2016年09月07日
親族にがんが多いけど…どうしたら「がん家系」ってわかるの?
母親を乳がんで亡くしたハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、将来の乳がん予防のため、乳房切除手術を受けたことが、以前話題になりました。
今回のテーマは「家族性」といわれているがんなどの病気と検査です。医師に話を聞きました。
遺伝性があることがわかっている腫瘍
2人に1人ががんにかかる時代と言われています。
血のつながった親族の中に何人も同じ種類のがんにかかったり、そのがんで亡くなった方がいたりする場合、不安に感じて当然のことと思います。
家族は食生活や運動習慣などの生活習慣が似通っていることが多いことから、同じ種類の生活習慣病にかかる確率が高くなる、ということがあります。
しかし多くの方が思うより、実際に遺伝性がはっきり証明されているがんは少ないです。
遺伝子の異常が家族の中で親から子供へと伝わることによって特定のがんにかかりやすくなるものを遺伝性腫瘍症候群と呼んでいます。
遺伝性腫瘍症候群の代表的なものには、以下のようなものがあります。
・家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
・遺伝性乳がん・卵巣がん症候群
・Lynch症候群(大腸・胃・卵巣など、さまざまな部分にがんが発生)
がん家系の、3つの特徴
遺伝性腫瘍症候群をもつ家系の特徴として、つぎのような3点が挙げられます。
1.家系の中に一人で何回もがんにかかった人がいる
2.家系の中に同じがんにかかった人が何人もいる
3.若くしてがんにかかった人がいる
「うちはガン家系かな?」と思っていても、3つとも満たす家系はそれほどは多くないのではないかと思います。
もし3項目とも当てはまり、遺伝的に特定のがんにかかる確率が知りたい場合は、大学病院やがんの専門機関などの「遺伝外来」を受診しましょう。
「遺伝外来」で行うこと
遺伝外来では、家系内のがんの発生状況などを確認します。
そのうえで検査をすべき状態にあると判断されて、かつ本人の希望がある場合には、遺伝子検査を受けることになります。
遺伝子検査自体は、比較的シンプルな検査です。
普通の血液検査と同じ10mlくらいの血液を採血し、その血液からDNAを抽出し、遺伝子配列を調べます。時間も短時間で済みますし、単なる採血であり、特別な痛みを伴う検査もありません。
ただ、この遺伝子検査を受けるのであれば「遺伝情報は一生変化しない」ということも念頭に置き「今後特定のがんにかかる可能性が高い」という結果が出た場合のことも、想定しておく必要があるでしょう。また、本人もさることながら特に検査を望んでいなかった血縁の方の検査結果まで、間接的に知ってしまうことになることがある、ということです。
多くの病気に何らかの形で遺伝がかかわっているとわかりつつある現在、究極の個人情報である遺伝子検査は有用な情報です。
行う前に取り扱いについてよく考えたい検査でもありますね。