2016年09月20日
ユネスコ無形文化遺産にも登録! いま「和食」が世界的にアツい理由
昨年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」。肥満対策に効果的なのは有名ですが、腸を健康にするのはご存じでしょうか? 肥満の原因はカロリーだけでなく、腸内細菌のバランスも重要で、偏った食事を続けると一部の細菌だけが増え、アレルギーに発展することもあります。対する和食の基本は一汁三菜で、
いろいろ/ちょっとずつ食べるのがポイントで、さまざまな腸内細菌を育てるのにも理想的。海外でも注目されているホットな食事なのです。
■出汁の「うまみ」も重要
国や地域に根付いた慣習や芸能などは「無形文化遺産」と呼ばれ、なかでも特徴的なものはユネスコによって登録されます。2015年12月には、私たちが普段口にしている食事、「和食」が登録されました。「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」など4つの特徴を挙げていますが、世界が注目しているのは「栄養バランス」、肥満対策に有効と話題になっているのです。
和食はなぜ肥満対策になるのでしょうか? 低カロリーだから、と言われがちですが、もっとも特徴的なのは一汁三菜(いちじゅうさんさい)、これが栄養のバランスを保つ秘訣と考えられています。
一汁三菜の「菜」は、野菜に限らず「おかず」を意味し、
・味噌汁など「汁もの」 ×1
・メインとなるおかず ×1
・サイドメニュー ×2
で、これに「ごはん」が加わり計5種類。1回の食事で「いろいろ」食べるのが重要なのです。
またグルタミン酸やイノシン酸に代表される「うまみ」もだいじな要素で、脂肪の少ない食事でも満足感が生まれ、低カロリーに抑えることができます。かつお節やこんぶの出汁(だし)はうまみの宝庫ですから、日本の食文化がそのまま低脂肪につながっている、と表現できるのです。
■腸内細菌にやさしい「一汁三菜」
和食は科学的にもヘルシーなのでしょうか? 答えはYesで、最近の研究により「いろいろ」食べることが腸内細菌に非常に良いことがわかったのです。
ビフィズス菌で知られるように腸内には多くの菌が存在し、消化を助ける、免疫となる物質を作るなどして人間と共存しています。体格/体質によって差はありますが、1kg以上がフツウと言われていますから驚きの量です。ただし、なかには消化の過程で有害な物質を作り出す菌もいて、病気に発展することも少なくありません。悪い菌がいなくなればバンザイでしょうが、特定のものだけ追い出すのは至難の業。それよりもだいじなのはバランスで、いろいろな菌が共存する状態が望ましい、と考えられているのです。
ひとにも好き嫌いがある以上に菌は顕著で、ある食べ物しか対象にしないものがたくさんいます。そのため、たとえば野菜をとらず肉ばかり食べていると、肉が好きな菌が増殖、野菜好きな菌は減ってしまいます。当然、これらの菌の副産物もアンバランスになってしまい、おならがミョウにクサくなるのはかわいいほうで、アレルギーや内臓の病気を引き起こすことも。脂肪やカロリーがクローズアップされがちですが、それらの値が同じでも「なに」を食べたかが、あとあとの問題につながってくるのです。これを防ぐためには、「いろいろ」「ちょっとずつ」食べるのが重要で、和食の一汁三菜はまさに理想、海外からも熱いまなざしが送られているのです。
授業や仕事の合間にあたる昼食は、内容よりも「量」「時間」が重視され、ややもすると「丼もの」「麺類」になりがちですが、サラダや漬け物などのサイドメニューを一品追加するだけで効果的と言われています。一汁三菜がムリなときは「ちょい足し」が良さそうです。
・和食は、2015年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された
・「低カロリー」がクローズアップされがちだが、最大の特徴は「バランス」
・いろいろな食材を食べる「一汁三菜」は、海外でも注目されている
・食事の偏りは腸内細菌のアンバランスの始まり。健康を害する原因になっている