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2017年09月02日
J個体の恒常性とその調整機構【ポイント】
今日は、「個体の恒常性とその調整機構」についてお話します。
【細胞内情報伝達】
細胞外からの情報は、多くの場合はホルモン、神経伝達物質、増殖因子、
サイトカイン、エイコサノイドなどの化学的シグナルによって伝えられます。
これらは、リガンドとして細胞の受容体と特異的に結合することによって
ファーストメッセンジャーとして働きます。
【受容体】
〇細胞膜受容体(親水性リガンドの場合)
・イオンチャンネル内蔵型受容体
・Gたんぱく質共役型受容体
・酵素共益型受容体
〇細胞内受容体(脂溶性リガンドの場合)
【細胞内シグナル】
受容体からのシグナルを伝える細胞内の低分子をセカンドメッセンジャーといい、
cAMP、cGMP、イノシトール3リン酸、ジアシルグリセロール、Ca2+などがあります。
・cAMP-Aキナーゼ系
・cGMP-G-キナーゼ系
・イノシトール・リン脂質代謝、Ca2+系
【恒常性(ホメオスタシス)とフィードバック機構】
人体には、体外環境が変化しても、体内環境は一定に保とうとする仕組みが備わっています。
これを恒常性(ホメオスタシス)と言います。
フィードバック機構とは、恒常性を維持するための最も重要な気候です。
正と負がありますが、生体機能調節の中心は負のフィードバックで、
体内の環境変化の影響を弱める方向に身体の各器官系が共同して働きます。
【体液・電解質バランス、酸塩基平衡】
〇体液の区分
体液(水分)は体重の60%を占め、その内3分の2(体重の40%)は細胞内液であり、
残りの3分の1は細胞外液として存在します。
細胞外液の多くが細胞間に存在する間質液(組織間液)で、
他に血漿、脳脊髄液、リンパ液などが含まれます。
〇性・年齢別の水分量
・体重に占める水分の比率
男性>女性(女性は脂肪の割合が高い為)
新生児・乳幼児>高齢者
〇体内の水分バランス
成人の1日の水の出納量は、2000〜2500mlです。
1日の尿量が400ml以下の時を乏尿、100ml以下の時を無尿、2500ml以上の時を多尿と言います。
〇体液の電解質と非電解質
・電解質
電解質とは、水に溶けて正または負に荷電してイオンとなり、
電気的性質を有する物質の総称です。。
電解質は体液の浸透圧やpHを調節し、神経細胞や筋細胞が機能するために重要な機能を果たしています。
・非電解質
グルコース、尿素、クレアチニンなど
〇体液の酸塩基平衡
・酸塩基平衡
人の細胞外液のpHは、正常な状態では7.4±0.05(7.35〜7.45)に保たれており、
このような調整機構と酸塩基平衡と呼びます。
・酸塩基平衡の調節
体液の緩衝作用:酸性側に傾きそうになるとH⁺はHCO3⁻と反応してH2CO3となり、
アルカリ側に傾きそうになると塩基がH2CO3と反応してHCO3⁻
呼吸による調節:酸性側に傾きそうになると呼気量を置くして血中CO2濃度を下げ、
アルカリ側に傾きそうになると呼気を抑制して血中CO2濃度を上げます。
腎臓による調節:酸性側に傾きそうになると尿中にH⁺を排泄し、HCO3⁻の再吸収を促進し、
アルカリ側に傾きそうになると尿中にHCO3⁻を排泄し、H⁺の再吸収を促進します。
・酸塩基平衡の異常
血液のpHが7.35以下の酸性側に傾いた場合をアシドーシス、
7.45以上のアルカリ側に傾いた場合をアルカローシスと言います。
原因によって肺からのCO2の呼出以上による呼吸性とそれ以外の原因による代謝性に分けられます。
@代謝性アシドーシスをきたす要因:HCO3⁻の減少、酸の増加
腎不全、尿細管アシドーシス、激しい下痢、糖尿病アシドーシス、激しい運動
A代謝性アルカローシスを示す要因:HCO3⁻の増加、酸の減少
原発性アルドステロン症、低カリウム血症、激しい嘔吐
B呼吸性アシドーシスを示す要因:低換気によるPCO2の増加
気管支喘息、肺気腫などの閉塞性換気障害、筋無力症、気胸など
C呼吸性アルカローシスを示す要因:過換気によるPCO2の減少
過換気症候群、くも膜下出血、肺梗塞など
【体温の調節】
・体温の変動
体温は、測定部位によって若干異なります。
一般に、腋窩温>口腔温>直腸温です。
その他、時間帯、年齢、性など、個人差があります。
・体温の調整
体温調整は、間脳の視床下部にある体温調整中枢が行っています。
ここで自律神経とホルモンによって調整されています。
【生体機能の周期性変化】
〇サーカディアンリズム
生体には生まれつき備わっているリズムがある。
ヒトの生体機能の多くは1日、24時間を周期とするリズムで変動しており、
この24時間を周期とするリズムをサーカディアンリズムといいます。
〇サーカディアンリズムと生体機能
サーカディアンリズムは内分泌系や免疫系において著明に表れることが多いです。
・体温:早朝低く、夕方高い
・副腎皮質ホルモン:早朝高く、深夜低い
・カテコールアミン:早朝高く、夜低い
・メラトニン:昼低く、夜高い
・セロトニン:昼高く、夜低い
次回、問題を出題します。
【細胞内情報伝達】
細胞外からの情報は、多くの場合はホルモン、神経伝達物質、増殖因子、
サイトカイン、エイコサノイドなどの化学的シグナルによって伝えられます。
これらは、リガンドとして細胞の受容体と特異的に結合することによって
ファーストメッセンジャーとして働きます。
【受容体】
〇細胞膜受容体(親水性リガンドの場合)
・イオンチャンネル内蔵型受容体
・Gたんぱく質共役型受容体
・酵素共益型受容体
〇細胞内受容体(脂溶性リガンドの場合)
【細胞内シグナル】
受容体からのシグナルを伝える細胞内の低分子をセカンドメッセンジャーといい、
cAMP、cGMP、イノシトール3リン酸、ジアシルグリセロール、Ca2+などがあります。
・cAMP-Aキナーゼ系
・cGMP-G-キナーゼ系
・イノシトール・リン脂質代謝、Ca2+系
【恒常性(ホメオスタシス)とフィードバック機構】
人体には、体外環境が変化しても、体内環境は一定に保とうとする仕組みが備わっています。
これを恒常性(ホメオスタシス)と言います。
フィードバック機構とは、恒常性を維持するための最も重要な気候です。
正と負がありますが、生体機能調節の中心は負のフィードバックで、
体内の環境変化の影響を弱める方向に身体の各器官系が共同して働きます。
【体液・電解質バランス、酸塩基平衡】
〇体液の区分
体液(水分)は体重の60%を占め、その内3分の2(体重の40%)は細胞内液であり、
残りの3分の1は細胞外液として存在します。
細胞外液の多くが細胞間に存在する間質液(組織間液)で、
他に血漿、脳脊髄液、リンパ液などが含まれます。
〇性・年齢別の水分量
・体重に占める水分の比率
男性>女性(女性は脂肪の割合が高い為)
新生児・乳幼児>高齢者
〇体内の水分バランス
成人の1日の水の出納量は、2000〜2500mlです。
1日の尿量が400ml以下の時を乏尿、100ml以下の時を無尿、2500ml以上の時を多尿と言います。
〇体液の電解質と非電解質
・電解質
電解質とは、水に溶けて正または負に荷電してイオンとなり、
電気的性質を有する物質の総称です。。
電解質は体液の浸透圧やpHを調節し、神経細胞や筋細胞が機能するために重要な機能を果たしています。
・非電解質
グルコース、尿素、クレアチニンなど
〇体液の酸塩基平衡
・酸塩基平衡
人の細胞外液のpHは、正常な状態では7.4±0.05(7.35〜7.45)に保たれており、
このような調整機構と酸塩基平衡と呼びます。
・酸塩基平衡の調節
体液の緩衝作用:酸性側に傾きそうになるとH⁺はHCO3⁻と反応してH2CO3となり、
アルカリ側に傾きそうになると塩基がH2CO3と反応してHCO3⁻
呼吸による調節:酸性側に傾きそうになると呼気量を置くして血中CO2濃度を下げ、
アルカリ側に傾きそうになると呼気を抑制して血中CO2濃度を上げます。
腎臓による調節:酸性側に傾きそうになると尿中にH⁺を排泄し、HCO3⁻の再吸収を促進し、
アルカリ側に傾きそうになると尿中にHCO3⁻を排泄し、H⁺の再吸収を促進します。
・酸塩基平衡の異常
血液のpHが7.35以下の酸性側に傾いた場合をアシドーシス、
7.45以上のアルカリ側に傾いた場合をアルカローシスと言います。
原因によって肺からのCO2の呼出以上による呼吸性とそれ以外の原因による代謝性に分けられます。
@代謝性アシドーシスをきたす要因:HCO3⁻の減少、酸の増加
腎不全、尿細管アシドーシス、激しい下痢、糖尿病アシドーシス、激しい運動
A代謝性アルカローシスを示す要因:HCO3⁻の増加、酸の減少
原発性アルドステロン症、低カリウム血症、激しい嘔吐
B呼吸性アシドーシスを示す要因:低換気によるPCO2の増加
気管支喘息、肺気腫などの閉塞性換気障害、筋無力症、気胸など
C呼吸性アルカローシスを示す要因:過換気によるPCO2の減少
過換気症候群、くも膜下出血、肺梗塞など
【体温の調節】
・体温の変動
体温は、測定部位によって若干異なります。
一般に、腋窩温>口腔温>直腸温です。
その他、時間帯、年齢、性など、個人差があります。
・体温の調整
体温調整は、間脳の視床下部にある体温調整中枢が行っています。
ここで自律神経とホルモンによって調整されています。
【生体機能の周期性変化】
〇サーカディアンリズム
生体には生まれつき備わっているリズムがある。
ヒトの生体機能の多くは1日、24時間を周期とするリズムで変動しており、
この24時間を周期とするリズムをサーカディアンリズムといいます。
〇サーカディアンリズムと生体機能
サーカディアンリズムは内分泌系や免疫系において著明に表れることが多いです。
・体温:早朝低く、夕方高い
・副腎皮質ホルモン:早朝高く、深夜低い
・カテコールアミン:早朝高く、夜低い
・メラトニン:昼低く、夜高い
・セロトニン:昼高く、夜低い
次回、問題を出題します。
2017年08月31日
Iたんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養【解説】
それでは、「たんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養」の問題の解説をします。
【解説】…正答(2)、(5)
(1)誤り。オートファジーは、不要たんぱく質をリソソームに取り込んで分解する作用である。
(2)正しい。ユビキチンは、たんぱく質を装飾する小さな球場のたんぱく質であり、
ユビキチンを受けたたんぱく質は、プロテアソームによって分解される。
(3)誤り。アラニンは、アミノ基転移反応によりピルビン酸になる。
オキサロ酢酸になるのはアスパラギン酸である。
(4)誤り。アスパラギン酸は糖新生の基質として用いられるので、糖原生アミノ酸である。
(5)正しい。尿素開祖では、毒性の強いアンモニアが毒性の弱い尿素に変換される。
【解説】…正答(3)
(1)誤り。アドレナリンは、フェニルアラニン→チロシン→ドーパ→アドレナリンと、
体内で変化して産生される。
(2)誤り。ニコチン酸(ナイアシン)は、肝臓でトリプトファンから作られる。
(3)正しい。
(4)誤り。γ‐アミノ酪酸は、グルタミン酸から作られる。
(5)誤り。メラトニンは、トリプトファン→セロトニン→メラトニンの順に合成される。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。消化管から吸収されたアミノ酸と、体たんぱく質の分解によって生じたアミノ酸は、
共にアミノ酸プールに入る。
(2)誤り。筋肉たんぱく質の分解で生じたほとんどの遊離アミノ酸は、
たんぱく質の合成に再利用される。
(3)誤り。骨格筋のたんぱく質の平均半減期の方が長い。
骨格筋のたんぱく質の平均半減期は約180日、
肝臓で合成されるアルブミンなどの血清たんぱく質の平均半減期は約10日である。
臓器によって、たんぱく質の代謝回転速度は異なる。
肝臓、血液、小腸では代謝回転が速く、骨格筋や骨では遅い。
(4)誤り。分岐アミノ酸は、筋肉で参加分解されエネルギーを産生する。
(5)正しい。筋肉から放出されたアラニンは肝臓へ運ばれ、糖新生によりグルコースになる。
これをグルコースーアラニン回路という。
Q1.アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)オートファジーは、たんぱく質を合成する作用である。
(2)ユビキチンは、たんぱく質の異化に関与する。
(3)アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
(4)アスパラギン酸は、ケト原生アミノ酸である。
(5)尿素回路は、肝臓に存在する。
(2)ユビキチンは、たんぱく質の異化に関与する。
(3)アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
(4)アスパラギン酸は、ケト原生アミノ酸である。
(5)尿素回路は、肝臓に存在する。
【解説】…正答(2)、(5)
(1)誤り。オートファジーは、不要たんぱく質をリソソームに取り込んで分解する作用である。
(2)正しい。ユビキチンは、たんぱく質を装飾する小さな球場のたんぱく質であり、
ユビキチンを受けたたんぱく質は、プロテアソームによって分解される。
(3)誤り。アラニンは、アミノ基転移反応によりピルビン酸になる。
オキサロ酢酸になるのはアスパラギン酸である。
(4)誤り。アスパラギン酸は糖新生の基質として用いられるので、糖原生アミノ酸である。
(5)正しい。尿素開祖では、毒性の強いアンモニアが毒性の弱い尿素に変換される。
Q2.アミノ酸・ペプチドの代謝についての記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アドレナリンはヒスチジンから作られる。
(2)ニコチン酸はフェニルアラニンから作られる。
(3)セロトニンはトリプトファンから作られる。
(4)γ‐アミノ酪酸(GABA)はアスパラギン酸から作られる。
(5)メラトニンはメチオニンから作られる。
(2)ニコチン酸はフェニルアラニンから作られる。
(3)セロトニンはトリプトファンから作られる。
(4)γ‐アミノ酪酸(GABA)はアスパラギン酸から作られる。
(5)メラトニンはメチオニンから作られる。
【解説】…正答(3)
(1)誤り。アドレナリンは、フェニルアラニン→チロシン→ドーパ→アドレナリンと、
体内で変化して産生される。
(2)誤り。ニコチン酸(ナイアシン)は、肝臓でトリプトファンから作られる。
(3)正しい。
(4)誤り。γ‐アミノ酪酸は、グルタミン酸から作られる。
(5)誤り。メラトニンは、トリプトファン→セロトニン→メラトニンの順に合成される。
Q3.たんぱく質とアミノ酸の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)消化管から吸収されたアミノ酸は、体内のアミノ酸プールに入らない。
(2)筋肉たんぱく質の分解で生じた遊離アミノ酸は、体たんぱく質の合成に再利用されない。
(3)骨格筋のたんぱく質の平均半減期は、肝臓で合成されるたんぱく質の平均半減期よりも短い。
(4)筋肉に取り込まれた分岐アミノ酸は、グルコースに変換されて放出される。
(5)筋肉から放出されたアラニンは、肝臓でグルコースに変換される。
(2)筋肉たんぱく質の分解で生じた遊離アミノ酸は、体たんぱく質の合成に再利用されない。
(3)骨格筋のたんぱく質の平均半減期は、肝臓で合成されるたんぱく質の平均半減期よりも短い。
(4)筋肉に取り込まれた分岐アミノ酸は、グルコースに変換されて放出される。
(5)筋肉から放出されたアラニンは、肝臓でグルコースに変換される。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。消化管から吸収されたアミノ酸と、体たんぱく質の分解によって生じたアミノ酸は、
共にアミノ酸プールに入る。
(2)誤り。筋肉たんぱく質の分解で生じたほとんどの遊離アミノ酸は、
たんぱく質の合成に再利用される。
(3)誤り。骨格筋のたんぱく質の平均半減期の方が長い。
骨格筋のたんぱく質の平均半減期は約180日、
肝臓で合成されるアルブミンなどの血清たんぱく質の平均半減期は約10日である。
臓器によって、たんぱく質の代謝回転速度は異なる。
肝臓、血液、小腸では代謝回転が速く、骨格筋や骨では遅い。
(4)誤り。分岐アミノ酸は、筋肉で参加分解されエネルギーを産生する。
(5)正しい。筋肉から放出されたアラニンは肝臓へ運ばれ、糖新生によりグルコースになる。
これをグルコースーアラニン回路という。
2017年08月30日
Iたんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養【問題】
それでは、「たんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養」から三問出題します。
次回、解説します。
Q1.アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)オートファジーは、たんぱく質を合成する作用である。
(2)ユビキチンは、たんぱく質の異化に関与する。
(3)アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
(4)アスパラギン酸は、ケト原生アミノ酸である。
(5)尿素回路は、肝臓に存在する。
(2)ユビキチンは、たんぱく質の異化に関与する。
(3)アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
(4)アスパラギン酸は、ケト原生アミノ酸である。
(5)尿素回路は、肝臓に存在する。
Q2.アミノ酸・ペプチドの代謝についての記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アドレナリンはヒスチジンから作られる。
(2)ニコチン酸はフェニルアラニンから作られる。
(3)セロトニンはトリプトファンから作られる。
(4)γ‐アミノ酪酸(GABA)はアスパラギン酸から作られる。
(5)メラトニンはメチオニンから作られる。
(2)ニコチン酸はフェニルアラニンから作られる。
(3)セロトニンはトリプトファンから作られる。
(4)γ‐アミノ酪酸(GABA)はアスパラギン酸から作られる。
(5)メラトニンはメチオニンから作られる。
Q3.たんぱく質とアミノ酸の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)消化管から吸収されたアミノ酸は、体内のアミノ酸プールに入らない。
(2)筋肉たんぱく質の分解で生じた遊離アミノ酸は、体たんぱく質の合成に再利用されない。
(3)骨格筋のたんぱく質の平均半減期は、肝臓で合成されるたんぱく質の平均半減期よりも短い。
(4)筋肉に取り込まれた分岐アミノ酸は、グルコースに変換されて放出される。
(5)筋肉から放出されたアラニンは、肝臓でグルコースに変換される。
(2)筋肉たんぱく質の分解で生じた遊離アミノ酸は、体たんぱく質の合成に再利用されない。
(3)骨格筋のたんぱく質の平均半減期は、肝臓で合成されるたんぱく質の平均半減期よりも短い。
(4)筋肉に取り込まれた分岐アミノ酸は、グルコースに変換されて放出される。
(5)筋肉から放出されたアラニンは、肝臓でグルコースに変換される。
次回、解説します。
2017年08月29日
Iたんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養【ポイント】
今日は、たんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養についてお話します。
【たんぱく質の消化】
・胃での消化
摂取されたたんぱく質は、胃液中の塩酸(胃酸)で強く変性されます。
これにより消化酵素の作用が受けやすくなります。
胃から分泌されるペプシンによってポリペプチドに加水分解されます。
・小腸での管腔内消化
胃から十二指腸に送られたポリペプチドは、膵液中の各種消化によって、
さらにオリゴペプチド、トリペプチド、ジペプチドにまで加水分解されます。
・小腸での悪消化
管腔内消化分解物のオリゴペプチド、トリペプチド、ジペプチドは、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛に細胞内に存在する各種ペプチターゼによって、
最終的にアミノ酸に加水分解されます。
【たんぱく質の吸収】
たんぱく質、ジペプチド、トリペプチドは、微絨毛膜に存在する輸送担体に介して細胞内に吸収されるが、
アミノ酸とジペプチド、トリペプチドは全く事夏能動輸送系によって吸収されます。
これは、2つの輸送系が互いに抑制することなく共同して機能するためです。
アミノ酸の吸収は、異なった基質特異性と持った複数の輸送担体を介して行われ、
多くがNa+の駆動力を利用して輸送されます(二次性能動輸送)。
一方、ジペプチド・トリペプチドは、H+の駆動力を利用して輸送されます(三次性能動輸送)。
ジペプチド・トリペプチドで輸送系で吸収されたほとんどのジペプチド・トリペプチドは、
細胞内のペプチダーゼで細胞内消化を受け、アミノ酸となって血管へ移行し、
門脈を経て肝臓に運ばれます。
【たんぱく質の合成】
体重1sあたりの1日の体たんぱく質合成量は、
体重増加の著しい新生児や乳児、幼児の方が成人よりも多い傾向にあります。
体たんぱく質合成は、食物由来のアミノ酸と生体内で合成されたアミノ酸の両方が使われます。
たんぱく質の合成は、細胞質内のリボソームで行われます。
DNAの情報をmRNAに転写し、mRNAの情報を翻訳することでたんぱく質合成が達成されます。
【たんぱく質の分解】
障害を受けたたんぱく質や不要たんぱく質の分解機構として、
ユビキチンープロテアソーム系、オートファジー系、カルパイン系などが知られています。
【窒素出納】
一日の窒素摂取量と、体外へ排泄される総窒素量との差を窒素出納と言います。
*窒素出納=摂取窒素量ー体外排泄窒素量
ヒトの体内の窒素のほとんどがたんぱく質由来であるため、
窒素出納によって、体内のたんぱく質代謝の胴的状態をみることができます。
窒素出納が性の場合は、体たんぱく質が蓄積されたことを、
負の場合は体たんぱく質が消費されたことを意味します。
正常な政治の窒素出納はゼロであり、
過剰なたんぱく質を摂取しても体たんぱく質として貯蔵されることもなく、
余分な窒素は尿中に排泄されます。
【食後、食間期のたんぱく質代謝】
食事摂取したタンパク質は、前述のようにアミノ酸となって吸収され、門脈を経て肝臓に運ばれます。
この語、アミノ酸は肝臓から血中に放出されるため、食後には毛中アミノ酸濃度が上昇します。
血中アミノ酸濃度の上昇は、筋肉などの組織での体たんぱく質の合成を促進します。
【アルブミン】
血漿には、通常たんぱく質は6〜8.5g/dL含まれています。
血漿中のたんぱく質としては。アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンがありますが、
アルブミンは血漿たんぱく質の約60%を占めています。
アルブミンは肝臓で合成され、血中へ放出されます。
半減期は2〜3週間です。
【急速代謝回転たんぱく質(RTP)】
癌ゲンキの短い血中たんぱく質が、短期間の栄養状態の評価、術後回復の判定指標として用いられます。
このような代謝回転の速い血中たんぱく質を急速代謝回転たんぱく質といい、
レチノール結合たんぱく質、トランスサイレチン(プレアルブミン)、トランスフェリンなどがその例です。
【アミノ基転移反応】
大部分のアミノ酸は、アミノ基転移反応によってα-アミノ基をα-ケトグルタル酸に渡し、
自身はα-ケト酸となり、α-ケトグルタルさんはグルタミン酸となります。
反応は可逆的です。
*アミノ酸+α‐ケトグルタル酸 ⇔ α‐ケト酸+グルタミン酸
【脱アミノ反応】
アミノ基転移反応で生じたグルタミン酸は、グルタミン酸脱水素酵素の作用を受け、
そのアミノ基をアンモニアとして遊離させるとともに、α‐ケトグルタル酸を生じます。
そのα‐ケトグル立つ酸は、再びアミノ基転移反応において、
アミノ酸からのアミノ基の受け取り手として働きます。
この反応は、NAD+またはNADP+を必要とします。
*グルタミン酸+H2O+NAD(P)+ ⇔ α‐ケトグルタル酸+NH3+NAD(P)H+H+
【窒素の生成】
アンモニアは人体にとって有害であるため、
主に肝臓の尿素回路で毒性の低い尿素に変換されて腎臓に運ばれ、尿中へ排泄されます。
尿素回路をもたない脳や筋肉などの組織で生じた多くのアンモニアは、
一旦グルタミンのアミド基の形に変えられて、血中を経て肝臓に取り込まれます。
グルタミンは肝臓で加水分解されてアンモニアを生じ、肝臓の尿素回路で処理されます。
腎臓で生じたアンモニアは、尿素に変換されることなくそのまま尿中に排泄されます。
【たんぱく質の栄養】
〇生物学的評価法
・生物価(BV):食物から吸収されたたんぱく質は、体内にどのくらい保留されたかと割合で示した値
*生物価=保留窒素量/吸収窒素量×100
=吸収窒素量ー(尿中窒素量ー代謝性尿中窒素量)/摂取窒素量ー(糞中窒素量―代謝性糞中窒素量)
×100
・正味たんぱく質利用率(NPU):正味たんぱく質利用率は生物価に消化吸収率を考慮したもので、
生物価に消化吸収率を乗じることで求められる。
*正味たんぱく質利用率=保留窒素量/摂取窒素量×100=生物価×消化吸収率
・たんぱく質利用効率(PFR)
*たんぱく質利用効率=体重増加量(g)/摂取たんぱく質量(g)
〇化学的評価法
・アミノ酸価:食品たんぱく質の不可欠アミノ酸含有量をアミノ酸評点パターンと比較して、
それよりも低い値のアミノ酸を制限アミノ酸といい、
その中でも最も不足しているアミノ酸を第一制限アミノ酸と呼びます。
*アミノ酸価=食品たんぱく質中の第一制限アミノ酸量(r/gN)/アミノ酸評点パターン当該アミノ酸量(r/gN)×100
次回、問題を出題します。
【たんぱく質の消化】
・胃での消化
摂取されたたんぱく質は、胃液中の塩酸(胃酸)で強く変性されます。
これにより消化酵素の作用が受けやすくなります。
胃から分泌されるペプシンによってポリペプチドに加水分解されます。
・小腸での管腔内消化
胃から十二指腸に送られたポリペプチドは、膵液中の各種消化によって、
さらにオリゴペプチド、トリペプチド、ジペプチドにまで加水分解されます。
・小腸での悪消化
管腔内消化分解物のオリゴペプチド、トリペプチド、ジペプチドは、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛に細胞内に存在する各種ペプチターゼによって、
最終的にアミノ酸に加水分解されます。
【たんぱく質の吸収】
たんぱく質、ジペプチド、トリペプチドは、微絨毛膜に存在する輸送担体に介して細胞内に吸収されるが、
アミノ酸とジペプチド、トリペプチドは全く事夏能動輸送系によって吸収されます。
これは、2つの輸送系が互いに抑制することなく共同して機能するためです。
アミノ酸の吸収は、異なった基質特異性と持った複数の輸送担体を介して行われ、
多くがNa+の駆動力を利用して輸送されます(二次性能動輸送)。
一方、ジペプチド・トリペプチドは、H+の駆動力を利用して輸送されます(三次性能動輸送)。
ジペプチド・トリペプチドで輸送系で吸収されたほとんどのジペプチド・トリペプチドは、
細胞内のペプチダーゼで細胞内消化を受け、アミノ酸となって血管へ移行し、
門脈を経て肝臓に運ばれます。
【たんぱく質の合成】
体重1sあたりの1日の体たんぱく質合成量は、
体重増加の著しい新生児や乳児、幼児の方が成人よりも多い傾向にあります。
体たんぱく質合成は、食物由来のアミノ酸と生体内で合成されたアミノ酸の両方が使われます。
たんぱく質の合成は、細胞質内のリボソームで行われます。
DNAの情報をmRNAに転写し、mRNAの情報を翻訳することでたんぱく質合成が達成されます。
【たんぱく質の分解】
障害を受けたたんぱく質や不要たんぱく質の分解機構として、
ユビキチンープロテアソーム系、オートファジー系、カルパイン系などが知られています。
【窒素出納】
一日の窒素摂取量と、体外へ排泄される総窒素量との差を窒素出納と言います。
*窒素出納=摂取窒素量ー体外排泄窒素量
ヒトの体内の窒素のほとんどがたんぱく質由来であるため、
窒素出納によって、体内のたんぱく質代謝の胴的状態をみることができます。
窒素出納が性の場合は、体たんぱく質が蓄積されたことを、
負の場合は体たんぱく質が消費されたことを意味します。
正常な政治の窒素出納はゼロであり、
過剰なたんぱく質を摂取しても体たんぱく質として貯蔵されることもなく、
余分な窒素は尿中に排泄されます。
【食後、食間期のたんぱく質代謝】
食事摂取したタンパク質は、前述のようにアミノ酸となって吸収され、門脈を経て肝臓に運ばれます。
この語、アミノ酸は肝臓から血中に放出されるため、食後には毛中アミノ酸濃度が上昇します。
血中アミノ酸濃度の上昇は、筋肉などの組織での体たんぱく質の合成を促進します。
【アルブミン】
血漿には、通常たんぱく質は6〜8.5g/dL含まれています。
血漿中のたんぱく質としては。アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンがありますが、
アルブミンは血漿たんぱく質の約60%を占めています。
アルブミンは肝臓で合成され、血中へ放出されます。
半減期は2〜3週間です。
【急速代謝回転たんぱく質(RTP)】
癌ゲンキの短い血中たんぱく質が、短期間の栄養状態の評価、術後回復の判定指標として用いられます。
このような代謝回転の速い血中たんぱく質を急速代謝回転たんぱく質といい、
レチノール結合たんぱく質、トランスサイレチン(プレアルブミン)、トランスフェリンなどがその例です。
【アミノ基転移反応】
大部分のアミノ酸は、アミノ基転移反応によってα-アミノ基をα-ケトグルタル酸に渡し、
自身はα-ケト酸となり、α-ケトグルタルさんはグルタミン酸となります。
反応は可逆的です。
*アミノ酸+α‐ケトグルタル酸 ⇔ α‐ケト酸+グルタミン酸
【脱アミノ反応】
アミノ基転移反応で生じたグルタミン酸は、グルタミン酸脱水素酵素の作用を受け、
そのアミノ基をアンモニアとして遊離させるとともに、α‐ケトグルタル酸を生じます。
そのα‐ケトグル立つ酸は、再びアミノ基転移反応において、
アミノ酸からのアミノ基の受け取り手として働きます。
この反応は、NAD+またはNADP+を必要とします。
*グルタミン酸+H2O+NAD(P)+ ⇔ α‐ケトグルタル酸+NH3+NAD(P)H+H+
【窒素の生成】
アンモニアは人体にとって有害であるため、
主に肝臓の尿素回路で毒性の低い尿素に変換されて腎臓に運ばれ、尿中へ排泄されます。
尿素回路をもたない脳や筋肉などの組織で生じた多くのアンモニアは、
一旦グルタミンのアミド基の形に変えられて、血中を経て肝臓に取り込まれます。
グルタミンは肝臓で加水分解されてアンモニアを生じ、肝臓の尿素回路で処理されます。
腎臓で生じたアンモニアは、尿素に変換されることなくそのまま尿中に排泄されます。
【たんぱく質の栄養】
〇生物学的評価法
・生物価(BV):食物から吸収されたたんぱく質は、体内にどのくらい保留されたかと割合で示した値
*生物価=保留窒素量/吸収窒素量×100
=吸収窒素量ー(尿中窒素量ー代謝性尿中窒素量)/摂取窒素量ー(糞中窒素量―代謝性糞中窒素量)
×100
・正味たんぱく質利用率(NPU):正味たんぱく質利用率は生物価に消化吸収率を考慮したもので、
生物価に消化吸収率を乗じることで求められる。
*正味たんぱく質利用率=保留窒素量/摂取窒素量×100=生物価×消化吸収率
・たんぱく質利用効率(PFR)
*たんぱく質利用効率=体重増加量(g)/摂取たんぱく質量(g)
〇化学的評価法
・アミノ酸価:食品たんぱく質の不可欠アミノ酸含有量をアミノ酸評点パターンと比較して、
それよりも低い値のアミノ酸を制限アミノ酸といい、
その中でも最も不足しているアミノ酸を第一制限アミノ酸と呼びます。
*アミノ酸価=食品たんぱく質中の第一制限アミノ酸量(r/gN)/アミノ酸評点パターン当該アミノ酸量(r/gN)×100
次回、問題を出題します。
2017年08月28日
H脂質の代謝と栄養【解説】
昨日の脂質の代謝と栄養の問題の解説です。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
リポたんぱく質リパーゼは、リポたんぱく質中のトリアシルグリセロールを
脂肪酸とグリセロールに分解する酵素である。
(2)誤り。
VLDLは、トリアシルグリセロールを肝臓から末梢組織へ輸送するのに役立っている。
(3)誤り。
VLDLはLDLの前駆体である。
(4)誤り。
LDLは、コレステロールを肝臓から末梢組織へ輸送している。
コレステロールを肝臓以外の組織(末梢組織)から引き抜いて肝臓へ移送しているのは、HDLである。
(5)正しい。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
脂肪酸のβ酸化は、脂肪酸アシルCoAのカルボキシル基側から炭素原子を
2個ずつ離脱してアセチルCoAを生成する反応である。
(2)誤り。
ケトン体は、ミトコンドリア内で生成される。
(3)誤り。
食事由来の脂肪酸は、小腸吸収上皮細胞でカイロミクロン(キロミクロン)という
リポたんぱく質になって、リンパ管を経て血中に出る。
(4)正しい。
アシルCoAはそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないため、
カル二チンと結合したかたちで通過する。
(5)誤り。
脂肪酸のβ酸化は。ミトコンドリアのマトリックスないで行われる。
【解説】…(2)
(1)誤り。
食後には、血中遊離脂肪酸濃度は低下する。
血中遊離脂肪酸濃度が上昇するのは空腹時である。
(2)正しい。
食後吸収された脂質はカイロミクロンに取り込まれ、末梢組織に運搬される。
末梢組織では、リポたんぱく質リパーゼによってトリアシルグリセロールが分解される。
(3)誤り。
血中HDL-コレステロール濃度は、食事による影響を受けない。
(4)誤り。
食後には、肝臓における脂肪酸合成は上昇し、トリアシルグリセロールの合成が進む。
(5)誤り。
食後には、脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの合成が進む。
脂肪組織でのトリアシルグリセロールの分解が進むのは、空腹時である。
【解説】…正答(1)
(1)正しい。
胆汁単の腸肝循環という。
(2)誤り。
肝臓で合成され、分泌された胆汁単は一次胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)である。
二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸)とは、
一次胆汁酸が、腸内細菌によって脱抱合化と脱水酸化を受けたもののことである。
二次胆汁酸には発がん作用がある。
(3)誤り。
抗生物質投与により腸内細菌が減少するため、糞便中への二次胆汁酸の排出は少なくなる
(一次胆汁酸は二次胆汁酸に変換されず、一次胆汁酸のまま排泄される)。
(4)誤り。
コレステロールの合成は、肝臓や小腸などで行われる。
(5)誤り。
肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害される。
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素は、
最終産物であるコレステロールによってフィードバック阻害される。
Q1.ヒト体内での脂質の輸送に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)リポたんぱく質リパーゼはHDLを構成するたんぱく質の1つである。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
リポたんぱく質リパーゼは、リポたんぱく質中のトリアシルグリセロールを
脂肪酸とグリセロールに分解する酵素である。
(2)誤り。
VLDLは、トリアシルグリセロールを肝臓から末梢組織へ輸送するのに役立っている。
(3)誤り。
VLDLはLDLの前駆体である。
(4)誤り。
LDLは、コレステロールを肝臓から末梢組織へ輸送している。
コレステロールを肝臓以外の組織(末梢組織)から引き抜いて肝臓へ移送しているのは、HDLである。
(5)正しい。
Q2.脂質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪酸のβ酸化は、カルボキシル基側から炭素原子が1個ずつ離脱していく反応である。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
脂肪酸のβ酸化は、脂肪酸アシルCoAのカルボキシル基側から炭素原子を
2個ずつ離脱してアセチルCoAを生成する反応である。
(2)誤り。
ケトン体は、ミトコンドリア内で生成される。
(3)誤り。
食事由来の脂肪酸は、小腸吸収上皮細胞でカイロミクロン(キロミクロン)という
リポたんぱく質になって、リンパ管を経て血中に出る。
(4)正しい。
アシルCoAはそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないため、
カル二チンと結合したかたちで通過する。
(5)誤り。
脂肪酸のβ酸化は。ミトコンドリアのマトリックスないで行われる。
Q3.食後の脂質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血中遊離脂肪酸濃度が上昇する。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
【解説】…(2)
(1)誤り。
食後には、血中遊離脂肪酸濃度は低下する。
血中遊離脂肪酸濃度が上昇するのは空腹時である。
(2)正しい。
食後吸収された脂質はカイロミクロンに取り込まれ、末梢組織に運搬される。
末梢組織では、リポたんぱく質リパーゼによってトリアシルグリセロールが分解される。
(3)誤り。
血中HDL-コレステロール濃度は、食事による影響を受けない。
(4)誤り。
食後には、肝臓における脂肪酸合成は上昇し、トリアシルグリセロールの合成が進む。
(5)誤り。
食後には、脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの合成が進む。
脂肪組織でのトリアシルグリセロールの分解が進むのは、空腹時である。
Q4.コレステロール代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)胆汁酸は、回腸で吸収され、再利用される。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。
【解説】…正答(1)
(1)正しい。
胆汁単の腸肝循環という。
(2)誤り。
肝臓で合成され、分泌された胆汁単は一次胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)である。
二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸)とは、
一次胆汁酸が、腸内細菌によって脱抱合化と脱水酸化を受けたもののことである。
二次胆汁酸には発がん作用がある。
(3)誤り。
抗生物質投与により腸内細菌が減少するため、糞便中への二次胆汁酸の排出は少なくなる
(一次胆汁酸は二次胆汁酸に変換されず、一次胆汁酸のまま排泄される)。
(4)誤り。
コレステロールの合成は、肝臓や小腸などで行われる。
(5)誤り。
肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害される。
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素は、
最終産物であるコレステロールによってフィードバック阻害される。
2017年08月27日
H脂質の代謝と栄養【問題】
それでは、「脂質の代謝と栄養」から四問出題します。
次回、解説します。
Q1.ヒト体内での脂質の輸送に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)リポたんぱく質リパーゼはHDLを構成するたんぱく質の1つである。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
Q2.脂質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪酸のβ酸化は、カルボキシル基側から炭素原子が1個ずつ離脱していく反応である。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
Q3.食後の脂質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血中遊離脂肪酸濃度が上昇する。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
Q4.コレステロール代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)胆汁酸は、回腸で吸収され、再利用される。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。。
次回、解説します。
2017年08月26日
H脂質の代謝と栄養【ポイント】
今日は、脂質の消化と吸収についてお話します。
【脂質の消化】
摂取された脂質は、十二指腸に分泌される胆汁酸塩によりまず乳化されます。
乳化によって各消化酵素の効率は高められます。
トリアシルグリセロールは膵液リパーゼによって、
大部分がモノアシルグリセロールと脂肪酸に加水分解されます。
リン脂質はホスホリパーゼA2によってリゾリン脂質と脂肪酸に、
コレステロールエステルはコレステロールエステラーゼによって、
遊離コレステロールを脂肪酸に加水分解されます。
【脂質の吸収】
消化により生成されたモノアシルグリセロール、長鎖脂肪酸、リゾリン脂質、遊離コレステロールは、
胆汁酸塩とミセルを形成して可溶化され、
小腸吸収上皮細胞の表面でミセルから抜き出されて吸収されます。
吸収細胞に入ったモノアシルグリセロールと長鎖脂肪酸は、トリアシルグリセロールに再合成され、
リン脂質、コレステロールエステル、遊離コレステロールと共に、
アポたんぱく質との複合体であるカイロミクロン(キロミクロン)を形成します。
カイロミクロンはリンパ液中に分泌され、リンパ管を経て血液に入り、
脂肪細胞や筋肉、組織でトリアシルグリセロールの70〜90%を放出し、
カイロミクロンレムナントとなり、肝臓に取り込まれます。
グリセロールと短鎖及び中鎖脂肪酸は、ミセルを形成せずそのまま容易に吸収細胞に吸収され、
トリアシルグリセロールに再合成されることなく、門脈を経て肝臓に運ばれます。
中鎖トリアシルグリセロールは、長鎖トリアシルグリセロールに比べ、消化吸収されやすいものです。
脂質の吸収のほとんどは空腸で行われます。
【吸収後の脂質】
各組織に運ばれたカイロミクロン中のトリアシルグリセロールは、
末梢血管壁に存在するリポたんぱく質リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解されます。
脂肪酸は脂肪組織に取り込まれてトリアシルグリセロールとして貯蔵したり、
筋肉などに取り込まれてβ酸化を受けてアセチルCoAとなり、
クエン酸回路、電子伝達系を経てエネルギー篇として利用されます。
【リポたんぱく質】
食物から吸収した脂質や、肝臓・脂肪組織などで合成された脂質は、血中を通って各組織へ輸送されるが、
脂質は水に溶けないため、そのままの形では輸送することができません。
そこで、疎水性のトリアシルグリセロールやコレステロールエステルを、親水性部分をもつリン脂質や
遊離コレステロールで包み込むような形状にして、
リンパ液や血液中に溶け込めるようにしています。
その表面には、少量のアポたんぱく質と呼ばれるたんぱく質が結合しています。
このような脂質とたんぱく質の複合体をリポたんぱく質と言います。
アポたんぱく質は、リポたんぱく質の構造を安定させ、
リポたんぱく質代謝に関与する酵素を活性化し、
各種細胞の表面にあるリポたんぱく質受容体を結合する分子として働きます。
【遊離脂肪酸】
血中を流れる脂質には、リポたんぱく質の他に有利脂肪酸があります。
脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は、血漿中ではアルブミンと結合した形で輸送され、
肝臓や筋肉、心臓でエネルギー源として利用されます。
血漿中の遊離脂肪酸濃度は、食事直後で低く、飢餓状態で高いのが特徴です。
【脂肪酸の分解】
脂肪酸の分解過程をβ酸化といい、ミトコンドリアのマトリックス内で行われます。
細胞内の脂肪酸は、アシルCoAシンターゼの作用によりアシルCoAに変換され、活性化されます。
アシルCoAそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないので、
内膜中に存在する運搬隊のカルニチンとCoAを変換し、
アシルカルニチンとなってミトコンドリアに入ります。
ミトコンドリア内でカルニチンを通して再びアシルCoAとなり、β酸化を受けます。
β酸化は、脂肪酸のカルボキシル基側から2個ずつ炭素が酸化され、
アセチルCoAとして切断され、離脱していく反応です。
この反応の繰り返しによってアシルCoAは全てアセチルCoAとなります。
【ケトン体の生成】
ケトン体とは、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAの内、
クエン酸回路で処理できない過剰のアセチルCoAは、
主に肝臓のミトコンドリアでケトン体に合成されます。
生成されたケトン体は血中に放出され、
筋肉、脳、腎臓などの肝外組織に運ばれ、再びアセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、
エネルギー源として利用されます。
ただし、肝臓にはケトン体を代謝する酵素がないため、
ケトン体をエネルギー源として利用することができません。
飢餓や糖尿病のように末梢の細胞へのグルコース供給十分でない場合、
血中の遊離脂肪酸濃度が上昇し、ケトン体の合成が亢進します。
ケトン体の合成亢進により、血中のケトン体濃度が上昇した状態をケトーシスと言います。
ケトン体の内、アセト酢酸とβ-ヒドロキシ酪酸は酸であるため、
ケトーシスが進むと血液のpHが酸性に傾くアシドーシスとなり、生命の危機となります。
【コレステロールの生合成】
コレステロールは生体膜構成成分として重要な物質であるとともに、
胆汁酸やステロイドホルモン、プロビタミンD3の前駆物質でもあります。
ヒトは食事から1日0.1〜0.5gのコレステロールを吸収していますが、
生体内ではそれよりも少し多い1日0.5〜1gが生合成されています。
コレステロールは、肝臓や小腸などでアセチルCoAから何段階もの反応を経て合成されます。
脂肪酸合成と同様、ペントースリン酸回路で作られたNADPHが利用されます。
この系の律速酵素はHMG-CoA還元酵素で、
最終生成物であるコレステロールによりフィードバック調整を受けます。
次回、問題を出題します。
【脂質の消化】
摂取された脂質は、十二指腸に分泌される胆汁酸塩によりまず乳化されます。
乳化によって各消化酵素の効率は高められます。
トリアシルグリセロールは膵液リパーゼによって、
大部分がモノアシルグリセロールと脂肪酸に加水分解されます。
リン脂質はホスホリパーゼA2によってリゾリン脂質と脂肪酸に、
コレステロールエステルはコレステロールエステラーゼによって、
遊離コレステロールを脂肪酸に加水分解されます。
【脂質の吸収】
消化により生成されたモノアシルグリセロール、長鎖脂肪酸、リゾリン脂質、遊離コレステロールは、
胆汁酸塩とミセルを形成して可溶化され、
小腸吸収上皮細胞の表面でミセルから抜き出されて吸収されます。
吸収細胞に入ったモノアシルグリセロールと長鎖脂肪酸は、トリアシルグリセロールに再合成され、
リン脂質、コレステロールエステル、遊離コレステロールと共に、
アポたんぱく質との複合体であるカイロミクロン(キロミクロン)を形成します。
カイロミクロンはリンパ液中に分泌され、リンパ管を経て血液に入り、
脂肪細胞や筋肉、組織でトリアシルグリセロールの70〜90%を放出し、
カイロミクロンレムナントとなり、肝臓に取り込まれます。
グリセロールと短鎖及び中鎖脂肪酸は、ミセルを形成せずそのまま容易に吸収細胞に吸収され、
トリアシルグリセロールに再合成されることなく、門脈を経て肝臓に運ばれます。
中鎖トリアシルグリセロールは、長鎖トリアシルグリセロールに比べ、消化吸収されやすいものです。
脂質の吸収のほとんどは空腸で行われます。
【吸収後の脂質】
各組織に運ばれたカイロミクロン中のトリアシルグリセロールは、
末梢血管壁に存在するリポたんぱく質リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解されます。
脂肪酸は脂肪組織に取り込まれてトリアシルグリセロールとして貯蔵したり、
筋肉などに取り込まれてβ酸化を受けてアセチルCoAとなり、
クエン酸回路、電子伝達系を経てエネルギー篇として利用されます。
【リポたんぱく質】
食物から吸収した脂質や、肝臓・脂肪組織などで合成された脂質は、血中を通って各組織へ輸送されるが、
脂質は水に溶けないため、そのままの形では輸送することができません。
そこで、疎水性のトリアシルグリセロールやコレステロールエステルを、親水性部分をもつリン脂質や
遊離コレステロールで包み込むような形状にして、
リンパ液や血液中に溶け込めるようにしています。
その表面には、少量のアポたんぱく質と呼ばれるたんぱく質が結合しています。
このような脂質とたんぱく質の複合体をリポたんぱく質と言います。
アポたんぱく質は、リポたんぱく質の構造を安定させ、
リポたんぱく質代謝に関与する酵素を活性化し、
各種細胞の表面にあるリポたんぱく質受容体を結合する分子として働きます。
【遊離脂肪酸】
血中を流れる脂質には、リポたんぱく質の他に有利脂肪酸があります。
脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は、血漿中ではアルブミンと結合した形で輸送され、
肝臓や筋肉、心臓でエネルギー源として利用されます。
血漿中の遊離脂肪酸濃度は、食事直後で低く、飢餓状態で高いのが特徴です。
【脂肪酸の分解】
脂肪酸の分解過程をβ酸化といい、ミトコンドリアのマトリックス内で行われます。
細胞内の脂肪酸は、アシルCoAシンターゼの作用によりアシルCoAに変換され、活性化されます。
アシルCoAそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないので、
内膜中に存在する運搬隊のカルニチンとCoAを変換し、
アシルカルニチンとなってミトコンドリアに入ります。
ミトコンドリア内でカルニチンを通して再びアシルCoAとなり、β酸化を受けます。
β酸化は、脂肪酸のカルボキシル基側から2個ずつ炭素が酸化され、
アセチルCoAとして切断され、離脱していく反応です。
この反応の繰り返しによってアシルCoAは全てアセチルCoAとなります。
【ケトン体の生成】
ケトン体とは、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAの内、
クエン酸回路で処理できない過剰のアセチルCoAは、
主に肝臓のミトコンドリアでケトン体に合成されます。
生成されたケトン体は血中に放出され、
筋肉、脳、腎臓などの肝外組織に運ばれ、再びアセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、
エネルギー源として利用されます。
ただし、肝臓にはケトン体を代謝する酵素がないため、
ケトン体をエネルギー源として利用することができません。
飢餓や糖尿病のように末梢の細胞へのグルコース供給十分でない場合、
血中の遊離脂肪酸濃度が上昇し、ケトン体の合成が亢進します。
ケトン体の合成亢進により、血中のケトン体濃度が上昇した状態をケトーシスと言います。
ケトン体の内、アセト酢酸とβ-ヒドロキシ酪酸は酸であるため、
ケトーシスが進むと血液のpHが酸性に傾くアシドーシスとなり、生命の危機となります。
【コレステロールの生合成】
コレステロールは生体膜構成成分として重要な物質であるとともに、
胆汁酸やステロイドホルモン、プロビタミンD3の前駆物質でもあります。
ヒトは食事から1日0.1〜0.5gのコレステロールを吸収していますが、
生体内ではそれよりも少し多い1日0.5〜1gが生合成されています。
コレステロールは、肝臓や小腸などでアセチルCoAから何段階もの反応を経て合成されます。
脂肪酸合成と同様、ペントースリン酸回路で作られたNADPHが利用されます。
この系の律速酵素はHMG-CoA還元酵素で、
最終生成物であるコレステロールによりフィードバック調整を受けます。
次回、問題を出題します。
2017年08月25日
G糖質の代謝と栄養【解説】
昨日の糖質の代謝と栄養の問題の解説です。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
グルコース6‐ホスファターゼは、糖新生系の酵素であり、
グルコース6‐リン酸をグルコースに変換する。
(2)誤り。
グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、最終的に乳酸が生成する。
(3)誤り。
オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、細胞質内で進行する。
ミトコンドリア内にあるオキサロ酢酸は、リンゴ酸シャトルで細胞質に出て、
ホスホエノールピルピン酸となりグルコース合成に利用される。
(4)正しい。
ペントースリン酸回路によって生成されたNADPHは、
還元剤として脂肪酸やステロイドの生合成などに利用される。
(5)誤り。
グリコーゲンの加リン酸分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
この反応はグリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
全てが可逆反応ではない。
解糖経路の不可逆反応は、ヘキソキナーゼ(グルコース→グルコース6‐リン酸)、
ホスホフルクトキナーゼ(フルクトース6‐リン酸→フルクトース1,6‐ビスリン酸)、
ピルビン酸キナーゼ(ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸)で触媒される3つの反応で、
いずれの酵素も律速酵素である。
(2)誤り。
c-AMPは細胞内シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働き、
たんぱく質リン酸化酵素を活性化する。
(3)誤り。
脂肪酸がβ酸化されるとアセチルCoAが生成されクエン酸回路に入る。
また、アミノ酸の場合も、ケト原性アミノ酸はアセトアセチルCoAを経てアセチルCoAに、
糖原性アミノ酸はピルビン酸を経てアセチルCoAに合成される。
(4)誤り。
グルコース残基は、UDP‐グルコースから供給される。
(5)正しい。
UDP‐グルクロン酸は、間接ビリルビンと抱合して直接ビリルビンとなり、
胆汁の成分となって排泄される。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
食後の血糖上昇により、筋肉や肝臓ではグリコーゲンの合成が進む。
(2)誤り。
食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り組みが増加する。
(3)誤り。
脂肪酸はグルコースに転換されない。
グルコースが不足した空腹時には、糖新生経路により、
乳酸、グリセロール、アミノ酸がグルコースに転換される。
脂肪酸は糖新生の材料にならない。
なお、糖新生は肝臓の他、腎臓での行われる。
(4)正しい。
(5)誤り。
筋肉内で産生された乳酸は、肝臓に運ばれ、糖新生経路によりグルコースに転換される(コリ回路)。
Q1.糖質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)グルコース6-ホスファターゼは、解糖系の酵素である。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
グルコース6‐ホスファターゼは、糖新生系の酵素であり、
グルコース6‐リン酸をグルコースに変換する。
(2)誤り。
グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、最終的に乳酸が生成する。
(3)誤り。
オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、細胞質内で進行する。
ミトコンドリア内にあるオキサロ酢酸は、リンゴ酸シャトルで細胞質に出て、
ホスホエノールピルピン酸となりグルコース合成に利用される。
(4)正しい。
ペントースリン酸回路によって生成されたNADPHは、
還元剤として脂肪酸やステロイドの生合成などに利用される。
(5)誤り。
グリコーゲンの加リン酸分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
この反応はグリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される。
Q2.ヒトの体内での糖質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は、すべて可逆的に進行する。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
全てが可逆反応ではない。
解糖経路の不可逆反応は、ヘキソキナーゼ(グルコース→グルコース6‐リン酸)、
ホスホフルクトキナーゼ(フルクトース6‐リン酸→フルクトース1,6‐ビスリン酸)、
ピルビン酸キナーゼ(ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸)で触媒される3つの反応で、
いずれの酵素も律速酵素である。
(2)誤り。
c-AMPは細胞内シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働き、
たんぱく質リン酸化酵素を活性化する。
(3)誤り。
脂肪酸がβ酸化されるとアセチルCoAが生成されクエン酸回路に入る。
また、アミノ酸の場合も、ケト原性アミノ酸はアセトアセチルCoAを経てアセチルCoAに、
糖原性アミノ酸はピルビン酸を経てアセチルCoAに合成される。
(4)誤り。
グルコース残基は、UDP‐グルコースから供給される。
(5)正しい。
UDP‐グルクロン酸は、間接ビリルビンと抱合して直接ビリルビンとなり、
胆汁の成分となって排泄される。
Q3.糖質の栄養に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)食後の血糖値上昇により、筋肉ではグリコーゲンの分解が進む。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
食後の血糖上昇により、筋肉や肝臓ではグリコーゲンの合成が進む。
(2)誤り。
食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り組みが増加する。
(3)誤り。
脂肪酸はグルコースに転換されない。
グルコースが不足した空腹時には、糖新生経路により、
乳酸、グリセロール、アミノ酸がグルコースに転換される。
脂肪酸は糖新生の材料にならない。
なお、糖新生は肝臓の他、腎臓での行われる。
(4)正しい。
(5)誤り。
筋肉内で産生された乳酸は、肝臓に運ばれ、糖新生経路によりグルコースに転換される(コリ回路)。
2017年08月24日
G糖質の代謝と栄養【問題】
それでは、「糖質の代謝と栄養」から三問出題します。
次回、解説します。
Q1.糖質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)グルコース6-ホスファターゼは、解糖系の酵素である。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
Q2.ヒトの体内での糖質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は、すべて可逆的に進行する。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
Q3.糖質の栄養に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)食後の血糖値上昇により、筋肉ではグリコーゲンの分解が進む。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
次回、解説します。
2017年08月23日
G糖質の代謝と栄養【ポイント】
今日は、糖質の代謝と栄養についてお話します。
【糖質の消化と吸収】
摂取されたでんぷんは、唾液及び膵液のα-アミラーゼの作用によって、
α-1,4グリコシド結合が内部からランダムに切断されて、
マルトトリオース、マルトース、α-限界デキストリンにまで分解されます。
これらの少糖類とラクトース、スクロースなどの二糖類は、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜に存在する二糖類分解酵素による膜消化を受け、
単糖類のグルコース、ガラクトース、フルクトースに分解されます。
【糖質の代謝】
吸収されたグルコースは血糖として全身に運ばれ、解糖系と呼ばれる代謝経路に入り代謝され、
主にエネルギーとして利用されます。
他の単糖類は、肝臓で固有の代謝系で代謝された後、
最終的にはグルコースと同様、解糖系に入り代謝されます。
余剰グルコースはグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。
肝臓のグリコーゲンは、血糖値が低下した状態になると、再びグルコースに分解されて、
血糖値を上昇させます。
体内でのグリコーゲン貯蔵量には原価があるため、
過剰に摂取されたグルコースはトリアシルグリセロール(中性脂肪)に変換されて脂肪組織に貯蔵されます。
【解糖系】
解糖駅とはグルコースがピルビン酸あるいは乳酸にまで分解される代謝経路で、細胞質ゾルで行われます。
グルコースがリン酸化されグルコース6-リン酸を生成する反応から始まり、
最終的には1分子のグルコースから2分子のピルビン酸あるいは2分子の乳酸を生じ、
2分子のATPが生成されます(実際には4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます)。
この経路の律速酵素(調整酵素)はヘキソナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
ピリビン酸キナーゼの3つであり、
いずれの酵素による反応も不可逆的で逆行しません。
・ヘキソキナーゼ(肝グルコキナーゼ):グルコース→グルコース6-リン酸
・ホスホフルクトキナーゼ:フルクトース6-リン酸→フルクトース1,6-ビスリン酸
・ピルビン酸キナーゼ:ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
解糖系では、酸素が不十分である条件(嫌気的条件)と酸素が十分にある条件(好気的条件)とでは、
最終産物が異なります。
激しい運動で酸素が不足するなど嫌気的条件下では、
ピルビン酸が乳酸脱水素酵素(LDH)により乳酸に変わり、乳酸が最終産物となります。
生成された乳酸は細胞外に放出され肝臓に運ばれ、グルコースに再合成されます。
一方、好気的条件下での最終産物はピルビン酸で、
ピルビン酸はさらにミトコンドリア内に入り、クエン酸回路で代謝されます。
【クエン酸回路】
クエン酸回路は糖質だけでなく、糖質やたんぱく質の代謝が合流する代謝経路であり、
これらの栄養素の炭素骨格は最終的に二酸化炭素と水に酸化されます。
好気的条件下での解糖系の最終産物であるピルビン酸は、
ミトコンドリアのマトリックス内に入ると酸化的脱炭酸を受けてアセチルCoAとなります。
アセチルCoAはオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じ、
順次、脱水素、脱炭酸などの反応を経て、オキサロ酢酸に戻り、回路を一巡します。
この回路をクエン酸回路といい、代謝中間体にはα-ケトグルタル酸などがあります。
クエン酸回路の代謝中間体はアミノ酸の合成原料としても使われ、
例えばα-ケトグルタル酸からはグルタミン酸が、オキサロ酢酸からはアスパラギン酸が作られます。
クエン酸回路では、脱水素反応によって、還元型補酵素のNADHとFADH2が生成されます。
また、解糖系やピルビン酸がアセチルCoAになる際にもNADHが生成されます。
これらの水素(電子)は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に受け渡され、
酸化的リン酸化によるATP産生に用いられます。
グルコースの代謝では、解糖系の基質準位(基質レベル)のリン酸化によるものよりも、
酸化的リン酸化によって得られるATPの量がはるかに多くなっています。
解糖系から電子伝達系までの過程で、1分子のグルコースから肝臓・心臓・腎臓では38分子、
脳・筋肉では36分子のATPが生成されます。
【糖新生】
グルコースが不足した時、血糖値が低下しないように、
乳酸、グリセロール、アミノ酸(糖原性アミノ酸)などの糖質以外の物質から
グルコースを生成する代謝経路を糖新生といい、肝臓と腎臓で行われます。
ただし、脂肪酸からのグルコースは合成されません。
糖新生はクエン酸回路の一部と回答軽の逆行によって行われるが、
クエン酸回路と回答軽には不可逆な過程があるため、
別の酵素反応で進んだり、迂回路を通ったりします。
例えば、解糖系におけるホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸は不可逆であるため、
乳酸やアミノ酸から生じるピルビン酸は、オキサロ酢酸を経由してホスホエノールピルビン酸となり、
グルコースを生成します。
【コリ回路とグルコース・アラニン回路】
・コリ回路
筋肉・赤血球・脳などの血中から取り込んだグルコースの一部分が解糖系を経て乳酸になりますが、
それが血中に出て肝臓(や腎臓)に取り込まれて、
糖新生系によりグルコースに再合成され、再び血中に放出されるという回路です。
放出されたグルコースは血液循環を通じて他の組織に運ばれ、そこで酸化反応に利用されます。
・グルコース・アラニン回路
筋肉で生じたアラニンが、血中に出て肝臓に取り込まれ、
そこでアミノ基が除かれてピルビン酸となり、糖新生系によりグルコースに転換される回路です。
空腹状態において血糖を維持するための、筋グリコーゲンを利用する間接的な経路です。
【グリコーゲンの合成と分解】
グリコーゲンの合成と分解は別々の経路で行われます。
次回、問題を出題します。
【糖質の消化と吸収】
摂取されたでんぷんは、唾液及び膵液のα-アミラーゼの作用によって、
α-1,4グリコシド結合が内部からランダムに切断されて、
マルトトリオース、マルトース、α-限界デキストリンにまで分解されます。
これらの少糖類とラクトース、スクロースなどの二糖類は、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜に存在する二糖類分解酵素による膜消化を受け、
単糖類のグルコース、ガラクトース、フルクトースに分解されます。
【糖質の代謝】
吸収されたグルコースは血糖として全身に運ばれ、解糖系と呼ばれる代謝経路に入り代謝され、
主にエネルギーとして利用されます。
他の単糖類は、肝臓で固有の代謝系で代謝された後、
最終的にはグルコースと同様、解糖系に入り代謝されます。
余剰グルコースはグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。
肝臓のグリコーゲンは、血糖値が低下した状態になると、再びグルコースに分解されて、
血糖値を上昇させます。
体内でのグリコーゲン貯蔵量には原価があるため、
過剰に摂取されたグルコースはトリアシルグリセロール(中性脂肪)に変換されて脂肪組織に貯蔵されます。
【解糖系】
解糖駅とはグルコースがピルビン酸あるいは乳酸にまで分解される代謝経路で、細胞質ゾルで行われます。
グルコースがリン酸化されグルコース6-リン酸を生成する反応から始まり、
最終的には1分子のグルコースから2分子のピルビン酸あるいは2分子の乳酸を生じ、
2分子のATPが生成されます(実際には4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます)。
この経路の律速酵素(調整酵素)はヘキソナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
ピリビン酸キナーゼの3つであり、
いずれの酵素による反応も不可逆的で逆行しません。
・ヘキソキナーゼ(肝グルコキナーゼ):グルコース→グルコース6-リン酸
・ホスホフルクトキナーゼ:フルクトース6-リン酸→フルクトース1,6-ビスリン酸
・ピルビン酸キナーゼ:ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
解糖系では、酸素が不十分である条件(嫌気的条件)と酸素が十分にある条件(好気的条件)とでは、
最終産物が異なります。
激しい運動で酸素が不足するなど嫌気的条件下では、
ピルビン酸が乳酸脱水素酵素(LDH)により乳酸に変わり、乳酸が最終産物となります。
生成された乳酸は細胞外に放出され肝臓に運ばれ、グルコースに再合成されます。
一方、好気的条件下での最終産物はピルビン酸で、
ピルビン酸はさらにミトコンドリア内に入り、クエン酸回路で代謝されます。
【クエン酸回路】
クエン酸回路は糖質だけでなく、糖質やたんぱく質の代謝が合流する代謝経路であり、
これらの栄養素の炭素骨格は最終的に二酸化炭素と水に酸化されます。
好気的条件下での解糖系の最終産物であるピルビン酸は、
ミトコンドリアのマトリックス内に入ると酸化的脱炭酸を受けてアセチルCoAとなります。
アセチルCoAはオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じ、
順次、脱水素、脱炭酸などの反応を経て、オキサロ酢酸に戻り、回路を一巡します。
この回路をクエン酸回路といい、代謝中間体にはα-ケトグルタル酸などがあります。
クエン酸回路の代謝中間体はアミノ酸の合成原料としても使われ、
例えばα-ケトグルタル酸からはグルタミン酸が、オキサロ酢酸からはアスパラギン酸が作られます。
クエン酸回路では、脱水素反応によって、還元型補酵素のNADHとFADH2が生成されます。
また、解糖系やピルビン酸がアセチルCoAになる際にもNADHが生成されます。
これらの水素(電子)は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に受け渡され、
酸化的リン酸化によるATP産生に用いられます。
グルコースの代謝では、解糖系の基質準位(基質レベル)のリン酸化によるものよりも、
酸化的リン酸化によって得られるATPの量がはるかに多くなっています。
解糖系から電子伝達系までの過程で、1分子のグルコースから肝臓・心臓・腎臓では38分子、
脳・筋肉では36分子のATPが生成されます。
【糖新生】
グルコースが不足した時、血糖値が低下しないように、
乳酸、グリセロール、アミノ酸(糖原性アミノ酸)などの糖質以外の物質から
グルコースを生成する代謝経路を糖新生といい、肝臓と腎臓で行われます。
ただし、脂肪酸からのグルコースは合成されません。
糖新生はクエン酸回路の一部と回答軽の逆行によって行われるが、
クエン酸回路と回答軽には不可逆な過程があるため、
別の酵素反応で進んだり、迂回路を通ったりします。
例えば、解糖系におけるホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸は不可逆であるため、
乳酸やアミノ酸から生じるピルビン酸は、オキサロ酢酸を経由してホスホエノールピルビン酸となり、
グルコースを生成します。
【コリ回路とグルコース・アラニン回路】
・コリ回路
筋肉・赤血球・脳などの血中から取り込んだグルコースの一部分が解糖系を経て乳酸になりますが、
それが血中に出て肝臓(や腎臓)に取り込まれて、
糖新生系によりグルコースに再合成され、再び血中に放出されるという回路です。
放出されたグルコースは血液循環を通じて他の組織に運ばれ、そこで酸化反応に利用されます。
・グルコース・アラニン回路
筋肉で生じたアラニンが、血中に出て肝臓に取り込まれ、
そこでアミノ基が除かれてピルビン酸となり、糖新生系によりグルコースに転換される回路です。
空腹状態において血糖を維持するための、筋グリコーゲンを利用する間接的な経路です。
【グリコーゲンの合成と分解】
グリコーゲンの合成と分解は別々の経路で行われます。
次回、問題を出題します。