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2017年10月30日

2017年下院総選挙ANO1(十月廿七日)



 今回の選挙の勝者がアンドレイ・バビシュ氏が組織した政党ANOであることについては、議論の余地はないし、予想通りの結果だったといってかまわないだろう。開票速報番組では、解説者得票率が30パーセントを越えるところで推移していたのをちょっと予想外だといっていたが、個人的には予想の範囲内だった。事前の世論調査なんかでも20パーセントよりは30パーセントに近い数字を獲得していたし、他の、特に既存の政党の選挙運動に迷走の気配が見えたこともあって、増えることはあっても減ることはあるまいと考えていた。
 むしろ、予想外だったのは、二番手以下に20パーセント近い大きな差をつけたことである。社会民主党か、共産党、場合によっては市民民主党が復活して、15パーセントから20パーセントの票を獲得するのではないかと予想していた。事前の世論調査では、確かに支持を減らしていたけれども、一つぐらいは立て直してくるのではないかと考えていたのだが、立て直せたのは、前回の選挙の惨敗から立ち直りつつあった市民民主党だけで、それでもかつての数字にははるかに届かない11パーセントほどでしかなかった。
 その結果ANO以外は、どんぐりの背比べのように8つの政党が並ぶことになった。最多の市民民主党の25議席から、最小のキリスト教民主同盟の6議席まで、差は大きいように見えるが、ANOの78議席と比べると、その差はあまりにも小さい。これがANOにとっては誤算の一つだったはずである。これだけ多くの政党が議会に議席を持ったため、二党の連立で過半数を超えることができる相手が、市民民主党しかなくなってしまった。この横並びの状態で、一党だけ選挙前の公約を否定して、ANOと連立を組むと言い出すのは難しいだろう。一番組めそうな相手のSPDとでは、ちょうど半数の100議席なので、共産党の支援を得るとしても、政権運営が不安定になりそうである。バビシュ氏のお手並み拝見といこうか。

 この党についても、バビシュ氏がいなければ存在しなかった党なので、バビシュ氏の政界進出以前からの経歴も含めて知っていることを簡単に記しておく。以前の記事、SPDの記事との重複もあるだろうが、そこは仕方がないとあきらめることにする。
 バビシュ氏は以前も書いたようにスロバキア出身で、普段はチェコ語でしゃべろうと努力しているようだが、時々スロバキア語っぽいところが出てくるらしい。かつてチェコ語とスロバキア語を混ぜて、ありもしないチェコスロバキア語で話していたという正常化の時代のフサークではないけれども、本来スロバキア人とはいえ、国籍がチェコで、チェコで政治家として活動する以上、スロバキア語で話すわけにもいかないのだろう。

 ビロード革命前のバビシュ氏に関して問題になっているのは、秘密警察の協力者であれこれ情報を提供していたのではないかという疑惑である。何でも秘密警察の協力者のリストにバビシュ氏らしい名前があるというのである。ただし、この手のリストに本名が記されることはないので、あくまでもバビシュ氏らしいということで、バビシュ氏だと確定しているわけではない。バビシュ氏はこれに関して裁判を起こしてバビシュ氏ではないという判決を勝ち取ったのかな。それを今回の選挙期間中にスロバキアの最高裁みたいなのがひっくり返して、バビシュ氏ではないとは確定していないと言い出したものだから、既存政党側はバビシュ批判に使うし、バビシュ氏は既存政党側が手を回したんだと反対に批判していた。タイミングがいいのは確かだけど、スロバキアとはいえ外国にまで手を回す余裕があったとは思えない。
 しかし、実際問題、バビシュ氏の名前がリストにあったかどうかも、実際に協力者だったかのどうかも、それほど重要な問題ではない。一つは、秘密警察が外に漏れたら困ると考えていた一番重要な資料は、ビロード革命前後のドサクサにまぎれて処分されたと考えられていることだ。つまり、残された資料というのは、秘密警察にとっては公開されてもそれほど困らないものだというわけだ。

 もう一つの問題は、秘密警察の協力者にされていた人たちにはそれぞれの事情があるということである。例えば、オストラバの誇るフォーク歌手ヤロミール・ノハビツァや、俳優としても活躍した元アイドル歌手のバーツラフ・ネツカーシュの名前もリストには残っているという。ノハビツァはこの事実が表に出たときに、友人だった歌手から猛烈に批判されたが、お前にはわからない事情があるんだとか何とか言っただけで反論しようとしなかったし、この二人が積極的に秘密警察に協力したとも思えない。そもそも、秘密警察に積極的に協力した人がいたとしたら、終戦直後の、まだ共産主義政権を信じられたころだけだろう。
 かつて大統領選挙に出馬した政治家が共産党に入党した過去があることを、自分のキャリアのためには仕方がなかったのだと言い訳していたが、秘密警察への協力もほとんどは強要されてのことである。家族をねたに脅迫されたり、進学や就職を引き換えに持ち出されたり、とにかく拒否しにくい状況を作り上げて、芸術的とも言えるような手法で強要していたという話である。それでも拒否した場合には、亡命するか刑務所に放り込まれるのを覚悟するしかなかったらしい。
 バビシュ氏が実際のところどうだったのかはわからないが、かつてチェコの秘密警察どころか、ソ連のKGBのエージェントだった人物が、テレビ局の社長をやったり、上院議員、ヨーロッパ議会議員を務めたりしていたことがあって、それに対して既存の政治家たちは特に文句も言っていなかったのだから、今更バビシュ氏を批判しても仕方なかろうに。この件だけでなく、ただの国会議員と総理大臣候補は違うとか、既存の政党は主張するわけだが、そんな言い訳めいたことをする前に、自党の中にいるバビシュ的なことをしてきた存在の罪を明らかにして排除してからでないと、説得力を持ちきれない。特に疑惑自体が既存政党の仕掛だと言われる余地があるのだから。

 例によって長くなったので、以下は次回に回す。
2017年10月28日23時。







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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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