新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2021年02月04日
もうめちゃくちゃ(二月朔日)
バビシュ政権の迷走が止まらない。長官のフリニチカを、スキャンダルがあったものの留任させた新設のスポーツ庁だが、なぜか二人の副長官が解任された。新たに任じられたのは二人とも女性だったが、女性登用という意図があるようでもない。そもそも、チェコは選挙で選出される国会議員や、その議員の中から選ばれることの多い大臣は女性の割合が低いが、省庁の高官には女性はかなり多いのである。
野党側はこの副長官の交代に関して、説明を求めているが、政府側は具体的な説明をしていない。野党側から辞任、もしくは解任を強く求められているフリニチカの立場を強化するための人事異動なのか、フリニチカを監視させるためなのかはわからないが、長官の交代を選挙が半年後に近づく中、混乱をもたらすだけだとして拒否したのに、副長官は交代させるというのは、意味が分からない。
それから、最近迷走が止まらなくなっている厚生大臣にもまた交代のうわさが流れている。しかも後任は、バビシュ首相が名目上兼任して、実務はプリムラ一ヵ月厚生大臣にやらせるというのだから、さらに意味不明である。それなら、最初から解任、もしくは辞任の強要はせずに、対策が終了した時点で解任すると約束でもして、無理やり留任させたほうがはるかにましだった。
ブラトニー厚生大臣の迷走ぶりが酷いのは確かである。感染症対策チームの部下たちが次々に辞めていって機能しなくなりつつあるようだけど、やめた人の話では、パートタイム契約で始めたけど、それでできる仕事じゃなかったとか、仕事を始めてから辞めるまで大臣とほとんど話す機会がなかったとか、医者としてはともかく、組織の運営者としてはあまり優秀ではないことが露呈した。状況が状況なら問題にはならなかったのかもしれないけど。
大臣が批判されている理由の一つは、スーパーマーケットなどの営業は許可されているにもかかわらず、生活必需品とみなされない一部の商品が販売禁止になっていることと関連する。その一部の商品の販売禁止自体が意味不明なのだが、その一部の商品の指定に関しても、子供向けの服や靴は追加で販売許可にするなど大臣自らが混乱を広げている。
子供向けというのがまたあいまいで、対象は日本の中学生ぐらいまでになるのだろうか。ただそんな子供たちの中には、うらやましいことに体格のいい子供もいて、普通の子供服や子供用の靴では小さすぎるという子供もいる。そんな大きな子供を持つ親からの批判を受けたブラトニー大臣は、子供向けでなくても、このサイズまでなら販売してもいいとか言い出した。
これには、ブルノの病院の元同僚たちも、お前が口を出すことではないだろうと批判の声を上げた。仲間褒めとか、同僚のかばい合いの多いチェコでは珍しいことだが、さすがに黙って見ていられなくなったものと見える。専門家の意見を聞く前に、条件反射的に思いついたことを口にしているのではないかという疑いもあって、しばしばバビシュ首相が厚生大臣の言うことは信じないでくれという、信じられない発言をすることもあるほどである。
一月の下旬にも、ファイザー社がワクチンの供給を一時的に減らすと言い出した際に、厚生省から各地のワクチン接種期間に、ワクチンの新規の接種、予約の受付を停止するようにという指示が出されたらしいのだが、厚生大臣は即座にその必要はないと否定した。その厚生大臣の発言に対して、またバビシュ首相があれこれいちゃもんを付けていたので、実際どういうことだったのかさっぱり理解できなかった。
その結果、地方によって対応が変わり、予約されたワクチンの接種を取り消したところもあれば、供給量の減少を見込んで最初から予約の数を減らしていて予定異通りに接種を進めているところもあるらしい。相変わらず、チェコは政治家や役人の無能を現場の人間が何とかごまかしているのである。現場がそこまで優秀ではないと、政治の混乱が直接反映されて、どうしようもないことになってしまう。
政治家の仕事ってのは、細かい規制の対象を云々することではなくて、大枠で何を優先するのか、優先順位を決めていくことだと思うのだけど、チェコの場合にはあまりに具体的なことにこだわりすぎて何を優先しようとしているのかさっぱりわからない。日本もマスゴミの報道に振り回されてわけのわからないことになっているようだけど。
チェコで唯一、評価できるのは、教育、特に義務教育の学校での授業を復活させようと奮闘している文部省ぐらいである。チェコ社会でも今のままでは現在の小中学生、特に小学校の低学年が教育の面で失われた世代になるのではないという危惧を感じている人が多いのを追い風に、命が大事とか健康が大事という耳ざわりのいい言い訳にひるむことなく、学校での教育の再開を優先させようとさまざまな提案をして厚生省側と交渉している。やっぱ、現状は学問する権利が侵害されているわけだから、非常事態宣言が出ているとはいっても、文部省、まっとうな教育関係者としては見逃せねえよなあ。
2021年2月2日24時。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
2021年02月03日
ハンドボール三昧続続(正月卅一日)
いよいよ世界選手権も最終日、三位決定戦と決勝を残すのみである。チェコテレビが放映権を持っていて放送の予定だが、ウィンタースポーツシーズンもたけなわで、スキーやバイアスロン、シクロクロス、スケートなどの中継も予定されていて、ハンドボールの中継中に他のスポーツの中継が挿入される可能性もあった。
まずは、三位決定戦だが、前回、2019年にデンマークとドイツで行われた大会に続いて三位を狙うフランスと、前回は七位に終わったスペインの対戦である。試合前の解説で、フランスチームには、延期された東京オリンピックに出場するために、引退を延期してこの大会に出場している選手が何人かいると言っていた。ベテランが多いということだろうか。
試合開始から、スペインが4連続得点を決めたところは、疲れからテレビの前で居眠りをしていて見過ごした。その後、サーブリーコバーが出場するスピードスケートに中継が切り替わり、ハンドボールに戻ってきたときには12−5でスペインがリードしていた。簡単に言えばスペインがこのリードを最後まで守りきったということになる。最終的なスコアは35−29と6点差が付いた。
フランスの敗因はディフェンスが余り機能しなかったことに尽きる。準決勝のスウェーデンとの試合と同じく、キーパーもほとんどシュートを止めることができていなかった。フランスにはいいキーパーがいるというイメージが強かっただけに意外な結果だった。それに対してスペインのキーパーは、1対1でも何本かシュートを止めてフランスの勢いを完全に殺していた。
決勝は連覇を目指すデンマークと、2001年以来の決勝進出のスウェーデン、そのときは負けて準優勝に終わっているが、その前の1999年、今回同様エジプトで行われた大会では優勝している。その意味ではスウェーデンもエジプト大会の連覇を狙っているといってもいい。ただデンマークが最初から優勝候補として見られていたのに対して、スウェーデンは中心選手から何人か辞退者がでるなどの問題があって、大会前は苦戦するだろうと予想されていたらしい。
この試合も、キーパーの出来が結果を決めたといってもいい。スウェーデンのパリチカが、準決勝ほどのセーブを見せられず、後半途中から交代したのに対して、準決勝のスペイン戦では全くいいところがなく、確か一本もシュートを止められず交代していたデンマークのランディンは、準決勝のパリチカ並みに、何本もスウェーデン選手のシュートを止めて見せた。
そして準々決勝、準決勝では試合運びの面で難があったデンマークだが、決勝では作戦が見事にはまっていた。ハンセンの後継者っぽく見えるホルムを前半はベンチに置いて、後半の勝負どころで投入することで、決定的な差をつけることに成功したのだ。ホルムはハンセンより体格ははるかに華奢だけど、長めの髪型とか、色違いのヘアバンドとか意図的にハンセンに似せたスタイルにしているように見えた。
試合開始からしばらくはディフェンスとのコンビネーションもよくなかったのか、シュートを全く止められなかったパリチカが、相手の攻撃になれたのか少しずつ調子を上げて止めるケースが増えていたのだが、途中出場のホルムのシュートに全く対応できていなかった。守備も対応できていなかったのだろうが、同じパーターンで3本か4本連続で決められた。最終的には26−24という2点差でデンマークが勝利したが、最後の10分から15分は、接戦ながらデンマークが完全に試合を支配して、スウェーデンには逆転はおろか、同点にする芽もないと印象だった。
簡単に言えば、選手層のさもあったという事なのだろうけど、スウェーデンもデンマークも、ベテランだけでなく、この大会で代表デビューの選手たちも活躍していたから、来年のヨーロッパ選手権も楽しみである。チェコ代表も、予選の試合を開催できていないけど、出場権を取れると思いたい。チェコテレビが放映権を買い取ってくれんかなあ。
それはともかく、この日の2試合だけでなく、準決勝の2試合も含めた大会最後の4試合は、どれも凄くレベルの高い見ていて面白い試合で、最初から最後まで見通せて満足、満足である。次にチェコリーグの試合を見たら、またつまらなく感じそうなのがちょっと不安である。
2021年2月1日20時。
パリチカは決勝ではキーパー対決に負けてしまったが、大会のベスト7に選出された。
2021年02月02日
ハンドボール三昧続(正月卅日)
金曜日は引越し先の建物の管理体制がまだ出来上がっておらず、午後5時で閉めるというので、早めに仕事を切り上げて家に戻った。あれこれ詰め込んだ箱を開けて中身をぶちまけるなんて、特に現状の在宅勤務の人が多い中では、慌てる必要はない。水曜日は忘れていて、たまたまつけたらハンドボールの中継が始まっていたけど、金曜日は5時半から始まるのを知っていたから、遅くとも5時ごろには帰るつもりではいたのだ。
最初の試合はスウェーデンとフランス。かつて代表の中心選手だったカレル・ノツァルやユジーチェクが活躍したフランスのハンドボールも嫌いではないのだけど、やはり北欧の端正なハンドボールのほうが好みである。しかもチェコ系のアンドレアス・パリチカがいるとなれば、スウェーデンを応援するしかない。
意外だったのが、フランスが1990年代以降の大会で、6回の優勝を誇るだけでなく、ほぼ毎回準決勝に進出してメダルを獲得しているのに対して、スウェーデンが準決勝に進出するのは十年ぶりでメダルを獲得したら二十年ぶりになるという試合前の情報だった。イーハと並ぶ世界最高の選手キム・アンデルソンがセンターに君臨していたから、毎回優勝を争っているようなイメージがあったのだが、チェコ代表以外についての記憶、印象なんてこんなもんである。
試合のほうは、スウェーデンが先制して、一度だけ逆転された以外は同点に追いつかれることもほぼなく、後半も少しずつリードを広げて、最終的には32−26という6点差で勝利した。内容的にはほぼ互角、ボールを失うミスはむしろスウェーデンのほうが多かったのだが、チェコ代表代理のパリチカが凄かった。要所要所でシュートを止めフランスの反撃の芽を摘んでいた。それに対して、フランスのキーパーはほとんどシュートを止めることができず、それが点差に反映されたといっていい。
続いてはヨーロッパ選手権二連勝中のスペインと前回の世界選手権優勝チームのデンマークの試合。北欧対決が見たいので望むはデンマークの勝利である。スペインはイーハがバルセロナでお世話になったとはいえ、そのハンドボールはあんまり印象に残っていない。理由はおそらくスペインが強いヨーロッパ選手権をチェコテレビが放送できないので、試合をあまり見ていないことだと思う。
こちらの試合もデンマークが試合開始直後から常にリードした状態で試合を進め、点差は最大でも4点差までしか開かず、終了直前には1点差に迫られたけれども、最後の攻撃で得点を挙げて、35−33で勝利を挙げた。内容的にもデンマークのほうが上だったと思うのだが、キーパーに代えてフィールドプレーヤーを出しているところでボールを奪われてディフェンスラインからのシュートを決められたり、選手交代でどたばたしている隙をつかれて失点したり、デンマーク側の試合運びのまずさが目に付いた。
この試合の注目の一つはチェコ人審判が笛を吹くことだったのだが、あまり目立つこともなく堅実な笛を吹いていた。よかったのは、スペインの選手たちのちょっとバルカンの香りのするプレー、ことあるごとに7メートルスローよこせとか、今のは退場物だろうと圧力をかけてくるのを完全に無視して正確な判定を繰り返せていたことだ。ミスがなかったとは言わないが、準決勝の審判という重責を見事に務めたといってもいいだろう。
それにしても、スペインは強かったのに、どうして判定に異義を繰り返すのかねえ。デンマークの選手たちが淡々と判定を受け入れていたのとは対照的だった。こうしてみると日本のハンドボールが北欧のハンドボールの系譜を引いているのは幸せなことだと思える。監督はアイスランドの人らしいし。バーレーンとの試合でも明らかにディフェンスの選手との接触があってシュートを外したのを見逃されても、ちょっと不満そうな顔をみせるだけですぐにディフェンスに戻っていた。
よほどの誤審でもない限りは、いちゃもんをつけずにプレーし続けたほうが結果もよくなると思うのだけど、サッカーの悪影響なのか、最近審判に詰め寄って抗議するシーンが増えている気がする。それはともかく、明日も、すべてを放り出して午後からハンドボール三昧の予定である。
2021年1月30日24時。
2021年02月01日
ハンドボール三昧(正月廿九日)
準々決勝が一番面白いなんてことを言う人がいるのは、サッカーのワールドカップだっただろうか。グループステージでは、実力差の大きいチームの対戦もあって一方的な試合になることもが多いし、準決勝、決勝になると長期にわたる大会の疲れが出てミスが増える傾向にある。今回のハンドボールの世界選手権も、水曜日に行われた準々決勝は、白熱したいい試合が多かった。
特に、1試合だけ先に始まった開催国エジプトとデンマークの試合は、7メートルスロー合戦にまでもつれ込んだ。試合終了直前まで同点で、エジプトが最後の攻撃に向かうというところで、選手交代の際に焦った交代で出場する選手が、早すぎるタイミングでコート内に足を踏み入れるというミスを犯して退場。おまけにデンマークボールになってしまった。ただ、デンマークの最後の攻撃もなんかもたもたしていて得点には至らず、延長戦に突入した。
今でも悔やまれるのは、この時点で、延長になれば自力に勝るデンマークが圧倒するだろうと油断して、いつも通りにニュースにチャンネルを変えてしまったことだ。ニュースも終わりに近づくころに、そろそろ終わっただろうとスポーツチャンネルに戻したら、7メートルスロー合戦が始まるところだった。お互い一人ずつ失敗した後の、5人目でエジプトが外し、デンマークが決めたことで決着がついた。
ハンドボールの延長は、たしか10分の延長戦で、同点ならさらに二回目の延長戦を行い、それでも同点の場合だけ7メートルスロー合戦になるわけだから、7メートルスロー合戦なんて滅多に見られるものではない。グループステージなら延長なしで引き分けになってしまうのだから。大会前にエジプトがここまで強いことを予想した人がどれだけいたのだろう。チェコ代表がフルメンバーで出場できていたとしても勝てなかったかもしれない。
試合後のダイジェストで確認したところ、最初の延長戦の終了間際に、世界最高の選手とされるハンセンがパッシブプレーの笛が吹かれた後に時間稼ぎのためのパスを出すという反則で、終了まで30秒を切っていたことからレッドカードが提示されて退場、再出場もできなくなった。二回目の延長ではエジプトの選手がレッドカードをもらったようだ。試合全体を通じて有利と不利が次々に変わる最高に面白い試合になったのに、延長戦をリアルタイムで見られなかったことが悔しくてならない。規制の強化、緩和で大騒ぎするだけのニュースなんて無視すればよかった。
残りの同時に行なわれた三試合のうちテレビで放送されたのは、一番接戦になると予想されたスペインとノルウェーの試合だった。ちょっと急ぎの仕事があったのと、ほかの試合の経過も確認したかったので、テレビは見ずに仕事をしながらライブスコアで得点の経過を確認していた。そうしたら、前半ハンガリーが一方的にリードしていて驚いていたフランスとの試合がすごいことになっていた。後半に入ってフランスが逆転して、59分に3点差をつけているのを見たときには、フランスの勝ちは動かないと思ったのだが、ハンガリーが追いついて延長に入った。
テレビで延長の部分だけでも放送してくれないかと思ったのだが、チャンネルを合わせたら録画放送で試合開始から放送し始めた。ハンガリーはポーランドとならんで、ハンドボールが盛んで、国内リーグのレベルも高い割には、代表はぱっとしない印象なのだけど、なかなかいい試合だった。パットしないとは言ってもチェコ代表よりは上に行くことが多いかなあ。チェコが出ていると他の国ことは二の次になってしまうので、あまり覚えていないというのが正しいかもしれない。
ほかの二試合は、優勝候補のスペインが、ノルウェーに、チェコ系のパリチカがゴールを守るスウェーデンが、アラブの笛の援護のないカタールに勝利して、準決勝はスウェーデンとフランス、デンマークとスペインの対戦となった。後者の試合で笛を吹くのはチェコの審判である。本当はこのに試合を見たという話を書くつもりで始めたのに、例によって枕が長くなってしまったので、本題は次回に回そう。
最後に、今大会最大の驚きはといわれたら、アルゼンチンの躍進である。南米でブラジルが強くなっているのは知っていたけど、アルゼンチンなんて日本が二次グループで対戦することになったときには、勝てるんじゃないかなんて思った自分が恥ずかしい。最後まで準々決勝進出を争い、カタール相手に前半は圧倒的に勝っていた試合を逆転されて1点差で進出を逃したのだ。もちろん開催国のエジプトの準々決勝進出も驚きだったけど、ハンドボールの場合はえてして開催国が過去最高の成績を収めるものだし、今大会最大の驚きはやはりアルゼンチンだな。
2021年1月30日11時。
タグ:世界選手権
2021年01月31日
引越し(正月廿八日)
このあれこれ規制の厳しい中で職場の引越しが行われた。ぎりぎりまで引越し先の建物の改修が完了しているのかどうか判然とせず、延期の可能性もあったのだが、どうしても引っ越しさせなければならない理由があったのだろう。あたかも規制など気にする必要はないといわんばかりに強引に実行に移された。日程を知らされたのが、引越しの10日ほど前のことで、それから通常の仕事をこなしながら荷造りをするのは結構辛かった。
最近、体がだるいことが多いのだが、これはもう、引越しのせいに決まっている。これを機会とばかりにあれこれ廃棄処分にして多少は身軽な状態で新しい場所に移動したのだけど、捨てるためには、捨てるものを箱詰めして所定の場所に運ばなければならない。捨てるものまで部屋の中に置いておいたのでは、引越し先に持っていくものの箱詰めをする場所がないのだ。段ボール箱に書類や冊子、書籍なんかをぎゅうぎゅうに詰め込んだものの重さは20キロぐらいになるだろうか。持ち上げるのも、別の部屋に運ぶのも、ゆっくりと床に下ろすのも、きつくて、体が悲鳴を上げていた。
箱詰めの際には、捨てるか残すかの判別のために中身を確認しなければならず、作業をしていた一週間は指先が紙ずれで痛み、何度も何度も手を洗うせいでかさかさになってしまって、普段はべとつく感じが嫌いで使わないハンドクリームを使用する破目になってしまった。筋肉や関節の痛みに痛み止めのクリームも塗ったし、大変な一週間ちょっとだった。よかったことといえば、感染対策のマスクをほこり対策に転用できたことぐらいである。
引越しの荷物の移動自体はすでに済んでいるのだが、ダンボールに詰めたものを引っ張り出す作業が残っている。正直、しばらく触りたくはないのだけど、机の周りにダンボールの山というのも、仕事をするのに気が乗らなくなる原因になりかねないから、少しずつ開封していくことになるのだろう。面倒くさいから、いっそのこと全部捨ててしまえばよかったと思わなくもないのだが、引越し先の部屋が予想以上に広くて棚も大量に確保できてしまったから、空っぽのままにしておくわけにもいかない。
一番の問題は、家から近くなってしまったことだ。これまでは行き帰り、それぞれ30分ぐらい歩けていたのが、10分ちょっとに減ってしまう。せっかく在宅勤務などという気のめいる勤務形態から開放されて、職場まで歩くことで運動不足の解消を図っていたのに、困ったものである。わざわざ運動をする気にはならないから、回り道をして歩く距離を延ばすかなあ。
引っ越しといえば、データの引越しも始めたのだった。15年ぐらい前に買ったハードディスクつきのDVDレコーダーが、不調を訴えることが多くなり、ちゃんと再生できないDVDも増えてきた。このままではせっかく時間をかけて録画したものがもったいないということで、PCにコピーした上でデータ形式の変換をして、PCでもテレビでもセットトップボックスでも再生できるようにしようと考えたのである。
ところが、長年自宅でメインとして使っているノートPCは、DVDドライブは付いているものの、なぜかDVDの認識ができなくなってしまっている。サブのノートも、職場のPCもDVDドライブが付いていない。それでDVDをコピーするには、自宅でも職場でも昔使っていたノートを引っ張り出すことになるのだが、古いだけあって立ち上げるだけでも結構時間がかかるし、DVDを1枚外付けのハードディスクにコピーするだけで1時間ほどかかってしまう。ということで、職場の引越しとは違って、長期戦になりそうである。
DVDの媒体には、DVD-RとDVD+Rという二つの規格があって、これまでDVDレコーダーで使う分にはあまり違いは感じていなかった。それがコピーするさいに違いを発見してしまった。DVD-Rの場合には、中に「VIDEO_TS」というフォルダがあるだけで、データのサイズは4Gぐらいである。それに対してDVD+Rのほうは、もう一つ別のフォルダがあって、それはコピーしなくてもいいと言うか、コピーしようとしたら失敗した。それで「VIDEO_TS」というフォルダだけ丸ごとコピーするのだが、PCの表示によればデータのサイズは12Gぐらいということになっている。DVDにそんな大きなデータ入るんだったっけ。
不思議なのはどちらもコピーにかかる時間はあまり変わらないことで、MP4にコンバートした場合のサイズは、元のデータの大きさではなく、収録時間によって変わるようである。そんなデータがPCのハードディスクに増えてきたので、DVDからデータを引越しさせる先として新しい外付けのハードディスクを買おうかと考え始めたところである。だけどお店の営業は停止中。もうしばらくは、コピー用に使っている外付けのハードディスクでごまかすしかないか。
それにしても、ハードディスクに限らず、記憶媒体の容量がめちゃくちゃ大きくなっているのに驚きを隠せない。単位がGじゃなくてTになっているなんて……。16TBなんて商品も見つけたけど、値段も高そうだなあ。まあ1Tもあれば十分すぎるだろう。ネットで注文してお店で支払いと受け取りなんてことをやっている電器屋もあるみたいだから、探してみるとしよう。
2021年1月29日23時30分。
2021年01月30日
日本ハンドは豊田で持つ?(正月廿七日)
ハンドボールの世界選手権の日本の試合を見ていたら、アナウンサーがある選手について、「所属チームはトヨダゴーセーで、現在日本リーグで首位に立っている」とか何とか言っていた。そんなチームあったっけと、不思議に思って代表選手の所属チームを確認してみることにした。アナウンサーはチェコ代表のズドラーハラが所属するポーランドのチームに所属する選手もいるようなことを言っていたが、そっちはあまり興味を引かなかった。おそらく日本の所属チームから派遣される形で、ポーランドで活動しているのだろうしさ。
こちらが、ハンドボールの日本リーグの結果を確認していた1990年代の初めは、湧永、大崎電気、大同特殊鋼が三強で、ほかには三陽、本田技研なんかが参戦していたかな。中村荷役なんてチームがあったのも覚えている。しかし、トヨタ、もしくは豊田という名前のついたチームはあったか。二部にならあったかも知れないけど、一部では記憶にない。
その後こちらに来てからも、まったく日本のハンドボール界の情報が手に入らなかったというわけではなく、浅はかなハンドボール協会の幹部が、リーグをプロ化すればすべてが解決するとばかりに、ごり押しした結果、撤退するチームが続出して日本リーグのチームの数が激減したとか、その隙を突いて元代表の選手が故郷の沖縄にクラブチームを設立してごり押しで日本リーグに参戦したのはいいけれども、いつも間にやらとんずらしていたとかは知っていた。だけど日本リーグ参加チームを確認するほどの熱心さは持ち合わせていなかった。
世界選手権のHPだとわかりにくいので、ハンドボールの日本リーグのHPで参加チームを確認したら、男子は、北からトヨタ自動車東日本、大崎電気、ジークスター東京、北陸電力、豊田合成、大同特殊鋼、トヨタ車体、湧永製薬、ゴールデンウルヴス福岡、トヨタ紡績九州、琉球コラソンという11のチームでリーグが行われているようだ。そのうち3分の1以上にあたる4チームがトヨタ(豊田)系じゃないか。トヨタなくして日本リーグ男子は成り立たないといってもよさそうだ。同じ自動車会社のホンダは完全に撤退したみたいだし。
女子のほうも見ると、HC名古屋というチームもあるから、愛知県だけで豊田合成、大同特殊鋼、トヨタ車体と合わせて4チームも擁していることになる。男女合わせて20チームしかないことを考えると、日本ハンドボールは愛知で持つといってもよさそうだ。そういえば昔愛知ハンドボール協会の創立何十周年を記念して、チェコ代表を招聘して試合するなんてこともしていたなあ。トヨタのお膝元で、昔からある程度はハンドボールも支援してくれているのだろう。うらやましいことである。
それで、実際の順位はと、順位表を探すのだがなかなか見つからない。日程・結果のところから行ける、星取表という対戦成績も詳しくわかる表のはいいのだけど、簡単な順位表もすぐに見られるようになっているほうがいいと思う。この辺、改善の余地は大いにありである。一体に日本ハンドボール協会のページは、どこに何が置かれているのかがわかりにくくい印象である。
現在中断中の日本リーグでは、チェコテレビのアナウンサーが言っていたとおり豊田合成が、無敗(13勝1分)で首位だった。疑っていたわけではないけれども、さすがはチェコテレビしっかり取材している。逆に日本のテレビ局が(ありえないけど)、ハンドボールの世界選手権でチェコの試合を放送した場合に、チェコリーグの結果まで確認するかというと心もとないものがある。誰も気づかないだろうと適当なことを言ってお茶を濁すに違いない。メジャーなサッカーでさえ結構いい加減な情報があふれているからなあ。
気になるのは、女子で4チーム、男子で3チーム、旧来の実業団型のチームとは違うクラブチームが参加していることで、いつの間にこんなに増えたのだろうと驚いてしまった。これはおそらくリーグのプロ化に失敗した結果なのだろう。一部の選手がプロ契約というならともかく、リーグ全体の完全プロ化はハンドボールのようなマイナースポーツでは難しいだろう。チェコだって1部リーグの完全プロ化は達成できていないのである。
とまれ、ハンドボールリーグの公式動画サイトなんてのもあるみたいだから、試合を見てみるのもいいかもしれない。最近、チェコリーグの中継が減った上に、時間帯がよくないから見逃すことが多く、ハンドボールに飢えることが多いのである。日曜までは世界選手権が見られるから文句はないけどさ。
2021年1月28日17時30分
2021年01月29日
だからスポーツ選手崩れは(正月廿六日)
ミラン・フリニチカというと、元アイスホッケー選手で、チェコリーグだけでなくアメリカのNHLでも活躍し、チェコ代表としては長野オリンピックの優勝メンバーの一人で、世界選手権でも三度の優勝を誇っている。数あるチェコのゴールキーパーの中でも、有数の実績を誇るのだが、現役引退後、なぜか政治の世界に足を踏み入れ、2017年の下院の総選挙でANOから出馬して当選し、下院議員に就任した。
同じ選挙では、スキーのジャンプのヤンダも市民民主党から出馬して当選しているし、アイスホッケー出身なら、すでに2000年代にシュレーグルが社会民主党から下院議員に選出されれているから、プロのスポーツ選手が下院議員になるのは、初めてというわけではない。シュレーグルはその後、政界の恩師であるパロウベク元首相と共に社会民主党に反旗を翻して、独自政党の設立に参加したり、その新政党を離れて社会民主党に戻ったりとわけのわからないことをしている。
フリニチカが、ヤンダ、シュレーグルと違うところがあるとすれば、それは下院議員をつとめながら、バビシュ政権によって新設されたスポーツ庁とでもいうべき役所の長官に就任して、積極的に活動をしているところだ。規制、規制でにっちもさっちもいかなくなっているスポーツ界を代表して、政府と交渉して規制緩和を求めたり、最近はチェコ代表レベルのスポーツ選手に優先的にワクチン接種を求めるような発言もしていた。それで、スポーツ界では一定の支持を集めているのだが、人気スポーツの調査で、サッカーが下位に沈むという意味不明なアンケート結果を発表して物議をかもすなんてこともあった。
そのフリニチカが、スポーツ選手出身の政治家らしく、お馬鹿なスキャンダルを起した。非常事態宣言下で営業が禁止されているホテルで行われた秘密のパーティーに参加しているところをゴシップ紙「ブレスク」に撮影されてしまったのだ。去年の秋に当時のプリムラ厚生大臣の辞任につながるスキャンダルも「ブレスク」紙上に発表された写真だった。普段は芸能人のあることないこと書き散らすメディアだが、たまに政治家や官僚のスキャンダルを報道して首を取ることがある。現在は芸能活動も規制されていて標的にかけるから政治家が重点的に狙われているようである。
秘密のパーティーは北ボヘミアのテプリツェで当地の政界に大きな影響力を持つ実業家の誕生パーティーで、元首相のパロウベク、元下院議員のシュレーグルも参加していたらしい。フリニチカ自身は語っていないが、スポーツ選手的なつながりで先輩のシュレーグルに誘われて、ことの是非も考えずに、のこのこ出かけていったというのが真相じゃないかと見ている。
元首相のパロウベクにいたっては、営業していないはずのホテルに宿泊したという情報もあるのだが、シュレーグルと二人で、パーティーではなく仕事上の交渉に出向いたのだという見苦しい言い訳を重ねている。シュレーグルも当選したときは、政治の素人であることを生かして面白いことをしてくれるかもと期待したのだが、すぐに完全にパロウベクに取り込まれて、古いタイプの政治家に成り下がってしまっていた。
それに対してフリニチカは、下院の会議に出席して、「これが自分の最初の過ちではないし、最後の過ちでもなく、今後も間違え続けていくだろう」と語り、今回犯した過ちは言い訳のきかないもので、その責任を取って辞任することを他の議員の前で発表するために会議に出席したと語って辞任した。辞任の弁としては悪くない印象を与えたけど、アドバイザーが着いているんだろうなあ。
その一方で、スポーツ庁の長官に関しては、スポーツ界の反応を見たいとして辞任を拒否している。バビシュ首相もフリニチカを強く批判して、最初は長官の職も解任するとか、人人させるとか言っていたのだが、前言を翻して選挙も近いこの時期に長官が交代するとスポーツ界に混乱を巻き起こすとして解任はしないと言い出した。
スポーツ界の反応としては、同じく下院議員のヤンダが痛烈に批判して辞任を求めているのに対して、アイスホッケー協会や、ホッケー界の英雄ヤーグルはフリニチカ支持を表明している。サッカー界では協会はフリニチカ支持で、スパルタとスラビアは反フリニチカと態度が分かれている。
フリニチカがこの秋の選挙で再び議員の座を目指すのかどうかは知らないが、せっかくスポーツ界から政治の世界に足を踏み入れて、スポーツと関る要職についてスポーツ界の代弁をしているのだから、長官の職は継続してもいいと思う。えらそうに批判している政治家たちの多くだって、これまであれこれ問題を起こしてきていながら、国会議員の職にしがみついているのだから。
2021年1月27日23時。
2021年01月28日
日本代表終戦(正月廿五日)
エジプトで行われているハンドボールの男子世界選手権の日本とバーレーンの試合を見ることができた。たまたま一日自宅仕事にしていて、今日はどの試合が中継されるのかなとテレビをつけたらこの試合だったのである。裏の試合がブラジルとウルグアイという南米同士の実力差のありすぎるチームの対戦だったことを考えると、アジア同士のこの試合を中継するのは当然だったのだろう。そんなことを解説の人も言っていたし。
もう一つ運がよかったのは、月曜日の試合でスキーなどのウィンタースポーツの大会が行われていなかったことだ。でなければ、午後3時半からハンドボールのアジアの国の試合が中継されるわけがない。ただ、今大会で日本チームが予想外の健闘を見せているのは確かで、そのヨーロッパのハンドボールとは一線を画したプレーぶりは一定以上の評価を受けているようだ。チェコテレビの解説者も楽しそうに解説していた。
多少日本のほうが優勢だろうけど、互角の戦いになるのではないかと予想された試合は、開始直後から日本代表が、スピードとコンビネーションでバーレーンを圧倒した。守備も堅くキーパーも当たっていたこともあって、19−12と7点リードして前半を終えた。後半、バーレーンが立て直したというよりは、日本がメンバーを落としたりして点差を詰められたけれども、29−25で完勝。できれば、相手が立ち直れないぐらいの点差を付けて勝っておいたほうがよかったのだけど、大会に入って6試合目で、中心選手には疲れもたまっていて無理はさせられなかったのだろう。
この試合、気になったのは女性が審判を務めていたことで、女子の世界大会で女性審判というのはハンドボールに限らず、サッカーなどでも見ることはあるが、男子の世界選手権で女性が笛を吹くというのは、記憶にない。男女平等とか同権の考えから行くと、男性、女性に関わらず、どちらの大会でも審判を務めるのが正しいということになるのだろう。ただし、問題は審判としての能力ということになる。
この大会で女性が審判を務めるのは、この日本の試合が最初ではなく、別の試合でも見かけた記憶がある。そのときには特に気にならなかったというか、普通に取り立てて目立つことなく無難に笛を吹いていたような気がする。しかし、この試合では正直、いまいちだった。男性審判でも予選なんかだとバルカンの笛なんかで、この二人よりもひどい審判はしばしば見かけるものだが、この大会で見られた中では最悪だったと言える。
バーレーンの選手たちは、判定が日本びいきだとして再三にわたって抗議をしていたけれども、アジアレベルでアラブの笛になれているからであって、特に日本に有利になるような判定というわけではなかった。問題は、判定が安定していなかったことで、特にエリア内ディフェンスやチャージングの判定が不安定で、解説者も何度か何でこんな判定になったのかわからないとぼやいていた。結局どちらもチームも不満を抱いていたけど、アジアで長年にわたってアラブの笛に耐えてきた日本側に有利に働いたと見てよさそうだ。
今大会の日本代表を見て思ったのは、80年代、90年代の「世界で戦える」代表とは違って、本当に、デンマークなどの世界の最高レベルは無理にしても、第二グループの国とはある程度戦える強さを身に着けつつあるということで、負けるにしても手も足も出ない絶望的な敗戦はしなくなっている。弱点は、ポストプレーヤーの決定力の低さと、主力と控えの得点力の差の大きさだろうか。あの体力的に厳しいスタイルでは、先発メンバーが60分通して出場し続けるというのは無理だろうしなあ。
イーハがいなくなった後、カシュパーレクという大砲が覚醒する前のチェコ代表と印象が似ているという印象も持った。上背がない分をスピードとコンビネーション、タイミングのずらしでカバーして何とか得点に結びつけるところも、ペトロフスキーが成長するまでは、ポストにパスがきれいに通ってもなかなか得点に結びつかなかったところもよく似ている。体力がある間は、ディフェンスから離れた位置でコンビネーションを始めて、深みのある攻撃ができるのに、疲れてくるとディフェンスラインのそばでボールを回すようになって点が取れなくなるところも同じである。
違いは、チェコのほうが主力となるセンターの選手の枚数が多くて、ある程度選手を代えても得点力を維持できていたところと、日本の主力のセンタープレーヤーが上背のなさをジャンプ力で補っているところだろうか。高く、そして滞空時間の長いジャンプでキーパーのタイミングを外す日本選手のロングシュートは見ていてぞっとするほど美しかった。
クロアチア戦の前半の前半、主力抜きのデンマークとの前半、それにバーレーンとの試合を見て、ラグビー同様、また日本代表の応援と結果の追っかけを始めようかなあなんてことを考えてしまった。今の日本代表のハンドボール、見ていて面白いし、以前のようにヨーロッパの強豪には何をやっても歯が立たないという絶望も感じさせられなくなったし。一番大きいのは、無駄に期待をあおるマスコミの報道を目にしなくなったことかもしれない。
2021年1月26日23時30分
2021年01月27日
シグマ久しぶりに勝った(正月廿四日)
ハンドボールの世界選手権で、開催国のエジプトが準々決勝進出を決めた。スロベニアとの直接対決で勝ったほうが進出、引き分けの場合はエジプトの進出が決まるという状況での試合は、例によって前半だけ見た。スロベニアの守備が堅く、エジプトは点を取るのに苦労していて、前半終了と同時の得点で12−8とスロベニアの4点リードになったし、エジプトの夢もここで終わりかと思った。
それが、後半エジプトが攻撃を立て直すことに成功したのか、スロベニアの守備が疲労で機能しなくなったのか、ライブスコアで確認するとエジプトが逆転していた。最後はスロベニアが同点に追いついて引き分けに終わったけれども、エジプトの準々決勝進出が決まった。ちょっと心配なのは、ハンドボールの試合でありがちな、過度にホームチームよりの笛が吹かれなかったかである。前半は多少エジプトよりの印象だったけど、問題にするほどではなかったと思う。
と、前置きはこのぐらいにして本題に入ろう。一ヶ月ほど前に、サッカーのシグマ・オロモウツが引き分けばかり、しかも先制して同点に追いつかれて1−1で終わる試合を5試合続けているという話を書いたが、幸いにも、というのも変な話だが、冬休み前の最終戦、ヤブロネツとの試合で1−3で負けて、引き分けの連続は終了した。この試合でも先制して、1点しか取れないと言うのは継続されたわけだけど。
冬休みの間は、暖かいキプロスだったかマルタだったかで、キャンプを行って、集まったチェコとスロバキアのチームで行われた大会で優勝したんじゃなかったかな。それで、シーズン開幕当初の好調さ、一時は3位だか4位だかにつけていたを取り戻すんじゃないかと期待したのだけど、冬休み開けの最初の試合の相手は、チェコ最強チームのスラビアだった。
それが、プラハのエデンで行われたこの試合も、シグマは先制に成功する。そして、同点に追いつかれて逆転され、最終的にヤブロネツとの試合と同じスコア、1−3で負けた。上位チーム相手にも1点は取れることを評価するべきなのか、下位チーム相手でも1点しか取れないことを嘆くべきなのか。スラビアはここまで6失点しかしていないから、点を取れたのはほめてもいいのだろうけど、失点が多いのが問題なのか。
そして、今週末はオロモウツで、最下位に沈むオパバと対戦した。昨シーズン末から、繰り返し武漢風邪の感染に悩まされているオパバは、現在も監督のコバーチとコーチが感染中でベンチから指揮を取れないという状況に陥っており、久しぶりの勝利を挙げるにはこの上ない対戦相手だった。コバーチはオロモウツ育ちだから、成績悪化で解任はされほしくないのだけど、ここまで1勝しか挙げられておらずいつまで持つか心配である。
試合のほうは、いつも通りシグマが先制した。その後追いつかれるのがいつものパターンなのだけど、今回はすぐに2点目を追加することに成功。後半が始まって1点差につめよられたものの、また連続で2点とって、4−1で勝利を収めた。オパバ相手でも失点してしまうところが、今のシグマのディフェンスなのだろう。これで次の試合も同じスコアとなると嬉しいのだけどねえ。
これで順位も6位、例年ならモラビア最高位でもおかしくないのだが、今年はスロバーツコが4位につけている。開幕当初は勝ったり負けたり引き分けたりで、真ん中辺りの順位にいたと思うのだが、12月半ばに下位に低迷するブルノに試合終了直前に逆転負けを食らって以来、5連勝でここまで順位を挙げてきた。同じ5連続でもシグマの引き分けとは大きな違いである。若くしてドイツに買われていって泣かず飛ばずだったクリメントが復活しつつあるのがうらやましい。
この週末で第16節まで終了したから、シーズンも後半に入ったなんて思ったら、今年は中国のせいで1部リーグのチームが二つ増えて18チームになっているのだった。シグマにはスロバーツコのしたでもいいから、バニークやブルノよりは上で終わってほしい。迷惑自称ファンの多いこの2チームには降格してもらったほうがありがたいのだけど、バニークは金持ちオーナーがついたから無理だろうなあ。ファンの迷惑行動で勝ち点を減点するシステムがあっても悪くないと思うんだけどなあ。
2021年1月25日17時30分
2021年01月26日
国会のお仕事(正月廿三日)
現在のチェコの国会は、非常事態宣言を延長するかどうかとか、予算案とかを、延々審議して採取的には共産党に譲歩して支持を引き出して、政府案が通るというのが通例になっていて、与党のANOと社会民主党の意見が分裂したとき以外は、多少議論が白熱して、たまには乱闘騒ぎになることはあっても、予定調和な結論に終わることが多い印象である。
非常事態宣言によって、国会での審議も簡略化されている部分もあるらしいし、普段以上に、政府案は通りやすく、野党案は否決されやすくなっている。だからこそ、野党側も非常事態宣言の必要性は認めながら、政府が延長を求めるたびに制限を課そうとして抵抗するのである。チェコの政治家は非常事態宣言の持つ意味がわかっていて、与党はそれを悪用しようとし、野党はそれを防ごうとしているのである。
翻って日本の状況を見ると、野党が非常事態宣言=緊急事態宣言を求めて騒ぐという異常な事態になっていたようだ。報道を通してみる限り、マスコミも含めて、宣言さえ出れば人出が減って感染の拡大も収まると考えていたとしか思えず、その不見識ぶりには頭を抱えるしかない。非常事態宣言は、簡単に言えば憲法の効力を部分的に停止するためのもので、これがあるから本来は憲法で認められている国民の権利、移動の自由、学問の自由などを制限することができるのである。
だから緊急事態宣言だけを出しても、具体的な国民の自由を制限する法令を出さなければ状況が変わるはずなどないのである。それに例の学術会議の問題で学問の自由が云々と叫んでいた連中が緊急事態宣言を求めるというのは矛盾でしかないことに気づけないのだろうか。小中高校を休校に追い込み。大学の対面授業を禁止するという明らかな学問の自由の侵害を可能にするのが緊急事態宣言なのである。学問の自由がそんなに大切なら、感染症如きを原因に簡単に侵害を許すなよ。チェコでさえ、日本よりもはるかにひどい感染状況の中でも、文部省はあらゆる手を使って学校での授業の再開を求めて厚生省と交渉しているのにさ。
春の学校の閉鎖自体にもぎりぎりまで抵抗したし、勉強する習慣をつけなければいけない小学校の1、2年生に関しては、犬システムの危険度が5の段階でも教室での授業を再開させた。受験を控えている学年、つまり最終学年の授業も近いうちに再開される予定である。大学に関してはそれぞれの大学にある程度任されているけど、残念ながらほとんどすべての大学がオンラインでの授業になっている。ただ、非常事態宣言を利用してオンラインでの課程が認可されていない大学でも、オンライン授業、試験を可能にする法律を通している。
話を戻そう。予定調和なチェコの国会で、問題になっている法案がある。すでに可決されたのか、審議中なのか、よくわからないのだけど、非常事態宣言を利用してドサクサまぎれに略式の審議で可決しようとしているのは間違いなさそうだ。このチェコの農業、食品産業を守るためと称する法案は、別名アグロフェルト支援法案とも呼ばれているが、国内のスーパーマーケットなどの食品販売店に、販売する食品の50パーセント以上をチェコ原産のものにすることを義務付けるもので、将来的には75パーセントにまで拡大することを計画しているという。
加盟国間の移動の自由とか、単一市場とかいうEUの理念の根幹をなす部分に真っ向からけんかを売っているようなこの法案を提出したのはオカムラ党らしい。反EUを党是とするだけに、EUの理念に反するような法案を出しても不思議はないのだが、同時にバビシュ首相の経営していた(名目上は手は離れていることになっている)アグロフェルト社が農業、食品産業を中心にしていることから、EUの助成金がもらえなくなりそうなアグロフェルト社を救済するための法案じゃないかとも疑われているのである。
同時に、チェコ原産というのをどのように規定するのかも、どのようにチェックするのかも判然としない法案で、EUからの禁止命令が出なかったとしても実行不能の法律になるのは街がいないと思われている。EUの規定では、コーヒーや紅茶などチェコでは作れないものに限らず、原料をチェコに持ち込んでパッケージングしただけのものでも、チェコ産と表示できることになっているから、いくらでも詐欺的な手法でチェコ産の食品の割合を増やせそうである。
農業団体などでもチェコの農業を支援したいというのはありがたいけど、ほかにやりようがあるだろうという批判が出ている。これまでも農務省などの主導でさまざまなチェコ産であることを示す表示の使用が導入されたけど、どれもこれも運用が中途半端なのと、種類が多すぎるのとで、あまり成果は挙がっていないようである。この法律が成立しても同じことになりそうな気がする。
個人的には、食品よりも、服とか、靴なんかにチェコで縫製されたという表示を、製品の中を見なくてもわかるような表示を義務付けてほしいとは思う。同じような製品だったらチェコものを選びたいし、バテャのオンラインショップのように表示されていると非常に嬉しい。チェコの産業を支援したいという気持ちはないわけではないのだ。
2021年1月24日22時30分