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2017年08月28日
H脂質の代謝と栄養【解説】
昨日の脂質の代謝と栄養の問題の解説です。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
リポたんぱく質リパーゼは、リポたんぱく質中のトリアシルグリセロールを
脂肪酸とグリセロールに分解する酵素である。
(2)誤り。
VLDLは、トリアシルグリセロールを肝臓から末梢組織へ輸送するのに役立っている。
(3)誤り。
VLDLはLDLの前駆体である。
(4)誤り。
LDLは、コレステロールを肝臓から末梢組織へ輸送している。
コレステロールを肝臓以外の組織(末梢組織)から引き抜いて肝臓へ移送しているのは、HDLである。
(5)正しい。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
脂肪酸のβ酸化は、脂肪酸アシルCoAのカルボキシル基側から炭素原子を
2個ずつ離脱してアセチルCoAを生成する反応である。
(2)誤り。
ケトン体は、ミトコンドリア内で生成される。
(3)誤り。
食事由来の脂肪酸は、小腸吸収上皮細胞でカイロミクロン(キロミクロン)という
リポたんぱく質になって、リンパ管を経て血中に出る。
(4)正しい。
アシルCoAはそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないため、
カル二チンと結合したかたちで通過する。
(5)誤り。
脂肪酸のβ酸化は。ミトコンドリアのマトリックスないで行われる。
【解説】…(2)
(1)誤り。
食後には、血中遊離脂肪酸濃度は低下する。
血中遊離脂肪酸濃度が上昇するのは空腹時である。
(2)正しい。
食後吸収された脂質はカイロミクロンに取り込まれ、末梢組織に運搬される。
末梢組織では、リポたんぱく質リパーゼによってトリアシルグリセロールが分解される。
(3)誤り。
血中HDL-コレステロール濃度は、食事による影響を受けない。
(4)誤り。
食後には、肝臓における脂肪酸合成は上昇し、トリアシルグリセロールの合成が進む。
(5)誤り。
食後には、脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの合成が進む。
脂肪組織でのトリアシルグリセロールの分解が進むのは、空腹時である。
【解説】…正答(1)
(1)正しい。
胆汁単の腸肝循環という。
(2)誤り。
肝臓で合成され、分泌された胆汁単は一次胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)である。
二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸)とは、
一次胆汁酸が、腸内細菌によって脱抱合化と脱水酸化を受けたもののことである。
二次胆汁酸には発がん作用がある。
(3)誤り。
抗生物質投与により腸内細菌が減少するため、糞便中への二次胆汁酸の排出は少なくなる
(一次胆汁酸は二次胆汁酸に変換されず、一次胆汁酸のまま排泄される)。
(4)誤り。
コレステロールの合成は、肝臓や小腸などで行われる。
(5)誤り。
肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害される。
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素は、
最終産物であるコレステロールによってフィードバック阻害される。
Q1.ヒト体内での脂質の輸送に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)リポたんぱく質リパーゼはHDLを構成するたんぱく質の1つである。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
リポたんぱく質リパーゼは、リポたんぱく質中のトリアシルグリセロールを
脂肪酸とグリセロールに分解する酵素である。
(2)誤り。
VLDLは、トリアシルグリセロールを肝臓から末梢組織へ輸送するのに役立っている。
(3)誤り。
VLDLはLDLの前駆体である。
(4)誤り。
LDLは、コレステロールを肝臓から末梢組織へ輸送している。
コレステロールを肝臓以外の組織(末梢組織)から引き抜いて肝臓へ移送しているのは、HDLである。
(5)正しい。
Q2.脂質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪酸のβ酸化は、カルボキシル基側から炭素原子が1個ずつ離脱していく反応である。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
脂肪酸のβ酸化は、脂肪酸アシルCoAのカルボキシル基側から炭素原子を
2個ずつ離脱してアセチルCoAを生成する反応である。
(2)誤り。
ケトン体は、ミトコンドリア内で生成される。
(3)誤り。
食事由来の脂肪酸は、小腸吸収上皮細胞でカイロミクロン(キロミクロン)という
リポたんぱく質になって、リンパ管を経て血中に出る。
(4)正しい。
アシルCoAはそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないため、
カル二チンと結合したかたちで通過する。
(5)誤り。
脂肪酸のβ酸化は。ミトコンドリアのマトリックスないで行われる。
Q3.食後の脂質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血中遊離脂肪酸濃度が上昇する。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
【解説】…(2)
(1)誤り。
食後には、血中遊離脂肪酸濃度は低下する。
血中遊離脂肪酸濃度が上昇するのは空腹時である。
(2)正しい。
食後吸収された脂質はカイロミクロンに取り込まれ、末梢組織に運搬される。
末梢組織では、リポたんぱく質リパーゼによってトリアシルグリセロールが分解される。
(3)誤り。
血中HDL-コレステロール濃度は、食事による影響を受けない。
(4)誤り。
食後には、肝臓における脂肪酸合成は上昇し、トリアシルグリセロールの合成が進む。
(5)誤り。
食後には、脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの合成が進む。
脂肪組織でのトリアシルグリセロールの分解が進むのは、空腹時である。
Q4.コレステロール代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)胆汁酸は、回腸で吸収され、再利用される。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。
【解説】…正答(1)
(1)正しい。
胆汁単の腸肝循環という。
(2)誤り。
肝臓で合成され、分泌された胆汁単は一次胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)である。
二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸)とは、
一次胆汁酸が、腸内細菌によって脱抱合化と脱水酸化を受けたもののことである。
二次胆汁酸には発がん作用がある。
(3)誤り。
抗生物質投与により腸内細菌が減少するため、糞便中への二次胆汁酸の排出は少なくなる
(一次胆汁酸は二次胆汁酸に変換されず、一次胆汁酸のまま排泄される)。
(4)誤り。
コレステロールの合成は、肝臓や小腸などで行われる。
(5)誤り。
肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害される。
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素は、
最終産物であるコレステロールによってフィードバック阻害される。
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2017年08月27日
H脂質の代謝と栄養【問題】
それでは、「脂質の代謝と栄養」から四問出題します。
次回、解説します。
Q1.ヒト体内での脂質の輸送に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)リポたんぱく質リパーゼはHDLを構成するたんぱく質の1つである。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
(2)VLDLはトリアシルグリセロールを脂肪組織から肝臓へ輸送するのに役立っている。
(3)LDLはVLDLの前駆体である。
(4)LDLはコレステロールを肝臓以外の組織から引き抜いて肝臓へ輸送している。
(5)肝細胞はLDLを取り込むための受容体をそなえている。
Q2.脂質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪酸のβ酸化は、カルボキシル基側から炭素原子が1個ずつ離脱していく反応である。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
(2)ケトン体は、肝臓の細胞質で生成する。
(3)食事由来の脂肪酸は、小腸粘膜細胞内でトリアシルグリセロールに生合成され、
HDLの成分として血液中に放出される。
(4)アシルCoAのアシル基は、カルニチンに転移され、アシルカルニチンとして、
ミトコンドリア膜を通過する。
(5)脂肪酸のβ酸化には、ゴルジ体で行われる。
Q3.食後の脂質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)血中遊離脂肪酸濃度が上昇する。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
(2)血中カイロミクロン(キロミクロン)のトリアシルグリセロールの分解が進む。
(3)血中HDL‐コレステロール濃度が上昇する。
(4)肝臓における脂肪酸合成が低下する。
(5)脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む。
Q4.コレステロール代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)胆汁酸は、回腸で吸収され、再利用される。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。。
(2)二次胆汁酸とは、肝臓で合成され、分泌された胆汁酸のことである。
(3)抗生物質投与は、糞便中への二次胆汁酸の排出を高める。
(4)コレステロールの合成は、小腸では行われない。
(5)肝臓でのコレステロール合成は、フィードバック阻害されない。。
次回、解説します。
2017年08月26日
H脂質の代謝と栄養【ポイント】
今日は、脂質の消化と吸収についてお話します。
【脂質の消化】
摂取された脂質は、十二指腸に分泌される胆汁酸塩によりまず乳化されます。
乳化によって各消化酵素の効率は高められます。
トリアシルグリセロールは膵液リパーゼによって、
大部分がモノアシルグリセロールと脂肪酸に加水分解されます。
リン脂質はホスホリパーゼA2によってリゾリン脂質と脂肪酸に、
コレステロールエステルはコレステロールエステラーゼによって、
遊離コレステロールを脂肪酸に加水分解されます。
【脂質の吸収】
消化により生成されたモノアシルグリセロール、長鎖脂肪酸、リゾリン脂質、遊離コレステロールは、
胆汁酸塩とミセルを形成して可溶化され、
小腸吸収上皮細胞の表面でミセルから抜き出されて吸収されます。
吸収細胞に入ったモノアシルグリセロールと長鎖脂肪酸は、トリアシルグリセロールに再合成され、
リン脂質、コレステロールエステル、遊離コレステロールと共に、
アポたんぱく質との複合体であるカイロミクロン(キロミクロン)を形成します。
カイロミクロンはリンパ液中に分泌され、リンパ管を経て血液に入り、
脂肪細胞や筋肉、組織でトリアシルグリセロールの70〜90%を放出し、
カイロミクロンレムナントとなり、肝臓に取り込まれます。
グリセロールと短鎖及び中鎖脂肪酸は、ミセルを形成せずそのまま容易に吸収細胞に吸収され、
トリアシルグリセロールに再合成されることなく、門脈を経て肝臓に運ばれます。
中鎖トリアシルグリセロールは、長鎖トリアシルグリセロールに比べ、消化吸収されやすいものです。
脂質の吸収のほとんどは空腸で行われます。
【吸収後の脂質】
各組織に運ばれたカイロミクロン中のトリアシルグリセロールは、
末梢血管壁に存在するリポたんぱく質リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解されます。
脂肪酸は脂肪組織に取り込まれてトリアシルグリセロールとして貯蔵したり、
筋肉などに取り込まれてβ酸化を受けてアセチルCoAとなり、
クエン酸回路、電子伝達系を経てエネルギー篇として利用されます。
【リポたんぱく質】
食物から吸収した脂質や、肝臓・脂肪組織などで合成された脂質は、血中を通って各組織へ輸送されるが、
脂質は水に溶けないため、そのままの形では輸送することができません。
そこで、疎水性のトリアシルグリセロールやコレステロールエステルを、親水性部分をもつリン脂質や
遊離コレステロールで包み込むような形状にして、
リンパ液や血液中に溶け込めるようにしています。
その表面には、少量のアポたんぱく質と呼ばれるたんぱく質が結合しています。
このような脂質とたんぱく質の複合体をリポたんぱく質と言います。
アポたんぱく質は、リポたんぱく質の構造を安定させ、
リポたんぱく質代謝に関与する酵素を活性化し、
各種細胞の表面にあるリポたんぱく質受容体を結合する分子として働きます。
【遊離脂肪酸】
血中を流れる脂質には、リポたんぱく質の他に有利脂肪酸があります。
脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は、血漿中ではアルブミンと結合した形で輸送され、
肝臓や筋肉、心臓でエネルギー源として利用されます。
血漿中の遊離脂肪酸濃度は、食事直後で低く、飢餓状態で高いのが特徴です。
【脂肪酸の分解】
脂肪酸の分解過程をβ酸化といい、ミトコンドリアのマトリックス内で行われます。
細胞内の脂肪酸は、アシルCoAシンターゼの作用によりアシルCoAに変換され、活性化されます。
アシルCoAそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないので、
内膜中に存在する運搬隊のカルニチンとCoAを変換し、
アシルカルニチンとなってミトコンドリアに入ります。
ミトコンドリア内でカルニチンを通して再びアシルCoAとなり、β酸化を受けます。
β酸化は、脂肪酸のカルボキシル基側から2個ずつ炭素が酸化され、
アセチルCoAとして切断され、離脱していく反応です。
この反応の繰り返しによってアシルCoAは全てアセチルCoAとなります。
【ケトン体の生成】
ケトン体とは、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAの内、
クエン酸回路で処理できない過剰のアセチルCoAは、
主に肝臓のミトコンドリアでケトン体に合成されます。
生成されたケトン体は血中に放出され、
筋肉、脳、腎臓などの肝外組織に運ばれ、再びアセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、
エネルギー源として利用されます。
ただし、肝臓にはケトン体を代謝する酵素がないため、
ケトン体をエネルギー源として利用することができません。
飢餓や糖尿病のように末梢の細胞へのグルコース供給十分でない場合、
血中の遊離脂肪酸濃度が上昇し、ケトン体の合成が亢進します。
ケトン体の合成亢進により、血中のケトン体濃度が上昇した状態をケトーシスと言います。
ケトン体の内、アセト酢酸とβ-ヒドロキシ酪酸は酸であるため、
ケトーシスが進むと血液のpHが酸性に傾くアシドーシスとなり、生命の危機となります。
【コレステロールの生合成】
コレステロールは生体膜構成成分として重要な物質であるとともに、
胆汁酸やステロイドホルモン、プロビタミンD3の前駆物質でもあります。
ヒトは食事から1日0.1〜0.5gのコレステロールを吸収していますが、
生体内ではそれよりも少し多い1日0.5〜1gが生合成されています。
コレステロールは、肝臓や小腸などでアセチルCoAから何段階もの反応を経て合成されます。
脂肪酸合成と同様、ペントースリン酸回路で作られたNADPHが利用されます。
この系の律速酵素はHMG-CoA還元酵素で、
最終生成物であるコレステロールによりフィードバック調整を受けます。
次回、問題を出題します。
【脂質の消化】
摂取された脂質は、十二指腸に分泌される胆汁酸塩によりまず乳化されます。
乳化によって各消化酵素の効率は高められます。
トリアシルグリセロールは膵液リパーゼによって、
大部分がモノアシルグリセロールと脂肪酸に加水分解されます。
リン脂質はホスホリパーゼA2によってリゾリン脂質と脂肪酸に、
コレステロールエステルはコレステロールエステラーゼによって、
遊離コレステロールを脂肪酸に加水分解されます。
【脂質の吸収】
消化により生成されたモノアシルグリセロール、長鎖脂肪酸、リゾリン脂質、遊離コレステロールは、
胆汁酸塩とミセルを形成して可溶化され、
小腸吸収上皮細胞の表面でミセルから抜き出されて吸収されます。
吸収細胞に入ったモノアシルグリセロールと長鎖脂肪酸は、トリアシルグリセロールに再合成され、
リン脂質、コレステロールエステル、遊離コレステロールと共に、
アポたんぱく質との複合体であるカイロミクロン(キロミクロン)を形成します。
カイロミクロンはリンパ液中に分泌され、リンパ管を経て血液に入り、
脂肪細胞や筋肉、組織でトリアシルグリセロールの70〜90%を放出し、
カイロミクロンレムナントとなり、肝臓に取り込まれます。
グリセロールと短鎖及び中鎖脂肪酸は、ミセルを形成せずそのまま容易に吸収細胞に吸収され、
トリアシルグリセロールに再合成されることなく、門脈を経て肝臓に運ばれます。
中鎖トリアシルグリセロールは、長鎖トリアシルグリセロールに比べ、消化吸収されやすいものです。
脂質の吸収のほとんどは空腸で行われます。
【吸収後の脂質】
各組織に運ばれたカイロミクロン中のトリアシルグリセロールは、
末梢血管壁に存在するリポたんぱく質リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解されます。
脂肪酸は脂肪組織に取り込まれてトリアシルグリセロールとして貯蔵したり、
筋肉などに取り込まれてβ酸化を受けてアセチルCoAとなり、
クエン酸回路、電子伝達系を経てエネルギー篇として利用されます。
【リポたんぱく質】
食物から吸収した脂質や、肝臓・脂肪組織などで合成された脂質は、血中を通って各組織へ輸送されるが、
脂質は水に溶けないため、そのままの形では輸送することができません。
そこで、疎水性のトリアシルグリセロールやコレステロールエステルを、親水性部分をもつリン脂質や
遊離コレステロールで包み込むような形状にして、
リンパ液や血液中に溶け込めるようにしています。
その表面には、少量のアポたんぱく質と呼ばれるたんぱく質が結合しています。
このような脂質とたんぱく質の複合体をリポたんぱく質と言います。
アポたんぱく質は、リポたんぱく質の構造を安定させ、
リポたんぱく質代謝に関与する酵素を活性化し、
各種細胞の表面にあるリポたんぱく質受容体を結合する分子として働きます。
【遊離脂肪酸】
血中を流れる脂質には、リポたんぱく質の他に有利脂肪酸があります。
脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は、血漿中ではアルブミンと結合した形で輸送され、
肝臓や筋肉、心臓でエネルギー源として利用されます。
血漿中の遊離脂肪酸濃度は、食事直後で低く、飢餓状態で高いのが特徴です。
【脂肪酸の分解】
脂肪酸の分解過程をβ酸化といい、ミトコンドリアのマトリックス内で行われます。
細胞内の脂肪酸は、アシルCoAシンターゼの作用によりアシルCoAに変換され、活性化されます。
アシルCoAそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないので、
内膜中に存在する運搬隊のカルニチンとCoAを変換し、
アシルカルニチンとなってミトコンドリアに入ります。
ミトコンドリア内でカルニチンを通して再びアシルCoAとなり、β酸化を受けます。
β酸化は、脂肪酸のカルボキシル基側から2個ずつ炭素が酸化され、
アセチルCoAとして切断され、離脱していく反応です。
この反応の繰り返しによってアシルCoAは全てアセチルCoAとなります。
【ケトン体の生成】
ケトン体とは、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAの内、
クエン酸回路で処理できない過剰のアセチルCoAは、
主に肝臓のミトコンドリアでケトン体に合成されます。
生成されたケトン体は血中に放出され、
筋肉、脳、腎臓などの肝外組織に運ばれ、再びアセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、
エネルギー源として利用されます。
ただし、肝臓にはケトン体を代謝する酵素がないため、
ケトン体をエネルギー源として利用することができません。
飢餓や糖尿病のように末梢の細胞へのグルコース供給十分でない場合、
血中の遊離脂肪酸濃度が上昇し、ケトン体の合成が亢進します。
ケトン体の合成亢進により、血中のケトン体濃度が上昇した状態をケトーシスと言います。
ケトン体の内、アセト酢酸とβ-ヒドロキシ酪酸は酸であるため、
ケトーシスが進むと血液のpHが酸性に傾くアシドーシスとなり、生命の危機となります。
【コレステロールの生合成】
コレステロールは生体膜構成成分として重要な物質であるとともに、
胆汁酸やステロイドホルモン、プロビタミンD3の前駆物質でもあります。
ヒトは食事から1日0.1〜0.5gのコレステロールを吸収していますが、
生体内ではそれよりも少し多い1日0.5〜1gが生合成されています。
コレステロールは、肝臓や小腸などでアセチルCoAから何段階もの反応を経て合成されます。
脂肪酸合成と同様、ペントースリン酸回路で作られたNADPHが利用されます。
この系の律速酵素はHMG-CoA還元酵素で、
最終生成物であるコレステロールによりフィードバック調整を受けます。
次回、問題を出題します。
2017年08月25日
G糖質の代謝と栄養【解説】
昨日の糖質の代謝と栄養の問題の解説です。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
グルコース6‐ホスファターゼは、糖新生系の酵素であり、
グルコース6‐リン酸をグルコースに変換する。
(2)誤り。
グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、最終的に乳酸が生成する。
(3)誤り。
オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、細胞質内で進行する。
ミトコンドリア内にあるオキサロ酢酸は、リンゴ酸シャトルで細胞質に出て、
ホスホエノールピルピン酸となりグルコース合成に利用される。
(4)正しい。
ペントースリン酸回路によって生成されたNADPHは、
還元剤として脂肪酸やステロイドの生合成などに利用される。
(5)誤り。
グリコーゲンの加リン酸分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
この反応はグリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
全てが可逆反応ではない。
解糖経路の不可逆反応は、ヘキソキナーゼ(グルコース→グルコース6‐リン酸)、
ホスホフルクトキナーゼ(フルクトース6‐リン酸→フルクトース1,6‐ビスリン酸)、
ピルビン酸キナーゼ(ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸)で触媒される3つの反応で、
いずれの酵素も律速酵素である。
(2)誤り。
c-AMPは細胞内シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働き、
たんぱく質リン酸化酵素を活性化する。
(3)誤り。
脂肪酸がβ酸化されるとアセチルCoAが生成されクエン酸回路に入る。
また、アミノ酸の場合も、ケト原性アミノ酸はアセトアセチルCoAを経てアセチルCoAに、
糖原性アミノ酸はピルビン酸を経てアセチルCoAに合成される。
(4)誤り。
グルコース残基は、UDP‐グルコースから供給される。
(5)正しい。
UDP‐グルクロン酸は、間接ビリルビンと抱合して直接ビリルビンとなり、
胆汁の成分となって排泄される。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
食後の血糖上昇により、筋肉や肝臓ではグリコーゲンの合成が進む。
(2)誤り。
食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り組みが増加する。
(3)誤り。
脂肪酸はグルコースに転換されない。
グルコースが不足した空腹時には、糖新生経路により、
乳酸、グリセロール、アミノ酸がグルコースに転換される。
脂肪酸は糖新生の材料にならない。
なお、糖新生は肝臓の他、腎臓での行われる。
(4)正しい。
(5)誤り。
筋肉内で産生された乳酸は、肝臓に運ばれ、糖新生経路によりグルコースに転換される(コリ回路)。
Q1.糖質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)グルコース6-ホスファターゼは、解糖系の酵素である。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
グルコース6‐ホスファターゼは、糖新生系の酵素であり、
グルコース6‐リン酸をグルコースに変換する。
(2)誤り。
グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、最終的に乳酸が生成する。
(3)誤り。
オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、細胞質内で進行する。
ミトコンドリア内にあるオキサロ酢酸は、リンゴ酸シャトルで細胞質に出て、
ホスホエノールピルピン酸となりグルコース合成に利用される。
(4)正しい。
ペントースリン酸回路によって生成されたNADPHは、
還元剤として脂肪酸やステロイドの生合成などに利用される。
(5)誤り。
グリコーゲンの加リン酸分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
この反応はグリコーゲンホスホリラーゼにより触媒される。
Q2.ヒトの体内での糖質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は、すべて可逆的に進行する。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
【解説】…正答(5)
(1)誤り。
全てが可逆反応ではない。
解糖経路の不可逆反応は、ヘキソキナーゼ(グルコース→グルコース6‐リン酸)、
ホスホフルクトキナーゼ(フルクトース6‐リン酸→フルクトース1,6‐ビスリン酸)、
ピルビン酸キナーゼ(ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸)で触媒される3つの反応で、
いずれの酵素も律速酵素である。
(2)誤り。
c-AMPは細胞内シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働き、
たんぱく質リン酸化酵素を活性化する。
(3)誤り。
脂肪酸がβ酸化されるとアセチルCoAが生成されクエン酸回路に入る。
また、アミノ酸の場合も、ケト原性アミノ酸はアセトアセチルCoAを経てアセチルCoAに、
糖原性アミノ酸はピルビン酸を経てアセチルCoAに合成される。
(4)誤り。
グルコース残基は、UDP‐グルコースから供給される。
(5)正しい。
UDP‐グルクロン酸は、間接ビリルビンと抱合して直接ビリルビンとなり、
胆汁の成分となって排泄される。
Q3.糖質の栄養に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)食後の血糖値上昇により、筋肉ではグリコーゲンの分解が進む。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
【解説】…正答(4)
(1)誤り。
食後の血糖上昇により、筋肉や肝臓ではグリコーゲンの合成が進む。
(2)誤り。
食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り組みが増加する。
(3)誤り。
脂肪酸はグルコースに転換されない。
グルコースが不足した空腹時には、糖新生経路により、
乳酸、グリセロール、アミノ酸がグルコースに転換される。
脂肪酸は糖新生の材料にならない。
なお、糖新生は肝臓の他、腎臓での行われる。
(4)正しい。
(5)誤り。
筋肉内で産生された乳酸は、肝臓に運ばれ、糖新生経路によりグルコースに転換される(コリ回路)。
2017年08月24日
G糖質の代謝と栄養【問題】
それでは、「糖質の代謝と栄養」から三問出題します。
次回、解説します。
Q1.糖質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)グルコース6-ホスファターゼは、解糖系の酵素である。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
(2)グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。
(3)オキサロ酢酸からのグルコースの合成は、ミトコンドリア内で進行する。
(4)グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。
(5)グリコーゲンの加水分解によってグルコース1‐リン酸が生成する。
Q2.ヒトの体内での糖質代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は、すべて可逆的に進行する。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
(2)cAMP(環状AMP)は、たんぱく質リン酸化酵素を不活性する働きをもつ。
(3)クエン酸回路は、グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝することがで きない。
(4)グリコーゲン鎖が伸長する時には、グルコース残基はADP‐グルコースから供給される。
(5)グルクロン酸経路は、グルクロン酸抱合に用いられるUDP‐グルクロン酸の産生に役立っている。
Q3.糖質の栄養に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)食後の血糖値上昇により、筋肉ではグリコーゲンの分解が進む。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
(2)食後のインスリン分泌の上昇により、筋肉細胞へのグルコースの取り込みが減少する。
(3)空腹時には、脂肪酸が肝臓でグルコースに転換される。
(4)飢餓時には、筋肉たんぱく質由来のアミノ酸が血糖の維持に用いられる。
(5)筋肉内で産生された乳酸は、筋肉内でグルコースに転換される。
次回、解説します。
2017年08月23日
G糖質の代謝と栄養【ポイント】
今日は、糖質の代謝と栄養についてお話します。
【糖質の消化と吸収】
摂取されたでんぷんは、唾液及び膵液のα-アミラーゼの作用によって、
α-1,4グリコシド結合が内部からランダムに切断されて、
マルトトリオース、マルトース、α-限界デキストリンにまで分解されます。
これらの少糖類とラクトース、スクロースなどの二糖類は、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜に存在する二糖類分解酵素による膜消化を受け、
単糖類のグルコース、ガラクトース、フルクトースに分解されます。
【糖質の代謝】
吸収されたグルコースは血糖として全身に運ばれ、解糖系と呼ばれる代謝経路に入り代謝され、
主にエネルギーとして利用されます。
他の単糖類は、肝臓で固有の代謝系で代謝された後、
最終的にはグルコースと同様、解糖系に入り代謝されます。
余剰グルコースはグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。
肝臓のグリコーゲンは、血糖値が低下した状態になると、再びグルコースに分解されて、
血糖値を上昇させます。
体内でのグリコーゲン貯蔵量には原価があるため、
過剰に摂取されたグルコースはトリアシルグリセロール(中性脂肪)に変換されて脂肪組織に貯蔵されます。
【解糖系】
解糖駅とはグルコースがピルビン酸あるいは乳酸にまで分解される代謝経路で、細胞質ゾルで行われます。
グルコースがリン酸化されグルコース6-リン酸を生成する反応から始まり、
最終的には1分子のグルコースから2分子のピルビン酸あるいは2分子の乳酸を生じ、
2分子のATPが生成されます(実際には4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます)。
この経路の律速酵素(調整酵素)はヘキソナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
ピリビン酸キナーゼの3つであり、
いずれの酵素による反応も不可逆的で逆行しません。
・ヘキソキナーゼ(肝グルコキナーゼ):グルコース→グルコース6-リン酸
・ホスホフルクトキナーゼ:フルクトース6-リン酸→フルクトース1,6-ビスリン酸
・ピルビン酸キナーゼ:ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
解糖系では、酸素が不十分である条件(嫌気的条件)と酸素が十分にある条件(好気的条件)とでは、
最終産物が異なります。
激しい運動で酸素が不足するなど嫌気的条件下では、
ピルビン酸が乳酸脱水素酵素(LDH)により乳酸に変わり、乳酸が最終産物となります。
生成された乳酸は細胞外に放出され肝臓に運ばれ、グルコースに再合成されます。
一方、好気的条件下での最終産物はピルビン酸で、
ピルビン酸はさらにミトコンドリア内に入り、クエン酸回路で代謝されます。
【クエン酸回路】
クエン酸回路は糖質だけでなく、糖質やたんぱく質の代謝が合流する代謝経路であり、
これらの栄養素の炭素骨格は最終的に二酸化炭素と水に酸化されます。
好気的条件下での解糖系の最終産物であるピルビン酸は、
ミトコンドリアのマトリックス内に入ると酸化的脱炭酸を受けてアセチルCoAとなります。
アセチルCoAはオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じ、
順次、脱水素、脱炭酸などの反応を経て、オキサロ酢酸に戻り、回路を一巡します。
この回路をクエン酸回路といい、代謝中間体にはα-ケトグルタル酸などがあります。
クエン酸回路の代謝中間体はアミノ酸の合成原料としても使われ、
例えばα-ケトグルタル酸からはグルタミン酸が、オキサロ酢酸からはアスパラギン酸が作られます。
クエン酸回路では、脱水素反応によって、還元型補酵素のNADHとFADH2が生成されます。
また、解糖系やピルビン酸がアセチルCoAになる際にもNADHが生成されます。
これらの水素(電子)は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に受け渡され、
酸化的リン酸化によるATP産生に用いられます。
グルコースの代謝では、解糖系の基質準位(基質レベル)のリン酸化によるものよりも、
酸化的リン酸化によって得られるATPの量がはるかに多くなっています。
解糖系から電子伝達系までの過程で、1分子のグルコースから肝臓・心臓・腎臓では38分子、
脳・筋肉では36分子のATPが生成されます。
【糖新生】
グルコースが不足した時、血糖値が低下しないように、
乳酸、グリセロール、アミノ酸(糖原性アミノ酸)などの糖質以外の物質から
グルコースを生成する代謝経路を糖新生といい、肝臓と腎臓で行われます。
ただし、脂肪酸からのグルコースは合成されません。
糖新生はクエン酸回路の一部と回答軽の逆行によって行われるが、
クエン酸回路と回答軽には不可逆な過程があるため、
別の酵素反応で進んだり、迂回路を通ったりします。
例えば、解糖系におけるホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸は不可逆であるため、
乳酸やアミノ酸から生じるピルビン酸は、オキサロ酢酸を経由してホスホエノールピルビン酸となり、
グルコースを生成します。
【コリ回路とグルコース・アラニン回路】
・コリ回路
筋肉・赤血球・脳などの血中から取り込んだグルコースの一部分が解糖系を経て乳酸になりますが、
それが血中に出て肝臓(や腎臓)に取り込まれて、
糖新生系によりグルコースに再合成され、再び血中に放出されるという回路です。
放出されたグルコースは血液循環を通じて他の組織に運ばれ、そこで酸化反応に利用されます。
・グルコース・アラニン回路
筋肉で生じたアラニンが、血中に出て肝臓に取り込まれ、
そこでアミノ基が除かれてピルビン酸となり、糖新生系によりグルコースに転換される回路です。
空腹状態において血糖を維持するための、筋グリコーゲンを利用する間接的な経路です。
【グリコーゲンの合成と分解】
グリコーゲンの合成と分解は別々の経路で行われます。
次回、問題を出題します。
【糖質の消化と吸収】
摂取されたでんぷんは、唾液及び膵液のα-アミラーゼの作用によって、
α-1,4グリコシド結合が内部からランダムに切断されて、
マルトトリオース、マルトース、α-限界デキストリンにまで分解されます。
これらの少糖類とラクトース、スクロースなどの二糖類は、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛膜に存在する二糖類分解酵素による膜消化を受け、
単糖類のグルコース、ガラクトース、フルクトースに分解されます。
【糖質の代謝】
吸収されたグルコースは血糖として全身に運ばれ、解糖系と呼ばれる代謝経路に入り代謝され、
主にエネルギーとして利用されます。
他の単糖類は、肝臓で固有の代謝系で代謝された後、
最終的にはグルコースと同様、解糖系に入り代謝されます。
余剰グルコースはグリコーゲンに合成され、肝臓や筋肉に貯蔵されます。
肝臓のグリコーゲンは、血糖値が低下した状態になると、再びグルコースに分解されて、
血糖値を上昇させます。
体内でのグリコーゲン貯蔵量には原価があるため、
過剰に摂取されたグルコースはトリアシルグリセロール(中性脂肪)に変換されて脂肪組織に貯蔵されます。
【解糖系】
解糖駅とはグルコースがピルビン酸あるいは乳酸にまで分解される代謝経路で、細胞質ゾルで行われます。
グルコースがリン酸化されグルコース6-リン酸を生成する反応から始まり、
最終的には1分子のグルコースから2分子のピルビン酸あるいは2分子の乳酸を生じ、
2分子のATPが生成されます(実際には4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます)。
この経路の律速酵素(調整酵素)はヘキソナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、
ピリビン酸キナーゼの3つであり、
いずれの酵素による反応も不可逆的で逆行しません。
・ヘキソキナーゼ(肝グルコキナーゼ):グルコース→グルコース6-リン酸
・ホスホフルクトキナーゼ:フルクトース6-リン酸→フルクトース1,6-ビスリン酸
・ピルビン酸キナーゼ:ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
解糖系では、酸素が不十分である条件(嫌気的条件)と酸素が十分にある条件(好気的条件)とでは、
最終産物が異なります。
激しい運動で酸素が不足するなど嫌気的条件下では、
ピルビン酸が乳酸脱水素酵素(LDH)により乳酸に変わり、乳酸が最終産物となります。
生成された乳酸は細胞外に放出され肝臓に運ばれ、グルコースに再合成されます。
一方、好気的条件下での最終産物はピルビン酸で、
ピルビン酸はさらにミトコンドリア内に入り、クエン酸回路で代謝されます。
【クエン酸回路】
クエン酸回路は糖質だけでなく、糖質やたんぱく質の代謝が合流する代謝経路であり、
これらの栄養素の炭素骨格は最終的に二酸化炭素と水に酸化されます。
好気的条件下での解糖系の最終産物であるピルビン酸は、
ミトコンドリアのマトリックス内に入ると酸化的脱炭酸を受けてアセチルCoAとなります。
アセチルCoAはオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じ、
順次、脱水素、脱炭酸などの反応を経て、オキサロ酢酸に戻り、回路を一巡します。
この回路をクエン酸回路といい、代謝中間体にはα-ケトグルタル酸などがあります。
クエン酸回路の代謝中間体はアミノ酸の合成原料としても使われ、
例えばα-ケトグルタル酸からはグルタミン酸が、オキサロ酢酸からはアスパラギン酸が作られます。
クエン酸回路では、脱水素反応によって、還元型補酵素のNADHとFADH2が生成されます。
また、解糖系やピルビン酸がアセチルCoAになる際にもNADHが生成されます。
これらの水素(電子)は、ミトコンドリア内膜の電子伝達系に受け渡され、
酸化的リン酸化によるATP産生に用いられます。
グルコースの代謝では、解糖系の基質準位(基質レベル)のリン酸化によるものよりも、
酸化的リン酸化によって得られるATPの量がはるかに多くなっています。
解糖系から電子伝達系までの過程で、1分子のグルコースから肝臓・心臓・腎臓では38分子、
脳・筋肉では36分子のATPが生成されます。
【糖新生】
グルコースが不足した時、血糖値が低下しないように、
乳酸、グリセロール、アミノ酸(糖原性アミノ酸)などの糖質以外の物質から
グルコースを生成する代謝経路を糖新生といい、肝臓と腎臓で行われます。
ただし、脂肪酸からのグルコースは合成されません。
糖新生はクエン酸回路の一部と回答軽の逆行によって行われるが、
クエン酸回路と回答軽には不可逆な過程があるため、
別の酵素反応で進んだり、迂回路を通ったりします。
例えば、解糖系におけるホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸は不可逆であるため、
乳酸やアミノ酸から生じるピルビン酸は、オキサロ酢酸を経由してホスホエノールピルビン酸となり、
グルコースを生成します。
【コリ回路とグルコース・アラニン回路】
・コリ回路
筋肉・赤血球・脳などの血中から取り込んだグルコースの一部分が解糖系を経て乳酸になりますが、
それが血中に出て肝臓(や腎臓)に取り込まれて、
糖新生系によりグルコースに再合成され、再び血中に放出されるという回路です。
放出されたグルコースは血液循環を通じて他の組織に運ばれ、そこで酸化反応に利用されます。
・グルコース・アラニン回路
筋肉で生じたアラニンが、血中に出て肝臓に取り込まれ、
そこでアミノ基が除かれてピルビン酸となり、糖新生系によりグルコースに転換される回路です。
空腹状態において血糖を維持するための、筋グリコーゲンを利用する間接的な経路です。
【グリコーゲンの合成と分解】
グリコーゲンの合成と分解は別々の経路で行われます。
次回、問題を出題します。
2017年08月22日
F消化・吸収と栄養素の体内動態【解説】 ブログランキング始めました。
Q1.消化管ホルモンに関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)ガストリンは膵臓からの消化酵素の分泌を促進する。
(2)ガストリンは胆嚢を収縮させる。
(3)コレシストキニンは胃酸の分泌を促進する。
(4)コレシストキニンはペプシノーゲンの分泌を促進する。
(5)セレクチンは膵臓からの炭酸水素イオンの分泌を促進する。
(2)ガストリンは胆嚢を収縮させる。
(3)コレシストキニンは胃酸の分泌を促進する。
(4)コレシストキニンはペプシノーゲンの分泌を促進する。
(5)セレクチンは膵臓からの炭酸水素イオンの分泌を促進する。
【解説】…正答(5)
(1)〜(4)誤り。ガストリンは、胃酸及びペプシノーゲンの分泌を促進する。
コレシストキニンは、膵臓からの消化酵素の分泌を胆嚢の収縮を促進する。
Q2.消化と吸収に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ラクトースを構成する単糖の吸収は、ナトリウムによって促進される。
(2)ジペプチドの吸収は、ナトリウムによって促進される。
(3)たんぱく質の消化は、小腸から始まる。
(4)トリアシルグリセロールを構成するオレイン酸は、門脈中に取り込まれる。
(5)食事中のコレステロールの吸収には、胆汁の分泌は必須ではない。
(2)ジペプチドの吸収は、ナトリウムによって促進される。
(3)たんぱく質の消化は、小腸から始まる。
(4)トリアシルグリセロールを構成するオレイン酸は、門脈中に取り込まれる。
(5)食事中のコレステロールの吸収には、胆汁の分泌は必須ではない。
【解説】…正答(1)
(1)正しい。
ラクトースを構成するグルコースとガラクトースの吸収は、
Na+の濃度勾配を利用するNa+/D-グルコース共輸送担体(SGLT1)を介して行われる。
(2)誤り。
ジペプチドの吸収はH+によって促進される。
ジペプチドの吸収は、H+の濃度勾配を利用するH+/ジペプチド共輸送担体を介して行われる。
(3)誤り。
たんぱく質の消化は胃から始まる。
(4)誤り。
オレイン酸は炭素数18の調査脂肪酸であるので、
カイロミクロンの形でリンパ管中に取り込まれる。
(5)誤り。
コレステロールの吸収には、胆汁の分泌は必須である。
コレステロールは、胆汁中の胆汁酸とミセルを形成して吸収される。
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2017年08月21日
F消化・吸収と栄養素の体内動態【問題】
それでは、「消化・吸収と栄養素の体内動態」から二問出題します。
次回、解説します。
Q1.消化管ホルモンに関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)ガストリンは膵臓からの消化酵素の分泌を促進する。
(2)ガストリンは胆嚢を収縮させる。
(3)コレシストキニンは胃酸の分泌を促進する。
(4)コレシストキニンはペプシノーゲンの分泌を促進する。
(5)セレクチンは膵臓からの炭酸水素イオンの分泌を促進する。
(2)ガストリンは胆嚢を収縮させる。
(3)コレシストキニンは胃酸の分泌を促進する。
(4)コレシストキニンはペプシノーゲンの分泌を促進する。
(5)セレクチンは膵臓からの炭酸水素イオンの分泌を促進する。
Q2.消化と吸収に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ラクトースを構成する単糖の吸収は、ナトリウムによって促進される。
(2)ジペプチドの吸収は、ナトリウムによって促進される。
(3)たんぱく質の消化は、小腸から始まる。
(4)トリアシルグリセロールを構成するオレイン酸は、門脈中に取り込まれる。
(5)食事中のコレステロールの吸収には、胆汁の分泌は必須ではない。
(2)ジペプチドの吸収は、ナトリウムによって促進される。
(3)たんぱく質の消化は、小腸から始まる。
(4)トリアシルグリセロールを構成するオレイン酸は、門脈中に取り込まれる。
(5)食事中のコレステロールの吸収には、胆汁の分泌は必須ではない。
次回、解説します。
2017年08月20日
F消化・吸収と栄養素の体内動態【ポイント】
今日は、消化・吸収と栄養素の体内動態についてお話します。
【消化・吸収とは】
多くの食物はそのままでは利用できない高分子の形で摂取されるため、
これらを分解して消化管の粘膜を通過しやすい低分子にする過程が必要です。
この分解過程を消化といいます。
また、消化により分解された栄養素が、血液やリンパ液へ移送される過程を吸収と言い、
吸収の約90%は小腸で行われます。
【消化器系】
食事をすると食物は、口腔→咽頭→食道→胃→小腸(十二指腸、空腸、回腸)
→大腸(盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)→肛門を通り、
糞便として体外へ排出されます。
消化器系は、口腔から肛門まで続く消化管と、
分泌活動を行う唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓の副器官からなります。
【消化の種類】
・機械的消化
口腔内での咀嚼、異や超での蠕動運動や分節運動などによる消化をさします。
咀嚼によって食塊が細かく砕かれることにより、消化液の作用する表面を増加させます。
また、蠕動運動や分節運動によって、食塊と消化液が混和・攪拌されます。
・化学的消化
消化液中の消化酵素による加水分解、Bによる分解、アルカリによる中和、
胆汁による乳化などの消化をさします。
1日に7〜8Lの消化液が分泌されます。
化学的消化はさらに、管腔内消化と膜消化に分けられます。
管腔内消化とは、管腔内に分泌した唾液、胃液、膵液、胆汁、腸液などの
消化液によって行われる中間的な消化のことです。
幕消化とは、小腸の粘膜細胞の微絨毛膜表面に存在する消化酵素によって行われる最終的な消化のことです。
・生物学的消化
大腸での腸内細菌による発酵を伴う消化で、
大腸に到達するまでに消化されなかった物質が消化されます。
【消化過程の概要】
〇口腔
主な唾液腺には、耳下腺、舌下線、顎下腺の三つがあります。
・耳下腺:漿液性のさらさらした唾液を分泌、「αアミラーゼ」を含みでんぶんを分解。
・舌下腺:粘液性の唾液を分泌、「ムチン」を含む。
・顎下腺:漿液性と粘液の混合した唾液を分泌する。
※一日の分泌量は1〜1.5Lでほぼ中性(pH6〜7)
〇胃
食道から送り込まれた食塊は、胃の蠕動運動によって噴門から幽門へ運ばれます。
胃液と混ざって半流動状になり、十二指腸に移送されます。
胃内停滞時間は、糖質<タンパク質<脂質の順に長くなります。(脂質が一番消化に時間がかかる)
・主細胞:「ペプシノーゲン」を分泌。ペプシノーゲンはペプシンの前駆体。
・壁細胞:塩酸(胃B)を分泌。ビタミンB12の吸収に必要な内因シ(キャッスル因子)を分泌。
・副細胞:「ムチン」を主成分とする粘液を分泌。粘液は胃粘膜を保護する。
※一日の分泌量は1〜2Lで強酸性(pH1〜2)。
〇小腸
・膵液:膵臓で作られ十二指腸に分泌、炭酸水素イオンは胃から移送される酸性の消化粥を中和。
糖質、脂質、たんぱく質を分解する種々の酵素を含んでいる。
※一日の分泌量は1〜2Lで弱アルカリ性(pH7〜8)
・胆汁:肝臓で作られ濃縮されて胆嚢に蓄えられ消化する際に胆嚢が収縮して十二指腸に分泌。
胆汁は消化酵素を含んでいないが、主成分の胆汁酸の強い界面活性作用で脂質を乳化。
※一日の分泌量は0.5〜1Lで弱アルカリ性(pH7〜8)
・腸液
十二指腸腺(ブルンネル腺)、腸腺(リーベルキューン腺)から分泌。腸粘膜を保護。
※アルカリ性(pH8〜9)
【膜消化・吸収】
・吸収部位
栄養素と水の吸収の約90%は小腸で行われ、残りの10%は胃と大腸で行われます。
小腸での吸収は、小腸粘膜の吸収上皮細胞で膜消化と同時に進行します。
小腸の中で吸収の最も盛んな部位は空腸です。
胃の上皮細胞はほとんどの物質を透過させないので、
胃で吸収される栄養素や水の量はほんのわずかであり、アルコールや単糖類などの一部を吸収します。
また、大腸は、水や電解質を吸収する重要な器官であり、
この他、短鎖脂肪酸やアミノ酸、腸内細菌の動静するビタミン類なども吸収します。
・小腸での吸収機構
消化された栄養素が血管やリンパ管を通じて全身に供給されるには、
小腸吸収上皮細胞を通過する必要があります。
栄養素は微絨毛膜の透過、血管内の異動、側底膜の透過の過程を経て血管やリンパ管に移行します。
栄養素が微絨毛膜あるいは側底膜を透過すつ機構には、
濃度勾配に逆らう受動輸送と、濃度勾配に逆らう能動輸送があります。
受動輸送には、輸送担体を必要としない単純拡散と、輸送担体を必要とする促進拡散があります。
能動輸送には、一次性能動輸送、二次性能動輸送、三次性能動輸送があります。
【栄養素の体内動態】
・門脈系ー水溶性栄養素
単糖類、アミノ酸、水溶性ビタミン、無機質、短鎖・中鎖脂肪酸、グリセロールなどの
水溶性栄養素は、毛細血管→門脈→肝臓→心臓→全身へと運搬されます。
・リンパ系ー脂溶性栄養素
モノアシルグリセロール、調査脂肪酸、コレステロール、脂溶性ビタミンなどの脂溶性栄養素は、
胆汁酸塩とともにミセルを形成し、少量吸収上皮細胞に移行します。
微絨毛膜の表面に達するとミセルは壊れ、ミセルに溶解していた脂溶性栄養素は細胞内に入ります。
そして、細胞内でカイロミクロン(キロミクロン)を合成し、
乳び管→リンパ管→胸管→心臓→全身へと運搬されます。
【プレバイオティクスとプロバイオティクス】
・プレバイオティクス
腸内において有用な菌を増やし、腸内フローラの健常化を促進し、
ヒトに有益な作用をもたらす難消化性食品成分。
例)食物繊維、難消化性オリゴ糖(ラクツロース、フルクトオリゴ糖など)、レジスタントスターチ
・プロバイオティクス
腸内フローラのバランスを改善することにより、ヒトの有益な作用をもたらす生きた微生物。
例)ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌
【消化吸収率】
真の消化吸収率=摂取食品中の栄養素量ー(糞便中排泄量ー内因性損失量)/摂取食品中の栄養素量✕100
見かけの消化吸収率=摂取食品中の栄養素量ー糞便中の排泄量/摂取食品中の栄養素量✕100
【消化・吸収とは】
多くの食物はそのままでは利用できない高分子の形で摂取されるため、
これらを分解して消化管の粘膜を通過しやすい低分子にする過程が必要です。
この分解過程を消化といいます。
また、消化により分解された栄養素が、血液やリンパ液へ移送される過程を吸収と言い、
吸収の約90%は小腸で行われます。
【消化器系】
食事をすると食物は、口腔→咽頭→食道→胃→小腸(十二指腸、空腸、回腸)
→大腸(盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)→肛門を通り、
糞便として体外へ排出されます。
消化器系は、口腔から肛門まで続く消化管と、
分泌活動を行う唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓の副器官からなります。
【消化の種類】
・機械的消化
口腔内での咀嚼、異や超での蠕動運動や分節運動などによる消化をさします。
咀嚼によって食塊が細かく砕かれることにより、消化液の作用する表面を増加させます。
また、蠕動運動や分節運動によって、食塊と消化液が混和・攪拌されます。
・化学的消化
消化液中の消化酵素による加水分解、Bによる分解、アルカリによる中和、
胆汁による乳化などの消化をさします。
1日に7〜8Lの消化液が分泌されます。
化学的消化はさらに、管腔内消化と膜消化に分けられます。
管腔内消化とは、管腔内に分泌した唾液、胃液、膵液、胆汁、腸液などの
消化液によって行われる中間的な消化のことです。
幕消化とは、小腸の粘膜細胞の微絨毛膜表面に存在する消化酵素によって行われる最終的な消化のことです。
・生物学的消化
大腸での腸内細菌による発酵を伴う消化で、
大腸に到達するまでに消化されなかった物質が消化されます。
【消化過程の概要】
〇口腔
主な唾液腺には、耳下腺、舌下線、顎下腺の三つがあります。
・耳下腺:漿液性のさらさらした唾液を分泌、「αアミラーゼ」を含みでんぶんを分解。
・舌下腺:粘液性の唾液を分泌、「ムチン」を含む。
・顎下腺:漿液性と粘液の混合した唾液を分泌する。
※一日の分泌量は1〜1.5Lでほぼ中性(pH6〜7)
〇胃
食道から送り込まれた食塊は、胃の蠕動運動によって噴門から幽門へ運ばれます。
胃液と混ざって半流動状になり、十二指腸に移送されます。
胃内停滞時間は、糖質<タンパク質<脂質の順に長くなります。(脂質が一番消化に時間がかかる)
・主細胞:「ペプシノーゲン」を分泌。ペプシノーゲンはペプシンの前駆体。
・壁細胞:塩酸(胃B)を分泌。ビタミンB12の吸収に必要な内因シ(キャッスル因子)を分泌。
・副細胞:「ムチン」を主成分とする粘液を分泌。粘液は胃粘膜を保護する。
※一日の分泌量は1〜2Lで強酸性(pH1〜2)。
〇小腸
・膵液:膵臓で作られ十二指腸に分泌、炭酸水素イオンは胃から移送される酸性の消化粥を中和。
糖質、脂質、たんぱく質を分解する種々の酵素を含んでいる。
※一日の分泌量は1〜2Lで弱アルカリ性(pH7〜8)
・胆汁:肝臓で作られ濃縮されて胆嚢に蓄えられ消化する際に胆嚢が収縮して十二指腸に分泌。
胆汁は消化酵素を含んでいないが、主成分の胆汁酸の強い界面活性作用で脂質を乳化。
※一日の分泌量は0.5〜1Lで弱アルカリ性(pH7〜8)
・腸液
十二指腸腺(ブルンネル腺)、腸腺(リーベルキューン腺)から分泌。腸粘膜を保護。
※アルカリ性(pH8〜9)
【膜消化・吸収】
・吸収部位
栄養素と水の吸収の約90%は小腸で行われ、残りの10%は胃と大腸で行われます。
小腸での吸収は、小腸粘膜の吸収上皮細胞で膜消化と同時に進行します。
小腸の中で吸収の最も盛んな部位は空腸です。
胃の上皮細胞はほとんどの物質を透過させないので、
胃で吸収される栄養素や水の量はほんのわずかであり、アルコールや単糖類などの一部を吸収します。
また、大腸は、水や電解質を吸収する重要な器官であり、
この他、短鎖脂肪酸やアミノ酸、腸内細菌の動静するビタミン類なども吸収します。
・小腸での吸収機構
消化された栄養素が血管やリンパ管を通じて全身に供給されるには、
小腸吸収上皮細胞を通過する必要があります。
栄養素は微絨毛膜の透過、血管内の異動、側底膜の透過の過程を経て血管やリンパ管に移行します。
栄養素が微絨毛膜あるいは側底膜を透過すつ機構には、
濃度勾配に逆らう受動輸送と、濃度勾配に逆らう能動輸送があります。
受動輸送には、輸送担体を必要としない単純拡散と、輸送担体を必要とする促進拡散があります。
能動輸送には、一次性能動輸送、二次性能動輸送、三次性能動輸送があります。
【栄養素の体内動態】
・門脈系ー水溶性栄養素
単糖類、アミノ酸、水溶性ビタミン、無機質、短鎖・中鎖脂肪酸、グリセロールなどの
水溶性栄養素は、毛細血管→門脈→肝臓→心臓→全身へと運搬されます。
・リンパ系ー脂溶性栄養素
モノアシルグリセロール、調査脂肪酸、コレステロール、脂溶性ビタミンなどの脂溶性栄養素は、
胆汁酸塩とともにミセルを形成し、少量吸収上皮細胞に移行します。
微絨毛膜の表面に達するとミセルは壊れ、ミセルに溶解していた脂溶性栄養素は細胞内に入ります。
そして、細胞内でカイロミクロン(キロミクロン)を合成し、
乳び管→リンパ管→胸管→心臓→全身へと運搬されます。
【プレバイオティクスとプロバイオティクス】
・プレバイオティクス
腸内において有用な菌を増やし、腸内フローラの健常化を促進し、
ヒトに有益な作用をもたらす難消化性食品成分。
例)食物繊維、難消化性オリゴ糖(ラクツロース、フルクトオリゴ糖など)、レジスタントスターチ
・プロバイオティクス
腸内フローラのバランスを改善することにより、ヒトの有益な作用をもたらす生きた微生物。
例)ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌
【消化吸収率】
真の消化吸収率=摂取食品中の栄養素量ー(糞便中排泄量ー内因性損失量)/摂取食品中の栄養素量✕100
見かけの消化吸収率=摂取食品中の栄養素量ー糞便中の排泄量/摂取食品中の栄養素量✕100
2017年08月19日
E生体エネルギーと代謝【解説】
昨日の問題の解説です。
【解説】…正答(2)、(4)
(1)誤り。
グルタチオンは、抗酸化作用をもつ物質であり、活性酸素の除去に関与する。
(2)正しい。
ATPは、代表的な高エネルギーリン酸化合物である。
GTP、CTP、UTPも高エネルギーリン酸化合物である。
(3)誤り。
脱共役たんぱく質(UCP)は、ATPの合成を抑制する。
(4)正しい。
ATPは、異化の化学エネルギーの供給を受けてADPとリン酸基が結合して作られる。
(5)誤り。
電子伝達系において、最後に電子を引き受ける電子受容体は酸素である。
電子を受け取った酸素は、還元されて水となる。
【解説】…正答(3)
(1)誤り。
アポ酵素は、単独で酸素活性をもたない。
アポ酵素に捕因子(水溶性ビタミンや金属イオンなど)が結合したホロ酵素は活性をもつ。
(2)誤り。
基質との親和性が低いと、ミカエリス定数(Km)は大きくなる。
(3)正しい。
リン酸化により活性型になるものと、不活性型になるものの両方がある。
リン酸基を付加する酵素は「キナーゼ」と総称される。
(4)誤り。
酵素の基質結合部位以外の結合場所をアロステリック部位という。
アロステリックは「別の場所」という意味である。
(5)誤り。
アイソザイムとは、同じ反応を触媒するが、
たんぱく質の構造が異なる2種類以上の酵素のことをいう。
Q1.生体エネルギーと生体酸化に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)グルタチオンは、活性酸素の産生に関与する。
(2)ATPは、高エネルギーリン酸化合物である。
(3)脱共益たんぱく質(UCP)は、ATP合成を促進する。
(4)ATPの産生は、異化の過程で起こる。
(5)電子伝達系の電子受容体は、水素分子である。
(2)ATPは、高エネルギーリン酸化合物である。
(3)脱共益たんぱく質(UCP)は、ATP合成を促進する。
(4)ATPの産生は、異化の過程で起こる。
(5)電子伝達系の電子受容体は、水素分子である。
【解説】…正答(2)、(4)
(1)誤り。
グルタチオンは、抗酸化作用をもつ物質であり、活性酸素の除去に関与する。
(2)正しい。
ATPは、代表的な高エネルギーリン酸化合物である。
GTP、CTP、UTPも高エネルギーリン酸化合物である。
(3)誤り。
脱共役たんぱく質(UCP)は、ATPの合成を抑制する。
(4)正しい。
ATPは、異化の化学エネルギーの供給を受けてADPとリン酸基が結合して作られる。
(5)誤り。
電子伝達系において、最後に電子を引き受ける電子受容体は酸素である。
電子を受け取った酸素は、還元されて水となる。
Q2.酵素に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
(2)基質との親和性が低いと、ミカエリス定数(Km)は小さい。
(3)酵素活性の調整機構として、酵素たんぱく質のリン酸化がある。
(4)アロステリック部位は、酵素の基質結合部位である。
(5)アイソザイムは、同じ一次構造をもつ。
(2)基質との親和性が低いと、ミカエリス定数(Km)は小さい。
(3)酵素活性の調整機構として、酵素たんぱく質のリン酸化がある。
(4)アロステリック部位は、酵素の基質結合部位である。
(5)アイソザイムは、同じ一次構造をもつ。
【解説】…正答(3)
(1)誤り。
アポ酵素は、単独で酸素活性をもたない。
アポ酵素に捕因子(水溶性ビタミンや金属イオンなど)が結合したホロ酵素は活性をもつ。
(2)誤り。
基質との親和性が低いと、ミカエリス定数(Km)は大きくなる。
(3)正しい。
リン酸化により活性型になるものと、不活性型になるものの両方がある。
リン酸基を付加する酵素は「キナーゼ」と総称される。
(4)誤り。
酵素の基質結合部位以外の結合場所をアロステリック部位という。
アロステリックは「別の場所」という意味である。
(5)誤り。
アイソザイムとは、同じ反応を触媒するが、
たんぱく質の構造が異なる2種類以上の酵素のことをいう。