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2017年09月22日

P消化器系【解説】

それでは、「消化器系」から六問出題します。

Q1.嚥下障害に関する記述である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)脳神経障害は、嚥下障害の原因になる。
(2)嚥下障害は、肺炎の原因になる。
(3)嚥下訓練には、食物を用いた間接訓練がある。
(4)トロミ食やゼリー食が用いられる。
(5)嚥下造影検査で評価する。


【解説】…正答(3)
(1)正しい。嚥下には、舌咽神経や迷走神経などの脳神経が関わっている。
(2)正しい。食物や唾液などの誤嚥が原因で起こる誤嚥性肺炎が発症しやすくなる。
(3)誤り。食物を用いない間接訓練と、食物を用いた直接訓練がある。
(4)正しい。飲み込み易く誤嚥しにくいトロミ食やゼリー食が適している。
(5)正しい。嚥下造影検査(VF)は、造影剤入りのゼリーなどを食べてもらい、
   その通過状態をレントゲンビデオカメラで撮影するものである。


Q2.消化器疾患に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)潰瘍性大腸炎では、非連続性の病変がみられる。
(2)過敏性腸症候群では、腸粘膜のびらんと下血がみられる。
(3)急性膵炎の原因に、高カイロミクロン血症がある。
(4)肝硬変では、門脈圧が低下する。
(5)急性胆嚢炎の病因は、アルコールの過飲が最も多い。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。潰瘍性大腸炎では、直腸から連続的に炎症が上昇していく。
   非連続性の病変がみられるのはクローン病である。
(2)誤り。過敏性腸症候群は、器質的疾患ではなく機能的疾患なので、
   腸粘膜のびらんや下血はみられない。
(3)正しい。急性膵炎の原因としては、アルコール過飲、胆石症がほとんど占めるが、
   高カイロミクロン血症も原因となる。
(4)誤り。肝機能の低下により門脈は循環障害を起こし、門脈は上昇する。
(5)誤り。急性胆嚢炎の病因の多くは、胆石による胆嚢管の閉塞である。
   アルコールの過飲では急性膵炎などを起こしやすい。


Q3.クローン病についての記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)直腸が好発部位である。
(2)寛解期では、脂肪摂取量を1日あたり40g以下とする。
(3)活動期では、食物繊維の摂取を多くする。
(4)活動期では、エネルギー補給はs標準体重当たり20kcalとする。
(5)成分栄養剤による治療は行わない。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。クローン病の好発部位は回盲部(小腸末端部)である。
(2)正しい。
(3)誤り。活動期は炎症があるため、
   腸の安静を保つために不溶性食物繊維の摂取を制限した低残渣食とする。
(4)誤り。クローン病の栄養補給の基本は、高たんぱく・高エネルギー・低脂肪・低刺激食である。
(5)誤り。クローン病の場合、栄養状態を良好に保ち腸管の負荷を軽減するために成分栄養剤を使用する。


Q4.肝疾患に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)急性肝炎の黄疸期には、たんぱく質制限食とする。
(2)C型慢性肝炎では、鉄制限食とする。
(3)肝硬変の腹水の原因は、血漿膠質浸透圧の上昇である。
(4)肝性脳症では、芳香族アミノ酸を補う。
(5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝硬変に移行しない。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。黄疸時には脂肪分解機能が低下するので、脂肪制限食とする。
(2)正しい。1日6r以下の鉄制限食とする。
(3)誤り。肝硬変の腹水の原因は、
   低アルブミン血症による血漿膠質浸透圧の低下及び門脈圧の亢進である。
(4)誤り。肝性脳症ではフィッシャー比が低下するため、これを是正するために分岐アミノ酸を補う。
   フィッシャー比=分岐アミノ酸/芳香族アミノ酸
(5)誤り。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を治療しない場合、
   5〜10年で5〜20%の症例が肝硬変に移行する。


Q5.胃切除術後に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)巨赤芽球性貧血は、術直後にみられる合併症である。
(2)骨塩量減少の原因は、カルシウムの吸収不良である。
(3)早期ダンピング症候群の予防には、高糖質食を勧める。
(4)鉄吸収が促進される。
(5)胃酸分泌が過剰になる。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。肝臓に蓄えられているビタミン12が枯渇する。術後5〜6年後にみられる。
(2)正しい。
(3)誤り。低糖質・高たんぱく質食を勧める。
(4)・(5)誤り。胃切除により胃酸分泌が減少するため、鉄吸収は低下する。


Q6.がんに関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)大腸がんは、S状結腸や直腸に好発する。
(2)家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)は、大腸癌の頻度が低い。
(3)膵頭部がんは、閉塞性黄疸をきたしやすい。
(4)食道癌は、腺がんが最も多い。
(5)PSAは、肝細胞がんの腫瘍マーカーである。


【解説】…正答(1)・(3)
(1)正しい。
(2)誤り。家族性大腸腺腫症は、大腸がんの頻度が高い。
   家族性大腸腺腫症は、がん抑制遺伝子の1つであるAPC遺伝子の異常で起こる。
(3)正しい。膵頭部腫瘍は総胆管を圧迫して単純の流れを阻害するため、閉塞性黄疸をきたしやすい。
(4)誤り。食道の粘膜上皮は重層扁平上皮であるため、扁平上皮がんが最も多い。
(5)誤り。PSA(前立腺特異高原)は、前立腺がんの腫瘍マーカーである。
   肝細胞がんの腫瘍マーカーには、α‐フェトプロテイン(AFP)や
   ビタミンK欠乏たんぱくU(PIVKA‐U)がある。


次回、解説します。

2017年09月21日

P消化器系【問題】

それでは、「消化器系」から六問出題します。

Q1.嚥下障害に関する記述である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)脳神経障害は、嚥下障害の原因になる。
(2)嚥下障害は、肺炎の原因になる。
(3)嚥下訓練には、食物を用いた間接訓練がある。
(4)トロミ食やゼリー食が用いられる。
(5)嚥下造影検査で評価する。



Q2.消化器疾患に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)潰瘍性大腸炎では、非連続性の病変がみられる。
(2)過敏性腸症候群では、腸粘膜のびらんと下血がみられる。
(3)急性膵炎の原因に、高カイロミクロン血症がある。
(4)肝硬変では、門脈圧が低下する。
(5)急性胆嚢炎の病因は、アルコールの過飲が最も多い。



Q3.クローン病についての記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)直腸が好発部位である。
(2)寛解期では、脂肪摂取量を1日あたり40g以下とする。
(3)活動期では、食物繊維の摂取を多くする。
(4)活動期では、エネルギー補給はs標準体重当たり20kcalとする。
(5)成分栄養剤による治療は行わない。



Q4.肝疾患に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)急性肝炎の黄疸期には、たんぱく質制限食とする。
(2)C型慢性肝炎では、鉄制限食とする。
(3)肝硬変の腹水の原因は、血漿膠質浸透圧の上昇である。
(4)肝性脳症では、芳香族アミノ酸を補う。
(5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝硬変に移行しない。



Q5.胃切除術後に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)巨赤芽球性貧血は、術直後にみられる合併症である。
(2)骨塩量減少の原因は、カルシウムの吸収不良である。
(3)早期ダンピング症候群の予防には、高糖質食を勧める。
(4)鉄吸収が促進される。
(5)胃酸分泌が過剰になる。



Q6.がんに関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)大腸がんは、S状結腸や直腸に好発する。
(2)家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)は、大腸癌の頻度が低い。
(3)膵頭部がんは、閉塞性黄疸をきたしやすい。
(4)食道癌は、腺がんが最も多い。
(5)PSAは、肝細胞がんの腫瘍マーカーである。



次回、解説します。

2017年09月20日

P消化器系【ポイント】

今日は、「消化器系」についてお話します。

【消化器の構造と機能】
消化器系は、口腔から肛門まで続くいわゆる消化管と分泌活動を行う副器官からなります。

・口腔
 口腔は、口腔前庭と固有口腔とに分けられます。
 咀嚼した食物を消化するため、唾液腺より唾液が分泌されます。
 唾液に含まれるα-アミラーゼは、でんぷんやデキストリンやマルトースに分解できます。

・咽頭
 食物が咽頭・食道から胃へと運ばれることを嚥下と言います。
 咽頭は消化管の一部でもあり、気道の一部でもあります。

・食道
 食道粘膜は単扁平上皮で漿膜はありません。
 食道の上部は横紋筋で、下部は平滑筋からなります。
 食道には3カ所の生理的狭窄部があります。

・胃
 容量は1,500mlで、食道とは噴門を、十二指腸とは幽門を経てつらなります。
 噴門の高さより上を胃底、下部を胃体、角切痕と幽門との間を前庭部(幽門部)と呼びます。
 胃液は、2〜3L/日分泌されます。
 胃酸の分泌は、ガストリン、ヒスタミン、アセチルコリンによって促進され、
 セレクチン、GIPによって抑制されます。

・小腸
 小腸は全長6〜7mで、十二指腸、空腸、回腸の3つの部分に分けられます。
 総胆管と膵管の開口部には、大十二指腸乳頭(ファーター乳糖)があります。
 開口部にはオッディ括約筋があり、胆汁、膵液の十二指腸への流入を調整しています。
 胃から食物が十二指腸に送られてくると、コレシストキニンとセレクチンが放出されます。
 胆汁は肝臓で作られ、胆嚢で濃縮されます。
 消化酵素は含みませんが、脂肪を乳化して、膵リパーゼが働きやすくします。

・膵臓
 後腹膜臓器で、胃の後ろ下方に位置し、腹膜の外側にあります。
 外分泌腺と内分泌腺があります。

・肝臓
 重さ1.2sの人体で最大の臓器で、右葉と左葉に分けられます。
 肝門からは、門脈、固有肝動脈、左右肝管、神経などが出入りしますが、肝静脈はここから出入しません。
 機能は、糖代謝、脂質代謝、血漿たんぱく質、血液凝固因子、尿素の生成、胆汁の生成、薬物代謝、
 アルコールの代謝、ビリルビン代謝、ビタミンの貯蔵、不要な女性ホルモンの分解、芳香族アミノ酸代謝。

・胆嚢
 肝臓で生成された短銃は、一旦胆嚢に蓄えられます。
 脂肪性の食物が十二指腸に入ると、コレシストキニンが分泌され、胆嚢は収縮します。

・大腸
 盲腸、結腸、直腸に分けられます。
 結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。
 機能は、水・電解質の吸収です。

【嚥下障害】
咀嚼とは、食物を唾液と混ぜ合わせて噛み砕くことです。
嚥下とは、ショック持つを口腔→咽頭→食道→胃へと送り込む一連の運動を指し、
延髄にある嚥下中枢でコントロールされています。
〇嚥下の機構
@先行期:食物の正常を認知する段階。
A準備期:食物を口腔内に取り込み、咀嚼し、食塊を形成する段階。
B口腔期(第1相):食塊が舌運動により口腔から咽頭腔に送られる段階(随意運動期)。
C咽頭期(第2相):嚥下反応により食塊が咽頭腔から食道入り口に送られる段階(不随意運動期)。
          この時、呼吸は一時的に停止する。
D食道期(第3相):食道の蠕動運動により食塊が食道から胃に送られる段階(不随意運動期)。
・嚥下の原因
 器質的原因、機能的原因、心理的原因に分類できます。
・症状
 球麻痺があると構音障害を伴い、高齢では誤嚥性肺炎の可能性が高くなります。
・診断
 嚥下造影検査(VF)、反復唾液嚥下テスト、改定水飲みテスト、フードテスト
・嚥下訓練
 間接訓練(基礎訓練)、直接訓練(摂食訓練)

【胃食道逆流症】
胃内容物が食道内に逆流することによって、胸やけや呑酸、食道\などをおこすものの総称で、
その代表例が逆流性食道炎です。
過食、胃酸の分泌を促進する食品、胃内の滞留時間の長い食品、動物性たんぱく質、アルコールは避け、
就寝前の飲食を控え、少量頻回食にすることが重要です。

【胃・十二指腸潰瘍】
胃液内の塩酸やペプシンなどの攻撃因子と生体の防御因子との間の平衡が破れ、
攻撃因子が優勢となり、胃・十二指腸潰瘍を自己消化する消化性潰瘍です。
・食事療法
 出血時:絶食として静脈栄養
 急性期:流動食→3分食→5分粥→7分粥→全粥食とすすめていき、脂質の摂取を減らす。
 回復期:胃粘膜を機械的・化学的に刺激しない食品、胃液の分泌を促進しない食品、
     十分なカロリーと良質なたんぱく質、各種ビタミン・ミネラルを含んだもの。
     香辛料・嗜好品は控える。

【たんぱく漏出性胃腸症】
アルブミンとはじめとする血漿タンパク質が、消化管へ過剰に漏出することにより低たんぱく血症をきたす
 症候群のことをいいます。
・食事療法
 低脂肪、高エネルギー、高たんぱく質食

【クローン病】
消化管の慢性の肉芽腫性炎症性病変を主体とする原因不明の疾患で、再燃寛解を繰り返します。
若年者に多く、口から肛門に至る消化管全てに炎症が発生し、特に回盲部に多く発生します。
重症の場合は中心静脈栄養法、中等症の場合は経腸栄養法、
寛解期は1日の摂取量の半分に相当するエネルギーを経腸栄養法で摂取することは、寛解維持に有効であり、
食事は低脂肪、低残渣、高タンパク質、高エネルギーを原則とします。

【潰瘍性大腸炎】
大腸粘膜に発生する原因不明のびまん性非特異性炎症であり、再燃寛解を繰り返します。
若年者に多く、病変は連続的に進展し、炎症は粘膜に限局しています。
腹痛や下痢、粘血便が改善したら、徐々に食事を開始します。
脂肪の多量摂取は下痢を助長するので控えます。
食物繊維は控える必要はなく、むしろプレバイオティクスとしての有用性が確認されています。
寛解期には、炎症反応効果のあるn-3経多価不飽和脂肪酸や水溶性食物繊維を十分に摂取します。

【短腸症候群】
腸管大量切除後の消化吸収面積の絶対的な現象により、種々の栄養素の消化十週障害をきたす症候群です。
重度の下痢、脂肪便、吸収不良、低栄養状態、腸内容物通過時間の短縮などの症状を呈します。
食事は、高たんぱく質食、高エネルギー食、低脂肪、低残渣食にします。

【下痢】
下痢とは、糞便中の水分量が異常に増加した状態(80%以上)です。
下痢の持続期間が1〜2週間までのものを急性下痢症、3週間以上続くものを慢性下痢症といいます。
下痢には、分泌性下痢、浸透圧性下痢、滲出性下痢、腸管運動異常があります。
下痢では脱水とともに、ナトリウム、カリウムの欠乏をきたしやすく、
水分や電解質の補給が必要です。
食事は低脂肪、低刺激、易消化のものとします。

【便秘】
便秘とは、食物のカスが腸内に長くとどまっているため、水分が吸収されて硬くなり、
排便しにくくなる状態をいいます。
機能性便秘と器質性便秘に分けられ、機能性便秘は弛緩性便秘とけいれん性便秘に分けられます。
弛緩性便秘は、腸管に刺激を与える食物繊維を十分に摂取し、水分も十分に摂取します。
けいれん性便秘は、腸管に刺激を与えないよう、食物繊維を控え、香辛料等も制限します。

【イレウス(腸閉塞)】
何らかの原因によって腸管内容物の通貨障害が起こり、腸内容物が腸内腔にすることによって、
腹痛、嘔吐、排便の停止、腹膜炎、ショックなどの多様な症状をきたす病態をいいます。
機械的イレウス(閉塞性(単純性)イレウス、絞扼性(複雑性)イレウス)と
機能的イレウス(麻痺性イレウス、けいれん性イレウス)に分けられます。

【肝炎】
肝炎.jpg

【肝硬変】
肝硬変とは、慢性ウイルス性肝炎などあらゆる慢性進行性肝疾患の週末像であり、多くは不可逆的です。
肝機能が良く保たれており、臨床症状のほとんどない代償期と、
肝硬変が進行し臨床症状(腹水・浮腫・黄疸・肝性脳症・出血傾向)のみられる非代償期とに分けられます。
最終的に肝細胞がんを発症することが多くみられます。
食事療法は、代償期は特段の制限は不要であり、規則正しい食生活を心掛け、
便秘とならないように注意します。
非代償期は、高アンモニア血症、肝性脳症がみられるときは、
アンモニアや芳香族アミノ酸の発生を抑制するため、たんぱく質を制限します。
浮腫・腹水や見られるときは、食塩制限と水分制限を行います。

【脂肪肝】
過栄養性、内分泌性(糖尿病)、アルコール性、静脈栄養(高カロリー輸液)によるものが多くみられます。
食事療法としては、一般的に低カロリー食が処方されます。

【胆石症】
胆道系で形成された結石が胆嚢や痰道内に停滞する疾患です。
中年以降(60〜70歳代がピーク)の女性や肥満者に多く見られます。
食事療法は、脂肪を10~30g程度に制限し、コレステロール低下作用のある食物繊維を十分に摂取します。

【急性胆嚢炎】
ほとんどの急性胆嚢炎は胆石が関与しており、胆石が胆嚢管を閉塞している場合が多くみられます。
急性期では絶食とし、静脈栄養補給とします。
回復期の食事は低脂質食(10g/日)を原則とします。

【膵炎】
・急性膵炎
十二指腸に出てから活性化される膵酵素が種々の原因から膵臓内で活性化されてしまい、
自己消化を起こした病態です。
10g/日以下の低脂肪食とし、症状の回復に合わせて30g/日程度まで増やしていきます。
禁酒が原則です。
・慢性膵炎
持続的な上腹部痛と主訴とし、膵の実質際像の破壊・消失を伴う線維化と膵管の狭窄を認めます。
代償期では、腹痛がある場合は脂肪制限を起こします。
非代償期では、消化酵素薬の大量補充と高カロリー食とします。
慢性膵臓病では、インスリン療法(少量頻回投与)が基本となります。

【食道がん】
好発部位は胸部中部食道です。
90%以上は扁平上皮がんであり、60歳以上の男性に多く見られます。
長期間にわたって持続する逆流性食道炎のために起こるバレット食道では腺がんを生じます。
術後の食事療法は、縫合不全や誤嚥などの異常がなければ流動食を開始し、
経過を観察しながら食事の形態を変えていきます。
消化のよい高エネルギー・低繊維食とし、少量頻回症とします。

【胃がん】
胃がんは減少傾向にあるものの、頻度の高いがんの1つです。
50〜60歳に好発し、ほとんどが腺がんです。
胃切除後の合併症としては、ダンピング症候群が有名です。
ダンピング.gif
食事療法は、1日5〜6回に分けて食べる分割食が基本です。

【大腸がん】
好発部位は直腸とS状結腸で、ほとんどが腺がんです。
家族性大腸腺腫症には、高頻度に大腸がんが発生します。
術後の食事療法は、ガスが出て縫合不全がなければ4〜5日目に経口摂取が可能となります。
イレウス予防のために食物繊維が多く含まれるものは避けます。

【肝がん】
肝細胞がんと胆管がんに分けられますが、ほとんどが肝細胞がんです。
50〜60歳の男性に多く、ほとんどが肝硬変あるいは慢性肝炎を伴います。

【膵がん】
膵頭部に発生したものと膵体尾部に発生したものによって症状、診断、治療、予後が異なります。
転移が多く、極めて予後不良のがんです。

次回、問題を出題します。

2017年09月19日

O肥満と代謝疾患【解説】

それでは、「肥満と代謝疾患」の解説です。


Q1.代謝に関係するホルモン・サイトカインに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アディポネクチンは、インスリンの作用を減弱する。
(2)インクレチンは、インスリン分泌を促進する。
(3)アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪合成を促進する。
(4)レプチンは、エネルギー消費を抑制する。
(5)TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリンの作用を増強する。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。アディポネクチンは「善玉」のアディポサイトカインであり、インスリン抵抗性を改善する。
(2)正しい。
(3)誤り。アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪分解を促進する。
(4)誤り。レプチンは「善玉」のアディポサイトカインであり、エネルギー消費を亢進する。
(5)誤り。TNF-αは「悪玉」のアディポサイトカインであり、インスリン抵抗性を誘発する。


Q2.糖尿病に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)尿中C-ペプチド排泄量は、インスリン抵抗性の指標である。
(2)尿糖が陽性であれば、糖尿病と診断できる。
(3)試験紙法で尿たんぱくが持続陽性であれば、腎症2期である。
(4)微量アルブミン尿が認められれば、腎症第3期以上である。
(5)インスリンの絶対的不足によって、尿ケトン体が陽性になる。


【解説】…正答(5)
(1)誤り。尿中C-ペプチド排泄量は、内因性インスリン分泌能の指標である。
   インスリンは、前駆体である1本鎖のプレプロインスリンとして分泌され、
   切断されて同モルのインスリンとC-ペプチドに分かれる。
   C-ペプチドは尿中に排泄されるため、それを測定することでインスリン分泌量を推定できる。
(2)誤り。尿糖で陽性であれば糖尿病である可能性は高いが、糖尿病の診断に尿糖は用いられない。
(3)・(4)誤り。微量アルブミン尿の出現で腎症第2期である。
       また、持続性たんぱく尿が認められれば、腎症第3期以上である。
(5)正しい。インスリンの絶対的不足によって細胞へのグルコース供給が不足すると、
   脂肪をエネルギー源として利用するため脂肪分解が亢進し、血中及び尿中のケトン体が増加する。


Q3.糖尿病の薬物療法に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)速効性インスリン分泌促進薬は、毎食後に服用する。
(2)α-グルコシダーゼ阻害薬服用中の低血糖発作には、ショ糖を投与する。
(3)妊娠中の糖尿病患者には、スルホニル尿素(SU)薬を投与する。
(4)心不全を合併する糖尿病患者には、インスリン抵抗性改善薬を投与する。
(5)肥満の糖尿病患者には、ビグアナイト薬を投与する。


【解説】…正答(5)
(1)誤り。速効性インスリン分泌促進薬は、食直前に服用する。
(2)誤り。ショ糖よりも吸収の速いブドウ糖(グルコース)を投与する。
   α-グルコシダーゼ阻害薬は、単糖への分解を抑制することにより、
   糖の吸収を遅らせて食後高血糖を抑制する薬であるので、
   二糖類であるショ糖を投与しても、単糖への分解抑制及び吸収遅延が起こり、
   速やかに血糖値を上昇させることができない。
(3)誤り。妊婦には経口血糖降下薬は使用しない。妊婦にはインスリン療法を用いる。
(4)誤り。インスリン抵抗性改善役(チアゾリジン薬、ビグアナイト薬)は、
   水分貯留を示す傾向があるので、心不全を合併する患者には禁忌である。
(5)正しい。ビグアナイト薬は体重を増加させにくいことから、肥満の糖尿病患者に適している。


Q4.高尿酸血症に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血清尿酸値が5.0r/dL以上で診断される。
(2)エストロゲンには、尿酸の尿中排泄促進作用がある。
(3)痛風発作極期には、アロプリノール(尿酸生成抑制薬)を使用する。
(4)水分制限を勧める。
(5)アルコール摂取を勧める。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。血清尿酸値が7.0r/dL以上で高尿酸血症と診断される。
(2)正しい。このため、閉経前の女性では高尿酸血症が少ない。
(3)誤り。痛風発作極期には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)または副腎皮質ステロイドを使用する。
   痛風発作中に血清尿酸値を変動させると発作の増悪を認めることが多いため、
   発作中に尿酸降下薬(アロプリノールなど)を開始しない。
(4)誤り。1日の尿量2,000mL以上になるよう、十分な水分摂取を勧める。
(5)誤り。アルコール飲料は血清尿酸値を上昇させるので制限する。


Q5.先天性代謝異常に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)フェニルケトン尿症では、血中のフェニルアラニンが減少する。
(2)ホモシスチン尿症では、血中のチロシンが減少する。
(3)メープルシロップ尿症では、血中のロイシンが増加する。
(4)ウィルソン病では、血中のセルロプラスミンが増加する。
(5)糖原病T型では、血中のグルコースが増加する。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。フェニルケトン尿症では、血中のフェニルアラニンが増加する。
(2)誤り。ホモシスチン尿症では、血中のメチオニン、ホモシステイン、ホモシスチンが増加し、
   シスチンが減少する。
(3)正しい。メープルシロップ尿症では、血中の分岐アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)や
   α-ケト酸が増加する。
(4)誤り。ウィルソン病では、血中のセルロプラスミンが減少する。
   ウィルソン病は、銅の先天性代謝異常により起こる銅の過剰症である。
   胴輸送ATPase欠損により銅がセルロプラスミン(銅輸送たんぱく質)として
   血中や胆汁中に分泌されないため、肝臓に銅が蓄積する。
(5)誤り。糖原病T型では、グルコース6-ホスファターゼの欠損により
   肝グリコーゲンからグルコース産生されず、血中のグルコースが減少する。

2017年09月18日

O肥満と代謝疾患【問題】

それでは、「肥満と代謝疾患」から五問出題します。

Q1.代謝に関係するホルモン・サイトカインに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アディポネクチンは、インスリンの作用を減弱する。
(2)インクレチンは、インスリン分泌を促進する。
(3)アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪合成を促進する。
(4)レプチンは、エネルギー消費を抑制する。
(5)TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリンの作用を増強する。



Q2.糖尿病に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)尿中C-ペプチド排泄量は、インスリン抵抗性の指標である。
(2)尿糖が陽性であれば、糖尿病と診断できる。
(3)試験紙法で尿たんぱくが持続陽性であれば、腎症2期である。
(4)微量アルブミン尿が認められれば、腎症第3期以上である。
(5)インスリンの絶対的不足によって、尿ケトン体が陽性になる。



Q3.糖尿病の薬物療法に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)速効性インスリン分泌促進薬は、毎食後に服用する。
(2)α-グルコシダーゼ阻害薬服用中の低血糖発作には、ショ糖を投与する。
(3)妊娠中の糖尿病患者には、スルホニル尿素(SU)薬を投与する。
(4)心不全を合併する糖尿病患者には、インスリン抵抗性改善薬を投与する。
(5)肥満の糖尿病患者には、ビグアナイト薬を投与する。



Q4.高尿酸血症に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血清尿酸値が5.0r/dL以上で診断される。
(2)エストロゲンには、尿酸の尿中排泄促進作用がある。
(3)痛風発作極期には、アロプリノール(尿酸生成抑制薬)を使用する。
(4)水分制限を勧める。
(5)アルコール摂取を勧める。



Q5.先天性代謝異常に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)フェニルケトン尿症では、血中のフェニルアラニンが減少する。
(2)ホモシスチン尿症では、血中のチロシンが減少する。
(3)メープルシロップ尿症では、血中のロイシンが増加する。
(4)ウィルソン病では、血中のセルロプラスミンが増加する。
(5)糖原病T型では、血中のグルコースが増加する。



次回、解説します。

2017年09月17日

O肥満と代謝疾患【ポイント】

今日は、「肥満と代謝疾患」についてお話します。

【肥満】
脂肪組織に脂肪が蓄積した状態で、BMIが25s/u以上のものを肥満と言います。
肥満には、遺伝的要因に食生活や運動不足などの生活習慣が原因で起きる単純性肥満と、
内分泌疾患や遺伝性疾患、視床下部疾患、薬物の長期服用などが原因で起きる
症候性肥満(二次性肥満)があります。
・定義:日本糖尿病学会では、肥満症を「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、
    その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾病単位として取り扱う」
    と定義しています。
・治療:肥満症の治療の目的は、減量により病態を改善することです。
    治療法には、基本となる食事療法や運動療法、
    加えて意識を高めつつ減量を維持させるのに大切な行動療法、及び薬物療法、外科療法があります。

【メタボリックシンドローム】
・定義:内臓脂肪の蓄積とそれを基盤にしたインスリン抵抗性及び糖代謝異常、脂質代謝異常、
    高血圧を複数合併するマルチプルリスクファクター症候群で、
    心血管疾患や脳血管疾患などの動脈硬化性疾患を起こしやすい病態を言います。
・治療:食事療法と運動療法と薬物療法がメイン。
    食事療法は、エネルギー制限と行う、バランス良く摂取。
    運動療法は、週2〜3回、30分以上のまとまった運動を推奨。
    薬物療法は、併発する病的異常が著明な場合には、薬物療法。

【糖尿病とその合併症】
糖尿病は、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群です。
近年では、過食、運動不足、肥満、ストレスなど生活習慣が原因となる
「生活習慣病としての糖尿病」の増加が問題になっています。

特徴.gif

診断.gif

血糖コントロール.jpg

薬物療法.gif

DKA HHS.jpg

腎症 食事.gif

妊娠糖尿病.jpg

【低血糖】
血糖値が50〜60r/dL以下になり、種々の症状を起こした状態を低血糖といいます。
糖尿病治療中にみられる頻度の高い緊急事態です。
低血糖と感じたら、ブドウ糖10gまたはブドウ糖を含む飲料水をすぐに摂取します。
ブドウ糖以外の糖類では効果発現は遅延します。
α-グルコシダーゼ阻害薬服用中の患者では必ずブドウ糖を選択します。

【脂質異常症】
脂質異常症とは、血中のLDL-コレステロール、トリグリセリドが増加している状態、
またはHDLコレステロールが減少している状態です。
診断基準は、LDL-コレステロールが140mg/dL以上、HDL-コレステロールが40mg/dL未満、
TGが150r/dL以上です。

【高尿酸血症】
尿酸は血清中で7.0r/dL程度の濃度で飽和状態に達し、
これ以上の濃度になると過剰な尿酸か血症を形成し体内に蓄積します。
このように尿酸が過剰になった状態を高尿酸血症、
尿酸の結晶が急性の関節炎を起こしたものを痛風と言います。

【先天性代謝異常】
遺伝子障害により先天的に特定の酵素が欠損していることによっておこる代謝異常。
(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース尿症、糖原病)

次回、問題を出題します。

2017年09月16日

N栄養障害【解説】

それでは、「栄養障害」の問題の解説します。

Q1.マラスムス型栄養障害に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)体重変化による評価は利用できない。
(2)体脂肪量は増加する。
(3)エネルギー摂取量は、必要量を満たしていない。
(4)浮腫がみられる。
(5)治療開始時には、投与エネルギー量を50kcal/kg標準体重/日とする。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。著明な体重減少がみられるので、体重変化は評価の重要な手掛かりとなる。
(2)誤り。エネルギー不足のために体脂肪が消費されて減少する。
(3)正しい。マラスムスは、エネルギーとたんぱく質の両方が極度に欠乏した栄養障害である。
(4)誤り。浮腫はみられない。
   なお、血清アルブミン値の低下するクワシオルコル型栄養障害で、浮腫がみられる。
(5)誤り。50kcal/kg標準体重/日は多すぎる。
   治療開始時から高エネルギー投与を行うと、
   代謝性合併症であるリフィーディング症候群を起こす危険性があるので、
   治療開始時のエネルギー設定は低く抑え、
   血液検査値などをモニタリングしながら徐々にエネルギー量を増加させていく。


Q2.ビタミンの栄養に関する記述である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)エネルギー代謝が亢進している時には、ビタミンB1の必要量が増加する。
(2)日照を受ける機会が少ない時には、ビタミンDの必要量が増加する。
(3)抗生物質の長期投与時には、ビタミンKの必要量が増加する。
(4)多価不飽和脂肪酸の摂取量が多い時には、葉酸の必要量が増加する。
(5)たんぱく質の摂取量が多い時には、ビタミンB6の必要量が増加する。


【解説】…正答(4)
(1)正しい。他に、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸の必要量も増加する。
(2)正しい。紫外線照射により、
   皮膚に含まれる7-デヒドロコレステロールからビタミンD3が生成するためである。
(3)正しい。抗生物質の長期投与には、腸内細菌によるビタミンKの産生量が減少するためである。
(4)誤り。多価不飽和脂肪酸の摂取量が多い時には、強い抗酸化作用をもつビタミンEの必要量が増加する。
   葉酸に抗酸化作用はない。
(5)正しい。ビタミンB6は、補酵素としてアミノ酸代謝に関与する。


Q3.脂溶性ビタミンに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ビタミンAが不足すると、エネルギー代謝が亢進する。
(2)β-カロテンの大量摂取は、ビタミンAの過剰症を引き起こす。
(3)ビタミンDの大量摂取は、腎障害を引き起こす。
(4)ビタミンEが不足すると、巨赤芽球性貧血が引き起こされる。
(5)ビタミンKが不足すると、血液凝固が促進される。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。ビタミンAの生理作用にエネルギー代謝に関わるものは認められていない。
   ビタミンAが不足すると、夜盲症皮膚や粘膜の角質化、発育障害、細菌感染抵抗力の低下などが起こる。
(2)誤り。β-カロテンのプロビタミンAとしての過剰症は報告されていない。
(3)正しい。ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進させる作用があるので、
   ビタミンDの大量摂取は高カルシウム血症を招き、腎障害や軟組織の石灰化を引き起こす。
(4)誤り。巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12 や葉酸の不足により引き起こされる。
   ビタミンEが不足すると、位置感覚障害の他、
   未熟児において溶血性貧血や神経障害などが引き起こされる。
(5)誤り。ビタミンK不足すると、血液凝固因子のプロトロンビンなどの生成に支障をきたすので、
   血液凝固が遅延する。


Q4.無機質の吸収と代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)マグネシウムは、尿中に排泄されない。
(2)小腸でのリンの吸収は、ビタミンDで減少する。
(3)ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は、再利用される。
(4)ヨウ素は、甲状腺に多く含まれている。
(5)亜鉛は、トランスフェリンと結合して血中に存在する。


【解説】…正答(3)、(4)
(1)誤り。マグネシウムは尿中に排泄される。
(2)誤り。小腸でのリン吸収は、ビタミンDにより促進される。
(3)正しい。ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は骨髄に運ばれ、
   ヘモグロビン合成に再利用される。
(4)正しい。ヨウ素は、甲状腺ホルモンの構成成分である。
(5)誤り。トランスフェリンと結合して血中に存在するのは鉄である。
   血清中の亜鉛のうち、20〜40%はα2-マクログロブリンと強く結合し、
   約70%はアルブミンと弱く結合して各組織へ輸送される。


Q5.鉄に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)潜在性鉄欠乏の状態では、血清フェリチン濃度の変化はみられない。
(2)貯蔵鉄が低下すると、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方の吸収率が上昇する。
(3)日常食からの鉄の吸収率は、ヘム鉄と非ヘム鉄の間で差はない。
(4)ヘム鉄の吸収率は、ビタミンCの共存により低下する。
(5)非ヘム鉄の吸収率は、動物性たんぱく質の摂取により低下する。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。潜在性鉄欠乏の状態では、血中フェリチン濃度は低下する。
(2)正しい。
(3)誤り。ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも吸収率が高い。
(4)誤り。ヘム鉄の吸収率は共存する物質の影響を受けにくい。
   非ヘム鉄の吸収率は、ビタミンCの共存により上昇する。
(5)誤り。非ヘム鉄の吸収率は、動物性たんぱく質の摂取により上昇する。

2017年09月15日

N栄養障害【問題】

それでは、「栄養障害」から五問出題します。

Q1.マラスムス型栄養障害に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)体重変化による評価は利用できない。
(2)体脂肪量は増加する。
(3)エネルギー摂取量は、必要量を満たしていない。
(4)浮腫がみられる。
(5)治療開始時には、投与エネルギー量を50kcal/kg標準体重/日とする。



Q2.ビタミンの栄養に関する記述である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)エネルギー代謝が亢進している時には、ビタミンB1の必要量が増加する。
(2)日照を受ける機会が少ない時には、ビタミンDの必要量が増加する。
(3)抗生物質の長期投与時には、ビタミンKの必要量が増加する。
(4)多価不飽和脂肪酸の摂取量が多い時には、葉酸の必要量が増加する。
(5)たんぱく質の摂取量が多い時には、ビタミンB6の必要量が増加する。



Q3.脂溶性ビタミンに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ビタミンAが不足すると、エネルギー代謝が亢進する。
(2)β-カロテンの大量摂取は、ビタミンAの過剰症を引き起こす。
(3)ビタミンDの大量摂取は、腎障害を引き起こす。
(4)ビタミンEが不足すると、巨赤芽球性貧血が引き起こされる。
(5)ビタミンKが不足すると、血液凝固が促進される。



Q4.無機質の吸収と代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)マグネシウムは、尿中に排泄されない。
(2)小腸でのリンの吸収は、ビタミンDで減少する。
(3)ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は、再利用される。
(4)ヨウ素は、甲状腺に多く含まれている。
(5)亜鉛は、トランスフェリンと結合して血中に存在する。



Q5.鉄に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)潜在性鉄欠乏の状態では、血清フェリチン濃度の変化はみられない。
(2)貯蔵鉄が低下すると、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方の吸収率が上昇する。
(3)日常食からの鉄の吸収率は、ヘム鉄と非ヘム鉄の間で差はない。
(4)ヘム鉄の吸収率は、ビタミンCの共存により低下する。
(5)非ヘム鉄の吸収率は、動物性たんぱく質の摂取により低下する。



次回、解説します。

2017年09月14日

N栄養障害【ポイント】

本日は。「栄養障害」についてお話します。

【たんぱく・エネルギー栄養障害(PEM)】
たんぱく質とエネルギーが欠乏している病態をたんぱく・エネルギー栄養障害(PEM)といい、
クワシオルコルとマラスムスの2つに代表されます。
・クワシオルコル
 たんぱく質の欠乏が主体となって起こる栄養障害で、エネルギー摂取量は比較的保たれています。
 アフリカの乳幼児、たんぱく漏出性胃腸症や肝硬変の患者にみられます。
・マラスムス
 エネルギーの欠乏が主体だが、摂取たんぱく質も不足して起こる栄養障害で、
 発展途上国の旧幼児、神経食欲不振症の患者にみられます。

【リフィーディング症候群】
リフィーディング症候群とは、低栄養状態に陥った患者に対して急速に高度な栄養補給を行った際に起こる、
うっ血性心不全、不整脈、昏睡、心停止などの重篤な代謝合併症のことをいいます。
急速な栄養補給により細胞内ATP酸性回路が活性化し、
血中の糖、リン、マグネシウム、カリウムなどが細胞内に移行して、
これらの血中濃度が急速に低下することが原因です。
結果として、低リン血症、低マグネシウム血症、低カリウム血症をきたします。

【悪液質(カへキシ―)】
悪液質は、がんや種々の慢性消耗性疾患のために栄養不良により衰弱し、
食欲不振、骨格筋や脂肪組織の顕著な現象、エネルギー消費量の増加を主徴とする病態です。
悪液質は、炎症性サイトカイン、腫瘍から放出されるたんぱく質分解誘導因子、
神経内分泌系の異常などが関与すると考えられています。

【ビタミンの栄養と欠乏症・過剰症】
ビタミンとは、微量の物質代謝や生理機能の維持などの生理作用を発揮する不可欠な有機化合物であり、
体内ではほとんど合成されないか、合成されても必要量に満たない為、
食物として体外から摂取しなければならない栄養素です。
ビタミン.jpg

【無機質(ミネラル)の栄養と欠乏症・過剰症】
人体を構成する元素のうち、酸素、炭素、水素、窒素以外の元素を創傷して無機質(ミネラル)といいます。
このうち、カルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、マグネシウムの7つは、
比較的多く含まれることから、多量元素といわれています。
一方、鉄以下の元素は、人体にごく少量しか存在しないことから、微量元素といわれています。
ミネラル.jpg


次回、問題を出題します。

2017年09月13日

M疾患治療の概要【解説】

それでは、「疾患治療の概要」の問題の解説をします。


Q1.治療の方法に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)経腸栄養法は、イレウスに行う。
(2)生体肝移植は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に行う。
(3)血液透析は、糖尿病腎症第3期に行う。
(4)LDLアフェレーシスは、家族性高コレステロール血症に行う。
(5)白血球(顆粒球)除去療法は、過敏性腸症候群に行う。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。イレウスでは経腸栄養法は禁忌であり、静脈栄養法とする。
(2)誤り。NASHの治療には生体肝移植は用いられない。
   NASHの治療法は、薬物療法と日常生活の指導である。
   生体間移植は、肝細胞がん、胆道閉塞症、原発製胆汁性肝硬変、先天性代償性肝疾患、
   非代償性肝疾患などに適応となる。
(3)誤り。血液透析は、糖尿病腎症第5期に行う。
(4)正しい。LDLアフェレーシスは、血液を一旦体外に取り出し、
   血漿成分に含まれるLDLコレステロールを吸着により取り除いた後、再び体内に戻す血液浄化法である。
(5)誤り。白血球除去療法は、血液を一旦体外に取り出し、
   炎症を引き起こす活性化した白血球を取り除いた後、
   再び体内に戻すことで炎症の鎮静化をはかる血液浄化法である。
   炎症性腸疾患や関節リウマチの治療に用いられる。


Q2.疾患の治療に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)臓器移植時にみられる拒絶反応対策には、免疫賦活剤が有効である。
(2)腹膜透析は、人工膜を用いた血液浄化法である。
(3)早期胃がんの完全切除は、対症療法である。
(4)ホスピスでは、終末期医療を専門的に行っている。
(5)緩和ケアは、精神面のケアを含まない。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。拒絶反応を抑えるために、免疫抑制薬を投与する。
(2)誤り。腹膜透析は、本人の腹膜を用いた血液浄化法である。
   人工透析膜を用いるのは血液透析である。
(3)誤り。早期胃がんの完全除去は原因療法である。
(4)正しい。
(5)誤り。緩和ケアは精神面のケアを含む。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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