精神疾患といえばうつ病、統合失調症、てんかんの3っつが有名であり、うつ病に関しては多くの人が知っているところだ。
鬱病の一生涯の罹患率は10%程度といわれており、一生のうちで鬱病もしくはうつ状態になることは
多くの人が経験することが疫学調査で知られている。
精神疾患の多くは他人が見ても、様子がおかしいと精神的な病気を罹患しているのではと感ずくことが多いが、神経症になるとなかなかわかりずらい。
なぜなら、神経症の場合、自分の症状が普通に考えておかしいと、自分のおかしさに気が付いているからだ。
神経症にも全般性不安障害、パニック障害、広場恐怖症、社会不安障害、強迫性障害など多くの病気があり、
本人は密かに恐怖感や不安感、緊張感、自律神経症状である下痢、吐き気、腹痛、頭痛、肩こり、動悸、睡眠障害その他の不快な身体症状で
自分の思うようにならず苦悶したり苦しみながら仕事や日常生活を送っていることが多いといわれている。
また、うつ病や自律神経失調症、更年期障害などでも上記の症状が出ると言われている。
今回は神経症の中でも、強迫性障害について述べたいと思う。
強迫性障害は本人の意思とは逆に以下のような症状がこころの観念として出てきて、
本人の意識でコントロールできないことで苦しみ生活や仕事に支障が出る程度深刻だといわれている。
1、火の消し忘れが気になってわかっていても何度も何度も確認せずにいられない。
確認しないと不安感や恐怖感がつきまとう。
2、ストーブのスイッチの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れ、カギをかけ忘れてないか
上記のようにわかっていても気になって何度も確認せずいれない。
3、風呂やシャワーなどで洗った場所がきれいになっているのもかかわらず、何度も洗わなくては気が済まない。
4、ほこりやばい菌、環境汚染が気になってしかたない。
5、何か恐ろしい出来事、例えば自分や愛する人が突然の事故や不幸に巻き込まれたり
病気や死んだりするのではないかという観念が頭にわいてきて、
自分ではそうんなことがないとわかっていても気になってしかたない。
6、物事の左右対称、順序、正確さが気になってしかたない。
7、良心に反することを何かのきっかけで行ってしまうのではと恐れる。
8、便や尿や唾液などたまらなく不潔に思えてしかたない。
9、言葉や数字など縁起の良し悪しにこだわりすぎる。
10、倫理に反したサド行為やマゾ行為、倒錯したイメージや衝動に駆られる。
11、自分が他人を傷つけている、傷つけるのではという恐怖感にとらわれる。
12、意味のない言葉や音、音楽などが頭にこびりついて離れない。
13、収集癖がやめられない。
14、車で走行中に何か物を引いたにもかかわらず、誰かを跳ねてしまったのではと気になり
その場所に戻って確認しないと気が済まない。
15、腹痛や下痢、体の痛みなどがあると、実は癌などの命にかかわる病気なのではと気になってしかたない。
など「気になって仕方がない」症状があげられる。
しかし、上記のほとんどが健康なの人でも気になることは普通にある。
強迫性障害の病気では以上のことが気になって、強い不安感や恐怖感に頭が占有されて
日常生活や仕事ができないほどになるので困ってしまい、それが数カ月以上続いた場合に病気となるそうだ。
脳の部位別活性がわかる断層撮影技術の映像などから強迫性障害の原因は
脳内の基底核(被蓋、淡蒼球、尾状核、視床)の部位の過敏活動が原因であることがわかっており、
生涯罹患率が人口の2%程度であり、100人に2人程度は罹患するといわれている。
現在の情報化社会では正確性の重視や仕事の手順のマニュアル化、少しのミスが責められる社会環境があり、
特に現在の日本では社会全体が病的な強迫性障害となりつつあるように感じられる。
日本社会では「おもてなし」「交通機関の正確性」「役所仕事」「約束行為」「販売でのレジでの正確性」
「接客マナーの良さなど」いろいろな面で長所でもあるが度を過ぎると病的な短所にもなることを覚えておこう。
また、日本で顧客重視で求められる上記のことがらが日本国民の仕事の中での精神的な疲労を蓄積させ、
精神疾患の原因や過労自殺の原因になっているので、過度に正確性やサービス業務を求めることはよくないことだと考える。
このような強迫性障害は平成10年ころまで、なおりづらい病気とされてきたが、
平成10年以降SSRI(選択的セロトニン阻害剤)という薬が日本でも使用が可能となり、
治療に効果を上げている。
また、強迫性障害には認知行動療法なども有効とされている。
カーネギー・メロン大学認知脳画像センター所長で、心理学教授のマーセル・ジャストは指摘する。
「強迫観念が強いと、「警察」という単語を聴くことで特異な脳活性化パターンを示すという。
つまりは、自分が警察にお世話になるような違法行為や悪いことをしているのではないかという観念がおきて
不安や恐怖感にとらわれる衝動が頭に瞬時に浮かび離れなくなるようだ。
そのような症状はまさに前述した大脳基底核とその周辺の過剰興奮によると考えられる。
上記のような症状で悩みがあるなら、一度神経科を受診してみるとよいと思う。
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