2016年09月26日
肺炎かも、と思ったら…検査、治療法はどんなもの?
咳や痰、発熱などの症状があると、肺炎の可能性が疑われます。そんなとき、病院ではどのような検査をし、どのような治療をするのでしょうか?
今回は、肺炎の検査と治療法について、医師に詳しい話を聞いてみました。
肺炎かも? となったら…どんな検査をするの?
肺炎は疑われた場合の検査には、次のようなものがあります。
【胸部レントゲン検査】
炎症が肺に起きているかなど、炎症の広がりを調べます。もともと肺に病気があったりしてレントゲンだけでは見えにくい場合には、胸部CT検査を行います。
【血液検査】
血液検査といっても調べる内容はさまざまです。これらの検診でも行えるような検査は、肺炎を重症化させるような基礎疾患がないか、また抗生物質などを減量する必要がないかどうかなどを決めるために行われます。
1. 白血球・CRP
炎症の程度や治療の効果がわかります。
2. 白血球像
どのような種類の炎症が起きているのかわかります。細菌による肺炎かウイルスによる肺炎かもわかります。また、治療の効果を判定できます。
3. 細菌・ウイルスに特定の抗体
抗体とは「異物を認識して排除するために作られるたんぱく質」で、肺炎の原因微生物を特定する手段となります。ただし、抗体が上昇してくるのに2週間程度かかるため、よくなった頃に結果がわかるタイミング。それでも重症化したりなかなか改善しない場合に、原因を特定する決め手となることがあります。
4. 糖尿病・肝機能・腎機能
これらの検診でも行えるような検査は、肺炎を重症化させるような基礎疾患がないか、また抗生物質などを減量する必要がないかどうかなどを決めるために行われます。
【尿検査】
1. 一般的な尿検査
治療を行うえで支障となるような腎障害がないかがわかります。
2. 細菌の成分を検出する検査
レジオネラ菌や肺炎球菌では、菌の一部成分が尿から排泄されることが知られており、これを調べることで原因菌が特定できることがあります。
【痰を調べる検査】
1. 痰を目視
黄色みが強い痰の場合には白血球が作り出す膿が多いため、細菌が原因のことが多いです。逆に黄色みがあまりなかったり痰自体が出ない場合、ウイルスや非定型菌と呼ばれるタイプの細菌による肺炎の可能性が高まります。
2. 痰を顕微鏡で見る
痰を色素で染めて顕微鏡で見ると、菌自体が見えることがあります。その形などからある程度菌が特定でいます。
3. 痰を培養する
培地で痰を培養することで菌を特定し、さらに抗生物質の効きやすさなどを調べることができます。
肺炎のさまざまな治療法
1. 抗生物質
通院では内服薬、入院した場合は点滴薬を使うことが多いです。治療開始時には原因菌が不明なことが多いので、複数の抗生物質を併用する場合もあります。
2. 咳止め、痰きり、熱さまし
対症療法とよばれる、症状を楽にする治療です。
3. ネブライザー
固い痰が多い場合の治療です。気道を広げる薬や痰を柔らかくする薬を混ぜた水を、超音波振動で微細な水滴にして吸います。
4. 食事制限
食べ物の飲み込みがうまくいかずに、食べ物や唾液が肺に入ってしまうことが原因肺炎が起きている場合には、一時的に絶食したり、飲み込みやすい食事に変更することがあります。
ここでは、肺炎の検査と治療の概要についてお話ししました。いかなる場合でも、この検査や治療法がすべて行われるわけではありません。一部だけであったり、状態によっては、さらに詳しく調べる検査をしたり、別の治療方法がとられたりします。肺炎かも?と思ったら病院で受診し、医師からの説明を聞いてください。