小説がけっこう面白かったので、これはぜひどんな風に映像化されるのかを観なくては!と思って観に行ったのですが……アカデミー賞の席で観客席がシーンとしてしまっていたのが分かる気がしました。随分と小説に忠実に作ってはいるのに、何かが足りないような…。
まず第一に思うのが、この小説を映画化するのにあたっての時間が短すぎる。
第二に、制作側があまりにも小説を読み込みすぎてしまったのではないか、と。
第三に、展開が死ぬほど分かりづらい。
挙げるとキリがないけれど、いちばんの問題はやはり制作側が読み込んでしまったことが原因ではないかと。
小説を読んだ人間ならば何とかあの展開に付いてはいけるが、まったく読んでいないならば、ほぼ付いていくのが不可能なのではないかと思う。
原作に忠実にと思って、細かに再現しようとしたんだろうけれど、あまり観る側のことを考えて制作されていない。
携帯ショップの店員のように、毎日説明しているため店員自身は分かりきったことなのだが、分かり過ぎているために、いざお客さんに説明する時には、何も知らないお客さんに分かるように説明できない。自分自身の理解している事柄が当たり前の標準レベルになっているがため、早口で捲くし立て、分からないとは言わせないような威圧感を出す。
この映画に態度の悪い威圧感があるわけではないのだけれど、制作側が分かり過ぎているために観客への説明が怠られているという状態にはあるのではないかなとは思うわけだ。
それが無意識に行われているからこういう結果になったのだろう。
事実、一緒に行った母は小説を読んでいなかったので、内容がチンプンカンプンだったそうだ。
丁度、行った時間帯が吹替版だったのだけど、フランス語は字幕だったので、意外に慌ただしかった。
これならば字幕版に行った方が平和かな。画面の動きに食いついているだけでかなり疲れるには疲れるし…。
キャストは“シラス”があまりにもイメージどおりで驚きました。シラスが出てくる場面はどれもこれも恐ろしい。
リー・ティービングは予想とちょっと違っていた。もう少し太っているのかと勝手に想像していたので。
映画ダ・ヴィンチ・コードは何度も観ることで面白味が増してくるのかもしれないとも思う。パリ、ロンドン、スコットランドと各地の名所を観られるわけだし、映画館で頑張るよりもDVDでじっくり観た方がいろいろな発見がありそうだ。何せ、小説が面白いんだから。
THE DA VINCI CODE 2006年アメリカ制作
【監督】ロン・ハワード 【脚本】 【原作】ダン・ブラウン
【キャスト】
ロバート・ラングドン:トム・ハンクス
ソフィー・ヌヴー:オドレイ・トトゥ
リー・ティービング:イアン・マッケラン
アリンガローサ司教:アルフレッド・モリーナ
ヴェルネ:ユルゲン・プロホノフ
シラス:ポール・ベタニー
べズ・ファーシュ:ジャン・レノ