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2017年09月07日

K加齢・疾患に伴う変化【解説】

それでは、「加齢・疾患に伴う変化」の問題の解説をします。

Q1.加齢に伴う変化に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)老年症候群では、ADLは維持される。
(2)フレイルティとは、身体機能の向上をいう。
(3)サルコペニアとは、皮下脂肪の減少をいう。
(4)廃用症候群は、生活の不動性によって生じる。
(5)ロコモティブシンドロームでは、要介護になるリスクは低い。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。ADLとは、食事、更衣、整容、排泄、入浴、起居移動など
   生活を営む上で不可欠な基本的動作のことであり、老年症候群ではADLは低下する。
(2)誤り。フレイルティとは脆弱という意味であり、身体機能の低下をいう。
(3)誤り。サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少や筋量の低下をいう。
(4)正しい。廃用症候群は、寝たきりや安静状態が長期にわたる場合に生じるもので、
   筋萎縮や関節拘縮、心肺機能低下、褥瘡、骨粗鬆症などの症状が多重に現れる。
(5)誤り。ロコモティブシンドロームとは、骨、関節、筋肉といった運動器の機能低下により、
   日常生活での自立度が低下した状態のことで、溶解度になるリスクは高い。


Q2.細胞、組織、個体に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)プログラムされた能動的な細胞の死を、壊死という。
(2)炎症にみられるセルルスの4徴候は、発赤、発熱、肉芽、疼痛である。
(3)心拍動の停止、呼吸停止、瞳孔核酸の3つが揃うと脳死と認定される。
(4)高血圧症にみられる左心室肥大を作業肥大という。
(5)加齢に伴い小腸粘膜には、超上皮化生が生じる。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。プログラムされた細胞死は、アポトーシスという。
(2)誤り。炎症の4徴候は、発赤・腫脹・発赤・疼痛である。
(3)誤り。3つは「死の3徴候」であり、脳死ではなく心臓死と認定される。
(4)正しい。高血圧が持続することにより心臓の仕事量が増大し、心筋が作業肥大を起こす。
(5)誤り。慢性胃炎や加齢に伴う胃粘膜の萎縮により、胃粘膜には腸上皮化生が生じる。


Q3.がんに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)p53は、がん遺伝子の一つである。
(2)がん細胞が腹膜にばらまかれる進展様式を播種という。
(3)A型肝炎ウイルスは、肝細胞がん発症と密接な関係がある。
(4)原発性肺がんの大部分は、移行上皮がんである。
(5)腸上皮化生は、直腸がんの前がん状態である。


【解説】…正答(2)
(1)誤り。p53はがん抑制遺伝子である。
(2)正しい。播種とは「植物の種を播く」という意味である。
(3)誤り。A型肝炎ウイルスは慢性化することがないため、肝細胞がん発症に関与しない。
   肝細胞癌発症と密接な関係があるのは、C型及びB型肝炎ウイルスである。
(4)誤り。原発性肺がんは、腺がんと扁平上皮がんが多い。
(5)誤り。腸上皮化生は、胃がんの前がん状態である。

2017年09月06日

K加齢・疾患に伴う変化【問題】

それでは、「加齢・疾患に伴う変化」から三問出題します。

Q1.加齢に伴う変化に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)老年症候群では、ADLは維持される。
(2)フレイルティとは、身体機能の向上をいう。
(3)サルコペニアとは、皮下脂肪の減少をいう。
(4)廃用症候群は、生活の不動性によって生じる。
(5)ロコモティブシンドロームでは、要介護になるリスクは低い。



Q2.細胞、組織、個体に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)プログラムされた能動的な細胞の死を、壊死という。
(2)炎症にみられるセルルスの4徴候は、発赤、発熱、肉芽、疼痛である。
(3)心拍動の停止、呼吸停止、瞳孔核酸の3つが揃うと脳死と認定される。
(4)高血圧症にみられる左心室肥大を作業肥大という。
(5)加齢に伴い小腸粘膜には、超上皮化生が生じる。



Q3.がんに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)p53は、がん遺伝子の一つである。
(2)がん細胞が腹膜にばらまかれる進展様式を播種という。
(3)A型肝炎ウイルスは、肝細胞がん発症と密接な関係がある。
(4)原発性肺がんの大部分は、移行上皮がんである。
(5)腸上皮化生は、直腸がんの前がん状態である。



次回、解説します。

2017年09月05日

K加齢・疾患に伴う変化【ポイント】

本日は、「加齢・疾患に伴う変化」についてお話します。

【加齢に伴う変化】
・老年症候群
老年症候群とは、青壮年期にはみられず、加齢とともに増加して高齢者に多く見られ、
治療を同時に介護が重要になる身体的及び精神的諸症状・疾患の総称です。
加齢に伴う生理機能の低下や生活の不動性によって生じる廃用症候群とが重なって生じるため、
多臓器が関与しています。
※フレイルティ
老化に伴う種々の機能低下を基盤とし、様々な健康障害に対する脆弱性が増加している状態、
すなわち健康障害に陥りやすい状態を指します。
健康障害の中には、ADL障害、要介護状態、疾病発症、入院や生命予後などが含まれます。
@体重減少、A主観的疲労感、B日常生活活動量の減少、C身体能力の減弱、D筋力の低下の内、
3項目が該当すればフレイルティとし、1〜2項目が該当する場合はフレイルティ前段階として定義づけました。

【炎症と創傷治癒】
炎症とは、身体の細胞や組織が病的・傷害性の刺激を受けることで起こる生体の防御・修復反応です。
・炎症の徴候
 発赤、腫脹、発熱、疼痛の4つをセルススの4徴候といい、
 これい機能障害を加えて、ガレノスの5徴候といいます。
・炎症の原因
 病原微生物による感染(生物的因子)、酸・アルカリ(化学的因子)、
 外傷・熱傷・放射線(物理的因子)などの外的要因と、アレルギーや代謝異常などの内的要因があります。
・炎症の経過
 経過の長さにより急性炎症と慢性炎症に分けられます。
 炎症反応は、炎症細胞とそれをコントロールする化学伝達物質により行われます。
 炎症細胞には好中球のように主に急性期に活動するものと、リンパ球やマクロファージ、
 線維芽細胞のように主に慢性期に活動するものがあります。

【細胞の構造・機能の障害】
・変性
 組織や細胞に異常に物質が出現したり、生理的に存在する物質が異常・多量に沈着すること
・壊死
 組織や細胞が一定の障害を受けたりすることで、細胞が死亡することを壊死します。
 細胞内の酵素を周囲にまき散らし、炎症を引き起こします。
 変性と異なり、不可逆的です。
 感染などによって壊死組織に二次的に腐敗性の変化が加わると、壊疽となります。
・アポトーシス
 受け身の変化で起こす壊死とは異なり、生体の細胞数調整のために自発的に行われる細胞死のこと
・萎縮
 正常の大きさまで発育した組織や臓器の容積が減少すること
・肥大
 細胞の容積が増大して組織や臓器の容積が増加する現象
・化生
 成熟した正常な組織が、質的に異なった別の分化を行い、通常存在しない場所に異所性に生じること
・異形成
 核や細胞質の異常など正常な細胞・組織の形態とはかけ離れた形態を示す異型性が認められ、
 その異型がある程度持続する病変のこと

【腫瘍】
・悪性腫瘍と良性腫瘍
がんの比較.gif
・腫瘍の分類
 腫瘍は、発生の元となる細胞・組織の種類によって、上皮性と非上皮性に分けられる。
 さらに、悪性かつ上皮性のものをがん腫、悪性かつ非上皮性のものを肉腫といいます。
・転移
 腫瘍細胞が原発部位を離れて、血流やリンパ瘤に乗って遠隔部位に達し、そこで増殖すること。

次回、問題を出題します。

2017年09月04日

J個体の恒常性とその調整機構【解説】

それでは、「個体の恒常性とその調整機構」の問題の解説をします。

Q1.情報伝達に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)神経終末と標的細胞が接合する部位をニューロンと呼ぶ。
(2)ペプチドホルモンの受容体は核内に存在する。
(3)ATPはセカンドメッセンジャーである。
(4)アセチルコリンの受容体は細胞膜に存在する。
(5)細胞の静止膜電位は、細胞外の電位を0とすると細胞内がプラスになっている。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。神経終末と標的細胞が接合する部位はシナプスと呼ばれる。
   ニューロンは神経細胞のことである。
(2)誤り。ペプチドホルモンは親水性であるので、その受容体は細胞膜に存在する。
   ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンなどの脂溶性ホルモンの受容体は、
   細胞質あるいは核内に存在する。
(3)誤り。cAMPはセカンドメッセンジャーであるが、ATPはセカンドメッセンジャーではない。
(4)正しい。アセチルコリンの受容体はニコチン性とムスカリン性に大別されるが、
   いずれも細胞膜に存在する。
(5)誤り。細胞の静止膜電位は、細胞外の電位を0とすると細胞内がマイナスになっている。
   電位が生じると、オーバーシュートにより細胞内は一時的にプラスに転化する。



Q2.個体の恒常性に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)細胞外液は、体の全水分量の3分の2を占める。
(2)細胞外液のpHは、7.50以上に維持されている。
(3)血液中の水素イオン濃度が上昇すると、呼吸数は減少する。
(4)ミネラルコルチコイドは、尿細管におけるナトリウムの再吸収を促進される。
(5)カルシトニンは、血液中のカルシウムイオン濃度を上昇させる。


【解説】…正答(4)
(1)誤り。細胞外液は、体の全水分量の3分の1を占める。
(2)誤り。細胞外液のpHは、7.35〜7.45の範囲に維持されている。
(3)誤り。血液中の水素イオン(H+)濃度が上昇すると、血液のpHが低下する(アシドーシスに傾く)。
   これを抑制するため、生体は血液中の水素イオン濃度を下げる方向へ働く。
   したがって、血液中の二酸化炭素濃度を下げる(二酸化炭素の体外への排出を促進する)べく、
   呼吸数は増加する。
(4)正しい。主なミネラルコルチコイドであるアルドステロンは、
   遠位尿細管から集合管におけるナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進させる。
(5)誤り。カルシトニンは骨形成を促進して、血中カルシウムイオン濃度を低下させる。
   血中カルシウム濃度を上昇させるホルモンは、副甲状腺ホルモン(パラソルモン)である。

Q3.アシドーシス・アルカローシスとその原因に関する組み合わせである。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)呼吸性アシドーシスー過呼吸(過換気)
(2)呼吸性アルカローシスー肺気腫
(3)代謝性アシドーシスー嘔吐
(4)代謝性アシドーシス―飢餓
(5)代謝性アルカローシスー腎不全


【解説】…正答(4)
(1)誤り。過呼吸(過換気)では、CO2が過剰に排出されるので、
   血中CO2濃度が低下して呼吸性アルカローシスとなる。
(2)誤り。肺気腫では、換気が不十分となるので、血中CO2濃度が上昇して呼吸性アシドーシスとなる。
(3)誤り。嘔吐時には、胃酸の減少に伴い、代謝性アルカローシスとなる。
(4)正しい。飢餓状態では、脂肪酸のβ酸化が亢進して血中ケトン体濃度が上昇するため、
   代謝性アシドーシスとなる。
(5)誤り。腎臓では、代謝で生じた過剰なH+を尿細管で再吸収したHCO3-を使って処理している。
   腎不全では、尿細管でのHCO3-の再吸収障害及びH+の排泄障害が起こり、
   血中のH+が増加するため、代謝性アシドーシスとなる。

2017年09月03日

J個体の恒常性とその調整機構【問題】

それでは、「個体の恒常性とその調整機構」から三問出題します。

Q1.情報伝達に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)神経終末と標的細胞が接合する部位をニューロンと呼ぶ。
(2)ペプチドホルモンの受容体は核内に存在する。
(3)ATPはセカンドメッセンジャーである。
(4)アセチルコリンの受容体は細胞膜に存在する。
(5)細胞の静止膜電位は、細胞外の電位を0とすると細胞内がプラスになっている。



Q2.個体の恒常性に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)細胞外液は、体の全水分量の3分の2を占める。
(2)細胞外液のpHは、7.50以上に維持されている。
(3)血液中の水素イオン濃度が上昇すると、呼吸数は減少する。
(4)ミネラルコルチコイドは、尿細管におけるナトリウムの再吸収を促進される。
(5)カルシトニンは、血液中のカルシウムイオン濃度を上昇させる。



Q3.アシドーシス・アルカローシスとその原因に関する組み合わせである。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)呼吸性アシドーシスー過呼吸(過換気)
(2)呼吸性アルカローシスー肺気腫
(3)代謝性アシドーシスー嘔吐
(4)代謝性アシドーシス―飢餓
(5)代謝性アルカローシスー腎不全



次回、解説します。

2017年09月02日

J個体の恒常性とその調整機構【ポイント】

今日は、「個体の恒常性とその調整機構」についてお話します。

【細胞内情報伝達】
細胞外からの情報は、多くの場合はホルモン、神経伝達物質、増殖因子、
サイトカイン、エイコサノイドなどの化学的シグナルによって伝えられます。
これらは、リガンドとして細胞の受容体と特異的に結合することによって
ファーストメッセンジャーとして働きます。

【受容体】
〇細胞膜受容体(親水性リガンドの場合)
・イオンチャンネル内蔵型受容体
・Gたんぱく質共役型受容体
・酵素共益型受容体
〇細胞内受容体(脂溶性リガンドの場合)

【細胞内シグナル】
受容体からのシグナルを伝える細胞内の低分子をセカンドメッセンジャーといい、
cAMP、cGMP、イノシトール3リン酸、ジアシルグリセロール、Ca2+などがあります。
・cAMP-Aキナーゼ系
・cGMP-G-キナーゼ系
・イノシトール・リン脂質代謝、Ca2+系

【恒常性(ホメオスタシス)とフィードバック機構】
人体には、体外環境が変化しても、体内環境は一定に保とうとする仕組みが備わっています。
これを恒常性(ホメオスタシス)と言います。
フィードバック機構とは、恒常性を維持するための最も重要な気候です。
正と負がありますが、生体機能調節の中心は負のフィードバックで、
体内の環境変化の影響を弱める方向に身体の各器官系が共同して働きます。

【体液・電解質バランス、酸塩基平衡】
〇体液の区分
体液(水分)は体重の60%を占め、その内3分の2(体重の40%)は細胞内液であり、
残りの3分の1は細胞外液として存在します。
細胞外液の多くが細胞間に存在する間質液(組織間液)で、
他に血漿、脳脊髄液、リンパ液などが含まれます。

水分.jpg

〇性・年齢別の水分量
・体重に占める水分の比率
男性>女性(女性は脂肪の割合が高い為)
新生児・乳幼児>高齢者

〇体内の水分バランス
成人の1日の水の出納量は、2000〜2500mlです。

水分バランス.jpg

1日の尿量が400ml以下の時を乏尿、100ml以下の時を無尿、2500ml以上の時を多尿と言います。

〇体液の電解質と非電解質
・電解質
電解質とは、水に溶けて正または負に荷電してイオンとなり、
電気的性質を有する物質の総称です。。

電解質は体液の浸透圧やpHを調節し、神経細胞や筋細胞が機能するために重要な機能を果たしています。
・非電解質
グルコース、尿素、クレアチニンなど

〇体液の酸塩基平衡
・酸塩基平衡
人の細胞外液のpHは、正常な状態では7.4±0.05(7.35〜7.45)に保たれており、
このような調整機構と酸塩基平衡と呼びます。
・酸塩基平衡の調節
体液の緩衝作用:酸性側に傾きそうになるとH⁺はHCO3⁻と反応してH2CO3となり、
        アルカリ側に傾きそうになると塩基がH2CO3と反応してHCO3⁻
呼吸による調節:酸性側に傾きそうになると呼気量を置くして血中CO2濃度を下げ、
        アルカリ側に傾きそうになると呼気を抑制して血中CO2濃度を上げます。
腎臓による調節:酸性側に傾きそうになると尿中にH⁺を排泄し、HCO3⁻の再吸収を促進し、
        アルカリ側に傾きそうになると尿中にHCO3⁻を排泄し、H⁺の再吸収を促進します。
・酸塩基平衡の異常
血液のpHが7.35以下の酸性側に傾いた場合をアシドーシス、
7.45以上のアルカリ側に傾いた場合をアルカローシスと言います。
原因によって肺からのCO2の呼出以上による呼吸性とそれ以外の原因による代謝性に分けられます。
@代謝性アシドーシスをきたす要因:HCO3⁻の減少、酸の増加
 腎不全、尿細管アシドーシス、激しい下痢、糖尿病アシドーシス、激しい運動
A代謝性アルカローシスを示す要因:HCO3⁻の増加、酸の減少
 原発性アルドステロン症、低カリウム血症、激しい嘔吐
B呼吸性アシドーシスを示す要因:低換気によるPCO2の増加
 気管支喘息、肺気腫などの閉塞性換気障害、筋無力症、気胸など
C呼吸性アルカローシスを示す要因:過換気によるPCO2の減少
 過換気症候群、くも膜下出血、肺梗塞など

【体温の調節】
・体温の変動
体温は、測定部位によって若干異なります。
一般に、腋窩温>口腔温>直腸温です。
その他、時間帯、年齢、性など、個人差があります。
・体温の調整
体温調整は、間脳の視床下部にある体温調整中枢が行っています。
ここで自律神経とホルモンによって調整されています。

【生体機能の周期性変化】
〇サーカディアンリズム
生体には生まれつき備わっているリズムがある。
ヒトの生体機能の多くは1日、24時間を周期とするリズムで変動しており、
この24時間を周期とするリズムをサーカディアンリズムといいます。
〇サーカディアンリズムと生体機能
サーカディアンリズムは内分泌系や免疫系において著明に表れることが多いです。
・体温:早朝低く、夕方高い
・副腎皮質ホルモン:早朝高く、深夜低い
・カテコールアミン:早朝高く、夜低い
・メラトニン:昼低く、夜高い
・セロトニン:昼高く、夜低い

次回、問題を出題します。




2017年09月01日

今月(9月)の目標

管理栄養士国家試験まであと6ヵ月となりました。
来年から国家試験は3月上旬に変更になりますので、
早めの勉強スタートが合格へのカギとなります。

独学で管理栄養士国家試験に臨むのであれば、
勉強期間は最低でも半年は必要です。

今月からは、しっかりエンジンをかけて勉強を進めていきましょう。
独学だと勉強の進捗についても自分で全て管理していかなくてはいけないので、
厳密なスケジュールを立てることが非常に重要になっていきます。

以前もご紹介しているとおり、勉強のスケジューリングは下記をオススメします。

【勉強の順番】
1番:A「人体・疾病」、C「基礎栄養学」、F「臨床栄養学」  合計69問(34.5%)
2番:@「社会・環境と健康」、G「公衆栄養学」        合計35問(17.5%)
3番:B「食べ物と健康」                   合計25問(12.5%)
4番:D「応用栄養学」、E「栄養教育論」H「給食経営管理論」 合計51問(25.5%) ※どの順でも可

【勉強にかける時間】
1番に1か月、2番に半月、3番に半月、4番に1か月
1〜4番を3か月間で行い、分からないところや弱点を明らかにする。
残りの3か月で過去問題や模試などの問題を徹底的に解きまくる。



【今月(9月中)に行いたいこと】
@1番の勉強を進め、今月中に大まかな内容を理解する。
 1番の分からないところを明らかにする。
A1番の過去問題を解いてみる。
 (問題を解く中でイメージを掴む)

※このブログでも8月から実際の問題を掲載しています。
 現在は、1番の「人体・疾病」を載せているので、解いてみてください。
 【解説】と【ポイント】も熟読してくださいね。


独学だと分からないことばかりですよね。
私もそうでした。
勉強の進め方について分からないことがあれば、何でもコメント下さいね。

2017年08月31日

Iたんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養【解説】

それでは、「たんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養」の問題の解説をします。

Q1.アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)オートファジーは、たんぱく質を合成する作用である。
(2)ユビキチンは、たんぱく質の異化に関与する。
(3)アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
(4)アスパラギン酸は、ケト原生アミノ酸である。
(5)尿素回路は、肝臓に存在する。


【解説】…正答(2)、(5)
(1)誤り。オートファジーは、不要たんぱく質をリソソームに取り込んで分解する作用である。
(2)正しい。ユビキチンは、たんぱく質を装飾する小さな球場のたんぱく質であり、
   ユビキチンを受けたたんぱく質は、プロテアソームによって分解される。
(3)誤り。アラニンは、アミノ基転移反応によりピルビン酸になる。
   オキサロ酢酸になるのはアスパラギン酸である。
(4)誤り。アスパラギン酸は糖新生の基質として用いられるので、糖原生アミノ酸である。
(5)正しい。尿素開祖では、毒性の強いアンモニアが毒性の弱い尿素に変換される。


Q2.アミノ酸・ペプチドの代謝についての記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アドレナリンはヒスチジンから作られる。
(2)ニコチン酸はフェニルアラニンから作られる。
(3)セロトニンはトリプトファンから作られる。
(4)γ‐アミノ酪酸(GABA)はアスパラギン酸から作られる。
(5)メラトニンはメチオニンから作られる。


【解説】…正答(3)
(1)誤り。アドレナリンは、フェニルアラニン→チロシン→ドーパ→アドレナリンと、
   体内で変化して産生される。
(2)誤り。ニコチン酸(ナイアシン)は、肝臓でトリプトファンから作られる。
(3)正しい。
(4)誤り。γ‐アミノ酪酸は、グルタミン酸から作られる。
(5)誤り。メラトニンは、トリプトファン→セロトニン→メラトニンの順に合成される。


Q3.たんぱく質とアミノ酸の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)消化管から吸収されたアミノ酸は、体内のアミノ酸プールに入らない。
(2)筋肉たんぱく質の分解で生じた遊離アミノ酸は、体たんぱく質の合成に再利用されない。
(3)骨格筋のたんぱく質の平均半減期は、肝臓で合成されるたんぱく質の平均半減期よりも短い。
(4)筋肉に取り込まれた分岐アミノ酸は、グルコースに変換されて放出される。
(5)筋肉から放出されたアラニンは、肝臓でグルコースに変換される。


【解説】…正答(5)
(1)誤り。消化管から吸収されたアミノ酸と、体たんぱく質の分解によって生じたアミノ酸は、
   共にアミノ酸プールに入る。
(2)誤り。筋肉たんぱく質の分解で生じたほとんどの遊離アミノ酸は、
   たんぱく質の合成に再利用される。
(3)誤り。骨格筋のたんぱく質の平均半減期の方が長い。
   骨格筋のたんぱく質の平均半減期は約180日、
   肝臓で合成されるアルブミンなどの血清たんぱく質の平均半減期は約10日である。
   臓器によって、たんぱく質の代謝回転速度は異なる。
   肝臓、血液、小腸では代謝回転が速く、骨格筋や骨では遅い。
(4)誤り。分岐アミノ酸は、筋肉で参加分解されエネルギーを産生する。
(5)正しい。筋肉から放出されたアラニンは肝臓へ運ばれ、糖新生によりグルコースになる。
   これをグルコースーアラニン回路という。

2017年08月30日

Iたんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養【問題】

それでは、「たんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養」から三問出題します。

Q1.アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)オートファジーは、たんぱく質を合成する作用である。
(2)ユビキチンは、たんぱく質の異化に関与する。
(3)アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
(4)アスパラギン酸は、ケト原生アミノ酸である。
(5)尿素回路は、肝臓に存在する。



Q2.アミノ酸・ペプチドの代謝についての記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)アドレナリンはヒスチジンから作られる。
(2)ニコチン酸はフェニルアラニンから作られる。
(3)セロトニンはトリプトファンから作られる。
(4)γ‐アミノ酪酸(GABA)はアスパラギン酸から作られる。
(5)メラトニンはメチオニンから作られる。



Q3.たんぱく質とアミノ酸の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)消化管から吸収されたアミノ酸は、体内のアミノ酸プールに入らない。
(2)筋肉たんぱく質の分解で生じた遊離アミノ酸は、体たんぱく質の合成に再利用されない。
(3)骨格筋のたんぱく質の平均半減期は、肝臓で合成されるたんぱく質の平均半減期よりも短い。
(4)筋肉に取り込まれた分岐アミノ酸は、グルコースに変換されて放出される。
(5)筋肉から放出されたアラニンは、肝臓でグルコースに変換される。



次回、解説します。

2017年08月29日

Iたんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養【ポイント】

今日は、たんぱく質・アミノ酸の代謝と栄養についてお話します。

【たんぱく質の消化】
・胃での消化
摂取されたたんぱく質は、胃液中の塩酸(胃酸)で強く変性されます。
これにより消化酵素の作用が受けやすくなります。
胃から分泌されるペプシンによってポリペプチドに加水分解されます。
・小腸での管腔内消化
胃から十二指腸に送られたポリペプチドは、膵液中の各種消化によって、
さらにオリゴペプチド、トリペプチド、ジペプチドにまで加水分解されます。
・小腸での悪消化
管腔内消化分解物のオリゴペプチド、トリペプチド、ジペプチドは、
小腸吸収上皮細胞の微絨毛に細胞内に存在する各種ペプチターゼによって、
最終的にアミノ酸に加水分解されます。

【たんぱく質の吸収】
たんぱく質、ジペプチド、トリペプチドは、微絨毛膜に存在する輸送担体に介して細胞内に吸収されるが、
アミノ酸とジペプチド、トリペプチドは全く事夏能動輸送系によって吸収されます。
これは、2つの輸送系が互いに抑制することなく共同して機能するためです。
アミノ酸の吸収は、異なった基質特異性と持った複数の輸送担体を介して行われ、
多くがNa+の駆動力を利用して輸送されます(二次性能動輸送)。
一方、ジペプチド・トリペプチドは、H+の駆動力を利用して輸送されます(三次性能動輸送)。
ジペプチド・トリペプチドで輸送系で吸収されたほとんどのジペプチド・トリペプチドは、
細胞内のペプチダーゼで細胞内消化を受け、アミノ酸となって血管へ移行し、
門脈を経て肝臓に運ばれます。

たんぱく質の消化と吸収.jpg


【たんぱく質の合成】
体重1sあたりの1日の体たんぱく質合成量は、
体重増加の著しい新生児や乳児、幼児の方が成人よりも多い傾向にあります。
体たんぱく質合成は、食物由来のアミノ酸と生体内で合成されたアミノ酸の両方が使われます。
たんぱく質の合成は、細胞質内のリボソームで行われます。
DNAの情報をmRNAに転写し、mRNAの情報を翻訳することでたんぱく質合成が達成されます。

【たんぱく質の分解】
障害を受けたたんぱく質や不要たんぱく質の分解機構として、
ユビキチンープロテアソーム系、オートファジー系、カルパイン系などが知られています。

【窒素出納】
一日の窒素摂取量と、体外へ排泄される総窒素量との差を窒素出納と言います。
 *窒素出納=摂取窒素量ー体外排泄窒素量
ヒトの体内の窒素のほとんどがたんぱく質由来であるため、
窒素出納によって、体内のたんぱく質代謝の胴的状態をみることができます。
窒素出納が性の場合は、体たんぱく質が蓄積されたことを、
負の場合は体たんぱく質が消費されたことを意味します。
正常な政治の窒素出納はゼロであり、
過剰なたんぱく質を摂取しても体たんぱく質として貯蔵されることもなく、
余分な窒素は尿中に排泄されます。

【食後、食間期のたんぱく質代謝】
食事摂取したタンパク質は、前述のようにアミノ酸となって吸収され、門脈を経て肝臓に運ばれます。
この語、アミノ酸は肝臓から血中に放出されるため、食後には毛中アミノ酸濃度が上昇します。
血中アミノ酸濃度の上昇は、筋肉などの組織での体たんぱく質の合成を促進します。

【アルブミン】
血漿には、通常たんぱく質は6〜8.5g/dL含まれています。
血漿中のたんぱく質としては。アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンがありますが、
アルブミンは血漿たんぱく質の約60%を占めています。
アルブミンは肝臓で合成され、血中へ放出されます。
半減期は2〜3週間です。

【急速代謝回転たんぱく質(RTP)】
癌ゲンキの短い血中たんぱく質が、短期間の栄養状態の評価、術後回復の判定指標として用いられます。
このような代謝回転の速い血中たんぱく質を急速代謝回転たんぱく質といい、
レチノール結合たんぱく質、トランスサイレチン(プレアルブミン)、トランスフェリンなどがその例です。

【アミノ基転移反応】
大部分のアミノ酸は、アミノ基転移反応によってα-アミノ基をα-ケトグルタル酸に渡し、
自身はα-ケト酸となり、α-ケトグルタルさんはグルタミン酸となります。
反応は可逆的です。
 *アミノ酸+α‐ケトグルタル酸 ⇔ α‐ケト酸+グルタミン酸

【脱アミノ反応】
アミノ基転移反応で生じたグルタミン酸は、グルタミン酸脱水素酵素の作用を受け、
そのアミノ基をアンモニアとして遊離させるとともに、α‐ケトグルタル酸を生じます。
そのα‐ケトグル立つ酸は、再びアミノ基転移反応において、
アミノ酸からのアミノ基の受け取り手として働きます。
この反応は、NAD+またはNADP+を必要とします。
 *グルタミン酸+H2O+NAD(P)+ ⇔ α‐ケトグルタル酸+NH3+NAD(P)H+H+

【窒素の生成】
アンモニアは人体にとって有害であるため、
主に肝臓の尿素回路で毒性の低い尿素に変換されて腎臓に運ばれ、尿中へ排泄されます。
尿素回路をもたない脳や筋肉などの組織で生じた多くのアンモニアは、
一旦グルタミンのアミド基の形に変えられて、血中を経て肝臓に取り込まれます。
グルタミンは肝臓で加水分解されてアンモニアを生じ、肝臓の尿素回路で処理されます。
腎臓で生じたアンモニアは、尿素に変換されることなくそのまま尿中に排泄されます。

【たんぱく質の栄養】
〇生物学的評価法
・生物価(BV):食物から吸収されたたんぱく質は、体内にどのくらい保留されたかと割合で示した値
*生物価=保留窒素量/吸収窒素量×100
   =吸収窒素量ー(尿中窒素量ー代謝性尿中窒素量)/摂取窒素量ー(糞中窒素量―代謝性糞中窒素量)
    ×100
・正味たんぱく質利用率(NPU):正味たんぱく質利用率は生物価に消化吸収率を考慮したもので、
               生物価に消化吸収率を乗じることで求められる。
*正味たんぱく質利用率=保留窒素量/摂取窒素量×100=生物価×消化吸収率
・たんぱく質利用効率(PFR)
*たんぱく質利用効率=体重増加量(g)/摂取たんぱく質量(g)
〇化学的評価法
・アミノ酸価:食品たんぱく質の不可欠アミノ酸含有量をアミノ酸評点パターンと比較して、
それよりも低い値のアミノ酸を制限アミノ酸といい、
その中でも最も不足しているアミノ酸を第一制限アミノ酸と呼びます。
*アミノ酸価=食品たんぱく質中の第一制限アミノ酸量(r/gN)/アミノ酸評点パターン当該アミノ酸量(r/gN)×100

次回、問題を出題します。


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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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