2015年02月15日
勝新太郎、田村高廣「兵隊やくざ」
カツシンこと勝新太郎の大ヒット作に軍隊を風刺した傑作に「兵隊やくざ」がある。
舞台は、太平洋戦争中の昭和18年ソ満国境付近の孫呉である。この地に駐屯する4万の関東軍、そこに苔の生えた
万年上等兵有田(田村高廣)がいた。有田は大学出のインテリで軍隊の息のつまるような生活を嫌いわざと幹部候補生に落ちて
ひたすら除隊の日を夢見ていた。
そこへ荒くれの大宮喜三郎が新兵として入隊してきた。大宮は浪曲師をめざしていたが、なれずに東京でやくざをやっていた。
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部隊の責任者中澤准尉は、このやっかいものを持て余し有田に教育するように命令した。
大宮は、命令と階級が絶対の軍隊にあっても我を通し最初から他の兵とトラブル続きであった。
風呂場で砲兵の集団と大乱闘を起こして相手を叩きのめした大宮だったが、砲兵軍曹黒鉄伍長はこのままひきさがらなかった。
大宮にブッカンバですれ違ったときに上官に挨拶しなかったと因縁をつけ、腕に覚えの拳闘で大宮をぶちのめしたのだ。
事態を把握した有田は軍規則でリンチは禁止されていることを黒鉄に告げて、大宮と決闘するなら黙認するといった。
大宮がさっそく反撃に出て黒鉄を半殺しにした。
有田の知恵に関心した大宮はますます尊敬するようになった。
有田も乱暴者だがどこか筋が通っていて憎めない大宮をなにかとかばうのだった。
大宮は、しかし喧嘩は得意だが歩くのは苦手で歩兵には向いていなかった。3日で満州の大地を300キロ行軍する
演習で大宮は脱落する。
だが、有田はそんな大宮をほおってはおけず近道をさがしてあとから部隊に追いつくのだった・・・・
勝と田村高廣の息があっており絶妙のコンビである。
大宮にはモデルがあって関東五郎と言われた実在のやくざらしい。
単なる風刺劇でなく、軍隊の不条理さをとことん描いており、いかに帝国陸軍内務班が異常な空間であったことが
生々しく描かれている。
暴力がすべての軍隊で何かにつけて新兵はびんたを食らわされる。大宮は幸い腕力があったが、新兵のなかには
リンチに耐え切れず脱走や自殺するものもいた。
なにやら最近は政治家が徴兵がどうたらいってる
ようだがそれなら自分が軍隊に入ればいいのだ。
内務班のしごきで彼らは耐えられず逃げ出すだろう。
今のブラック企業が逃げ出すほどの不条理が内務班にはあった。大宮が横暴な上官を半殺しにするシーンはサラリーマンの中には嫌な上司を投影してスカッとするのではないか。
昔はさかんにテレビ放映されていたのだが最近はやらない。若い人にもぜひ見てもらいたいものだ。
一作目のヒットでこの映画はシリーズ化されている。心に残る痛快な傑作。
監督は、増村保造。
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タグ:田村高廣
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