とてもフリーゲームとは思えない。これまで遊んだフリーゲームで、一番怖かった。ただし前半だけ(後述)
闇の世界の美術館に閉じ込められたヒロイン(少女が主人公なので、ヒロイン=主人公イヴ。ヒーロー=相棒のギャリーとします)が仲間と一緒に外の世界に脱出するという、まあよくある設定とお話。
メインキャラクターはたったの3人で、しかも主人公のイヴは喋らない主人公なので、会話シーンはほぼ仲間のギャリーとメアリーだけなのだが、キャラが立っていてとても面白い。
特にギャリーはホラーゲームでは珍しいオネエキャラのヒーローで、力があって重い物を動かせる設定もあり、頼りになる。
ビビリな割には子供の主人公を心配するという優しい奴で好感度バツグンキャラだった。こんな嫌味の無い相棒、珍しい
主人公が9歳児で難しい漢字を読めない設定なので、文字が??になったり、ギャリーが仲間にいるときだけ読めるギミックは面白かった
メアリーと一緒のときは、メアリーは一切文字に反応しない。恐らく人形だから読めないのではないか。
これを伏線のつもりで敢えて描写しなかったなら、非常に上手い
ギャリーが仲間になった時点で実はホラーとしてかなり怖さが低下していたのだが(メアリーが入ったときは、更に)ここは解釈が困難なジレンマだと思った
やはり特筆すべきはホラーとしての怖さ。
特に前半はバイオ的なビックリ箱、オバケ屋敷的脅かし方で、歩いているだけでもガンガンビビらせてくる。
数分に1度のペースでホラーギミックがあるので、このペースで飛ばして大丈夫か?とさえ思った
……思った、が、残念ながら悪い予感として当たってしまった。
後半はそういったホラー要素を排除し、豹変し本性を表したメアリーから逃げるだけの鬼ごっこゲームになってしまい、バイオ的な「そこを歩く恐怖」は一切無くなってしまった。
クレヨンで描いたフィールドは折角面白いのに、ここでも最後までホラーギミックは無く、本当にただ歩くだけだった。
豹変したメアリーも特に怖くないし、後半のgdgdは本当に残念だ。傑作に成り得ただけに惜しい。
作者はかなりのセンスの持ち主だが、狂気を描くセンスはまるで無かった。メアリーが突然「はははははっはは」的に豹変するのも、ありがちで笑ってしまったほどだ。
これは恐らく、本当に書けないのではないか。前半でホラーのネタを使い果たしてしまった所為で、苦肉の策だったように思った
ゲームバランスも悪かった。前半はすぐゲームオーバーになってしまうし、謎解きの難易度も、かなり高い。公式には初心者でも遊べるとあるが、ムリだろう
評価、前半90点、後半60点。グッドエンドの余韻がいいので、良作認定して、85点くらいはあげたい。
しかし、ギャリー、一体何歳なのか。9歳のパパに見られるくらいだから30代の筈だが、設定では20代らしい…
ライターも使い込んでいる設定だし、20代後半だろうか
20代後半の成人男性と、9歳児のちょっとピュアな、恋愛に発展しそうな関係…
そもそもギャリーはプロフが一切ない謎の人物だった。設定もさほど固めてないのだろう
ここは見所だから、もう少し描いて欲しかったな。やはりネットでも二次創作されて人気のカプだし。
最後に笑顔を見せるイヴが可愛い。グッドエンドタイトルは再会の約束だが、綺麗に終わったので続編は要らないのが美学だろう。その後のストーリーはプレイヤーごとに想像するのがいいんだろうな
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