▼かたわ少女、華子編攻略。難易度も低いし、フラグ立ても分かり易くて遊びやすかった。システムも当時のゲームとしてはなかなかに親切。ただしバグやエラーが多くて大変だった。強制シャットダウンも何度か発生したので、セーブは小まめに取るようになった
▼かたわ少女をかなり変わったゲームだと位置づけていたが、正直、良くも悪くも一般的なギャルゲーのフォーマットに、フワっと障害をテーマとして当て嵌めただけ
面白かったが、今のところ、良作ではあるが名作ではない。華子シナリオに関しても同じ評価で、80点くらい
▼ただ、テンションや作風はギャルゲー、エロゲーでは有り得ないくらいローで、おかしな語尾で喋るキャラや、乱発されるギャグなども一切ない(せいぜいミーシャくらい)。主人公は不整脈なので叫んだり暴れたりするシーンがなく、雪の様にクールな男。これも他との違い。
唯一それっぽいのは悪友キャラの健二だが、こいつが本当に曲者で存在意義が全くなかった。全裸で登場したりギャルゲー的なヨタ話をするのだが、これが内容とまるで関係ない上にとてもつまらない。共通ルートでは、ほぼキーボードを連打した。
はっきりいって健二のキャラはこのかたわ少女では浮いてしまっている。弱視以外の障害があるのは確実だが、それもなぜかクローズアップされない。ミーシャは可愛いし役割もあるのでまだ許せるが、健二は本当に存在意義がない。健二がいなくてもこのかたわ少女は成立するであろう、というくらいには
▼また、本作は日本を舞台にしているが日本版が最後のリリースだったようで、和訳におかしい部分がある。かつ、日本としてはありえない描写が多い。未成年が平然と飲酒するのもおかしいが、飲酒運転はもっと最悪だろう。そもそも犯罪だ。しかも作中でエリートビジネスウーマンがそれをやっている。向こうではこんなのがCOOLなんだろうか?
そんな翻訳テキストは、センスがある部分も多いが、読みづらくて通常より時間がかかった(それにしても、初回6:30のプレータイムはフリーゲームとしてはありえない超ボリュームではあるが)
▼だがクオリティの高さはフリーゲームとは思えない。グラフィックや音楽の完成度は高いし、なんとムービーまである。ヴォイスがないこと以外は、完全にフルプライスのゲームといっても遜色がないデキ。しかもムービーは結構質も高く、数も多い。(ムービーを見るとタイトル画面に、ムービーシーンのヒロインの絵が追加される。こういう演出はよくあるが、クリアではなく進行だけでなるのは珍しい)
▼最終的に多くのキャラが出るが、キャラデザ担当が複数いて絵のタッチも違うので頻繁にキャラの顔が変わって違和感があるのは、統一して欲しかった(他のゲームにもいえることだが)。美貴なんてアイマスのキャラみたいだ
▼開発者チームは一応ノンプロのようだが、本職はなんだろうか。何をやらかしたか知らないが、ツイッターも凍結されているし、ペンネーム(?)ばかりなので、余り調べる気にもならない(検索しても出ない可能性があるし)。
もし無報酬でこれをやったなら凄い意識の高いクリエイター集団だ。普通なら開発途中で資金難や意識の違いで間違いなく分裂するだろうが、見事完成させてみせた。そういう意味では物凄い傑作だが、まあそういうサービスを抜きにして感想を書いてみる。
▼まず華子からプレーしたのは、外見に障害を持っている恋愛モノのヒロインは、どのメディアでも他に知らないから、ゲームで新しいタイプのシナリオが読めると思ったから。(聾唖や盲目のヒロインはむしろありがち)
「自分の恐れに向き合える?」という象徴フレーズに惹かれたから(これをクリックすると各ヒロインのキャラ紹介に飛ぶ公式サイトの作りはセンスがいい)
だからこのかたわ少女という作品そのものを象徴するヒロインなのかな?とね
▼華子の外見上のケロイドの障害だが、まずこれが主人公から見た恋愛の障害にはなっていない。
主人公の乗り越えるテーマかと思ったけど、主人公、全くこれを気にしない。17歳のメンタリティとしては凄すぎる。ありえないほどに
よって、大きく障害者がヒロインのゲームだ!とクローズアップするほど、外見上の障害に意味が無かった。むしろそれにより性格が変わってしまった華子と、それによって影響する主人公との恋愛観…これのほうが余程重要だった。
障害によって出来ることと出来ないこと、という議題に発展するかと思われたが、華子はそれも周りのフォローで案外難無くこなしてしまうしね
▼つまり極端なことをいえば、華子の障害が何であれ、特に影響されないストーリーであり、ケロイドに必然性が無かった。
しかも誕生日に執拗に怯えるのは、かつて誕生日に火事が起こって…というケロイドに必然性を持たせたものだと予想したら、一切関係がなかった。これには非常に拍子抜けした
▼また、作中のキーワードを今一使いこなしてないことも気になった。やはり気になるのは岩魚子の存在。まさか結局、最後まで登場しないとは思わなかった。
唯一の出演である手紙も、結構真意がある感じなのに、主人公は余りにも勝手な自己完結をしてしまうし、華子も嫉妬の対象にしていたのに、こんな雑な扱いでいいのか?と甚だ疑問。
障碍者の主人公を受け入れようとする健常者のサブヒロイン、そこに障碍者のヒロインは絶大なコンプレックスを感じてしまい…という三角関係のほうが面白かったのではないか。
▼一番重要そうだった誕生日。これもあっさり過ぎ去ってしまう。リリーはスコットランドに行ったきり全く登場しないし、晃は出る必要もない。そして、一番重要である華子の素顔、これを見ることが結局最後まで出来なかったことが、一番ダメなお話。
セックス中に汗で髪が顔に張り付いているという描写に非常に萎えた。そこで初めて華子の本心と素顔に触れる(どちらの意味でも)話かと思ったのに。1シーンのみ華子の素顔が見えるシーンもあるが、作画の都合で傷が薄くて違和感あるし
体を見せてセックスするより、素顔を見て会話することのほうがテーマ的に重要じゃないだろうか?結局ここに、これは単なるエロゲーなんだなと興醒めした
そもそも恋愛としての描写が弱い。これでは恋愛というより、ただの共依存では?
▼華子にも結局好きと言って貰えなかったしね(主人公はわざわざ華子に好きと言ってない事を気にしていたし、それが話の流れだったのに)
そう思わせる原因としては、作中の時間経過が非常に短くて、華子がたった一週間で主人公に好意的になる大きなトラウマと障害を抱えて壁を作ってる割には、案外チョロインであることが言える。(その割には付かず離れずを繰り返すgdgdなシナリオ)
ファストネームで久夫くんと呼ぶようになったのは、いきなり距離を詰めて来て驚いた(他にもファストネームで呼ぶヒロインはいるが、華子は他のヒロインルートでは、主人公を苗字で呼ぶシーンがある。この差別化にはかなり吃驚)。1話共通ルートが短いせいもある
▼インパクトだけでいえば、寧ろバッドエンドが中々にキツかった。2番目に見たのはノーマルエンドだったが、てっきりこれをバッドエンドと思ったので、なんだこれバッドエンドなの?内容的にはノーマルエンドだな、って思っていたら、まさか本当に強烈なバッドエンドが待っていたとは…これは鬱ゲーですわ
むしろノーマルエンドは男女の関係とはいえない庇護愛のままだが、これはこれでありだと思う。華子も積極的だし、プレゼントのチェスを使うのも実はここだけ
3つのEDが全部同じテーマで描かれており、ハッピーエンドの後だとバッドエンドの華子がキレた理由がよくわかる構造は良かった
▼色々書いたが、成人向け恋愛ゲームとしては非常に高い水準。ただ、期待していた障害をテーマにした崇高な描写や、感動がなかった。泣きゲーだと思ったのに。
特にフリーゲームなのでセックスシーンの局部にモザイクがない。これは驚いた。雑だがちゃんと描かれている。クリトリスっぽいものまで描かれてるのも初めて見た。
開発者ブログによるとこれでも修正されてるようだが、ではもうDLできないであろう旧バージョンはどんな絵だったのかとかなり気になる。画像も検索したが発見できなかった
日本版のみ修正というのが、日本のゲーム業界の規制のキツさ、狭苦しさが如実に現われている。一体何のための同人ゲームなんだか
(後々モザイクを確認したら、申し訳程度に局部に縦線が引かれていた。まさかこれ?これだとしたらほぼモザイクになってない)
スタッフロールが、開発中の絵というのがいかにもワケあり紆余曲折同人ゲームっぽい
▼華子が恋に積極的になるラストシーンは非常に綺麗だった。主人公をリードするのもこのシーンだけ。
ああ、ここから本当の意味で2人の恋愛が始るんだなあ…というラストで、道行く人が照れていたり、背景がピンボケする演出を使ったり、これはまるで映画のようだ
ケロイドが見えないアングルなのは、スタッフの良心か…
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