以下本編。
■船は行く――混沌の海を
カラーページ:
クラピカの背後に蠱虫卵の儀で使われた壺、壺の周りにホイコーロと王子たちの顔
■襲い来る凶刃
サイールドが奇声を上げつつクラピカに突進
クラピカは『導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)』を使ってサイールドの腕を拘束し、地面に叩き伏せる。
クラピカ「ビル、さっき話した3つの方法…」
「継承戦からの離脱にこいつは必要か?」
ビル「…必要だったのはカートンの方だ…具現化系で最大5人乗せることが可能な船か車に『変身』できた」
「ジョイント型で他人のオーラが必要だったが…」
サイールドに話しかけるクラピカ「お前の系統と能力は?」
サイールド「ヒマだったから…頼まれたから!」
ビルに視線を送るクラピカ
ビル「彼の了解を得ずに俺が勝手に彼の能力を教えるわけには…」
クラピカ「この危機的状況を早急に解決するため必要な確認だ!」
「王と王妃の安全が最優先だという言葉は偽りか?」
ビル「サイールドは放出系能力者だが…使う能力は操作系よりだな…」
「念をボール状に飛ばし 捕えた虫を操るっていう」
クラピカ「なるほど。使えるかもしれない」
人差し指の鎖を具現化するクラピカ。
鎖の先端には注射器が付いている。
【クラピカ回想】
修業中のクラピカ。
イズナビ「1つは残しておけ」
クラピカ「残す?
「なぜだ?」
イズナビ「様々な能力を指ごとに使い分ける鎖のアイディアには基本賛成だが…」
「どうもお前はその鎖を『一人で戦い抜くため』だけに使いそうな気がする」
クラピカ「…何が悪い?」
イズナビ「念の戦闘は相手が複数ならこっちも複数が大原則だ」
「それ程に能力の相性やコンビでの攻撃は個人の力を凌駕しやすい」
「戦ってみればわかる…と言いたいとこだがそれだと手遅れだからこうして忠告してる訳だ」
クラピカ「……」
イズナビ「ま、お前は納得しないよな」
「だから折衷案だ」
「実際に戦ってみて何が足りないかを実感したら それを補う能力を加えることを勧める」
「目的を誤るなよ?」
「お前は『自分の気が済む様にやれれば失敗しても満足』ってタマじゃない」
「目的達成の為にならあらゆるものを二の次にしたい類の人間だろ?」
「A級首の集団と戦争する気なら 私情を捨てて仲間を募れ」
クラピカ「…仲間といいながら都合のいい捨て駒を集めろと言う事か?」
イズナビ「…そうはならないさ」
「それも仲間と共に闘えばわかる」
【回想おわり】
クラピカ(確かに…お前の言う通りだったよ)
(シンプルに事が進む程簡単ではなかった)
(だが…! それでも…! だからこそ!!)
(一人で戦い抜く力が欲しい!!)
クラピカの脳裏にゴンやキルア、レオリオ、それにワブルの姿が浮かぶ。
『奪う人差し指の鎖(スチールチェーン)!!』
注射器がサイールドに刺さる。
ビル「な、一体何を…!?」
クラピカ「一時的にだがサイールドの念能力を預かる」
「こうして注射器でオーラを吸い続けると『絶』と同じ状態にも出来る」
「『念獣』が宿主のオーラを必要とする寄生型ならば その念獣がサイールドに憑けているモノも寄生型かも知れない」
ビル「!?」
「…もし! 出ていかなかったら!」
「絶状態で悪意ある念にさらされ続けたらサイールドの心身はすぐに壊れるぞ!」
クラピカ「王妃と王子の安全が最優先…!」
「その危惧が現実になったらその情報を基に次の対策を立てられるだろう?」
「もしもこの後私がやられたらそれを君が考えるんだぞ? ビル…!」
ビル「…」
クラピカ「無論、君が別の念獣にやられたら私は新たな情報を得るために同じことをする」
サイールドの耳から"顔が熊のぬいぐるみになっている蜘蛛"が出てくる
目が緋色に染まるクラピカ
這い出てきた蜘蛛が逃げ出す
クラピカ(人差し指のエンペラータイム!!)
注射器からイルカの模型のようなものが飛び出す。
イルカの外見はイルカの形をしたアンティークな小物って感じ
全体的に花柄模様で胸ビレの先に注射器が付いている
クラピカ「奪った能力をセット!」
イルカ「セット完了! 解析します!」
「奪ったのは能力名『裏窓(リトルアイ)』」
「実際の小動物をボール型の念で捕まえそれを操る能力」
「ただし念で具現化された生き物はその範疇に含まれません」
クラピカ(敵の能力を逆操作するものではなかったか…)
排気口の中に逃げ込む蜘蛛
(今の念獣…『ヒマ』というキーワードをきっかけに人を操る能力か…!?)
(しかし…『念獣の声が聞こえる事』が発動の条件なら)
(王子達をはじめ能力者でない者には効かない能力…!?)
イルカ「リトルアイの対象となる小動物を探してください!」
「能力を発動し ワタシが解除しない限りエンペラータイムは強制的に続きます!」
「エンペラータイムが発動している間は…」
クラピカ「わかってる。しばらく待機だ」
イルカ「了解」
クラピカ「ビル。もう大丈夫だと思うがサイールドをイスに拘束してくれ」
拘束されたサイールドは正気に戻っている。
サイールド「その…でかいヌイグルミみたいな奴と話した後にその…」
「小さなヤツがまとわりついてずっと俺に聞くんだ」
「ヒマか?って…」
「なぜかそいつはカートンにさえ見えないらしくて『ヒマじゃない消えろ!』って何度言っても全然聞かないから…つい…」
「その途端…体が自由に動かなくなって…あとは…」
やって来たカキン軍が死体を運んでいく
「殺害犯は?カキン軍が拘束聴取するのでお引渡し願う」
サイールド「俺の能力はどうなってる…?」
注射器を取り出すクラピカ「まだ中だ」
サイールド「ならあんたがずっと持っててくれていい」
クラピカ「そうしたいのはやまやまだが 一度使うと自動的に本人へ能力が戻る縛りだ」
サイールド「そうか…一応もう少し説明しておく」
「俺の能力で操れるのは最大でハムスターくらいの小さな生き物だ」
「その生き物が見聞きしている情報を離れた場所にいても入手できる」
「ハエや蚊だと目立たなくていいが 天敵にやられたり殺虫剤で死ぬこともある」
「あんたの言ってる一回にもしかしたら捕獲失敗も含まれるかもしれないから注意してくれ」
「すばしっこいヤツは俺でも捕まえ損ねる事が時々あるからな」
「うまく使ってくれ。そいつで真犯人をみつけてくれよ」
そう言い残してカキン軍に連行されるサイールド。
女中「あの…もう…私共もこれ以上耐えられません」
「軍に拘束されても追放でも構いませんのでやめさせて下さい」
クラピカ(出航してまだ…わずか2時間)
(11人の護衛が2人に…!)
クラピカ「話の途中だったな。方法の残り2つはカートンがいなくとも可能なのか?」
ビル「ああ…だが1つはパリストンの協力が必要で難易度は高い」
「もう1つはビヨンド氏の協力が必要で難易度はもっと高い」
【王子居住区エリア12区】
護衛「本当に…モモゼ王子も警護はいいのですか?」
セヴァンチ「しつこいわね! 警護兵が6人もいれば十分よ!」
「この子の方が怖がってるの! 安心させてあげたいのよ!」
「マラヤームの警護の方が重要だから! 早く来て!」
ハンゾー(いいのか?本人に聞こえてるぞ?)
護衛「しかし我々はモモゼ王子との契約で…」
セヴァンチ「いいのよ! マー君の為に私が契約したの! ちゃんとお金は払うわ」
従者「私共も…移動してよろしいのですか?」
セヴァンチ「そうよ! モモゼは自分の世話は自分で出来るわよね!?」
モモゼ「はいお母様。心配いりませんわ」
椅子に腰掛け編み物を始めるモモゼ
モモゼ「あなた方も隣の部屋で寛いで下さいな」
護衛「お心遣い有難うございます。ですが任務ですのでどうかお構いなく…」
モモゼ「そうですかご苦労様」
(お母様。マラヤーム。お可哀想に)
(王の器でない者はあんなにも怯えふためくのですね)
モモゼの背後に巨大なヌイグルミ型の念獣(おヒマ?のドーモ君で確定)
モモゼ(何故かしら?何もしてないのに今日は疲れたわ)
護衛(王子の料理は…)
護衛2(俺たちが作るしかないんじゃないか…?)
【パーティー会場】
ハルケンブルグがVIPと談笑している。
執事「ハルケンブルグ様。御退席の御時間です」
ハルケンブルグ「ん。それでは失礼いたします」
VIP「次の晩餐会も楽しみにしているよ」
出口ではない別の方へ歩き出すハルケンブルグ
執事「ハルケンブルグ様?」
ハルケンブルグ「父に挨拶するだけだ」
ハルケンブルグの視線に気付いたホイコーロはVIPを遠ざける
ホイコーロ「スマンが息子が秘密の相談らしいホイ」
VIP「それでは又、あらためまして投資の相談を…」
ホイコーロ「どうしたホイな?」
ハルケンブルグ「僕は継承戦を辞退するよ」
ハルケンブルグの背後に禍々しい単眼の鬼の姿をした念獣(初出)
参考画像:既出の念獣一覧(ハルケンの念獣はおらず、一番右のドーモ君がモモゼ)
壺虫卵の儀、蟲毒
ハルケンブルグ「セレモニーに参加したのは父の顔を立てる為…血塗られた王位などいらない」
ホイコーロ「ホッホッホ。好きにするといいホイな」
■渦中――望もうが望むまいが。
次週へ
次週予告:次号、混迷極まる継承戦!王子達の思惑や如何に!?
巻末予告(362話):船内でのサスペンス!渦巻く陰謀。クラピカが次に取る行動は…!?
作者巻末コメント
ご多忙の中、素敵な色紙を有難うございます。机に飾り、励みにしております。<義博>
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