世界蘭展日本大賞2015(最終日)
この途方もなく美しい蘭たちに、再会してきました。
Urochilus sanguinea 'Fusion Stars'
気持ち悪い黒い虫にたかられ、食害を受けている感じのヤツ。
Arpophyllum laxiflorum 'Pink Lady'
松本洋蘭園さんの星屑のような素敵な蘭。
Rohiquetia compressa 'N.suesada'
植物が、動物の胎児(胚児)をたくさん育てているような感じのヤツ。初日より花が開いていました。
Den. aberrans 'H.E'
何故か惹かれるデンドロでした。
初日に全体像が詳細に報告できなかったので、今回改めて紹介します。
私は会場を時計回りに案内していくので、実際に会場に足を運ばれた方は思い出しながら追体験してみて下さい。
なお途中で、(書いている私が)飽きないように、花の写真を脈略無しに唐突にブッこんでいますので、御了承下さい。
こちらが今年の副賞のベンツ。
今まで赤が多かった気がするのですが、今年は白のGLA180(344万円)、超絶カッコイイ!!
今年はヤナセ?が100周年とか何とかで、ベンツとこのコーナーに若干気合が感じられました。
日本におけるヤナセの歴史が、パネルで展示されていました。
そういう訳で、1958年の建設中の東京タワーとベンツの写真。
私が生まれる随分前の時代で、私は「3丁目の夕日」を通してしかこのような光景はみたことありませんが、あの映画より上流階級感があるショットですね。
こちらは宮内庁の展示。
雅子殿下のご進講(お妃教育)の初日の、皇居の一室を再現した展示だそうです。
その時一角に飾ってあったPaph. Battle of Egypt 'Alpha' (FCC/AOS)が当時の盆器(蘭鉢)に入れられ、展示してあります。
そして、こちらは特別展示の1つ、ネイキッドマンオーキッドのオルキス。
花がもう無残な状態だったので、パネルの写真を撮ってきました。
ね、妖精はオトコ(しかも長い!)、、、でしょ?
今年の香水は、Den. polyanthum (=primulinum)でした。
25周年の今年は、歴代の香水が年代順に並べて展示されていて、非常に美しかったです。
確か、第5回の世界らん展から香水を共同開発、販売されているということでした。
私は男なのでさすがに香水は買いませんが、毎回香りの試供品としてもらう細い画用紙みたいなやつ(ちょうど蘭の小ラベルくらいの大きさ)を、マスクの中に入れて会場内で歩きながら香りを楽しんでいます。
結構良い香りで、その日は1日中癒されます。
こちらは、蘭のヒミツがあれこれ学べるコーナー。
私も嬉しい発見をしましたよ〜。
Cuitlauzina(Cu) pulchella
この蘭、今回の展示で見かけた際、どっかでみたような気がしていたのですが、ここで見ていたのですね!以前は、Osmoglossum pulchellumと呼ばれていたようで、名前が混同されているようです。謎が全て解けました。クリオネに似てる蘭として、親しまれているようです。他の蘭は、タコとかクモとかムカデに例えられていたり、臭いとか散々な扱い方なのに、この蘭だけクリオネに例えられるなんて、別格の扱いですね。そんだけカワイイってことですね。
Pelatantheria scolopendrifolia
こちらは割と栽培が難しいムカデランを上手に栽培されていました。私は枯らしました、、、。こうやってムギラン?と一緒に上手に栽培されているので、かなり水が好きで、明る過ぎないところを好むんでしょうかね。
そしてこちらは今年も来てくれていた、美ら海水族館のコーナー。
ビックリするくらい良い写真が撮れていなくて、帰って確認した際がっかりしました。
その中でも、これが1番マシに撮れていた写真です。
ね?ヒドイ写真でしょ?
立体感もなければ、構成もめちゃくちゃで魚の大きさとか情景が全く伝わらないし、ガラスは反射していてみにくいし、もうボツにしようと思ったのですが、意外にもバルーンや看板が写りこんでいて、世界らん展の美ら海感は出ていたので、載せてみました。
私、何回聞いてもすぐ忘れちゃうんですけど、この魚ナポレオンフィッシュていうそうです。写真じゃわかりにくいですが、実はデカイ!
こちらは私の好きな、「加賀正太郎物語」というコーナー。
実業家の加賀正太郎氏は、京都の大山崎町に大山ア山荘を建て、贅の限りを尽くして蘭を収集・栽培し、特に思い入れのある蘭を、蘭花譜として残しました。
そのエピソードに関するパネルと、現存する蘭花譜のモデルが展示してありました。
Papilionanthe(V.) teres 'Oyamazaki'
蘭花譜に登場するテレス'大山崎'。 'Oyamazaki'は大山ア山荘で交配選抜された個体で、1930年に初開花したそうです。通常個体より花が大きいそうです。自生地はヒマラヤ、タイ〜中国雲南省ということで、意外と強健なのかもしれません。私も栽培していますが、枯れはしませんが上手く育っている訳でもなく、咲きもしません。秋頃から生育が旺盛になるので、冬に積極的に管理できる環境がないと大変だと思います。
Paph. Euphrasia 'Iwashimizu'
大山ア山荘で交配選別され、1930年に初開花した蘭花譜に登場するパフィオの1つ。こちらも現存しているため、意外と強健なのかもしれません。
こちらは、Massa Nakagawaという多分有名な人が作った「人類誕生の大地」というタイトルのディスプレイ。
感動している人と、「これなんだろうね」って首をかしげている人が半々くらいで、個人的には展示より、そういう来場者の反応を見ている方が面白かったです。
ちなみにこの展示は、ビックバンから宇宙創生が始まり、地球誕生に至るまでの世界観を演出したそうです。
背景に果てしない宇宙の広がり、球体で微惑星の合体と衝突を表現し、海から上がってきた植物が苔、シダ、木へ、花へ進化していく壮大な時間と空間の営みを表現されたそうです。
現場にそういう説明書きがなく、タイトルの「人類誕生〜」という言葉で更に遠くなり、ちょっと伝わりにくかったようです、、、、
さて、突然パフィオの展示の紹介です。
Paph. Raspberry Shot 'Haru'
Chocolate Shot × White Princessという交配でした。ピンクの良花で、初日に上手く写真が撮れていなかったので、今回紹介できて良かったです。
Paph. Tokyo Knight Dream 'Snow Moon'
有名な交配種です。やや波打ってますが、グリーンも少なく、スポット等もなく、美しい白花でした。
Paph. (U/R)(Hamana Idol × White Knight) 'Kawamoto'
こちらも綺麗な白花でした。
こちらはスタンドで休憩しているときに撮った、販売ブースとバルーンとオロナミンCとミスターの豪華なコラボ。
喧騒から抜けると、会場に音楽が流れていることに気付き、ふと耳を傾けると、、、う〜んブラ4?
ベートーヴェンに憧れ、その意思を継ぐべく交響曲を作ろうとしたが約20年間納得のいく作品が作れず、やっと作った交響曲第1はベートーヴェンの交響曲第10番とも称され、親しまれた。
それほど悩み抜いてブラ1を作ったのに、ブラ2はわずか4カ月で書き上げてしまった。
その不安定なメンタルにシンパシーを感じ、私はブラームスを愛す。
最後に書いたブラ4は、美しさと切なさが混在する、不安定な美曲だ。
私はこの選曲をした人のセンスが好きだ。
(こんだけ語っといて間違っていたら超恥ずかしいですが、ガヤガヤしてたのでしょうがないってことにしておいて下さい)
そしてやっぱり購入してしまった株、、、、
今回、C. schillerianaの実生を3種、それぞれ望月蘭園(サンデリ×濃色の望月さんオリジナル実生)、くろやなぎ農園(coerulea狙い実生)、H&R(サンデリ×4Nのデカ良花狙い実生)から!
C. schroederae ’阿修羅'の兄弟を大場オーキッドから!
Paph. lowii s/aをPo-pow Orchids(東京オーキッド)から!
なんかもう、リミッターが壊れて、狂ったように買ってもうた!
大場さんのシュロデレー(右から2番目)が元気だし面白そう。これだけはアンフラではないが、香りが非常に良かったらしく、なんかそそられた!
そして、望月さんのシレリアナ(1番左前)の株の状態が神過ぎる件。
では、ここで唐突にシンビの展示の紹介です。
Cym. sichunicum 'Mishima'
薄黄色の良型だった原種。こちらも初日に撮り損ねていたので、紹介できてヨカッタ。ハナジマオーキッドさんの出展でした。ハナジマさんの緑の原種シンビも凄く良かったです。
Cym. First Symphony 'Hiroki'
ショッキングな色彩で、こういうの面白いと思います。
こちらは仮屋崎省吾さんのディスプレイ。
25周年の祝祭ということで、お祝いの赤を意識し、プレゼントボックスのように楽しく、華やかな展示にされたそうです。
当初はこの色遣いに抵抗がありましたが、毎年見ていると、だんだん好きになってくるから不思議です。
正直すごく楽しみ、て訳でもないんですけど、ないとなんか困る。
こちらは特別展示の1つ、「バッキンガム宮殿の蘭」。
Onc. alexandrae(=Odontoglossum crispum)
1864年アレクサンドラ女王の結婚の際、この花が選ばれ、王妃の名がつけられたそうです。その後、1947年エリザベス女王の結婚式のブーケに使用されるなど、英国王室にゆかりのある蘭だそうです。気品のある花で、これで原種だなんてうっとりします。
Cym. Alexanderi
1921年、当時皇太子だった昭和天皇が御訪英の際、英国王室から大正天皇宛ての献上品として預かった蘭。英国王室と皇室のかけ橋として、この蘭が重要な役割を果たしたそうです。Cym. AlexanderiはEburneo-lowianum × insigneというシンプルな交配ですが、当時の育種において大きな進歩を遂げた価値の高い蘭で、この株が親として登録されている品種は、1万2千以上にも及ぶそうです。
こちらはアート審査部門。
このポスターカラー?を使用した彩度の高い質感、好きです。
あ!!
メタルパフィオがあらわれた!
たたかう
じゅもん
どうぐ
にげる
メタルパフィオは逃げだした!
海外の出展作品。
これは我が家でも衣装ケースを使ってやっているので、我が家に来てくれたら見せてあげます(若い女性限定)
岩や砂を使って自生地の雰囲気を演出していて、特に良いと思った展示。
布と石と蘭という、シンプルだけど惹かれた展示。
初日での出来事なんですが、この付近でアラブ系の女性(やや太めの中年)が突然外国語で何かペラペラしゃべりながら、時折カタコトで「カラダニイイ!」って言いながら、カゴからお菓子を取り出して、周囲の来場者に配り始めました。
もちろんその付近に一瞬にして人だかりができて、好奇心の強い私は来場者のおばさん達に混じって、お菓子をもらったのですが、なんか私だけドライフルーツが剥き出しだったていう、ナニこの扱いの違い、、、、
他の人のは袋に入っていたのに、私のは衛生的に大丈夫?てかこれどこから出したんだろ?て心配になり、次にそもそもこの木の実は何?てなり、そしてこっちのちょっと色の付いたお菓子も何?、どっちも生まれて始めて見たんだけど?、てかなんであの女性はお菓子配ってたの?これまさか毒とか入っていないよね?、て何もかもが良く分からなくなり、激しく動揺、、、、
レポーター魂?で、死ぬ気で色の付いた方を食べました!
そしたら、ミントでした!
あー、死ななくてヨカッタ、、、、
ちなみに木の実もちょっとだけかじってみたのですが、カッチカチで無味でした(笑)
知らない人から食べ物とかもらっちゃいけないってことを、この年にして改めて学びました。
さて、ここで唐突にリカステの展示を少し紹介します。
Lyc. (U/R)(Andy Easton × Shoal haven) 'Wakk'
ペタルにスジが入る珍しい個体。
Lyc. Chrish 'MAKI'
セパルにスジが入り、面白い色彩。
Lyc. Nagai International 'Yachiko'
同様にセパルの淡いスジが美しい個体。
Lyc. skinneri 'Pink Lace'
セパル幅はないが、それが原種が持つ野趣。交配種にはない気高い美しさ。たまりません。
こちらは特別展示の1つ、「King of Orchid・ロスチャイルド家の蘭」。
ロスチャイルド家の人々は、Paph. rothschildianumや、Bulb. rothschildianum、Ancistochilus rothschildianum、Vanda Rothschildiana等の種名の由来となり、Phal. schilleriana等にも関与しているそうです。
こちらの方が、Paph. rothschildianumの種名の由来となった、フェルディナンド・ロスチャイルド氏。
Paph. rothschildianumという種名は、彼の園芸学における活動を称え、名付けられたそうです。
こちらは上の方が当時作ったという温室。
宮殿かっ!
この写真は、1900年前後のその温室内において、既にPhal. schillerianaが栽培されていたことを裏付ける証拠写真だそうです。
随分古い時代なのに、Phal. schillerianaをきちんと栽培し、咲かせていたことに感動します。
この一族は、Phal. schillerianaの栽培・普及にもきっと大きく貢献したのでしょう。
いよいよ2015年の世界らん展も終わりが近づいてきました。
この終末感が漂うと切なくなってきます、、、
もう1度だけ、オーキッドロードへ。
シンボルテーマ、「Birth(誕生)」
光と音と蘭とバルーンの、美しいコラボレーション。
25周年にふさわしく、よく練られた構成で好きでした。
祝祭は盛況のままフィナーレを迎えますが、私たちはこの現状に安堵せず、これを越えて新しい時代を切り開くことも考えていかねばなりません。
26周年目に突入しても、過去の偉人がそうしてくれたように、私たちは歴史を刻みながら前進していく必要があります。
そう、ここは都会の真ん中の楽園、同士を増やし、助け合い、後世に伝承する場所。
そして、品種改良に励み、知識と技術を磨き、美しく競う場所。
何故なら、ここは東京ドーム、挑戦の始まりの場所、都会の真ん中のバトルステージ。
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私が見た世界らん展の、別の扉が開くかも。