▼かたわ少女リリー編攻略。素晴らしい完成度だった。
スタッフがかたわ少女でやりたかった事は全部このシナリオでやったんじゃないかってくらいの完成度。リリーというゲームの中に住む人間についても、ほぼ書き切ってる。
▼ボリュームもあり、前回プレーで共通ルートをカットしているのにも関わらず、(華子シナリオと比べ)2部まで20分も早く終わってるのに、EDまでは30分も長かった。
▼ストーリーとしてはトラッドな外国の少女(といっても日本生まれの日本ハーフだが)との恋愛で、最後は海外に行ってしまうという、先も読めるしお約束の流れだが、作者がこのシナリオにぶつけたメッセージ性やテーマは非常に濃い。
少年少女の成長、恋愛とは、障害とは。などゲームなのに深い話だと関心してしまった。ヒロインだけではなく主人公の障害もこのシナリオでは大きな意味を持つし、そこが華子シナリオとは違った(華子シナリオの主人公、不整脈なのにピンピンしすぎ 笑)
▼華子シナリオでは最後の最後にセックスし、エンディングで付き合う事になるが、リリーシナリオではかなり早い段階で付き合う。
EDで結ばれるのがこのゲームのスタンダートだと思っていたので、これが非常に意外だった。
え?まだ序盤だよ?と驚くが、それよりもリリーの告白シーンがやや唐突かつ、勢いあり過ぎて噴いた。
そしてそこから雪崩れ込むようにセックス。
これも、え?もう???と更に驚くが、リリーが案外性欲が強い設定なので後々思えば不思議はないかも。スタッフがリリーシナリオで描きたかったのは間違いなく「恋人同士の話」なのだろうし
▼セックスシーンは局部が描かれる一枚絵はないが、立ち絵が全裸でヘアあり。流石に同人ゲームなので一般ゲームよりは細かく描いてる、だが華子ほどには細かくない。
セックスシーンは計3回あるが、最初の2回が騎乗位、これは不整脈の少年と盲目の少女という設定をフルに生かしてて何気に上手い。
華子シナリオだと主人公が唐突にコンドームを出して笑えたが、今回はリリーがピルを使ってるのがリアル。どっちも最初からやる気満々で
▼フロでセックスしたり、自慰を見せて興奮を高めたり、文章(描写)もシチュエーションも、非常に洋画っぽい。(最後のセックスは主人公の病気の所為で未遂のまま終わったのが残念。このまま別れたらお互いめっちゃトラウマやん)
総じて洋画のポルノシーン風で、エロというより官能小説
▼リリーが酒好きという設定なので、飲酒シーンは華子シナリオ以上に大量にある。ジャズ風のBGMがかかり、一見すると大人っぽい展開だが、終盤まだ背伸びした子供だったという流れにしたのは上手かった。
こういうタッチの文章や、ストーリー展開をゲームでプレーしたことがなかったので驚いた
▼ラストまでの流れはベタもいいところだが、主人公も障害者で満足にヒロインを呼ぶ事ができない。という設定をフルに使いこなしていた。ヒロインも視覚障害者なので主人公が見えない
オルゴールが病院で出てくるシーンは作中のアイテムを見事に使いこなしており、完璧な流れだった
▼恋愛以外に友情も非常に丁寧に描けており、主人公、リリー、華子の、主人公が両手に花状態の仲良しトリオも、ゲームでは珍しいのではないか(普通は君が望む永遠みたいに、「ドリカム状態」(古い)だから)
その内の2人が恋仲になって、1人が取り残されてしまう…という妙にリアルな描写も実に繊細だった。友達トリオだったのに華子が遠慮して内輪から外れたりね
▼華子の成長やいとこである静音との密かな和解なども見所だった。
華子、てっきり華子シナリオ以外では悲惨な人生を辿るかと思いきや、ハッキリいって「リリーシナリオの華子」は「華子シナリオの華子」より、親友との別や新たな仲間との交流を経て、人間的に成長している。
他のヒロインシナリオだとやはり大変な末路になりそうだが(でも多分残り3人のシナリオでは、華子の最後は描かれないだろう)
主人公とリリーが付き合っていると知ったとき、リリーを呼び出して何か話していた事が謎だったが、主人公を任せると言ったのだろうか?このシナリオの華子も主人公の事が好きっぽいし。(でもそれだと主人公を投げ出して海外に飛ぼうとするリリーが少し変か)
そんな流れで、失恋によって少女が成長したのならお話し的にも恋愛ものとしてもまとまりが綺麗だ
▼演出も上出来。ただの紙芝居だが、グラフィカルなエフェクトが実に上手い。
回想シーンの絵にオールドフィルムっぽいエフェクトがかかってたり、意外に動きもある。数年前にしてこの出来なのは凄い。
▼絶賛ばかりだがダメな点も多い。肝心のリリーと家族の溝がほとんど描かれなかった。ムービーシーンで幼児期のリリーが出てくるので、昔の話があると思えば、まさか何もないまま終了。回想シーンもなし。
この幼児期のシーンから、当時はまだ目が見えていて、見えなくなった理由に何かドラマ性があるのかなと思えば、生まれ持っての全盲。拍子抜けした。
▼リリーママもただ感じがいいだけの人で、娘と溝があるようにはとても見えない。父親にいたっては、登場すらしない(娘を切り捨てておいて溝を感じてないってサイコパス設定なら、それこそスコットランドに行くべきではない、かなりの問題人物だが)
リリーが健二(ヒロインに馴れ馴れしかったりビッチ扱いしたり、こいつは本当に要らない子)の粗相で激怒したシーンは、リリーが上品な人格者に見えても盲目によって大変な闇を抱えている、普段からムリをしている、そう、所詮まだ18歳の女の子なんだ。
という話だと思えば、単にスコットランドへ行く事になりストレスが溜まってたってなオチで呆れた
▼ラストシーンもキリが悪いように思った。笑顔が〜って言ってるけど、顔、見えないし。顔が見えないラストシーンってスッキリしないでしょ
▼エンディングも1つしかない。バッドエンドはリリーが旅立ってしまうシーンのまま幕切れという、変化のないモノだった。リリーがオルゴールのみを残して去ってしまうとか(グッドエンドルートでも最初そういう話かと思った)、一工夫欲しい
▼リリーはキャラデザの修正が大きいように見えて髪型などが最終的に最初に戻ってるのが面白い。リボンだけはキーアイテムだから残したのだろうな(つまりリボンを見て3度目のセックスシーンを思いついたのだろう)
▼最後にそれにちなんだ問題点をあげると、この決定稿と他のキャラクターの絵に、統一感が無さすぎる。
リリーが静音、ミーシャと並ぶと画像の大きさまで違うし、同じゲームのキャラとは思えず、もう笑っちゃうほど違和感がある。
静音とミーシャは華子と同じ人が描いてるっぽいのに、「リリーと華子」は何十回も一緒にいるのに違和感がないが、「リリーと”静音とミーシャ”」が同じ画面に入るともう違和感の塊。ただでさえミーシャはファンタジーなピンクカラーだし。
最低でも画風は統一して欲しいね(一枚絵になって、途端にリリーを描いてる人の絵に静音がなるのも変だし、唐突で噴くわ)
▼まあそれでもこれは凄い名作だ。
95点。素人が書いたとかあり得ない、ライターのほかの仕事が気になる。
スタッフについてちょっと調べたら絵はガチでエロの人、しかも日本人らしくてドン引きと同時に驚いたけど(全員外国人じゃないのかよ。どうやって一緒に仕事したんだろう、英語分かるの?エロ絵師は)、華子のセックスシーンとかの歯の描き方が、上だけ歯があるけいおんとかで流行った時代のモノだったので、納得
▼静音やミーシャとの確執、生徒会のエピソードがスルーで終わったので、恐らくそれが描かれるであろう静音シナリオを次やります。華子シナリオ、リリーシナリオでは静音(とミーシャ)はほぼ敵役だし、
どう見てもヒロインの一人には見えないので、そんなキャラがヒロインになるシナリオへの期待もあるので。
【このカテゴリーの最新記事】