特に一番面白かった講義が『音楽・情報・脳』「第12回 トランスの脳科学」だ。10回はバリ島のガムラン、11回はケチャに関する独特の演奏形態、演奏者の配置、全てがハイパーソニック・エフェクトを参加者全員が浴びることでトランス状態に導かれる工夫になっていると説明された。
参考:放送大学アーカイブス・知の扉 音楽・情報・脳('13)第10回・11回
https://bangumi.ouj.ac.jp/bslife/detail/01638035.html
ガムランは人間が一番高揚する16ビートを一般の村人が演奏出来るよう4つのリズムを合唱させている。これにより練習すれば誰でも参加出来る。演奏者の配置も円形にし、4つのリズムの演奏者を層ごとに1人ずつずらし全員がハイパーソニック・エフェクトを体感出来る様にしている。
「ピアノとガムランの1秒間の打鍵数」の比較表が出てきたが、1位「エチュード Op.10-4(ショパン)/リヒテル」の14.857に対し、2位の「タルナジャヤ(バリ伝統曲)/テジャクラ」の13.458になっている。1人のピアノの天才に、単なる村民の集団が迫ろうというのだから痛快だ。
ケチャも同様の工夫がなされており一般の村民の歌唱力で効果が出せるようになっている。バリ島の獅子”バロン”の演奏者にも超高周波を浴びる仕組みが施されているのだから、この方法を思いついたバリ島の先人たちの知恵と工夫に感心する。
人々はトランス状態になることで快感を得ると共に集団に一体感を感じる。この効果でバリ島において村の間で争いがあったという記録は見つかっていないとのこと。人類は古代から色々な呪術を行い、トランス状態を作ることで集団をまとめてきた。それを現代に伝える芸術だ。
世界3大宗教の影響を受けず独自に進化してきた「クラウハン」を知ると、世界中で色々な理由で対立している人達は、まずは一緒にガムランとケチャを演奏したらよいのではないか、と思ってしまう。戦いを避けようとした先人達の努力と工夫を何とか現代に活かせないのだろうか。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image