ショールーミングは家電量販店、百貨店がネット通販のショールーム化していることを表す言葉だ。11/30(金)iPad mini LTEモデルが発売された。量販店ではタブレット端末の販売に力が入る。ところがヨドバシカメラやヤマダ電機ではアマゾンのキンドルファイアは取り扱わないと言う。その理由はアマゾンの販売力を警戒してのことのようだ。
リアル店舗の対抗策としてヨドバシカメラでは商品の上のバーコードからカカクコムのスマホサービスでネット上の最安値を調べられるようにしている。それが値下げ交渉に使われるのも覚悟の上だ。スマホによる価格.comへのアクセス数は1年前の2.4倍に増えたと言う。
東武百貨店池袋ではビューティテラスと名付けて女性のすっぴん力向上のための6つ(血液、髪、顔、毛穴、ボディ、筋肉)の体験型店舗を設けた。商品数を増やして対抗してきたがもう物販だけでは限界と言う。
阪急うめだ本店ではクラブハリエキッズレッスンスタジオを開設して子供が来たい店作りを行い1か月前に比べグランドオープン後の集客数は2倍以上に増えたと言う。売り場以外のスペースが15%も増えたが3世代ターゲットの集客を優先して販売に繋げる方針だ。
コメンテーターが日本の「個人向けネット販売の市場規模」は2011年で8兆円、毎年10%前後伸びており普及率3%位だ。イギリスでは9%を占めるのでまだ伸びるだろう。リアル店舗はサービス、専売商品の取り扱い、体験や五感に訴える売り場作りが必要になる、と解説した。
以前私がヨドバシで買い物した時には「ネット通販の価格には敵いません。」と逃げ口上を言われた記憶があるが今は正々堂々対応してくれるとは経費を考えれば凄いことだと思う。それにしてもパナソニックVIERA(ビエラ)ハイビジョン液晶テレビ47V型TH-L47ET5の最安値が111,000円とは本当にテレビは売れないのだと電器各社の苦境を実感してしまう。
まあ私も実際『ショールーミング』的な消費行動を取っているなあと振り返ってそう思う。ネットの最安値を確認してから店頭へ行き、実物で製品の作りや操作性は確認して買う決心がついたら価格交渉をして最安値になれば店から買う、無理ならネットで、そんな手順を踏んでいる。
『ショールーミング』の対抗策が色々と実施されていたがこの際逆転の発想はどうだろう。
1)有料ショールームとして1時間850円(東京都の最低賃金)で店内の製品説明を行う。店で購入した場合はその金額を値引く。
2)百貨店のテナント方式の様に各社のショールームを誘致して展示場として稼ぐ。
3)ネット通販とアフィリエイト契約を結び店頭のパソコンから商品を購入してもらい手数料を稼ぐ。
まあどれも微々たる収入しか上げられずビジネスモデルとしてはイマイチだが、これからネットネイティブ世代が消費の中心になることと高齢化社会で買い物難民が増えることを考えれば日本のネット通販の普及率はどんどん高まるだろう。リアル店舗とネットの戦いは年々厳しくなる。
約12分間のコーナーだったがさすがに最近はキンドルファイアHDのCMも流れていることもありアマゾンの一人悪役という印象を与えないよう『ショールーミング』という一般概念との対決と言った内容になっていた。
一方『新・流通モンスター アマゾン』特集では「アマゾンに食われる先行者」として楽天、ゾゾタウン、ヤフー+アスクル、ドコモ+らぢっしゅぼーや、イオン、セブン、ローソン、家電量販店の戦略が語られている。
世界各国でネット通販を行いその利益を先行投資してIT化や物流の低コスト化を進めるアマゾンに日本企業が追い付くのは簡単ではないだろう。そう思わされる記事内容だ。
この中でアマゾンは次に「セル・グローバル」という取り組むという話が載っている。”これを利用すれば、海外どの国の商品でも、自由にユーザーが買い物し、出品できるようになる。”とのこと。そうなればOPPOのBDプレーヤーやLINNのDSが製造国価格で買えるようになるのだろうか。ついつい期待してしまう。(笑)
週刊東洋経済 2012年12/1号 【特集】 新・流通モンスター アマゾン (雑誌) / 東洋経済新報社 価格:690円 |
【関連リンク】
『楽天を経由してアマゾンで購入する消費者の行動が明らかに』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121129-00000003-sh_mar-sci
『ネットにつながった危険な顧客』
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1204/18/news010.html
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