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2017年09月19日

O肥満と代謝疾患【解説】

それでは、「肥満と代謝疾患」の解説です。


Q1.代謝に関係するホルモン・サイトカインに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アディポネクチンは、インスリンの作用を減弱する。
(2)インクレチンは、インスリン分泌を促進する。
(3)アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪合成を促進する。
(4)レプチンは、エネルギー消費を抑制する。
(5)TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリンの作用を増強する。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。アディポネクチンは「善玉」のアディポサイトカインであり、インスリン抵抗性を改善する。
(2)正しい。
(3)誤り。アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪分解を促進する。
(4)誤り。レプチンは「善玉」のアディポサイトカインであり、エネルギー消費を亢進する。
(5)誤り。TNF-αは「悪玉」のアディポサイトカインであり、インスリン抵抗性を誘発する。


Q2.糖尿病に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)尿中C-ペプチド排泄量は、インスリン抵抗性の指標である。
(2)尿糖が陽性であれば、糖尿病と診断できる。
(3)試験紙法で尿たんぱくが持続陽性であれば、腎症2期である。
(4)微量アルブミン尿が認められれば、腎症第3期以上である。
(5)インスリンの絶対的不足によって、尿ケトン体が陽性になる。


【解説】…正答(5)
(1)誤り。尿中C-ペプチド排泄量は、内因性インスリン分泌能の指標である。
   インスリンは、前駆体である1本鎖のプレプロインスリンとして分泌され、
   切断されて同モルのインスリンとC-ペプチドに分かれる。
   C-ペプチドは尿中に排泄されるため、それを測定することでインスリン分泌量を推定できる。
(2)誤り。尿糖で陽性であれば糖尿病である可能性は高いが、糖尿病の診断に尿糖は用いられない。
(3)・(4)誤り。微量アルブミン尿の出現で腎症第2期である。
       また、持続性たんぱく尿が認められれば、腎症第3期以上である。
(5)正しい。インスリンの絶対的不足によって細胞へのグルコース供給が不足すると、
   脂肪をエネルギー源として利用するため脂肪分解が亢進し、血中及び尿中のケトン体が増加する。


Q3.糖尿病の薬物療法に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)速効性インスリン分泌促進薬は、毎食後に服用する。
(2)α-グルコシダーゼ阻害薬服用中の低血糖発作には、ショ糖を投与する。
(3)妊娠中の糖尿病患者には、スルホニル尿素(SU)薬を投与する。
(4)心不全を合併する糖尿病患者には、インスリン抵抗性改善薬を投与する。
(5)肥満の糖尿病患者には、ビグアナイト薬を投与する。


【解説】…正答(5)
(1)誤り。速効性インスリン分泌促進薬は、食直前に服用する。
(2)誤り。ショ糖よりも吸収の速いブドウ糖(グルコース)を投与する。
   α-グルコシダーゼ阻害薬は、単糖への分解を抑制することにより、
   糖の吸収を遅らせて食後高血糖を抑制する薬であるので、
   二糖類であるショ糖を投与しても、単糖への分解抑制及び吸収遅延が起こり、
   速やかに血糖値を上昇させることができない。
(3)誤り。妊婦には経口血糖降下薬は使用しない。妊婦にはインスリン療法を用いる。
(4)誤り。インスリン抵抗性改善役(チアゾリジン薬、ビグアナイト薬)は、
   水分貯留を示す傾向があるので、心不全を合併する患者には禁忌である。
(5)正しい。ビグアナイト薬は体重を増加させにくいことから、肥満の糖尿病患者に適している。


Q4.高尿酸血症に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血清尿酸値が5.0r/dL以上で診断される。
(2)エストロゲンには、尿酸の尿中排泄促進作用がある。
(3)痛風発作極期には、アロプリノール(尿酸生成抑制薬)を使用する。
(4)水分制限を勧める。
(5)アルコール摂取を勧める。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。血清尿酸値が7.0r/dL以上で高尿酸血症と診断される。
(2)正しい。このため、閉経前の女性では高尿酸血症が少ない。
(3)誤り。痛風発作極期には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)または副腎皮質ステロイドを使用する。
   痛風発作中に血清尿酸値を変動させると発作の増悪を認めることが多いため、
   発作中に尿酸降下薬(アロプリノールなど)を開始しない。
(4)誤り。1日の尿量2,000mL以上になるよう、十分な水分摂取を勧める。
(5)誤り。アルコール飲料は血清尿酸値を上昇させるので制限する。


Q5.先天性代謝異常に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)フェニルケトン尿症では、血中のフェニルアラニンが減少する。
(2)ホモシスチン尿症では、血中のチロシンが減少する。
(3)メープルシロップ尿症では、血中のロイシンが増加する。
(4)ウィルソン病では、血中のセルロプラスミンが増加する。
(5)糖原病T型では、血中のグルコースが増加する。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。フェニルケトン尿症では、血中のフェニルアラニンが増加する。
(2)誤り。ホモシスチン尿症では、血中のメチオニン、ホモシステイン、ホモシスチンが増加し、
   シスチンが減少する。
(3)正しい。メープルシロップ尿症では、血中の分岐アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)や
   α-ケト酸が増加する。
(4)誤り。ウィルソン病では、血中のセルロプラスミンが減少する。
   ウィルソン病は、銅の先天性代謝異常により起こる銅の過剰症である。
   胴輸送ATPase欠損により銅がセルロプラスミン(銅輸送たんぱく質)として
   血中や胆汁中に分泌されないため、肝臓に銅が蓄積する。
(5)誤り。糖原病T型では、グルコース6-ホスファターゼの欠損により
   肝グリコーゲンからグルコース産生されず、血中のグルコースが減少する。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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