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2017年05月17日

かたわ少女 プレイ日記4 羽加道静音シナリオ 〜少し哲学的なラノベ〜


優しい世界_No-0008.jpg






▼かたわ少女、静音シナリオ攻略。非常に面白かった。



内容的には、舞台が生徒会ということもあり、王道学園青春モノ。殆どのストーリーが学園内で行われ、旅行にも行かない。(だが他のシナリオでは行けなかった七夕祭りにはしっかり行く)


他のシナリオでは悪役の静音が、しっかりヒロインしてる。特に、私利私欲のために動いてるようにしか見えない静音とミーシャが、実は転校で意気消沈していた主人公を励ます為に生徒会に誘っていたとか、こんな展開序盤でやられたら、イッキに2人が好きになる







▼先にプレーした2シナリオとはかなり雰囲気が違い、全体的に軽くて驚いた



ストーリーのパターンが、受身な主人公が行動的なヒロイン2人に振り回される…というラノベ定番の流れなので、ラノベっぽい話




主人公も別人のように軽い性格で、「マジで」の連呼はかなり違和感があった(すぐに慣れるが、凄いギャップだ)









▼障害の扱いもかなり軽い。耳が聴こえない?喋れない?だから?くらいの勢いがある。これはかたわ少女的にどうかと感じた事もあるが、このシナリオで書きたいのは多分、「強い障害者」なんだと思う


静音の障害は本人の人格形成に大きく関わっていそうだが、少しだけ言及があるものの、結論は描かれていない。静音が心底強い人間なので、障害から恋愛に亀裂が入るシーンもグッドルートにはない。


差別的、劣等的な雰囲気も、全くない。静音は通訳がいなくても、全く臆さない。

リリーシナリオでは、主人公は言葉に異様なほど彼女の障害に気を使って、「見える」「見えない」という表現すら躊躇ったが、このシナリオではリリーが自ら障害を自虐的にネタにしてしまう

(こっちのリリーは、なんか性格が悪い…前回プレーがリリーシナリオだったので、かなりのギャップがあった)







▼とはいえそこはかたわ少女。重いテーマもしっかり据えている。主人公、静音、ミーシャ、三角関係で、ミーシャが主人公を好きかと思いきや、実は同性愛者で(これも障害だと見るべき?)静音のことが好きだったという、(たまに見るが)変則的なパターンで先が読めなかった









▼主人公と静音が情熱的なセックスをするシーンもなかなかに読ませる。

静音がセックスでもあの性格のままなのが…初めてでこんな女いないだろ


1度目はまだしも、2回目のセックス、幾らなんでも唐突すぎ。ギャルゲーの逆移植エロゲーのような取ってつけた感避妊をした描写もないし(他のシナリオではある)、生徒会では計画性を重んじる癖に、とても計画的には見えない二人

(そういえば華子だけセックスが1度だけ。最後に付き合うせいか、少ない。今思えば残念)




文章も洒落てて、独特の言い回しや表現がある、そこもさすがかたわ少女。









▼ゲーム的には選択肢がたったの1つなので、攻略要素は全くない。ただその分、グッドエンドルート、バッドエンドルートで、ストーリーが全く違い、もっともボリュームがあるのが静音の特徴。通常プレーも少し他より長い


バッドエンドルートは延々ミーシャを追い回すだけで、淡々としたシナリオでつまらないが(ミーシャとセックスしたことがバレるかもしれないという緊張感とか、もっと他に面白くする方法があるのに。バッドエンドルートはストーリーがループしてるだけ)、リリーや健二の出番が多いので、物語の側面が知れる

…が、当然、知った後にバッドエンドになる。キャラクターの裏側が見れるのがよりにもよってバッドってのが、何ともいえない


グッドルートでも、主人公とヒロインがキャッキャウフフするシーンが少ないので、恋愛要素こそ薄いが、少年少女の人生哲学や仕事哲学の描写が上手く、最後は爽やかな青春ストーリーになり、非常に面白かった。


先にバッドを消化したので、グッドエンドの爽やかさが綺麗すぎたほどだ。だがエピローグがないことには拍子抜けした。わざわざ、未来に続くという終わり方なのだから、再会までを描いて欲しかった







▼静音シナリオはラノベっぽいのに、他シナリオより恋愛要素がかなり薄い

キャラクターの人間性や仕事哲学に関する話のほうが多いくらい。一番恋愛っぽいのは、序盤の付き合うシーンとムービーかもしれない






この、哲学というとオーバーだが、リーダー論や物事に対する考え方の描写がこのシナリオのコアではないか


華子シナリオ、リリーシナリオもそういった側面が強かったが、それもあくまで恋愛絡みだった。


だが静音シナリオには恋愛の匂いは余りしない。一応、好き、愛してるとは言うものの、物語的には主人公と静音は、恋人というよりビジネスパートナーに近い。


主人公の行動の動機も、彼女と一緒にいたいからという甘酸っぱいモノより、有能な彼女の背中を追いかけたいというほうに寄っている






これ、恋愛ゲームではかなり珍しい設定ではないか


覚えてる限り初めてプレーしたタイプだった






よって、設定こそラノベっぽいが、これに関しては重厚で、まるでラノベじゃない。ラノベ的なノリのまま進めたプレイヤーは驚いたのではないか


他のシナリオと違って、中心人物は主人公ではなく、ヒロイン。そんなヒロインの背中を追いかける主人公…という構図のまま、ラストシーンでも、やっぱり中心人物は静音









▼グッドエンドシナリオ90点の良作。爽やかですばらしい。静音が、強さに隠れた弱さを、主人公にだけ見せ、慈善家になる夢を語るシーンに感動

バッドエンドシナリオは60点の凡作。もっと「壊れていく日常と関係」、「落ちていく」緻密な描写が欲しい。静音の弱さの描き方がかなり唐突。グッドエンドシナリオと同じプレータイムなのに









▼残念なのは、父である羽加道治五郎とのエピソードが余りにも中途半端。まあはっきりいって、ただのキチオヤジで終わってしまった。当然娘にも嫌われているが、それが静音から語られる事はほぼない。静音が父親のイズムを実は吸収していたことが終盤で分かるが、本当にその程度の描写しかない


10年会話をしていないという話や、旅行に誘いにくるシーンから、恐らく父親も本音では娘と歩み寄りたくて、苦しんだ末にあのような腐った人格になったと思われるが、まさかそれに一切触れないとは思わなかった。静音の母親も登場しないので、一家の全体像が曖昧だった



ここでもやはり、仲の悪いリリーの父との話も出てこない。仲が悪いのって、絶対こいつのせいだろ



治五郎はどうやってリリー、晃とコミュニケートしてるんだろうか。どんな感情の関係なのか。大嫌いな兄の娘である視覚障害者の姪を差別してないか?リリーは叔父について一言も語らなかったが、あんな人物をどう相手取っているのか。そこを、描いて欲しかった。特にこの3人の会話シーンがあるとよかった



リリーの生徒会エピソードも、え?この程度で?というくらいのモノでガッカリしたので、やはりバッドでおざなりに済ますより、しっかりグッドルートで綺麗に纏めて欲しかった



物事を少しだけ悟って反省した静音なら、本当の意味でリリーと和解出来ただろうしね


主人公が教師を目指すとEDで宣言するのも、相当に唐突。リリーシナリオではリリーに影響を受けて教師を目指すが、静音シナリオではまるでその設定を使い回しただけのようだった





もうちょっと練れば凄い傑作でした。





▼さてここまで遊んで、まだ達成率65%。フリーゲーム、同人ゲーム史上でも間違いなくトップクラスのシナリオボリュームには、驚愕の一言。



次は笑美いきます













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