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2017年05月24日

SPIEGEL EI レビュー感想 〜斬新な演出は素晴らしいが、ゲーム的には凡作〜

本作SPIEGEL EIは暗い過去を持つ少女アイが、ワケアリの子の集まる屋敷へやってくるところから始まる、SFファンタジー+メタフィクションADV


特筆すべきは演出法。この、徐々に壊れていく世界とか、鏡の世界とか、もう1人の自分とか、すでに使い古されたありがちな設定において数々の斬新な演出を鏤めたのは凄い。


特にベストエンドの途中でプレイヤーが退場させられてしまう演出で、ゲームが落ちたのは画期的だった


グラフィックデザインも新しいし、音楽もどれも凄く耳に残る(ただしフリー素材な模様)


マザーのように冒頭でプレイヤーの名前を入力し、窓の外のプレイヤーと、それにゲーム的に操作されるアイの関係を描写したのはなかなか上手い。


選択肢が出て、Xキーを押すと”プレイヤー”が選択肢を拒否し、アイに回答をゆだねるというのが面白かった。


このテのプレイヤー≠主人公のメタフィクションゲームはマザーシリーズやDSのコンタクト、サターンのアゼル・パンツァードラグーンRPG、バテンカイトスシリーズなどがあるが、それに次ぐ新しさがあった。素人がこれを思いついたのは素晴らしい



非常に面白い演出と演出だが、残念ながら世界観やADVのデキは平凡。作中でヒントを探しながら謎を解くだけで、正直食傷気味なジャンルで今一面白くなかった


ホラーではないと謳っているが実際にはホラーで、徐々に侵食されていく世界は中々に怖かった。



評価50点 演出は面白いが、ゲームとしては、凡作です












2017年05月22日

END ROLL レビュー感想 〜フリーゲームの枠を飛び越えたゲームだが、EDが残念〜

▼END ROLLを攻略しました。ネタバレ全開です




本作END ROLLはふりーむゲームコンテストをダブル受賞したRPG。



既に一定の評価があるのでハズレということはないだろう、とりあえずやってみるか。





程度に思っていたが、フタを開けてみれば、期待を遥に超えて素晴らしいクオリティのゲームだった。




GBA〜DS初期くらいのグラフィッククオリティだが、仮にその時代に一般ゲームとして発売されていたとしても、名作という評価を受けたであろうことは間違いない。



ただし、極めて人を選ぶことも間違いないが(でも全体的に好評のようだ)






以下、具体的に何が優れているかの箇条書き









▼まず、練られた世界観。世界観自体は、人格が歪んだ殺人鬼の少年が更生プログラムによって、特殊なドラッグを打たれ、夢を見ているという設定。




夢の中の住人は、全て現実世界で主人公が殺した人間達。現実が反映された姿で登場する。主人公そっくりの、「もう1人の自分」がいる。




ここまでもベタだが、主人公が歪んだ原因が両親にある、というのが、更にベタ。





最初は非人間の主人公だったが、住人らの優しさに打たれ、徐々に罪悪感を抱き、人間的になり、良心の呵責に苦しむ事になる…といった筋書きの繰り返し。





一見するとただの厨2病設定っぽいが、





この罪悪感というまともな人間なら誰でも共感する概念が、罪悪値という数値のシステムで、ED分岐に関わるのが面白い発想だった。少なくともゲームで罪悪感という数値・概念が斬新




ロックマンDASHのように悪事を働いたらボディが黒くなって凶悪武器が買えたり、サモンナイトのように仲間を戦闘不能にするとカルマ値が上がるゲームとも、また違った











▼と、世界観自体は、まあハッキリいってありがちといえばありがちだし、誰でも類似した作品を知っていそうではある。だが問題はその中身のクオリティの高さ



1話ごとに1人のエピソードを消化するのだが、少年が劣等感に苛まれたり、両親の汚さに嫌悪したり、非常にバラエティ豊かで飽きさせない展開となっている。




ついさっきまでキャッキャウフフしてたヒロインたちが、

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顔面が潰れたり焼け爛れた姿で唸り声をあげて迫ってくるのは、ベタだがインパクト絶大

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最後のユーミのみ、主人公の父親が殺人をしたという展開なので(恐らくレイプもされている)、主人公は手を下していない。ここで主人公が殺したのは実は父親だったわけだが、この流れも秀逸








▼ユーモラスなグラフィック。主人公の武器がバットだったり、恐らく作者はマザーシリーズやラブデ系に影響を受けているのではないか。モンスターデザインなどもそうだが、SDキャラの顔も似ている。
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キャラクターの顔に横線が入っていたり、非常に独創的で、他の作品では見れないような種族が登場する点も良かった。食べ物が歩いているってのは、アンパンマンやOH!MYコンブのようだ(そういえばこのゲームにも、コンブ出るな)
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▼ウィットに富んだセリフと、引き込むストーリー。前述の世界観につながるが、主人公が現実世界の犯罪、殺人を夢の世界で省みるストーリーが素晴らしい。しかもフリーゲームとは思えない程、町の人々との会話が変わる。よくこれだけ1人で書いたものだと思う。戦闘中の会話もメリハリが効いている







電撃PSのキャラのようなかわいらしいキャラクター。こんな可愛いキャラなのにダークな世界観。親和性とギャップの高さが凄い




巨乳のコーディがお気に入りでEDの相手にも選んだ。
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巨乳、ツインテ、妹キャラ(主人公以外の)なのに19歳というヒロインにしては高年齢なのも、リアルで良かった




女性キャラの場合は恋愛っぽくなる。好きだの嫌いだのとはいわないが、中々に甘酸っぱい展開とが待っている。




男性キャラも選べる。その場合友情やBLっぽくなると思われる





このコーディのストーリーも面白い。ストーリーをより深く知る上でもベストな選択だったと思う(コーディとガーデニアはストーリー上でもヒロインポジションにいるが、主人公が唯一殺ってない、殆ど絡みの無かったユーミでも恋愛っぽくなるんだろうか?)










▼丁度いいゲームバランス。ザコを倒せばボスが楽勝くらいの設定。終盤だけ敵が強いが、遊び易い。人間キャラのボスが大画面で表示されるのは、天外魔境2っぽい迫力のある画




▼シーンにマッチした、ハイクオリティな音楽。どれを取っても、ほとんど非の打ち所が無い。しかも作者の自作だという。




▼ホラーなど、2Dドットとしては最高の演出。演出は映画的であり、ゲーム的でもある。徐々に世界が侵食されていく過程は見事




特にラスダンの、ラスボス直前の演出が素晴らしい。主人公が歩く度、仲間がひとりひとりと謎の死を遂げ、死体が転がっている。調べると「どこかで見覚えがある人形が転がっている」って、もう怖いね。



ラスボスが父親ってのはよくあるが、ラスボスが母親ってのも、かなり珍しい。






▼羅列してしまうとどの部分もクオリティの高さが圧倒的なのだが、ではどこで人を選ぶか?というと、もう完全にエンディングだろう





本作のトゥルーエンドは2つある。トゥルーであってグッドエンド、ハッピーエンドではないのだが、ゲームの目的を達成した(しなかったら中盤でノーマルエンド落ちする)、最後までプレーした、という意味ではグッドになるだろう



そのグッドエンドが、1つ目は主人公の贖罪からヒロイン(任意で選べる)との別れ。そして自殺



2つ目は主人公は優しい夢の世界に逃げたまま、恐らく脳死状態になっている。実際には悲しい夢だし、人体も壊死したかもしれないのでEDの直後に世界は崩壊していそうだ



つまり、どちらも主人公の死亡なのだ




エンド1、これには正直ガッカリもした。前作がハッピーエンドだと聞いていたし今作もそうだと思ったのだが、分類的にはどちらもバッドエンドだ



主人公は罪悪感を感じてこそいるが、本作を少年の成長モノというテーマと思ってプレーしていたので、正直この結末には拍子抜けした。何が問題かというと、主人公のラッセル君、結局、何も達成してないではないか。最後も逃げ出したまま自分や罪の意識に負けて終わっただけ





罪を背負って、苦しんで生きていく話のほうがよりテーマが深く、緊迫感があったんじゃないだろうか



ましてや夢なんとかの人たちは現実世界にいるし、帰れたらまた会う事もあるという布石があったので、余計に拍子抜けした




最後コーディは主人公の意思を尊重し結果的に見捨ててしまうが、キャラ的に見ても強引に引っぱたいて連れ出すほうが物語としては盛り上がった




いくらコンセプト通りの絶望系RPGとはいえ、本当に絶望しか残らなかった(笑)




個人的にはそこは作品性として受け入れたが、ここが評価の分かれ目なのは間違いない




終わり良ければ全て良しという言葉があるが、これは全てでこそないが終わりのせいでダメになってしまった部分は大きいから












▼作品性だけは立ってるが、結果的に得られるメッセージ性やテーマ性、教訓のようなモノは殆ど無かった。そこが悪い意味での「迷作」で、「ただの鬱ゲーで、それ以上でも以下でもない」という落しどころとなってしまった原因。鬱にしても何か感動できる要素があればいいが、それも無いし…



総評90点。それでもやはり凄い一作。





▼余りにも絶賛ばかりでこのままだと作者、関係者のステマかと勘違いされそうなので、他にも一応惜しかった点を書いておく



・崩壊していく世界観は面白いが、なぜか町の崩壊のみ住人が反応しない。ボスの声も主人公にしか聞こえないが、これも主人公にしか見えない設定っぽい。他の町はしっかり反応してるのに、主人公の町だけ何もないというのは演出が薄かった。ここにも住人が不安になっていく絶望要素があればよかった。ポストが変化したとき、結構驚いたもんだけど、誰も反応しないから肩透かしした





・主人公がバットを装備してもイベントで構えてるのがナイフだったり、グラフィックに統一感がない。

・コーディエンドにて、教会のコーディが逃げるほう、それ袋小路だよ!とか、結構ツッコみどころのあるシーンが多い(あれは精神世界だから出入り口はないのかもしれないが)





まとめるとこんなところ。





▼作者はHPとかを見ると神経質なくらいにコダワリ派と見受けられる。それが作品にも如実に表れてる。



例えばコーディのファッションがスカートではなく、わざわざキュロットスカートだと設定してたり(設定画だとキュロットっぽいから、どっちか気になってた)、妙なところにもかなり拘りが強く、なんでもこなせるセンスの塊でした。せがわというのがチームではなく個人PNなら尚更凄い






寄り道要素もあるし、とても2作目とは思えない、非常に練られた力作


新作に期待。





2017年05月17日

かたわ少女 プレイ日記4 羽加道静音シナリオ 〜少し哲学的なラノベ〜


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▼かたわ少女、静音シナリオ攻略。非常に面白かった。



内容的には、舞台が生徒会ということもあり、王道学園青春モノ。殆どのストーリーが学園内で行われ、旅行にも行かない。(だが他のシナリオでは行けなかった七夕祭りにはしっかり行く)


他のシナリオでは悪役の静音が、しっかりヒロインしてる。特に、私利私欲のために動いてるようにしか見えない静音とミーシャが、実は転校で意気消沈していた主人公を励ます為に生徒会に誘っていたとか、こんな展開序盤でやられたら、イッキに2人が好きになる







▼先にプレーした2シナリオとはかなり雰囲気が違い、全体的に軽くて驚いた



ストーリーのパターンが、受身な主人公が行動的なヒロイン2人に振り回される…というラノベ定番の流れなので、ラノベっぽい話




主人公も別人のように軽い性格で、「マジで」の連呼はかなり違和感があった(すぐに慣れるが、凄いギャップだ)









▼障害の扱いもかなり軽い。耳が聴こえない?喋れない?だから?くらいの勢いがある。これはかたわ少女的にどうかと感じた事もあるが、このシナリオで書きたいのは多分、「強い障害者」なんだと思う


静音の障害は本人の人格形成に大きく関わっていそうだが、少しだけ言及があるものの、結論は描かれていない。静音が心底強い人間なので、障害から恋愛に亀裂が入るシーンもグッドルートにはない。


差別的、劣等的な雰囲気も、全くない。静音は通訳がいなくても、全く臆さない。

リリーシナリオでは、主人公は言葉に異様なほど彼女の障害に気を使って、「見える」「見えない」という表現すら躊躇ったが、このシナリオではリリーが自ら障害を自虐的にネタにしてしまう

(こっちのリリーは、なんか性格が悪い…前回プレーがリリーシナリオだったので、かなりのギャップがあった)







▼とはいえそこはかたわ少女。重いテーマもしっかり据えている。主人公、静音、ミーシャ、三角関係で、ミーシャが主人公を好きかと思いきや、実は同性愛者で(これも障害だと見るべき?)静音のことが好きだったという、(たまに見るが)変則的なパターンで先が読めなかった









▼主人公と静音が情熱的なセックスをするシーンもなかなかに読ませる。

静音がセックスでもあの性格のままなのが…初めてでこんな女いないだろ


1度目はまだしも、2回目のセックス、幾らなんでも唐突すぎ。ギャルゲーの逆移植エロゲーのような取ってつけた感避妊をした描写もないし(他のシナリオではある)、生徒会では計画性を重んじる癖に、とても計画的には見えない二人

(そういえば華子だけセックスが1度だけ。最後に付き合うせいか、少ない。今思えば残念)




文章も洒落てて、独特の言い回しや表現がある、そこもさすがかたわ少女。









▼ゲーム的には選択肢がたったの1つなので、攻略要素は全くない。ただその分、グッドエンドルート、バッドエンドルートで、ストーリーが全く違い、もっともボリュームがあるのが静音の特徴。通常プレーも少し他より長い


バッドエンドルートは延々ミーシャを追い回すだけで、淡々としたシナリオでつまらないが(ミーシャとセックスしたことがバレるかもしれないという緊張感とか、もっと他に面白くする方法があるのに。バッドエンドルートはストーリーがループしてるだけ)、リリーや健二の出番が多いので、物語の側面が知れる

…が、当然、知った後にバッドエンドになる。キャラクターの裏側が見れるのがよりにもよってバッドってのが、何ともいえない


グッドルートでも、主人公とヒロインがキャッキャウフフするシーンが少ないので、恋愛要素こそ薄いが、少年少女の人生哲学や仕事哲学の描写が上手く、最後は爽やかな青春ストーリーになり、非常に面白かった。


先にバッドを消化したので、グッドエンドの爽やかさが綺麗すぎたほどだ。だがエピローグがないことには拍子抜けした。わざわざ、未来に続くという終わり方なのだから、再会までを描いて欲しかった







▼静音シナリオはラノベっぽいのに、他シナリオより恋愛要素がかなり薄い

キャラクターの人間性や仕事哲学に関する話のほうが多いくらい。一番恋愛っぽいのは、序盤の付き合うシーンとムービーかもしれない






この、哲学というとオーバーだが、リーダー論や物事に対する考え方の描写がこのシナリオのコアではないか


華子シナリオ、リリーシナリオもそういった側面が強かったが、それもあくまで恋愛絡みだった。


だが静音シナリオには恋愛の匂いは余りしない。一応、好き、愛してるとは言うものの、物語的には主人公と静音は、恋人というよりビジネスパートナーに近い。


主人公の行動の動機も、彼女と一緒にいたいからという甘酸っぱいモノより、有能な彼女の背中を追いかけたいというほうに寄っている






これ、恋愛ゲームではかなり珍しい設定ではないか


覚えてる限り初めてプレーしたタイプだった






よって、設定こそラノベっぽいが、これに関しては重厚で、まるでラノベじゃない。ラノベ的なノリのまま進めたプレイヤーは驚いたのではないか


他のシナリオと違って、中心人物は主人公ではなく、ヒロイン。そんなヒロインの背中を追いかける主人公…という構図のまま、ラストシーンでも、やっぱり中心人物は静音









▼グッドエンドシナリオ90点の良作。爽やかですばらしい。静音が、強さに隠れた弱さを、主人公にだけ見せ、慈善家になる夢を語るシーンに感動

バッドエンドシナリオは60点の凡作。もっと「壊れていく日常と関係」、「落ちていく」緻密な描写が欲しい。静音の弱さの描き方がかなり唐突。グッドエンドシナリオと同じプレータイムなのに









▼残念なのは、父である羽加道治五郎とのエピソードが余りにも中途半端。まあはっきりいって、ただのキチオヤジで終わってしまった。当然娘にも嫌われているが、それが静音から語られる事はほぼない。静音が父親のイズムを実は吸収していたことが終盤で分かるが、本当にその程度の描写しかない


10年会話をしていないという話や、旅行に誘いにくるシーンから、恐らく父親も本音では娘と歩み寄りたくて、苦しんだ末にあのような腐った人格になったと思われるが、まさかそれに一切触れないとは思わなかった。静音の母親も登場しないので、一家の全体像が曖昧だった



ここでもやはり、仲の悪いリリーの父との話も出てこない。仲が悪いのって、絶対こいつのせいだろ



治五郎はどうやってリリー、晃とコミュニケートしてるんだろうか。どんな感情の関係なのか。大嫌いな兄の娘である視覚障害者の姪を差別してないか?リリーは叔父について一言も語らなかったが、あんな人物をどう相手取っているのか。そこを、描いて欲しかった。特にこの3人の会話シーンがあるとよかった



リリーの生徒会エピソードも、え?この程度で?というくらいのモノでガッカリしたので、やはりバッドでおざなりに済ますより、しっかりグッドルートで綺麗に纏めて欲しかった



物事を少しだけ悟って反省した静音なら、本当の意味でリリーと和解出来ただろうしね


主人公が教師を目指すとEDで宣言するのも、相当に唐突。リリーシナリオではリリーに影響を受けて教師を目指すが、静音シナリオではまるでその設定を使い回しただけのようだった





もうちょっと練れば凄い傑作でした。





▼さてここまで遊んで、まだ達成率65%。フリーゲーム、同人ゲーム史上でも間違いなくトップクラスのシナリオボリュームには、驚愕の一言。



次は笑美いきます













2017年05月12日

ミガカミカガミ レビュー感想 〜見た目は萌え、中身はそんな萌えキャラの、ドット絵の首が何度も吹っ飛ぶグロ〜

ミガカミカガミ攻略しました。中々面白いゲームだった。


ホラーとしては吃驚脅かし系とサイコ系がミックスされており、バランスがいい。


だが、中盤からの謎解きの連発にはゲンナリした。しかもクリアまで延々続く。ただのプレータイム稼ぎではないか。


解いても爽快感がないし、脱出のために謎を解くことにストーリー性がないから



大体、富田くんや悪霊がなんでトリックを仕掛けるんだ


意味不明だし。小学生にそんな知恵があるとも思えない。ハッキリいってこれは不用


バイオとかはまだ納得いく理由付けがあるんだけどね。このゲームは無さそうだし


まあ仮にあったとしても、これの何がダメかって、


サイレントヒルシリーズの、あの意味不明な、大量の施錠されたドアから開いてるドアを調べる作業といい、所詮ただの作業だから、単調で続くと恐怖感が薄れるんですよ


もう終盤は怖い顔が出てきても、慣れてくるしああそうだね顔が怖いねぇって感じだった


だがストーリーは今時珍しい、どんでん返しのあるゲームだった。


バッドエンドでは、実は主人公みかが死亡しているという結末だが、グッドエンドでは実際には奈恵が死んでおり(仮死状態)、みかがそれを助けるという王道に帰結するストーリー。バッドのほうが衝撃度は高いが、あくまで正史はグッドエンド


こういう物語ではベタな悪役として登場する神様が実はバリバリの味方で、最初から伏線があることが面白い。クリア後にOPを見ると綺麗に話が繋がっている


前記のグッドエンドのため、奈恵を助けるために、秘密を抱えた主人公が、ドラクエ的な喋らないタイプってのが、上手くゲームギミックに作用している。


もしFFタイプの喋る主人公だったら、必ずセリフに齟齬が出てしまうし、作者も書きにくいだろう


初めて主人公がプレイヤーの手を離れて喋るシーンは驚きがある、ベタだが


グロはまあまあ。だが使い回しのドット絵じゃなくて絵での首チョンパなどが見たかった。


ホラーはよく出来てるが、安易な暗闇からの









ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!










が2度も有った事は、実に安っぽい手。こんなの誰でも読めるし、読めない人は驚くって。これじゃまるでゲームじゃなくて昔のネットにありがちなフラッシュ素材、または精神的ブラクラだ


でも、これは製作者が描いたんだろうか。絵、上手い。


評価。

ストーリー90点。EDは少し感動した。
ゲーム部分50点。無駄な謎解きやネズミや人魂へのキャラチェンジなど、面倒で鬱陶しいだけでサッパリつまらない。続編あるにしても謎解きは要らない。


2017年04月29日

かたわ少女 プレイ日記3 砂藤リリーシナリオ〜名作洋画のようなストーリー〜


















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▼かたわ少女リリー編攻略。素晴らしい完成度だった。



スタッフがかたわ少女でやりたかった事は全部このシナリオでやったんじゃないかってくらいの完成度。リリーというゲームの中に住む人間についても、ほぼ書き切ってる。






▼ボリュームもあり、前回プレーで共通ルートをカットしているのにも関わらず、(華子シナリオと比べ)2部まで20分も早く終わってるのに、EDまでは30分も長かった。






▼ストーリーとしてはトラッドな外国の少女(といっても日本生まれの日本ハーフだが)との恋愛で、最後は海外に行ってしまうという、先も読めるしお約束の流れだが、作者がこのシナリオにぶつけたメッセージ性やテーマは非常に濃い。






少年少女の成長、恋愛とは、障害とは。などゲームなのに深い話だと関心してしまった。ヒロインだけではなく主人公の障害もこのシナリオでは大きな意味を持つし、そこが華子シナリオとは違った(華子シナリオの主人公、不整脈なのにピンピンしすぎ 笑)







▼華子シナリオでは最後の最後にセックスし、エンディングで付き合う事になるが、リリーシナリオではかなり早い段階で付き合う。



EDで結ばれるのがこのゲームのスタンダートだと思っていたので、これが非常に意外だった。




え?まだ序盤だよ?
と驚くが、それよりもリリーの告白シーンがやや唐突かつ、勢いあり過ぎて噴いた。



そしてそこから雪崩れ込むようにセックス。




これも、え?もう???と更に驚くが、リリーが案外性欲が強い設定なので後々思えば不思議はないかも。スタッフがリリーシナリオで描きたかったのは間違いなく「恋人同士の話」なのだろうし





▼セックスシーンは局部が描かれる一枚絵はないが、立ち絵が全裸でヘアあり。流石に同人ゲームなので一般ゲームよりは細かく描いてる、だが華子ほどには細かくない。





セックスシーンは計3回あるが、最初の2回が騎乗位、これは不整脈の少年と盲目の少女という設定をフルに生かしてて何気に上手い。



華子シナリオだと主人公が唐突にコンドームを出して笑えたが、今回はリリーがピルを使ってるのがリアル。どっちも最初からやる気満々で








▼フロでセックスしたり、自慰を見せて興奮を高めたり、文章(描写)もシチュエーションも、非常に洋画っぽい。(最後のセックスは主人公の病気の所為で未遂のまま終わったのが残念。このまま別れたらお互いめっちゃトラウマやん)




総じて洋画のポルノシーン風で、エロというより官能小説






▼リリーが酒好きという設定なので、飲酒シーンは華子シナリオ以上に大量にある。ジャズ風のBGMがかかり、一見すると大人っぽい展開だが、終盤まだ背伸びした子供だったという流れにしたのは上手かった。






こういうタッチの文章や、ストーリー展開をゲームでプレーしたことがなかったので驚いた




▼ラストまでの流れはベタもいいところだが、主人公も障害者で満足にヒロインを呼ぶ事ができない。という設定をフルに使いこなしていた。ヒロインも視覚障害者なので主人公が見えない


オルゴールが病院で出てくるシーンは作中のアイテムを見事に使いこなしており、完璧な流れだった






▼恋愛以外に友情も非常に丁寧に描けており、主人公、リリー、華子の、主人公が両手に花状態の仲良しトリオも、ゲームでは珍しいのではないか(普通は君が望む永遠みたいに、「ドリカム状態」(古い)だから)




その内の2人が恋仲になって、1人が取り残されてしまう…という妙にリアルな描写も実に繊細だった。友達トリオだったのに華子が遠慮して内輪から外れたりね





▼華子の成長やいとこである静音との密かな和解なども見所だった。



華子、てっきり華子シナリオ以外では悲惨な人生を辿るかと思いきや、ハッキリいって「リリーシナリオの華子」は「華子シナリオの華子」より、親友との別や新たな仲間との交流を経て、人間的に成長している。




他のヒロインシナリオだとやはり大変な末路になりそうだが(でも多分残り3人のシナリオでは、華子の最後は描かれないだろう)




主人公とリリーが付き合っていると知ったとき、リリーを呼び出して何か話していた事が謎だったが、主人公を任せると言ったのだろうか?このシナリオの華子も主人公の事が好きっぽいし。(でもそれだと主人公を投げ出して海外に飛ぼうとするリリーが少し変か)




そんな流れで、失恋によって少女が成長したのならお話し的にも恋愛ものとしてもまとまりが綺麗だ







▼演出も上出来。ただの紙芝居だが、グラフィカルなエフェクトが実に上手い。

回想シーンの絵にオールドフィルムっぽいエフェクトがかかってたり、意外に動きもある。数年前にしてこの出来なのは凄い。






▼絶賛ばかりだがダメな点も多い。肝心のリリーと家族の溝がほとんど描かれなかった。ムービーシーンで幼児期のリリーが出てくるので、昔の話があると思えば、まさか何もないまま終了。回想シーンもなし。




この幼児期のシーンから、当時はまだ目が見えていて、見えなくなった理由に何かドラマ性があるのかなと思えば、生まれ持っての全盲。拍子抜けした。





▼リリーママもただ感じがいいだけの人で、娘と溝があるようにはとても見えない。父親にいたっては、登場すらしない(娘を切り捨てておいて溝を感じてないってサイコパス設定なら、それこそスコットランドに行くべきではない、かなりの問題人物だが)






リリーが健二(ヒロインに馴れ馴れしかったりビッチ扱いしたり、こいつは本当に要らない子)の粗相で激怒したシーンは、リリーが上品な人格者に見えても盲目によって大変な闇を抱えている、普段からムリをしている、そう、所詮まだ18歳の女の子なんだ。



という話だと思えば、単にスコットランドへ行く事になりストレスが溜まってたってなオチで呆れた






▼ラストシーンもキリが悪いように思った。笑顔が〜って言ってるけど、顔、見えないし。顔が見えないラストシーンってスッキリしないでしょ





▼エンディングも1つしかない。バッドエンドはリリーが旅立ってしまうシーンのまま幕切れという、変化のないモノだった。リリーがオルゴールのみを残して去ってしまうとか(グッドエンドルートでも最初そういう話かと思った)、一工夫欲しい



▼リリーはキャラデザの修正が大きいように見えて髪型などが最終的に最初に戻ってるのが面白い。リボンだけはキーアイテムだから残したのだろうな(つまりリボンを見て3度目のセックスシーンを思いついたのだろう)
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▼最後にそれにちなんだ問題点をあげると、この決定稿と他のキャラクターの絵に、統一感が無さすぎる。



リリーが静音、ミーシャと並ぶと画像の大きさまで違うし、同じゲームのキャラとは思えず、もう笑っちゃうほど違和感がある。


静音とミーシャは華子と同じ人が描いてるっぽいのに、「リリーと華子」は何十回も一緒にいるのに違和感がないが、「リリーと”静音とミーシャ”」が同じ画面に入るともう違和感の塊。ただでさえミーシャはファンタジーなピンクカラーだし。





最低でも画風は統一して欲しいね(一枚絵になって、途端にリリーを描いてる人の絵に静音がなるのも変だし、唐突で噴くわ)






▼まあそれでもこれは凄い名作だ。


95点。素人が書いたとかあり得ない、ライターのほかの仕事が気になる。





スタッフについてちょっと調べたら絵はガチでエロの人、しかも日本人らしくてドン引きと同時に驚いたけど(全員外国人じゃないのかよ。どうやって一緒に仕事したんだろう、英語分かるの?エロ絵師は)、華子のセックスシーンとかの歯の描き方が、上だけ歯があるけいおんとかで流行った時代のモノだったので、納得





▼静音やミーシャとの確執、生徒会のエピソードがスルーで終わったので、恐らくそれが描かれるであろう静音シナリオを次やります。華子シナリオ、リリーシナリオでは静音(とミーシャ)はほぼ敵役だし、
どう見てもヒロインの一人には見えないので、そんなキャラがヒロインになるシナリオへの期待もあるので。






2017年04月25日

ラハと魔法の園〜the graystory〜 レビュー感想 〜RPGはなあ!!余計なムービーはいらねえんだよ!!〜

ラハと魔法の園攻略しました。ネタバレあり

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英雄伝説ガガーブトリロジーとハリーポッターに影響を受けてそうなRPG。


難易度イージーでプレーして5時間以内。ゲームバランスは非常に簡単でサクサク進む

ストーリーはなかなか巧妙で伏線の使い方も上手く、中盤からグイグイ引っ張ってくる。



主人公ラハの正体がヒロインサリィの使い魔のねずみというオチが、ベタながらに面白い。作中でねずみ色の髪の毛を持つのがラハだけだったり、思えばねずみっぽい。(ラハではなくサリィがチーズが大好物という設定だが、ラハもマスターに似たのだろう。院長も教師もチーズ好きな設定の意味は分からないが)



公式のキャラ紹介にもグレーの髪という一文があるし、何よりサブタイトルの〜the graystory〜という、一見して意味の分からない言葉に伏線を張っているのが上手い。このタイトル回収は見事だった





ラハとサリィは、学園祭でキスもしたり、疑似恋愛の関係なのかな?と思わせる不思議なパートナーシップだった。もっとお互いが強く相思相愛なら
絶対に結ばれない恋愛として切なさがあったが、恋愛っぽい描写をするならするで、中途半端かな



結局月花も勇み足だったわけだし…恋愛関係のストーリーはメンヘラストーカーが出てきたり、何がしたかったの?感がある。



ラハの正体を知った後の月花やクラリスの反応も、一切描かれないしね…




サリィは元ネタが魔法使いサリーだと思われるが、そこに注意を逸らして実は逆から読むと父親の名前になるというのはありがちだが面白い設定だった



このように作者は小技を得意とし、丁寧な描写をする(公式サイトの解説は最早ただの言い訳臭いが)



でも…でもね……


一番肝心の、親玉(一般的にいう黒幕)の正体が、まさかたった1度しか登場していないピエロだったとは…
これは一番盛り上がらない逃げ展開で、ハッキリ言って最後の最後だというのに、興覚めした。



ピエロ(セト)が暴走してるって設定だが、マスターが死ぬ前に反逆してるし…(しかもS級殺しの犯人)


ミステリというには、犯人や殺しのプロセスにすら驚きが無かった(ラハかサリィが殺ったってオチのが、まだ盛り上がった)





チャタが職員室の階段に行くまで登場しなかったので、チャタが黒幕かと思ったのに。
かなりハードな展開になるが、そっちのほうがまだ盛り上がっただろう



ミステリの大原則として、やはり身内に裏切者がいないと盛り上がらない。名探偵コナンで阿笠博士が
あの方の正体だと大人気なのも、読者がそれが一番盛り上がる展開だと理解しているからだろう



そのほかにも、作者の感覚は少しズレてる。終盤フーバルトがなぜか突然まともな先生ということになっているが、
明らかに生徒のためを想うのではなく、完全に私利私欲のために動くドクズだったろう





だから、やられ役の小悪党っぽい扱いだった。




それが、終盤でいきなりサリィに先生と呼ばれたり、生徒に命の大事さを教えるために突き放したとか言われるが、
それはねーよwって笑ってしまった。最低でもフーバルトに真意があるのなら、何らかの伏線を張るべきだし、唐突で、後付け臭かった


グラフィックは結構きれいだが、キャラデザというか、絵が全体的に古臭くて2000年代初頭っぽい。というか、ほぼ100%素材かな



しかも顔グラのパターンが少なくて、終盤でサリィがタイトル画面の帽子を被ってるのに(そういえばこの帽子、何か意味あった?)、普段のキャラグラだったり、肝心な部分が手抜き(タイトル画面の帽子が出てきた!と本来ならテンションが上がるシーンなのに)




サリーの声優を鹿島アヤ様(様!?)という謎の人物が当てているが、余りにも下手なのでスタッフがやっていると思ったら、ネット声優らしい。インターネットカラオケマンみたいなものかな?


キャライメージにもそぐわないし(声が甲高くて全然サリィのイメージじゃない)、ムービーが全くないゲームなので、ヴォイスも無理に入れる必要は無いだろって思ったよ


世界観の作りこみは素人とは思えない密度。特に序盤から出てくる自己責任法に関する伏線は上手い。


総合するととてもよくできたゲーム。ゲームには余計なムービーなどいらないと改めて思った。90点の良作でした。続編もやると思います。




しかしこの素材は、地獄のミサワ顔が多いな(後日談の主人公までこの顔…)








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2017年04月19日

かたわ少女 プレー日記2 池沢華子シナリオ〜一見テーマが壮大に見えて、ただの少女漫画的お話〜

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▼かたわ少女、華子編攻略。難易度も低いし、フラグ立ても分かり易くて遊びやすかった。システムも当時のゲームとしてはなかなかに親切。ただしバグやエラーが多くて大変だった。強制シャットダウンも何度か発生したので、セーブは小まめに取るようになった







▼かたわ少女をかなり変わったゲームだと位置づけていたが、正直、良くも悪くも一般的なギャルゲーのフォーマットに、フワっと障害をテーマとして当て嵌めただけ





面白かったが、今のところ、良作ではあるが名作ではない。華子シナリオに関しても同じ評価で、80点くらい




▼ただ、テンションや作風はギャルゲー、エロゲーでは有り得ないくらいローで、おかしな語尾で喋るキャラや、乱発されるギャグなども一切ない(せいぜいミーシャくらい)。主人公は不整脈なので叫んだり暴れたりするシーンがなく、雪の様にクールな男。これも他との違い。






唯一それっぽいのは悪友キャラの健二だが、こいつが本当に曲者で存在意義が全くなかった。全裸で登場したりギャルゲー的なヨタ話をするのだが、これが内容とまるで関係ない上にとてもつまらない。共通ルートでは、ほぼキーボードを連打した。








はっきりいって健二のキャラはこのかたわ少女では浮いてしまっている。弱視以外の障害があるのは確実だが、それもなぜかクローズアップされない。ミーシャは可愛いし役割もあるのでまだ許せるが健二は本当に存在意義がない。健二がいなくてもこのかたわ少女は成立するであろう、というくらいには




▼また、本作は日本を舞台にしているが日本版が最後のリリースだったようで、和訳におかしい部分がある。かつ、日本としてはありえない描写が多い。未成年が平然と飲酒するのもおかしいが、飲酒運転はもっと最悪だろう。そもそも犯罪だ。しかも作中でエリートビジネスウーマンがそれをやっている。向こうではこんなのがCOOLなんだろうか?






そんな翻訳テキストは、センスがある部分も多いが、読みづらくて通常より時間がかかった(それにしても、初回6:30のプレータイムはフリーゲームとしてはありえない超ボリュームではあるが)







▼だがクオリティの高さはフリーゲームとは思えない。グラフィックや音楽の完成度は高いし、なんとムービーまである。ヴォイスがないこと以外は、完全にフルプライスのゲームといっても遜色がないデキ。しかもムービーは結構質も高く、数も多い。(ムービーを見るとタイトル画面に、ムービーシーンのヒロインの絵が追加される。こういう演出はよくあるが、クリアではなく進行だけでなるのは珍しい)





▼最終的に多くのキャラが出るが、キャラデザ担当が複数いて絵のタッチも違うので頻繁にキャラの顔が変わって違和感があるのは、統一して欲しかった(他のゲームにもいえることだが)。美貴なんてアイマスのキャラみたいだ





▼開発者チームは一応ノンプロのようだが、本職はなんだろうか。何をやらかしたか知らないが、ツイッターも凍結されているし、ペンネーム(?)ばかりなので、余り調べる気にもならない(検索しても出ない可能性があるし)。




もし無報酬でこれをやったなら凄い意識の高いクリエイター集団だ。普通なら開発途中で資金難や意識の違いで間違いなく分裂するだろうが、見事完成させてみせた。そういう意味では物凄い傑作だが、まあそういうサービスを抜きにして感想を書いてみる。




▼まず華子からプレーしたのは、外見に障害を持っている恋愛モノのヒロインは、どのメディアでも他に知らないから、ゲームで新しいタイプのシナリオが読めると思ったから。(聾唖や盲目のヒロインはむしろありがち)

「自分の恐れに向き合える?」という象徴フレーズに惹かれたから(これをクリックすると各ヒロインのキャラ紹介に飛ぶ公式サイトの作りはセンスがいい)


だからこのかたわ少女という作品そのものを象徴するヒロインなのかな?とね





▼華子の外見上のケロイドの障害だが、まずこれが主人公から見た恋愛の障害にはなっていない。


主人公の乗り越えるテーマかと思ったけど、主人公、全くこれを気にしない。17歳のメンタリティとしては凄すぎる。ありえないほどに



よって、大きく障害者がヒロインのゲームだ!とクローズアップするほど、外見上の障害に意味が無かった。むしろそれにより性格が変わってしまった華子と、それによって影響する主人公との恋愛観…これのほうが余程重要だった。




障害によって出来ることと出来ないこと、という議題に発展するかと思われたが、華子はそれも周りのフォローで案外難無くこなしてしまうしね





▼つまり極端なことをいえば、華子の障害が何であれ、特に影響されないストーリーであり、ケロイドに必然性が無かった



しかも誕生日に執拗に怯えるのは、かつて誕生日に火事が起こって…というケロイドに必然性を持たせたものだと予想したら、一切関係がなかった。これには非常に拍子抜けした







▼また、作中のキーワードを今一使いこなしてないことも気になった。やはり気になるのは岩魚子の存在。まさか結局、最後まで登場しないとは思わなかった。




唯一の出演である手紙も、結構真意がある感じなのに、主人公は余りにも勝手な自己完結をしてしまうし、華子も嫉妬の対象にしていたのに、こんな雑な扱いでいいのか?と甚だ疑問。




障碍者の主人公を受け入れようとする健常者のサブヒロイン、そこに障碍者のヒロインは絶大なコンプレックスを感じてしまい…という三角関係のほうが面白かったのではないか。






▼一番重要そうだった誕生日。これもあっさり過ぎ去ってしまう。リリーはスコットランドに行ったきり全く登場しないし、晃は出る必要もない。そして、一番重要である華子の素顔、これを見ることが結局最後まで出来なかったことが、一番ダメなお話。



セックス中に汗で髪が顔に張り付いているという描写に非常に萎えた。そこで初めて華子の本心と素顔に触れる(どちらの意味でも)話かと思ったのに。1シーンのみ華子の素顔が見えるシーンもあるが、作画の都合で傷が薄くて違和感あるし







体を見せてセックスするより、素顔を見て会話することのほうがテーマ的に重要じゃないだろうか?結局ここに、これは単なるエロゲーなんだなと興醒めした





そもそも恋愛としての描写が弱い。これでは恋愛というより、ただの共依存では?







▼華子にも結局好きと言って貰えなかったしね(主人公はわざわざ華子に好きと言ってない事を気にしていたし、それが話の流れだったのに)



そう思わせる原因としては、作中の時間経過が非常に短くて、華子がたった一週間で主人公に好意的になる大きなトラウマと障害を抱えて壁を作ってる割には、案外チョロインであることが言える。(その割には付かず離れずを繰り返すgdgdなシナリオ)




ファストネームで久夫くんと呼ぶようになったのは、いきなり距離を詰めて来て驚いた(他にもファストネームで呼ぶヒロインはいるが、華子は他のヒロインルートでは、主人公を苗字で呼ぶシーンがある。この差別化にはかなり吃驚)。1話共通ルートが短いせいもある



▼インパクトだけでいえば、寧ろバッドエンドが中々にキツかった。2番目に見たのはノーマルエンドだったが、てっきりこれをバッドエンドと思ったので、なんだこれバッドエンドなの?内容的にはノーマルエンドだな、って思っていたら、まさか本当に強烈なバッドエンドが待っていたとは…これは鬱ゲーですわ




むしろノーマルエンドは男女の関係とはいえない庇護愛のままだが、これはこれでありだと思う。華子も積極的だし、プレゼントのチェスを使うのも実はここだけ



3つのEDが全部同じテーマで描かれており、ハッピーエンドの後だとバッドエンドの華子がキレた理由がよくわかる構造は良かった






▼色々書いたが、成人向け恋愛ゲームとしては非常に高い水準。ただ、期待していた障害をテーマにした崇高な描写や、感動がなかった。泣きゲーだと思ったのに。



特にフリーゲームなのでセックスシーンの局部にモザイクがない。これは驚いた。雑だがちゃんと描かれている。クリトリスっぽいものまで描かれてるのも初めて見た。


開発者ブログによるとこれでも修正されてるようだが、ではもうDLできないであろう旧バージョンはどんな絵だったのかとかなり気になる。画像も検索したが発見できなかった


日本版のみ修正というのが、日本のゲーム業界の規制のキツさ、狭苦しさが如実に現われている。一体何のための同人ゲームなんだか

(後々モザイクを確認したら、申し訳程度に局部に縦線が引かれていた。まさかこれ?これだとしたらほぼモザイクになってない)



スタッフロールが、開発中の絵というのがいかにもワケあり紆余曲折同人ゲームっぽい







▼華子が恋に積極的になるラストシーンは非常に綺麗だった。主人公をリードするのもこのシーンだけ。

ああ、ここから本当の意味で2人の恋愛が始るんだなあ…というラストで、道行く人が照れていたり、背景がピンボケする演出を使ったり、これはまるで映画のようだ







ケロイドが見えないアングルなのは、スタッフの良心か…





2017年04月12日

かたわ少女 レビュー感想 プレー日記1〜異彩を放ちまくりの一作〜

優しい世界_No-0008.jpg







今更ながら、かたわ少女をプレーしています。





火の玉ストレートなこのタイトルのゲーム、内容はヒロイン全員が障害者の恋愛アドベンチャーで、発表当時ネットで話題になったので、鮮烈に覚えている





リリースまでかなりの年月を要しており、また、開発には紆余曲折もあった。






まず2008年の2月に海外サイトで発表があり、それを日本のサイトが取り上げたことで知られるようになったと記憶している。






「海外のおたくが製作中の同人ギャルゲー「かたわ少女」がすごい」などのスレタイだった







当時の痛いニュースなどは既に削除されており、ネットアーカイブでも見れないが、斬新だと概ね好評だった
http://www.new-akiba.com/news/post_14092
http://dekubar.blogspot.jp/2008/02/blog-post_08.html









これが同人とは「すごい」という総評だった










そのときの絵がこれ。既にインパクト絶大。





一部キャラクターの立ち絵というか、キャラデザが変更前だ
heroines.jpg











NOCCHIというか、大槍葦人っぽい
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だが、11月に公式サイトを発表した時は、その余りのグロさにか好評が一変、叩かれるようになってて、密かに支持していた私はお気に入りのゲームが叩かれててガッカリした
http://www.new-akiba.com/news/post_17516
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1227007412/
http://a-park.hatenablog.com/entry/20081114/p1










どうやら、不謹慎なゲームであるとの扱いを受けるようになってしまっていたようだ。





だが数年後体験版や日本語版がリリースされるやいなや(まだ発売してなかったの?とか言われてたな)、その完成度の高さに評価がまた好評に戻り、リリース後は更にブレークした、というのは私の認識による作品説明と発売までの経緯








そして、それだけペラペラ説明できるのに、やろうやろうと思いながらも多忙でプレーできなかったかたわ少女を、とうとうプレー。












まず起動直後、綺麗な音楽に引き込まれる。






そして主人公は、呼び出された女の子に告白されている最中、発病してしまい、倒れる。そして障害者の集う学校へ行くまでがプロローグ、ここまで、僅か3分






既にこれだけでハマっていた






冒頭の引き込み方は相当に上手い。ここまで引き込む冒頭もなかなかないでしょ














そして転校初日。

新しい学校生活、頑張るぞ!

katawashoujo_06.jpg






あっ…(察し






かたわとは身体障害者のことではないのか?知能の場合タイトルの少女からは例外になるんだろうか(リリーシナリオによるとこの学校に知的障害者はいないらしい…では彼は一体…?)






トゥハート2の小牧愛佳もおるやん。






まあ、パッケージソフトでは発売不可能であろう余りのパンチの嵐に、冒頭から既に完クリ満々になってます。


オラワクワクしてきたぞ!

2017年04月08日

ib レビュー感想〜前半は一流のゴシックホラー。後半は残念三流サイコホラー〜

面白かった。



とてもフリーゲームとは思えない。これまで遊んだフリーゲームで、一番怖かった。ただし前半だけ(後述)




闇の世界の美術館に閉じ込められたヒロイン(少女が主人公なので、ヒロイン=主人公イヴ。ヒーロー=相棒のギャリーとします)が仲間と一緒に外の世界に脱出するという、まあよくある設定とお話。




メインキャラクターはたったの3人で、しかも主人公のイヴは喋らない主人公なので、会話シーンはほぼ仲間のギャリーとメアリーだけなのだが、キャラが立っていてとても面白い。




特にギャリーはホラーゲームでは珍しいオネエキャラのヒーローで、力があって重い物を動かせる設定もあり、頼りになる。


ビビリな割には子供の主人公を心配するという優しい奴で好感度バツグンキャラだった。こんな嫌味の無い相棒、珍しい




主人公が9歳児で難しい漢字を読めない設定なので、文字が??になったり、ギャリーが仲間にいるときだけ読めるギミックは面白かった





メアリーと一緒のときは、メアリーは一切文字に反応しない。恐らく人形だから読めないのではないか。



これを伏線のつもりで敢えて描写しなかったなら、非常に上手い







ギャリーが仲間になった時点で実はホラーとしてかなり怖さが低下していたのだが(メアリーが入ったときは、更に)ここは解釈が困難なジレンマだと思った





やはり特筆すべきはホラーとしての怖さ。



特に前半はバイオ的なビックリ箱、オバケ屋敷的脅かし方で、歩いているだけでもガンガンビビらせてくる。


数分に1度のペースでホラーギミックがあるので、このペースで飛ばして大丈夫か?とさえ思った




……思った、が、残念ながら悪い予感として当たってしまった



後半はそういったホラー要素を排除し、豹変し本性を表したメアリーから逃げるだけの鬼ごっこゲームになってしまい、バイオ的な「そこを歩く恐怖」は一切無くなってしまった。









クレヨンで描いたフィールドは折角面白いのに、ここでも最後までホラーギミックは無く、本当にただ歩くだけだった。



豹変したメアリーも特に怖くないし、後半のgdgdは本当に残念だ。傑作に成り得ただけに惜しい。



作者はかなりのセンスの持ち主だが、狂気を描くセンスはまるで無かった。メアリーが突然「はははははっはは」的に豹変するのも、ありがちで笑ってしまったほどだ。




これは恐らく、本当に書けないのではないか。前半でホラーのネタを使い果たしてしまった所為で、苦肉の策だったように思った





ゲームバランスも悪かった。前半はすぐゲームオーバーになってしまうし、謎解きの難易度も、かなり高い。公式には初心者でも遊べるとあるが、ムリだろう





評価、前半90点、後半60点。グッドエンドの余韻がいいので、良作認定して、85点くらいはあげたい。






しかし、ギャリー、一体何歳なのか。9歳のパパに見られるくらいだから30代の筈だが、設定では20代らしい…

ライターも使い込んでいる設定だし、20代後半だろうか


20代後半の成人男性と、9歳児のちょっとピュアな、恋愛に発展しそうな関係…


そもそもギャリーはプロフが一切ない謎の人物だった。設定もさほど固めてないのだろう




ここは見所だから、もう少し描いて欲しかったな。やはりネットでも二次創作されて人気のカプだし。

最後に笑顔を見せるイヴが可愛い。グッドエンドタイトルは再会の約束だが、綺麗に終わったので続編は要らないのが美学だろう。その後のストーリーはプレイヤーごとに想像するのがいいんだろうな

2017年04月07日

鬱夫の恋 レビュー感想〜なんちゃってメンヘラ〜

鬱夫の恋を攻略しました。以下ネタバレあります



鬱ゲーとして有名で、検索してはいけないワードとしても名が知れている本作だが、結論から。これはなんちゃってメンヘラゲーで、鬱要素なんて0の駄作だと



だってもう、痛々しすぎる





いかにも今考えましたみたいな「苦しい」とか安直で深みのない言葉の連続とか、歩く度にセリフが出てくる使い古された演出とか、あまりにも作られたゲーム的演出で、実話というにはリアリティを感じなかった



現実に、歩く度何かを想い起こすことなんて、ないからね。いかにも他作品に影響を受けて作った内容







最底辺男の成長ストーリーとか、ヒロインも実はいじめられててエンコー未遂を強制されてたり、最後レイプされて妊娠とか。ベタを通り越して、もう、全てが陳腐





画像も全部ネットで有名な画像を拾って転載してるだけで、独創性も無い。同人でも「製作者」なんだから、自分で描いてほしい









詩織の絶叫シーンは手書きっぽいんだけど、もうこれも、余りにも使い古された手




そもそもただの文字…

レイプも、されたならせめて警察行こうよ





末期の胃がんの母親がピンピンしてるわけない。がんを隠して仕事?



尚更無理







健康診断だって入社前にやるし、有り得ない(がんは引っかからないかもしれないが)


猫が唐突に病死?普通何か前兆があるでしょう。毎日3人で見てたなら気付く筈





フィクションならツッコみしないけど、これは実話ということなので(詩織の存在以外実話って話?)、全て創作と見ています





製作者不明とか、不明なのに製作者を名乗る人がホームページを持ってたり、そこでも文字化けやら文字反転をして、ユーザーの興味を煽ったり、やり口もよろしくない






とはいえゲームをメジャーにする為の戦略なのでしょう

極普通の人生を歩んできた極普通の人が作ったこと

話題づくりのためだけに実話(をもとにしたフィクション?)と言った



そう見てます(個人の感想です)








終盤の段ボールを動かすパズルも無駄に難しいし、非常につまらなかった。要らない







評価0点 期待ハズレでした。評判もネットのネタが一人歩きしたのでしょう。





当時はまだフリゲの数も少なかったから話題になったが、現在では、有り得ません







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