家計に関する話題として「持ち家と賃貸どちらがお得か」という議論がある。高度成長でインフレの時代なら間違いなく持ち家だと思うがデフレで人口減少が進む今なら「賃貸」という答えが正しいように思えてくる。
では「持ち家なら一軒家とマンションどちらがお得か」という議論についてはどう考えるだろうか。土地が資産として残る一軒家、利便性の高い物件なら価値が落ちにくいマンション。何に価値を求めるかによって答えは変わってくるだろうが、AV Phileの私としては上下階、左右隣部屋に気兼ねせず大音量を出せる一戸建てが好みだ。(笑)
比較の際にマンションでは毎月の維持費の積み立てが大変という意見を聞くが一戸建てでも約10年に1回は屋根と壁面の塗り替えが必要でちゃんと予算を取っておかないとその時が来て慌てることになる。我が家も前回の外装リフォームから10年が経過してそろそろ塗り替えが必要だと考え始めていたら「おいしい話」が舞い込んできた。
1年以上前の話になるが2011年03月06日(日)潟戟Eスタイルというリフォーム会社の営業からアポイントの依頼があり15時に会う約束をした。確か支店長と担当営業の2名が来て2時間半話を聞いた。
内容は住宅「外壁パネル材」の売り込みだ。
1.耐久性は半永久的で外壁の塗り替えは不要。
2.外断熱効果があるので冷暖房費が削減出来る。内断熱と異なり壁内結露も起きない。
3.外壁パネル材をアンカーで取り付けるので耐震性が向上する。
とその利点を強く説明された。
その上特別な条件を提示してきた。
1)写真撮影をして広告に使わせてもらう、工事現場見学会に使わせてもらう、という2つの条件で通常500万掛かる工事費を300万で行う。ただし使用する外壁はレンガ柄一沢になる。
2)ここは角地な上、メーカー住宅なので探していた広告条件ピッタリだ。
3)4月からキャンペーンを行うので今すぐ返事が欲しい。この後も候補のお客様と会う約束があり、先方は非常に乗り気だ。
と言う。
外装リフォームには200万弱かかるので、その1.5倍の費用だとしても本当にメンテナンス不要なら長期的に見て大変お得だ。この機会を逃したらもう2度とこんな「おいしい話」はないかもしれない。迷いに迷った結果「お断り」した。
それは先方の提示してきた条件が詐欺話の特徴にことごとく当てはまるからだ。
1)は「お得感」を強調し金銭欲を刺激している。
2)は「貴方だけ特別です」と自尊心をくすぐっている。
3)は「時間が無い」と焦らせて判断力を奪おうとしている。
2人が帰った後ネットで検索したところ、特に怪しい情報は見つからなかった。ただ以下のポイントを知らずに契約していたら後悔しただろう。
1.「外壁パネル材」は差別化が難しく競争が厳しい商材だ。
2. 「外壁パネル材」が結露と耐震性に有利とは一概に言えない。
この話は昨日の「電気保安株式会社」から思い出し書き始めたのだが、当初は会社名を出すつもりは無かった。ところが確認のため「株式会社レ・スタイル」を検索したら以下の情報を見つけてしまった。
1.平成23年(フ)第13931号
2.債務者・破産者「株式会社レ・スタイル」
3.決定年月日時 平成23年10月12日午後5時
私の所へ来た7ヵ月後に倒産していたとはまったく知らず驚いてしまった。「もし契約していたら」と思うと冷汗が出た。昨年は3.11があり売上が激減したのが原因の1つだろう。ただそれ以前から資金繰りに苦労していてとにかく売上を上げたかった。そう思えるほど私が聞いたセールストークは焦りが滲み出ていた。
まったく「おいしい話」には注意が必要だ。
【関連リンク】
『債務者・破産者「株式会社レ・スタイル」』
http://bank-db.com/hasan/450218
『夏原武「隣は詐欺師」――ついに来た「すぐそばに詐欺師」の時代』
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090608/158660/
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