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2016年08月21日

背中の勲章


さあて、本日はこちら。


吉村昭著『背中の勲章
背中の勲章.png


戦争を扱う小説は
案外久しぶりでしょうか?


物語は、
太平洋戦争初期の
昭和17年4月から
はじまります。



主人公である
中村末吉は
玉砕を覚悟で
特設監視艇・長渡丸へ
乗り込みます


彼らの任務は
太平洋において
敵機動艦隊を
発見すること


そして、この任務は
敵を発見した時、
乗組員たちは
死ぬことになる


そんな任務です。


この、死を前提とした
任務に誇りを持って
従事する日本人たちの
姿は、何度見ても
こう、ぞっと
するほどの
真っすぐさで
恐ろしくなります


船上の異様な
雰囲気が
生々しく描かれ
ています。



そして、ついに
敵のアメリカ艦隊を
発見して、
任務が遂行され……


次々と死んでいく
乗組員たち


しかし、彼らは
決して逃げず、
一人でも
敵を殺す、
そのことのみに
執念を燃やしていて……


中村末吉も勿論
死を覚悟し
その悲壮な覚悟は
恐ろしい決意を
彼にさせるの
ですが……



何と、彼は
敵に捕らえられ
捕虜として
生きながらえて
しまうのです



生きて辱めを受けず


この教訓が
中村に重くのしかかり
何度も死を考える


そんな中村は
しかし、死ぬことを
許されない



捕虜になって
すぐの彼のこの
葛藤もまた、
非常に重く響きます


手足を縛られて
死ぬことも出来ず


すぐ傍に敵がいるのに
危害一つ与えられない
そのことを
ひたすら悔やんで
生きることに
意味を見いだせない


常軌を逸しているなぁ、と
思うのですが
当時、あのような
日本人が、
多くいたのであった
ことを考えると
本当に、ぞっとしてしまう



そうして、中村が考えた
捕虜である身を
生かして日本の為に
出来ることとは……



凄まじい愛国心
そして
敵への憎悪



周囲からの情報を
一切断たれて、
本当は
不安に思いつつも
日本の勝利を
信じ続ける
捕虜の人々


時に日本人同士で
起こる争い


日本人を異質な
存在として
時に気味悪がっている
アメリカ軍の人々



中村の心境は
変らないはずなのに
何となく、何かが
変っていく様子も
巧みに描き出されて
います




捕虜になってからの
運命は、彼にとって
悲惨なものだったの
でしょうけれども、


彼の生涯からは
あの戦争の悲惨さが
生々しく浮かび上がって


何だか、考え込んで
しまいます。


日本人捕虜たちに
共通する、悲壮感
絶望感、不安と
敵への憎悪


ストーリー自体も
一転二転して
面白くて
自然と引き込まれて
しまいます。


たとえ、
戦争を舞台の
話なんて、
暗くて重くて
面白くなさそう、
と思う方も


一度手にとって
みてはいかがでしょう?
と薦めたくなる
一冊です






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感想(2件)












posted by at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉村昭
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