2017年08月23日
G糖質の代謝と栄養【ポイント】
今日は、糖質の代謝と栄養についてお話します。
【糖質の消化と吸収】
摂取されたでんぷんは、唾液及び膵液のα-アミラーゼの作用によって、
α-1,4グリコシド結合が内部からランダムに切断されて、
マルトトリオース、マルトース、α-限界デキストリンにまで分解されます。
これらの少糖類とラクトース、スクロースなどの二糖類は、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜に存在する二糖類分解酵素による膜消化を受け、
単糖類のグルコース、ガラクトース、フルクトースに分解されます。
【糖質の代謝】
吸収されたグルコースは血糖として全身に運ばれ、解糖系と呼ばれる代謝経路に入り代謝され、
主にエネルギーとして利用されます。
他の単糖類は、肝臓で固有の代謝系で代謝された後、
最終的にはグルコースと同様、解糖系に入り代謝されます。
余剰グルコースはグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。
肝臓のグリコーゲンは、血糖値が低下した状態になると、再びグルコースに分解されて、
血糖値を上昇させます。
体内でのグリコーゲン貯蔵量には原価があるため、
過剰に摂取されたグルコースはトリアシルグリセロール(中性脂肪)に変換されて脂肪組織に貯蔵されます。
【解糖系】
解糖駅とはグルコースがピルビン酸あるいは乳酸にまで分解される代謝経路で、細胞質ゾルで行われます。
グルコースがリン酸化されグルコース6-リン酸を生成する反応から始まり、
最終的には1分子のグルコースから2分子のピルビン酸あるいは2分子の乳酸を生じ、
2分子のATPが生成されます(実際には4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます)。
この経路の律速酵素(調整酵素)はヘキソナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
ピリビン酸キナーゼの3つであり、
いずれの酵素による反応も不可逆的で逆行しません。
・ヘキソキナーゼ(肝グルコキナーゼ):グルコース→グルコース6-リン酸
・ホスホフルクトキナーゼ:フルクトース6-リン酸→フルクトース1,6-ビスリン酸
・ピルビン酸キナーゼ:ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
解糖系では、酸素が不十分である条件(嫌気的条件)と酸素が十分にある条件(好気的条件)とでは、
最終産物が異なります。
激しい運動で酸素が不足するなど嫌気的条件下では、
ピルビン酸が乳酸脱水素酵素(LDH)により乳酸に変わり、乳酸が最終産物となります。
生成された乳酸は細胞外に放出され肝臓に運ばれ、グルコースに再合成されます。
一方、好気的条件下での最終産物はピルビン酸で、
ピルビン酸はさらにミトコンドリア内に入り、クエン酸回路で代謝されます。
【クエン酸回路】
クエン酸回路は糖質だけでなく、糖質やたんぱく質の代謝が合流する代謝経路であり、
これらの栄養素の炭素骨格は最終的に二酸化炭素と水に酸化されます。
好気的条件下での解糖系の最終産物であるピルビン酸は、
ミトコンドリアのマトリックス内に入ると酸化的脱炭酸を受けてアセチルCoAとなります。
アセチルCoAはオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じ、
順次、脱水素、脱炭酸などの反応を経て、オキサロ酢酸に戻り、回路を一巡します。
この回路をクエン酸回路といい、代謝中間体にはα-ケトグルタル酸などがあります。
クエン酸回路の代謝中間体はアミノ酸の合成原料としても使われ、
例えばα-ケトグルタル酸からはグルタミン酸が、オキサロ酢酸からはアスパラギン酸が作られます。
クエン酸回路では、脱水素反応によって、還元型補酵素のNADHとFADH2が生成されます。
また、解糖系やピルビン酸がアセチルCoAになる際にもNADHが生成されます。
これらの水素(電子)は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に受け渡され、
酸化的リン酸化によるATP産生に用いられます。
グルコースの代謝では、解糖系の基質準位(基質レベル)のリン酸化によるものよりも、
酸化的リン酸化によって得られるATPの量がはるかに多くなっています。
解糖系から電子伝達系までの過程で、1分子のグルコースから肝臓・心臓・腎臓では38分子、
脳・筋肉では36分子のATPが生成されます。
【糖新生】
グルコースが不足した時、血糖値が低下しないように、
乳酸、グリセロール、アミノ酸(糖原性アミノ酸)などの糖質以外の物質から
グルコースを生成する代謝経路を糖新生といい、肝臓と腎臓で行われます。
ただし、脂肪酸からのグルコースは合成されません。
糖新生はクエン酸回路の一部と回答軽の逆行によって行われるが、
クエン酸回路と回答軽には不可逆な過程があるため、
別の酵素反応で進んだり、迂回路を通ったりします。
例えば、解糖系におけるホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸は不可逆であるため、
乳酸やアミノ酸から生じるピルビン酸は、オキサロ酢酸を経由してホスホエノールピルビン酸となり、
グルコースを生成します。
【コリ回路とグルコース・アラニン回路】
・コリ回路
筋肉・赤血球・脳などの血中から取り込んだグルコースの一部分が解糖系を経て乳酸になりますが、
それが血中に出て肝臓(や腎臓)に取り込まれて、
糖新生系によりグルコースに再合成され、再び血中に放出されるという回路です。
放出されたグルコースは血液循環を通じて他の組織に運ばれ、そこで酸化反応に利用されます。
・グルコース・アラニン回路
筋肉で生じたアラニンが、血中に出て肝臓に取り込まれ、
そこでアミノ基が除かれてピルビン酸となり、糖新生系によりグルコースに転換される回路です。
空腹状態において血糖を維持するための、筋グリコーゲンを利用する間接的な経路です。
【グリコーゲンの合成と分解】
グリコーゲンの合成と分解は別々の経路で行われます。
次回、問題を出題します。
【糖質の消化と吸収】
摂取されたでんぷんは、唾液及び膵液のα-アミラーゼの作用によって、
α-1,4グリコシド結合が内部からランダムに切断されて、
マルトトリオース、マルトース、α-限界デキストリンにまで分解されます。
これらの少糖類とラクトース、スクロースなどの二糖類は、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜に存在する二糖類分解酵素による膜消化を受け、
単糖類のグルコース、ガラクトース、フルクトースに分解されます。
【糖質の代謝】
吸収されたグルコースは血糖として全身に運ばれ、解糖系と呼ばれる代謝経路に入り代謝され、
主にエネルギーとして利用されます。
他の単糖類は、肝臓で固有の代謝系で代謝された後、
最終的にはグルコースと同様、解糖系に入り代謝されます。
余剰グルコースはグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。
肝臓のグリコーゲンは、血糖値が低下した状態になると、再びグルコースに分解されて、
血糖値を上昇させます。
体内でのグリコーゲン貯蔵量には原価があるため、
過剰に摂取されたグルコースはトリアシルグリセロール(中性脂肪)に変換されて脂肪組織に貯蔵されます。
【解糖系】
解糖駅とはグルコースがピルビン酸あるいは乳酸にまで分解される代謝経路で、細胞質ゾルで行われます。
グルコースがリン酸化されグルコース6-リン酸を生成する反応から始まり、
最終的には1分子のグルコースから2分子のピルビン酸あるいは2分子の乳酸を生じ、
2分子のATPが生成されます(実際には4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます)。
この経路の律速酵素(調整酵素)はヘキソナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
ピリビン酸キナーゼの3つであり、
いずれの酵素による反応も不可逆的で逆行しません。
・ヘキソキナーゼ(肝グルコキナーゼ):グルコース→グルコース6-リン酸
・ホスホフルクトキナーゼ:フルクトース6-リン酸→フルクトース1,6-ビスリン酸
・ピルビン酸キナーゼ:ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
解糖系では、酸素が不十分である条件(嫌気的条件)と酸素が十分にある条件(好気的条件)とでは、
最終産物が異なります。
激しい運動で酸素が不足するなど嫌気的条件下では、
ピルビン酸が乳酸脱水素酵素(LDH)により乳酸に変わり、乳酸が最終産物となります。
生成された乳酸は細胞外に放出され肝臓に運ばれ、グルコースに再合成されます。
一方、好気的条件下での最終産物はピルビン酸で、
ピルビン酸はさらにミトコンドリア内に入り、クエン酸回路で代謝されます。
【クエン酸回路】
クエン酸回路は糖質だけでなく、糖質やたんぱく質の代謝が合流する代謝経路であり、
これらの栄養素の炭素骨格は最終的に二酸化炭素と水に酸化されます。
好気的条件下での解糖系の最終産物であるピルビン酸は、
ミトコンドリアのマトリックス内に入ると酸化的脱炭酸を受けてアセチルCoAとなります。
アセチルCoAはオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じ、
順次、脱水素、脱炭酸などの反応を経て、オキサロ酢酸に戻り、回路を一巡します。
この回路をクエン酸回路といい、代謝中間体にはα-ケトグルタル酸などがあります。
クエン酸回路の代謝中間体はアミノ酸の合成原料としても使われ、
例えばα-ケトグルタル酸からはグルタミン酸が、オキサロ酢酸からはアスパラギン酸が作られます。
クエン酸回路では、脱水素反応によって、還元型補酵素のNADHとFADH2が生成されます。
また、解糖系やピルビン酸がアセチルCoAになる際にもNADHが生成されます。
これらの水素(電子)は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に受け渡され、
酸化的リン酸化によるATP産生に用いられます。
グルコースの代謝では、解糖系の基質準位(基質レベル)のリン酸化によるものよりも、
酸化的リン酸化によって得られるATPの量がはるかに多くなっています。
解糖系から電子伝達系までの過程で、1分子のグルコースから肝臓・心臓・腎臓では38分子、
脳・筋肉では36分子のATPが生成されます。
【糖新生】
グルコースが不足した時、血糖値が低下しないように、
乳酸、グリセロール、アミノ酸(糖原性アミノ酸)などの糖質以外の物質から
グルコースを生成する代謝経路を糖新生といい、肝臓と腎臓で行われます。
ただし、脂肪酸からのグルコースは合成されません。
糖新生はクエン酸回路の一部と回答軽の逆行によって行われるが、
クエン酸回路と回答軽には不可逆な過程があるため、
別の酵素反応で進んだり、迂回路を通ったりします。
例えば、解糖系におけるホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸は不可逆であるため、
乳酸やアミノ酸から生じるピルビン酸は、オキサロ酢酸を経由してホスホエノールピルビン酸となり、
グルコースを生成します。
【コリ回路とグルコース・アラニン回路】
・コリ回路
筋肉・赤血球・脳などの血中から取り込んだグルコースの一部分が解糖系を経て乳酸になりますが、
それが血中に出て肝臓(や腎臓)に取り込まれて、
糖新生系によりグルコースに再合成され、再び血中に放出されるという回路です。
放出されたグルコースは血液循環を通じて他の組織に運ばれ、そこで酸化反応に利用されます。
・グルコース・アラニン回路
筋肉で生じたアラニンが、血中に出て肝臓に取り込まれ、
そこでアミノ基が除かれてピルビン酸となり、糖新生系によりグルコースに転換される回路です。
空腹状態において血糖を維持するための、筋グリコーゲンを利用する間接的な経路です。
【グリコーゲンの合成と分解】
グリコーゲンの合成と分解は別々の経路で行われます。
次回、問題を出題します。
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