2017年09月20日
P消化器系【ポイント】
今日は、「消化器系」についてお話します。
【消化器の構造と機能】
消化器系は、口腔から肛門まで続くいわゆる消化管と分泌活動を行う副器官からなります。
・口腔
口腔は、口腔前庭と固有口腔とに分けられます。
咀嚼した食物を消化するため、唾液腺より唾液が分泌されます。
唾液に含まれるα-アミラーゼは、でんぷんやデキストリンやマルトースに分解できます。
・咽頭
食物が咽頭・食道から胃へと運ばれることを嚥下と言います。
咽頭は消化管の一部でもあり、気道の一部でもあります。
・食道
食道粘膜は単扁平上皮で漿膜はありません。
食道の上部は横紋筋で、下部は平滑筋からなります。
食道には3カ所の生理的狭窄部があります。
・胃
容量は1,500mlで、食道とは噴門を、十二指腸とは幽門を経てつらなります。
噴門の高さより上を胃底、下部を胃体、角切痕と幽門との間を前庭部(幽門部)と呼びます。
胃液は、2〜3L/日分泌されます。
胃酸の分泌は、ガストリン、ヒスタミン、アセチルコリンによって促進され、
セレクチン、GIPによって抑制されます。
・小腸
小腸は全長6〜7mで、十二指腸、空腸、回腸の3つの部分に分けられます。
総胆管と膵管の開口部には、大十二指腸乳頭(ファーター乳糖)があります。
開口部にはオッディ括約筋があり、胆汁、膵液の十二指腸への流入を調整しています。
胃から食物が十二指腸に送られてくると、コレシストキニンとセレクチンが放出されます。
胆汁は肝臓で作られ、胆嚢で濃縮されます。
消化酵素は含みませんが、脂肪を乳化して、膵リパーゼが働きやすくします。
・膵臓
後腹膜臓器で、胃の後ろ下方に位置し、腹膜の外側にあります。
外分泌腺と内分泌腺があります。
・肝臓
重さ1.2sの人体で最大の臓器で、右葉と左葉に分けられます。
肝門からは、門脈、固有肝動脈、左右肝管、神経などが出入りしますが、肝静脈はここから出入しません。
機能は、糖代謝、脂質代謝、血漿たんぱく質、血液凝固因子、尿素の生成、胆汁の生成、薬物代謝、
アルコールの代謝、ビリルビン代謝、ビタミンの貯蔵、不要な女性ホルモンの分解、芳香族アミノ酸代謝。
・胆嚢
肝臓で生成された短銃は、一旦胆嚢に蓄えられます。
脂肪性の食物が十二指腸に入ると、コレシストキニンが分泌され、胆嚢は収縮します。
・大腸
盲腸、結腸、直腸に分けられます。
結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。
機能は、水・電解質の吸収です。
【嚥下障害】
咀嚼とは、食物を唾液と混ぜ合わせて噛み砕くことです。
嚥下とは、ショック持つを口腔→咽頭→食道→胃へと送り込む一連の運動を指し、
延髄にある嚥下中枢でコントロールされています。
〇嚥下の機構
@先行期:食物の正常を認知する段階。
A準備期:食物を口腔内に取り込み、咀嚼し、食塊を形成する段階。
B口腔期(第1相):食塊が舌運動により口腔から咽頭腔に送られる段階(随意運動期)。
C咽頭期(第2相):嚥下反応により食塊が咽頭腔から食道入り口に送られる段階(不随意運動期)。
この時、呼吸は一時的に停止する。
D食道期(第3相):食道の蠕動運動により食塊が食道から胃に送られる段階(不随意運動期)。
・嚥下の原因
器質的原因、機能的原因、心理的原因に分類できます。
・症状
球麻痺があると構音障害を伴い、高齢では誤嚥性肺炎の可能性が高くなります。
・診断
嚥下造影検査(VF)、反復唾液嚥下テスト、改定水飲みテスト、フードテスト
・嚥下訓練
間接訓練(基礎訓練)、直接訓練(摂食訓練)
【胃食道逆流症】
胃内容物が食道内に逆流することによって、胸やけや呑酸、食道\などをおこすものの総称で、
その代表例が逆流性食道炎です。
過食、胃酸の分泌を促進する食品、胃内の滞留時間の長い食品、動物性たんぱく質、アルコールは避け、
就寝前の飲食を控え、少量頻回食にすることが重要です。
【胃・十二指腸潰瘍】
胃液内の塩酸やペプシンなどの攻撃因子と生体の防御因子との間の平衡が破れ、
攻撃因子が優勢となり、胃・十二指腸潰瘍を自己消化する消化性潰瘍です。
・食事療法
出血時:絶食として静脈栄養
急性期:流動食→3分食→5分粥→7分粥→全粥食とすすめていき、脂質の摂取を減らす。
回復期:胃粘膜を機械的・化学的に刺激しない食品、胃液の分泌を促進しない食品、
十分なカロリーと良質なたんぱく質、各種ビタミン・ミネラルを含んだもの。
香辛料・嗜好品は控える。
【たんぱく漏出性胃腸症】
アルブミンとはじめとする血漿タンパク質が、消化管へ過剰に漏出することにより低たんぱく血症をきたす
症候群のことをいいます。
・食事療法
低脂肪、高エネルギー、高たんぱく質食
【クローン病】
消化管の慢性の肉芽腫性炎症性病変を主体とする原因不明の疾患で、再燃寛解を繰り返します。
若年者に多く、口から肛門に至る消化管全てに炎症が発生し、特に回盲部に多く発生します。
重症の場合は中心静脈栄養法、中等症の場合は経腸栄養法、
寛解期は1日の摂取量の半分に相当するエネルギーを経腸栄養法で摂取することは、寛解維持に有効であり、
食事は低脂肪、低残渣、高タンパク質、高エネルギーを原則とします。
【潰瘍性大腸炎】
大腸粘膜に発生する原因不明のびまん性非特異性炎症であり、再燃寛解を繰り返します。
若年者に多く、病変は連続的に進展し、炎症は粘膜に限局しています。
腹痛や下痢、粘血便が改善したら、徐々に食事を開始します。
脂肪の多量摂取は下痢を助長するので控えます。
食物繊維は控える必要はなく、むしろプレバイオティクスとしての有用性が確認されています。
寛解期には、炎症反応効果のあるn-3経多価不飽和脂肪酸や水溶性食物繊維を十分に摂取します。
【短腸症候群】
腸管大量切除後の消化吸収面積の絶対的な現象により、種々の栄養素の消化十週障害をきたす症候群です。
重度の下痢、脂肪便、吸収不良、低栄養状態、腸内容物通過時間の短縮などの症状を呈します。
食事は、高たんぱく質食、高エネルギー食、低脂肪、低残渣食にします。
【下痢】
下痢とは、糞便中の水分量が異常に増加した状態(80%以上)です。
下痢の持続期間が1〜2週間までのものを急性下痢症、3週間以上続くものを慢性下痢症といいます。
下痢には、分泌性下痢、浸透圧性下痢、滲出性下痢、腸管運動異常があります。
下痢では脱水とともに、ナトリウム、カリウムの欠乏をきたしやすく、
水分や電解質の補給が必要です。
食事は低脂肪、低刺激、易消化のものとします。
【便秘】
便秘とは、食物のカスが腸内に長くとどまっているため、水分が吸収されて硬くなり、
排便しにくくなる状態をいいます。
機能性便秘と器質性便秘に分けられ、機能性便秘は弛緩性便秘とけいれん性便秘に分けられます。
弛緩性便秘は、腸管に刺激を与える食物繊維を十分に摂取し、水分も十分に摂取します。
けいれん性便秘は、腸管に刺激を与えないよう、食物繊維を控え、香辛料等も制限します。
【イレウス(腸閉塞)】
何らかの原因によって腸管内容物の通貨障害が起こり、腸内容物が腸内腔にすることによって、
腹痛、嘔吐、排便の停止、腹膜炎、ショックなどの多様な症状をきたす病態をいいます。
機械的イレウス(閉塞性(単純性)イレウス、絞扼性(複雑性)イレウス)と
機能的イレウス(麻痺性イレウス、けいれん性イレウス)に分けられます。
【肝炎】
【肝硬変】
肝硬変とは、慢性ウイルス性肝炎などあらゆる慢性進行性肝疾患の週末像であり、多くは不可逆的です。
肝機能が良く保たれており、臨床症状のほとんどない代償期と、
肝硬変が進行し臨床症状(腹水・浮腫・黄疸・肝性脳症・出血傾向)のみられる非代償期とに分けられます。
最終的に肝細胞がんを発症することが多くみられます。
食事療法は、代償期は特段の制限は不要であり、規則正しい食生活を心掛け、
便秘とならないように注意します。
非代償期は、高アンモニア血症、肝性脳症がみられるときは、
アンモニアや芳香族アミノ酸の発生を抑制するため、たんぱく質を制限します。
浮腫・腹水や見られるときは、食塩制限と水分制限を行います。
【脂肪肝】
過栄養性、内分泌性(糖尿病)、アルコール性、静脈栄養(高カロリー輸液)によるものが多くみられます。
食事療法としては、一般的に低カロリー食が処方されます。
【胆石症】
胆道系で形成された結石が胆嚢や痰道内に停滞する疾患です。
中年以降(60〜70歳代がピーク)の女性や肥満者に多く見られます。
食事療法は、脂肪を10~30g程度に制限し、コレステロール低下作用のある食物繊維を十分に摂取します。
【急性胆嚢炎】
ほとんどの急性胆嚢炎は胆石が関与しており、胆石が胆嚢管を閉塞している場合が多くみられます。
急性期では絶食とし、静脈栄養補給とします。
回復期の食事は低脂質食(10g/日)を原則とします。
【膵炎】
・急性膵炎
十二指腸に出てから活性化される膵酵素が種々の原因から膵臓内で活性化されてしまい、
自己消化を起こした病態です。
10g/日以下の低脂肪食とし、症状の回復に合わせて30g/日程度まで増やしていきます。
禁酒が原則です。
・慢性膵炎
持続的な上腹部痛と主訴とし、膵の実質際像の破壊・消失を伴う線維化と膵管の狭窄を認めます。
代償期では、腹痛がある場合は脂肪制限を起こします。
非代償期では、消化酵素薬の大量補充と高カロリー食とします。
慢性膵臓病では、インスリン療法(少量頻回投与)が基本となります。
【食道がん】
好発部位は胸部中部食道です。
90%以上は扁平上皮がんであり、60歳以上の男性に多く見られます。
長期間にわたって持続する逆流性食道炎のために起こるバレット食道では腺がんを生じます。
術後の食事療法は、縫合不全や誤嚥などの異常がなければ流動食を開始し、
経過を観察しながら食事の形態を変えていきます。
消化のよい高エネルギー・低繊維食とし、少量頻回症とします。
【胃がん】
胃がんは減少傾向にあるものの、頻度の高いがんの1つです。
50〜60歳に好発し、ほとんどが腺がんです。
胃切除後の合併症としては、ダンピング症候群が有名です。
食事療法は、1日5〜6回に分けて食べる分割食が基本です。
【大腸がん】
好発部位は直腸とS状結腸で、ほとんどが腺がんです。
家族性大腸腺腫症には、高頻度に大腸がんが発生します。
術後の食事療法は、ガスが出て縫合不全がなければ4〜5日目に経口摂取が可能となります。
イレウス予防のために食物繊維が多く含まれるものは避けます。
【肝がん】
肝細胞がんと胆管がんに分けられますが、ほとんどが肝細胞がんです。
50〜60歳の男性に多く、ほとんどが肝硬変あるいは慢性肝炎を伴います。
【膵がん】
膵頭部に発生したものと膵体尾部に発生したものによって症状、診断、治療、予後が異なります。
転移が多く、極めて予後不良のがんです。
次回、問題を出題します。
【消化器の構造と機能】
消化器系は、口腔から肛門まで続くいわゆる消化管と分泌活動を行う副器官からなります。
・口腔
口腔は、口腔前庭と固有口腔とに分けられます。
咀嚼した食物を消化するため、唾液腺より唾液が分泌されます。
唾液に含まれるα-アミラーゼは、でんぷんやデキストリンやマルトースに分解できます。
・咽頭
食物が咽頭・食道から胃へと運ばれることを嚥下と言います。
咽頭は消化管の一部でもあり、気道の一部でもあります。
・食道
食道粘膜は単扁平上皮で漿膜はありません。
食道の上部は横紋筋で、下部は平滑筋からなります。
食道には3カ所の生理的狭窄部があります。
・胃
容量は1,500mlで、食道とは噴門を、十二指腸とは幽門を経てつらなります。
噴門の高さより上を胃底、下部を胃体、角切痕と幽門との間を前庭部(幽門部)と呼びます。
胃液は、2〜3L/日分泌されます。
胃酸の分泌は、ガストリン、ヒスタミン、アセチルコリンによって促進され、
セレクチン、GIPによって抑制されます。
・小腸
小腸は全長6〜7mで、十二指腸、空腸、回腸の3つの部分に分けられます。
総胆管と膵管の開口部には、大十二指腸乳頭(ファーター乳糖)があります。
開口部にはオッディ括約筋があり、胆汁、膵液の十二指腸への流入を調整しています。
胃から食物が十二指腸に送られてくると、コレシストキニンとセレクチンが放出されます。
胆汁は肝臓で作られ、胆嚢で濃縮されます。
消化酵素は含みませんが、脂肪を乳化して、膵リパーゼが働きやすくします。
・膵臓
後腹膜臓器で、胃の後ろ下方に位置し、腹膜の外側にあります。
外分泌腺と内分泌腺があります。
・肝臓
重さ1.2sの人体で最大の臓器で、右葉と左葉に分けられます。
肝門からは、門脈、固有肝動脈、左右肝管、神経などが出入りしますが、肝静脈はここから出入しません。
機能は、糖代謝、脂質代謝、血漿たんぱく質、血液凝固因子、尿素の生成、胆汁の生成、薬物代謝、
アルコールの代謝、ビリルビン代謝、ビタミンの貯蔵、不要な女性ホルモンの分解、芳香族アミノ酸代謝。
・胆嚢
肝臓で生成された短銃は、一旦胆嚢に蓄えられます。
脂肪性の食物が十二指腸に入ると、コレシストキニンが分泌され、胆嚢は収縮します。
・大腸
盲腸、結腸、直腸に分けられます。
結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。
機能は、水・電解質の吸収です。
【嚥下障害】
咀嚼とは、食物を唾液と混ぜ合わせて噛み砕くことです。
嚥下とは、ショック持つを口腔→咽頭→食道→胃へと送り込む一連の運動を指し、
延髄にある嚥下中枢でコントロールされています。
〇嚥下の機構
@先行期:食物の正常を認知する段階。
A準備期:食物を口腔内に取り込み、咀嚼し、食塊を形成する段階。
B口腔期(第1相):食塊が舌運動により口腔から咽頭腔に送られる段階(随意運動期)。
C咽頭期(第2相):嚥下反応により食塊が咽頭腔から食道入り口に送られる段階(不随意運動期)。
この時、呼吸は一時的に停止する。
D食道期(第3相):食道の蠕動運動により食塊が食道から胃に送られる段階(不随意運動期)。
・嚥下の原因
器質的原因、機能的原因、心理的原因に分類できます。
・症状
球麻痺があると構音障害を伴い、高齢では誤嚥性肺炎の可能性が高くなります。
・診断
嚥下造影検査(VF)、反復唾液嚥下テスト、改定水飲みテスト、フードテスト
・嚥下訓練
間接訓練(基礎訓練)、直接訓練(摂食訓練)
【胃食道逆流症】
胃内容物が食道内に逆流することによって、胸やけや呑酸、食道\などをおこすものの総称で、
その代表例が逆流性食道炎です。
過食、胃酸の分泌を促進する食品、胃内の滞留時間の長い食品、動物性たんぱく質、アルコールは避け、
就寝前の飲食を控え、少量頻回食にすることが重要です。
【胃・十二指腸潰瘍】
胃液内の塩酸やペプシンなどの攻撃因子と生体の防御因子との間の平衡が破れ、
攻撃因子が優勢となり、胃・十二指腸潰瘍を自己消化する消化性潰瘍です。
・食事療法
出血時:絶食として静脈栄養
急性期:流動食→3分食→5分粥→7分粥→全粥食とすすめていき、脂質の摂取を減らす。
回復期:胃粘膜を機械的・化学的に刺激しない食品、胃液の分泌を促進しない食品、
十分なカロリーと良質なたんぱく質、各種ビタミン・ミネラルを含んだもの。
香辛料・嗜好品は控える。
【たんぱく漏出性胃腸症】
アルブミンとはじめとする血漿タンパク質が、消化管へ過剰に漏出することにより低たんぱく血症をきたす
症候群のことをいいます。
・食事療法
低脂肪、高エネルギー、高たんぱく質食
【クローン病】
消化管の慢性の肉芽腫性炎症性病変を主体とする原因不明の疾患で、再燃寛解を繰り返します。
若年者に多く、口から肛門に至る消化管全てに炎症が発生し、特に回盲部に多く発生します。
重症の場合は中心静脈栄養法、中等症の場合は経腸栄養法、
寛解期は1日の摂取量の半分に相当するエネルギーを経腸栄養法で摂取することは、寛解維持に有効であり、
食事は低脂肪、低残渣、高タンパク質、高エネルギーを原則とします。
【潰瘍性大腸炎】
大腸粘膜に発生する原因不明のびまん性非特異性炎症であり、再燃寛解を繰り返します。
若年者に多く、病変は連続的に進展し、炎症は粘膜に限局しています。
腹痛や下痢、粘血便が改善したら、徐々に食事を開始します。
脂肪の多量摂取は下痢を助長するので控えます。
食物繊維は控える必要はなく、むしろプレバイオティクスとしての有用性が確認されています。
寛解期には、炎症反応効果のあるn-3経多価不飽和脂肪酸や水溶性食物繊維を十分に摂取します。
【短腸症候群】
腸管大量切除後の消化吸収面積の絶対的な現象により、種々の栄養素の消化十週障害をきたす症候群です。
重度の下痢、脂肪便、吸収不良、低栄養状態、腸内容物通過時間の短縮などの症状を呈します。
食事は、高たんぱく質食、高エネルギー食、低脂肪、低残渣食にします。
【下痢】
下痢とは、糞便中の水分量が異常に増加した状態(80%以上)です。
下痢の持続期間が1〜2週間までのものを急性下痢症、3週間以上続くものを慢性下痢症といいます。
下痢には、分泌性下痢、浸透圧性下痢、滲出性下痢、腸管運動異常があります。
下痢では脱水とともに、ナトリウム、カリウムの欠乏をきたしやすく、
水分や電解質の補給が必要です。
食事は低脂肪、低刺激、易消化のものとします。
【便秘】
便秘とは、食物のカスが腸内に長くとどまっているため、水分が吸収されて硬くなり、
排便しにくくなる状態をいいます。
機能性便秘と器質性便秘に分けられ、機能性便秘は弛緩性便秘とけいれん性便秘に分けられます。
弛緩性便秘は、腸管に刺激を与える食物繊維を十分に摂取し、水分も十分に摂取します。
けいれん性便秘は、腸管に刺激を与えないよう、食物繊維を控え、香辛料等も制限します。
【イレウス(腸閉塞)】
何らかの原因によって腸管内容物の通貨障害が起こり、腸内容物が腸内腔にすることによって、
腹痛、嘔吐、排便の停止、腹膜炎、ショックなどの多様な症状をきたす病態をいいます。
機械的イレウス(閉塞性(単純性)イレウス、絞扼性(複雑性)イレウス)と
機能的イレウス(麻痺性イレウス、けいれん性イレウス)に分けられます。
【肝炎】
【肝硬変】
肝硬変とは、慢性ウイルス性肝炎などあらゆる慢性進行性肝疾患の週末像であり、多くは不可逆的です。
肝機能が良く保たれており、臨床症状のほとんどない代償期と、
肝硬変が進行し臨床症状(腹水・浮腫・黄疸・肝性脳症・出血傾向)のみられる非代償期とに分けられます。
最終的に肝細胞がんを発症することが多くみられます。
食事療法は、代償期は特段の制限は不要であり、規則正しい食生活を心掛け、
便秘とならないように注意します。
非代償期は、高アンモニア血症、肝性脳症がみられるときは、
アンモニアや芳香族アミノ酸の発生を抑制するため、たんぱく質を制限します。
浮腫・腹水や見られるときは、食塩制限と水分制限を行います。
【脂肪肝】
過栄養性、内分泌性(糖尿病)、アルコール性、静脈栄養(高カロリー輸液)によるものが多くみられます。
食事療法としては、一般的に低カロリー食が処方されます。
【胆石症】
胆道系で形成された結石が胆嚢や痰道内に停滞する疾患です。
中年以降(60〜70歳代がピーク)の女性や肥満者に多く見られます。
食事療法は、脂肪を10~30g程度に制限し、コレステロール低下作用のある食物繊維を十分に摂取します。
【急性胆嚢炎】
ほとんどの急性胆嚢炎は胆石が関与しており、胆石が胆嚢管を閉塞している場合が多くみられます。
急性期では絶食とし、静脈栄養補給とします。
回復期の食事は低脂質食(10g/日)を原則とします。
【膵炎】
・急性膵炎
十二指腸に出てから活性化される膵酵素が種々の原因から膵臓内で活性化されてしまい、
自己消化を起こした病態です。
10g/日以下の低脂肪食とし、症状の回復に合わせて30g/日程度まで増やしていきます。
禁酒が原則です。
・慢性膵炎
持続的な上腹部痛と主訴とし、膵の実質際像の破壊・消失を伴う線維化と膵管の狭窄を認めます。
代償期では、腹痛がある場合は脂肪制限を起こします。
非代償期では、消化酵素薬の大量補充と高カロリー食とします。
慢性膵臓病では、インスリン療法(少量頻回投与)が基本となります。
【食道がん】
好発部位は胸部中部食道です。
90%以上は扁平上皮がんであり、60歳以上の男性に多く見られます。
長期間にわたって持続する逆流性食道炎のために起こるバレット食道では腺がんを生じます。
術後の食事療法は、縫合不全や誤嚥などの異常がなければ流動食を開始し、
経過を観察しながら食事の形態を変えていきます。
消化のよい高エネルギー・低繊維食とし、少量頻回症とします。
【胃がん】
胃がんは減少傾向にあるものの、頻度の高いがんの1つです。
50〜60歳に好発し、ほとんどが腺がんです。
胃切除後の合併症としては、ダンピング症候群が有名です。
食事療法は、1日5〜6回に分けて食べる分割食が基本です。
【大腸がん】
好発部位は直腸とS状結腸で、ほとんどが腺がんです。
家族性大腸腺腫症には、高頻度に大腸がんが発生します。
術後の食事療法は、ガスが出て縫合不全がなければ4〜5日目に経口摂取が可能となります。
イレウス予防のために食物繊維が多く含まれるものは避けます。
【肝がん】
肝細胞がんと胆管がんに分けられますが、ほとんどが肝細胞がんです。
50〜60歳の男性に多く、ほとんどが肝硬変あるいは慢性肝炎を伴います。
【膵がん】
膵頭部に発生したものと膵体尾部に発生したものによって症状、診断、治療、予後が異なります。
転移が多く、極めて予後不良のがんです。
次回、問題を出題します。
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