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2015年03月18日
中村錦之助「風雲児織田信長」
中村錦之助が、宮本武蔵役の前の当たり役は、織田信長だった。山岡荘八原作の「織田信長」の映画化である。
この映画は、錦之助が自ら主演した「紅顔の若武者織田信長」のリメイク作品でもある。
信長16歳のとき、父を失い葬儀の席に、うつけの姿で現れた信長を見て列席のものたちは眉をひそめた。
斎藤道三の娘で信長の妻膿姫だけは信長の深い悲しみを感じ取るのだった。
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信長の家臣平手政秀(月形龍之介)は、織田家当主の自覚のないように見えるうつけの姿を見て前途を悲観して切腹して死んだ。
だが信長のうつけは敵を油断させるためでありその真意が伝わらず信長は政秀の死を嘆いた。
そのころ膿姫(香川京子)の父、道三は尾張を虎視眈々と狙っていた。
膿姫は父道三の恐ろしさを知っていたので信長が道三と会見することをひどく反対した。
とまれ、道三は会見を理由に信長の命を狙っていたのである。しかし、信長は用意周到に大勢の鉄砲隊や槍軍団を
引き連れて道三の領内に入った。
これにはさすがの道三もたじろぎ逆に信長を認め酒を酌み交わし談笑までしたのである。
しかし一難去って又一難、駿河の大名、今川義元が尾張を侵略しようと4万の大軍で尾張へ攻め込んできたのである。
必死の防戦に務める織田軍であったが奮闘むなしく次々に撃破され織田の敗北は近いと思われた。
部下の心配をよそに悠然と構える信長に部下たちもあきれるが突如信長は立ち上がる。
そのころ常勝に気をよくした義元は、田楽狭間で悠々と休息をとっていて部下たちも勝利を確信して
酒や踊りでたるみきっていた。そのとき突如豪雨が降り注ぐ中怒涛のように織田軍は義元の陣営に攻め込んできた・・・
この作品をみるとやはり錦之助は演技がうまいと思った。ストーリーは戦国に興味のあるものなら承知だが
非常にわかりやすい。
木下藤吉郎に弟の中村嘉葎雄が扮している。
・
監督は河野寿一、脚本は結束信二両者は後のテレビシリーズ「燃えよ剣」でもコンビを組んでいる。
残念ながらDVD化されていない。VHSは出ています。
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2015年03月16日
松岡きっこ金子信雄「吸血髑髏船」
松竹が、60年代後半「吸血鬼ゴケミドロ」に続いて製作したホラー映画が「吸血髑髏船」である。
ヒロインには、当時人気の美人女優松岡きっこを迎え、脇に、岡田真澄、小池朝雄、内田朝雄、金子信雄という
くせものを揃えている。
物語は、金塊を積んだ船竜王丸をギャングが襲撃し、乗客を皆殺しにすることから始まる。
ギャングたちは、金塊を山分けし街に溶け込んでいた。
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そのころ、ギャングに殺された依子の妹冴子(松岡きっこ)は、教会に引き取られ神父(岡田真澄)のしたで信仰の生活を送っていた。
恋人(入川保則)もでき平穏な生活を送っていた冴子だったが、恋人望月と海でダイビングしていて偶然ドクロの群れと
不気味な難破船に遭遇する。
船は乗客が皆殺しにされた竜王丸だった。
死んだ姉の怨霊に導かれて冴子はギャングたちへの復讐を開始したのだ・・・
松岡きっこの美しさが目立ち、金子、内田、小池らの演技が光るが、今ひとつ中途半端な映画である。
純粋なホラーでもなく、ミステリーのようでもない。
髑髏は不気味だが単なる小道具で落ちもない。
ほんとうの悪役はバレバレで謎ときの面白さにもかけるのだ。せっかくいい俳優を揃えながら残念な作品である。
撮影は、横須賀で船を借りて行ったらしいが、それにしては生かしきれていない。
脚本は、「皇帝のいない八月」の小林久三。
監督は、松野宏軌。
タグ:松岡きっこ、
2015年03月14日
内田吐夢中村錦之助「宮本武蔵巌流島の決闘」
ひとりで吉岡一門を全滅させた武蔵は、再び修行の旅に出る。旅の途中で出会ったひとりの少年が大きな刃物を
研いでいた。理由を訪ねてみると少年はその刃物で死んだ親を切断して供養したいという。
事情を知った武蔵は、少年を諭し仏を少年とともに供養した。少年の亡くなった親は、播州の地侍で少年の名は
伊織といった。
武蔵はしばらく少年とともにこの地で過ごし田畑を開墾した。しかしせっかくの収穫のコメを野盗に奪われ武蔵は
怒り野盗を切りまくった。
野盗を殲滅したあと武蔵は伊織を連れて又修行の旅に出た。
そんなときふらりと立ち寄った刀研の店で小次郎の長剣を武蔵は偶然見かける。
そのころ小次郎は、豊前小倉の細川家で指南役となっていた。
一方武蔵もその腕を買われ将軍家指南役として北条安房守が迎え入れようと話をしていた。
北条の屋敷で沢庵和尚と再会する武蔵であったが、指南役の件は武蔵が吉岡の少年を斬ったことから
品位にかけるとして結局断られしまう。
そしてかねて武蔵との決着を望んでいた小次郎から決闘状を受け取る。
細川家では、やじうまを避けるため、小倉と赤間関との間の小さな島、舟島を決闘の場所に指定した。
画してここに巌流佐々木小次郎と武蔵の決戦のときを迎えることになったのである。
前髪たちの少年の面影が残る小次郎だが一説のよると60歳を超えていたという話もある。
しかし、当時は勝ったとしても莫大な報酬があるわけでもなく負ければよくて不具、即死につながる決闘を
やった両者の心はいかなるものだったのだろうか。
シリーズ最終章にふさわしい名作である。
研いでいた。理由を訪ねてみると少年はその刃物で死んだ親を切断して供養したいという。
事情を知った武蔵は、少年を諭し仏を少年とともに供養した。少年の亡くなった親は、播州の地侍で少年の名は
伊織といった。
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武蔵はしばらく少年とともにこの地で過ごし田畑を開墾した。しかしせっかくの収穫のコメを野盗に奪われ武蔵は
怒り野盗を切りまくった。
野盗を殲滅したあと武蔵は伊織を連れて又修行の旅に出た。
そんなときふらりと立ち寄った刀研の店で小次郎の長剣を武蔵は偶然見かける。
そのころ小次郎は、豊前小倉の細川家で指南役となっていた。
一方武蔵もその腕を買われ将軍家指南役として北条安房守が迎え入れようと話をしていた。
北条の屋敷で沢庵和尚と再会する武蔵であったが、指南役の件は武蔵が吉岡の少年を斬ったことから
品位にかけるとして結局断られしまう。
そしてかねて武蔵との決着を望んでいた小次郎から決闘状を受け取る。
細川家では、やじうまを避けるため、小倉と赤間関との間の小さな島、舟島を決闘の場所に指定した。
画してここに巌流佐々木小次郎と武蔵の決戦のときを迎えることになったのである。
前髪たちの少年の面影が残る小次郎だが一説のよると60歳を超えていたという話もある。
しかし、当時は勝ったとしても莫大な報酬があるわけでもなく負ければよくて不具、即死につながる決闘を
やった両者の心はいかなるものだったのだろうか。
シリーズ最終章にふさわしい名作である。
タグ:巌流島
2015年03月13日
中村錦之助内田吐夢「宮本武蔵一乗寺の決闘」
吉岡清十郎との対決に勝利した武蔵だったが、当主清十郎を不具にされた吉岡一門が黙っているはずも
なかった。
特に血の気の多い弟伝七郎(平幹二朗)は、武蔵を目の敵にして付け狙っていたのである。
そして又七の母であるおすぎ婆あも武蔵の行方を追っていた。
しかしそのころ武蔵は、本阿弥光悦と肝胆相照らす間柄となっていてしばし遊興にふけっていた。
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だが、遊興の道筋で伝七郎たちに待ち伏せされ決闘の約定をかわすことなる。
決闘の日を迎えた両者だったが伝七郎は武蔵の敵ではなくまたもや吉岡一門はなで斬りにされたのである。
ここまでこけにされて吉岡一門は武蔵を殺害するより剣の道で生きることはできない。
しかし武蔵に勝てる門弟とてなくついに数を頼んで武蔵をと倒す決意を固める。
卑怯にも吉岡一門は飛び道具まで用意して一乗寺下リ松で武蔵を待ち受ける。
名代として立てられたのは源次郎という年端もゆかぬ少年であった。
吉岡方の人数は、73名それに対して武蔵はただひとり一乗寺の決戦は刻一刻と迫りつつあった・・・
吉岡一門と武蔵の最後の決闘は田んぼの中で双方泥まみれの死闘であって内田吐夢の演出と錦之助の
殺陣が見るものを釘付けにする。
しかし吉岡70人を相手にひとりで相手に実際できるのだろうか。
映画はともかく現実には難しいだろう。
2015年03月11日
内田吐夢中村錦之助「宮本武蔵二刀流開眼」
内田吐夢、錦之助の宮本武蔵シリーズ第3作は「宮本武蔵二刀流開眼」である。
三作目ともなれば錦之助の武蔵もいたについてきて武蔵になりきっているように見える。
奈良での宝蔵院や浪人たちとの死闘を終えた武蔵はさらなる高みを目指して剣聖柳生石舟斎の庵を訪ねる。
石舟斎の生けた花の鮮やかな切り口を見て武蔵はこの枯れた老人がただならぬものであることを知り戦慄する。
武蔵は柳生の高弟たちの招きに応じるが、弟子の条太郎が柳生の犬を斬ったことから高弟たちと心ならずも争いしかも
偶然お通が柳生に仕えていて笛の音を聞いて心が乱れその場を
後にする。
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そのころ、吉岡の門弟たちは、周防岩国の若き剣士佐々木小次郎(高倉健)と船のうえでもめていた。
だが小次郎の腕を見込んだ吉岡道場主清十郎(江原真二郎)は小次郎を客分として迎え入れた。
清十郎は武蔵の脅威を感じながら室町以来の名門の意地からついに武蔵との対決を決意し五条大橋に
決闘の高札を掲げる。
小次郎が止めるのも聞かず約束の場所に向かった清十郎だったが、門弟や小次郎の見守る中恐るべき
武蔵の剣によって粉砕されるのだった・・・
この三作目で初めて武蔵のライバル佐々木小次郎が登場する。小次郎役を若き日の高倉建が演じているのだが
しかしいかつい健さんが前髪立ちの小次郎をやるのはどこか違和感があった。
小次郎は物干し竿のような剣を背中にしょっているのだが実際のところはどうだったのだろう。
この作品で武蔵に専売特許である二刀流も登場し、吉岡清十郎との決闘シーンもリアリティがあり
見ごたえのある作品である。
タグ:佐々木小次郎、二刀流
2015年03月09日
内田吐夢中村錦之助「宮本武蔵般若坂の決闘」
中村錦之助主演の「宮本武蔵」シリーズ第二弾は「宮本武蔵般若坂の決闘」である。
姫路白鷺城において幽閉されていたたけぞうは、万巻の書物を読み深く思索を続けた結果単なる乱暴者ではなく
剣の道に生きる修行者として生きることを決意していた。
沢庵はたけぞうを迎えに訪れ、姫路城主、池田輝政に引き合わせた。輝政はたけぞうの能力を買い
仕官するように進めるが、剣の修行に生きることを決意したたけぞうは丁重に断った。
だが、輝政はとがめず、たけぞうに新しい名前を与えた。宮本武蔵の誕生である。
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武蔵の帰りを待ちわびていたお通は約束の場所花田橋を訪れて武蔵と再会するが剣の道にいきる武蔵は
スキを見て退散してしまう。
そののち、京都に現れた武蔵は音に聞こえた吉岡剣法の吉岡道場を訪ねる。
武蔵は、道場で吉岡門下をさんざん打ちのめす。このことを恨んだ吉岡は数を頼んで武蔵を襲撃するが
間一髪で敵陣より脱出する。
武蔵は偶然知り合った少年が青木丹左衛門の息子としり弟子にする。
さらに武蔵は修行のため奈良の槍の名門宝蔵院の門を叩く。宝蔵院の槍は荒々しく腕に覚えの浪人武士が
僧にぶちのめされてゆく。
誰もが次の相手をしりごみするなか、武蔵は平然とうけてたつ。
いかつい僧の振り回す槍は、武蔵を粉々に粉砕するかに見えたが一瞬早く武蔵の木刀が僧を真っ二つにして
殺害した。
宝蔵院をさり、民家に寄宿していた武蔵のもとを先ほどの浪人たちがたずね興行の仲間に加わるように
いうが武蔵が断ったことから浪人たちは逆恨みし、宝蔵院も敵に回した武蔵は絶対絶命のピンチを迎える・・・
一作目の野獣のような演技とは対極の求道者としての武蔵の違いを錦之助は見事に演じ分けている。
槍をぶんぶん振り回す僧の役を演じた山本麟一の演舞も凄い迫力である。
時代劇の王道のような作品である。続きがぜひみたくなるシリーズである。監督は一作目と同じ内田吐夢。
キャストもほぼ同じである。
2015年03月08日
中村錦之助内田吐夢「宮本武蔵」
吉川英治原作の「宮本武蔵」は、その題材の面白さ、普遍性からか何度も映画化されているが、なかでも
1961年製作の「飢餓海峡」の内田吐夢と時代劇の大スター中村錦之助(萬屋錦之助)が組んだムサシがとりわけ
面白い。
舞台は、戦国の終末の関ヶ原。二人の落ち武者が敗走していた。若者たちは、作州郷士のたけぞう(中村錦之助)と又八(木村功)で
あった。二人は西軍の豊臣方について参戦したのだが惨敗し逃げ延びるところだったのだ。
傷ついた又八とタケゾウは、戦場で追い剥ぎを生業とすお甲とあけみの母子に救われるが、母子は野武士に襲われる。
しかし乱暴者のたけぞうは野武士にひるまず、逆ギレして野武士を棒でメッタ打ちにして殺してしまう。
だが、故郷にお通(入江若葉)という許嫁がありながら、お甲の誘惑に負けた又八はたけぞうを置き去りにして母子と逐電してしまう
のだった。
ひとり取り残されたたけぞうは、又八の母親の婆(浪速千恵子)に又八が生きていることを知らせようと故郷の作州宮本村
をめざすのだった。
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しかし、豊臣方の残党狩りは激しく宮本村へは姫路からたけぞう召し取りのために極悪役人が派遣されていた。
又八の母の婆もたけぞうを逆恨みしており、山狩りに駆り出される百姓たちも嫌気がさしていた。
役人はしかし、たけぞうの首を取っていい顔をしたいがため血眼になってたけぞうの行方を追っていた。
そんなとき村に寄宿する生臭坊主の沢庵(三國連太郎)は、たけぞうの命を救い村人の負担もなくすため策を巡らすのだった。
武蔵を演じる錦之助の野性的な魅力、飄々とした沢庵の個性的な人格を表現する三國連太郎の演技力も凄い。
お通役の入江若葉も又この役がぴたりとはまっている。
武蔵の生まれについては、作州説、播州説のふたつある
が、養子の伊織の話では播州とあるのでやはり播州だろう。
武蔵は、新免を最初名乗っており、ルーツをたどると嘉吉の乱を起こした赤松氏につながるという。
やはり激しい血を持って生まれてきたのだろう・
物語の最後は、武蔵は姫路白鷺城のあかずの間に幽閉され、内省し開眼するところで終わる。
だが、かなり余韻を残した最後だったのでシリーズ化を念頭においていたのだろう。
音楽はゴジラの伊福部昭でこの映画を担当していたことを知らないかたも多いだろう。
時代劇のいいころの名作である。
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タグ:宮本武蔵、中村錦之助、
2015年02月17日
陸軍中野学校竜三号指令
市川雷蔵主演のスパイ映画ヒット作「陸軍中野学校竜三号指令」はシリーズ第3作で、舞台は戦前の魔都上海である。
一作目は、スパイになるための訓練が中心に描かれていたが、三作目にもなれば主人公のスパイ椎名次郎(市川雷蔵)
もすっかり成長し一流のスパイとなっている。
短期で終わるかに見えた日中戦争も泥沼化した昭和15年、大本営は蒋介石の重慶政府と和平を結ばんと密かに
日高大佐を現地へ派遣していた。
しかし日高は何者かに狙撃されたうえに犯人も取り逃がしていたのだ。
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そこでこの難事件を解決すべく中野学校の椎名に白羽の矢が立てられたのである。
現場に残されたものは、一枚の銀貨とモーゼルの薬莢でそれを手がかりに椎名が現地の特務機関辻井機関と
協力し事件の背後関係を調査し始めた。作戦名は「竜三号指令」と呼ばれた。
犯人は、日中間の和平を望まない国際的な謀略機関の仕業であることは間違いなかった。
椎名は銀貨の出処を調査するうちに上海のナイトクラブが国際謀略機関のアジトであることを突き止める。
椎名は中国人に化けてナイトクラブに潜入し、他の事件を追ってこの地に来ていた中野の同期杉本とともに
事件を解決すべく活動した。そして椎名はナイトクラブに出入りしている親日派の商社マン、スタイナー(ポールシューマ
ン)がスパイであることを突き止めたのである。
そのころ第二の和平使節が重慶を目指して飛行機で飛び立ったが事故で不時着し中国共産党につかまり
椎名は杉本と救出に向かう。
椎名は、敵のトラックを奪いみごとに人質の救出に成功するが、途中でガス欠になり徒歩で敵陣より脱出する。
しかし、眼前には地雷原が立ちはだかり背後には追手が迫り絶対絶命のピンチを迎える・・・
歴史的事実として重慶政府と日本側は和平工作を行っていた。しかし結局うまくいかず太平洋戦争へと突入してしまった。
第一作以上に小道具がうまく使われていて、メガネに仕込んだ隠しナイフや万年筆銃や靴のかかとに仕込んだ隠しナイ
フ等手がこんでいて楽しめる。
又椎名が敵に捕まった杉本との連絡手段にたばこの火をモールス信号かわりに使ったりとスパイ映画の見せ場が随所に
織り込まれている。
雷蔵のスパイ演技も磨きがかかり一級の娯楽作品となっている。
タグ:陸軍中野学校
2015年02月15日
勝新太郎、田村高廣「兵隊やくざ」
カツシンこと勝新太郎の大ヒット作に軍隊を風刺した傑作に「兵隊やくざ」がある。
舞台は、太平洋戦争中の昭和18年ソ満国境付近の孫呉である。この地に駐屯する4万の関東軍、そこに苔の生えた
万年上等兵有田(田村高廣)がいた。有田は大学出のインテリで軍隊の息のつまるような生活を嫌いわざと幹部候補生に落ちて
ひたすら除隊の日を夢見ていた。
そこへ荒くれの大宮喜三郎が新兵として入隊してきた。大宮は浪曲師をめざしていたが、なれずに東京でやくざをやっていた。
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部隊の責任者中澤准尉は、このやっかいものを持て余し有田に教育するように命令した。
大宮は、命令と階級が絶対の軍隊にあっても我を通し最初から他の兵とトラブル続きであった。
風呂場で砲兵の集団と大乱闘を起こして相手を叩きのめした大宮だったが、砲兵軍曹黒鉄伍長はこのままひきさがらなかった。
大宮にブッカンバですれ違ったときに上官に挨拶しなかったと因縁をつけ、腕に覚えの拳闘で大宮をぶちのめしたのだ。
事態を把握した有田は軍規則でリンチは禁止されていることを黒鉄に告げて、大宮と決闘するなら黙認するといった。
大宮がさっそく反撃に出て黒鉄を半殺しにした。
有田の知恵に関心した大宮はますます尊敬するようになった。
有田も乱暴者だがどこか筋が通っていて憎めない大宮をなにかとかばうのだった。
大宮は、しかし喧嘩は得意だが歩くのは苦手で歩兵には向いていなかった。3日で満州の大地を300キロ行軍する
演習で大宮は脱落する。
だが、有田はそんな大宮をほおってはおけず近道をさがしてあとから部隊に追いつくのだった・・・・
勝と田村高廣の息があっており絶妙のコンビである。
大宮にはモデルがあって関東五郎と言われた実在のやくざらしい。
単なる風刺劇でなく、軍隊の不条理さをとことん描いており、いかに帝国陸軍内務班が異常な空間であったことが
生々しく描かれている。
暴力がすべての軍隊で何かにつけて新兵はびんたを食らわされる。大宮は幸い腕力があったが、新兵のなかには
リンチに耐え切れず脱走や自殺するものもいた。
なにやら最近は政治家が徴兵がどうたらいってる
ようだがそれなら自分が軍隊に入ればいいのだ。
内務班のしごきで彼らは耐えられず逃げ出すだろう。
今のブラック企業が逃げ出すほどの不条理が内務班にはあった。大宮が横暴な上官を半殺しにするシーンはサラリーマンの中には嫌な上司を投影してスカッとするのではないか。
昔はさかんにテレビ放映されていたのだが最近はやらない。若い人にもぜひ見てもらいたいものだ。
一作目のヒットでこの映画はシリーズ化されている。心に残る痛快な傑作。
監督は、増村保造。
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タグ:田村高廣
2015年02月13日
阪田三吉、坂東妻三郎1948年版「王将」
誰もが知っている村田英雄の大ヒット曲「王将」のモデル孤高の棋士阪田三吉の激しくも一途な人生を描いた
傑作が1948年製作の「王将」である。「王将」は何度も舞台化、映画化されているが、終戦直後に作られた
この「王将」は感動的な作品である。
主人公の阪田三吉を坂東妻三郎が将棋にかける阪田の一途な姿を愚直に演じている。
舞台の始まりは、明治末期の大阪、通天閣付近の裏長屋にすむ草履職人阪田三吉は三度の飯より将棋が好きで
その腕は確かで各地の将棋大会を総なめにしていた。
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だが、将棋に熱中するあまり家業もおろそかにして生活費も家に入れず妻と子供は貧乏のどん底で喘いでいた。
そんなとき、たまたま手合わせしたプロの棋士関根七段との一戦で阪田は完膚なきまで打ちのめされ自信を打ち砕か
れた。
三吉はしかしこの悔しさをバネに一層将棋にのめりこんでゆく。
朝日新聞の将棋大会に参加する会費を工面するため三吉は、娘の玉恵の着物を質にいれたことから、妻の小春(水戸光子)は
我慢の限界に達し玉恵を連れて家出し、娘と二人で心中を図ろうとする・・・
話を聞いた三吉は将棋大会も放り出し脱兎のごとく家へ戻る。幸い小春は心中を思いとどまり三吉は将棋をやめること
を誓い将棋の駒を火の中にたたきこんだ。
しかし、小春は三吉の命である将棋をとりあげることができず、どうせやるなら日本一をめざせと励ますのだった。
だが、三吉は長年眼病を患い、失明寸前だったのである。事態は絶望的に思えたが・・・
天才と呼ばれた阪田三吉は、家が貧しく早くから奉公に出なければならなかっため教育を受ける機会がなく字が
ほとんど読めなかったが、トップまで上り詰めた努力の人である。
坂妻の演技も際立っており、時代劇の父と呼ばれた伊藤大輔の演出もさえている。
終戦直後ということもあり、GHQの規制で時代劇が禁止されたため伊藤は苦しんでいたがこの映画を撮ることで
新境地を切り開いた。
それにしても、逆境を跳ね返した阪田三吉の不屈の魂は凄いし、それを支えた奥さんもまた立派だった。
タグ:阪田三吉、坂東妻三郎、