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2019年02月03日
hontoからメールが来て本を買った(二月一日)
ホントからきたキャンペーンの案内でも、クーポンの案内でもないメールは、ポイントの有効期限が切れるというものだった。ホントで本を買うと、購入額の1パーセントかそこらのポイントがつくことは知っていたし、ちょっと使ったこともあるような気もするのだが、有効期限はもっと長いものだと思っていた。確認したら、獲得した日から一年間だった。
お知らせによれば現時点で550ポイントぐらいあるうち、250ポイントぐらいが一月末で有効期限が切れるという。ポイントなんて、なくなったらなくなったでかまわないのだけど、こういう案内が、一回だけでなく何回か来ると、放置するのも申し訳ないような気になってしまう。ということでポイントを使って、本を買うことにした。紙の本を買うと送料にもならないので、今回は電子書籍一択である。
特に読みたい本があって本を買うわけではないので、できるだけポイントでまかなえる範囲のものを探すことにした。最初に思いついたのが、我が読書のSFの時代の礎を築いた高千穂遙の作品である。朝日ソノラマが倒産した後、ソノラマ文庫の『クラッシャー・ジョウ』シリーズがハヤカワ文庫に移って、新作も出ているのは知っていたから、それをまず候補に挙げたのである。自転車モノを呼んでみたいという気持ちがあったことも否定できないけど。
しかし、二つの理由で高千穂遙の本は買わなかった。一つ目は微妙な価格で、ポイントを使うと、残りが200円とか、300円になるものが多かったこと。たかだかこれだけのためにクレジットカードを使うのもなあというのが、カードの利用に慣れていない人間の感じることである。もう一つは、ここの本につけられていた読者のコメントを読んでしまったことである。この手のコメントは、買おうと決める理由にはならなくても、買うのをやめる理由にはなるのである。
ここでもうあきらめようかとも思ったのだが、期間限定の割引価格で買える本があることに気付いた。大体半額になっていて、親本が文庫本のやつならポイントだけで買えそうである。あまり食指の動かない本の中に高橋克彦の本を発見した。高橋克彦といえば、森雅裕が『画狂人ラプソディ』を大幅に書き換えることになった(と本人が書いている)原因となった乱歩賞受賞作『写楽殺人事件』でデビューした作家である。
この因縁(高橋克彦にしてみればいい迷惑だろうけど)を知ってから、読んでみたら、森雅裕とはまた違った面で面白く、他の作品にも手を伸ばしたことがある。『写楽殺人事件』は『画狂人ラプソディ』よりはるかに売れて、はるかに有名な作品だろうけど、こういう関係がなかったら読んだかどうか疑問である。ということで、昔買って日本を出るときに古本屋に売っぱらった『写楽殺人事件』を探すことにした。
既読の本だけど、もう二十年以上も読んでいないし、内容も完璧には覚えていないし、半額だし、ポイントで買うんだしと、いくつも買ってもいい理由を探してから、購入に踏み切った。これが紙の本屋でのことだったら、ほとんど即決で買っているはずである。棚から抜いて本の装丁を確認しながらぱらぱらめくっているうちに買うことに決めてしまう。既読の本であってももう一度読み直したい問い理由があればそれで十分である。ただし、これは日本語の本に限ってのことで、チェコ語の本の場合には、読みたい以前に、自分に読めるかというのも考えなければいけないから時間がかかる。読めそうにないけど買うということもなくはないけど。
久しぶりの『写楽殺人事件』、久しぶりにコンピューター上で読書を楽しむことができた。これで閲覧ソフトがもう少し本を思わせるつくりだったらよかったのに。それはともかく問題が一つ。『写楽殺人事件』は、高橋克彦のいわゆる浮世絵三部作の最初の作品なのである。だからあと二冊浮世絵をテーマにした推理小説が存在する。しかも最後の三作目では浮世絵探偵とも言うべき塔馬が登場するのだけど、この人を探偵役にした推理小説が何作かあって、その中には浮世絵がらみのものも存在するのである。そして、かつて日本を出る前に、そのほとんどは読んだことがあるのである。はてさて、買うべきか、買わざるべきか、それが問題である。
2019年2月1日23時。