レースがもののみごとに異なったものであり
また、レースの描写が、素晴らしい
走行中に八弥の感じる空気感が
こちらに直に伝わってくるような、躍動感
そんなものをあっさりと楽しんでいるうちに
八弥に、とんでもない騎乗依頼が舞い込んできて……
物語の中ではラストになるレース
本当に今、自分も馬に乗っているような気分になれる
そんなドキドキ感満載の場面で、大好きです
綺麗では決してないはずの勝負の世界を
しかし汚すぎるような書き方はせず、
爽やかに駆け抜けるような物語です
競馬、全然知らない、という方も
是非読んでみて下さい!
競馬…!?
というだけで読まないには
勿体ない作品ですので!
かくいう私も、
競馬に関してはとんと
よく知らないのですが…
それでは皆様
年が明けてからぐんと
冷え込みましたが、
2015年、
良い年にしてくださいませ(*'∀'人)
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