設置後すぐにVSA-AX10(10iアップデート済み)で鳴らしてみた。最初に音を聞いた時にはS-HE100との違いが分からなかった。(冷汗) パイオニアのスピーカーとしてフラットでモニター的な音が脈々と受け継がれてきたからそう聞こえたのだが、「120万と29.6万のスピーカーが同じ!?」と一瞬青くなったのは事実だ。(苦笑)
2曲、3曲と聴いているうちにS-1EXの凄さが分かってきた。SC-LX90に交換してもその考えは変わらなかった。
1)分解能が高い。綺麗に楽器が分離して鳴り響く。
2)定位が良い。歌手と楽器の位置がはっきりと分かる。
3)S/Nが良い。余計な響きが付かず音の余韻が綺麗に消えて行く。
4)CST同軸ドライバーが凄い。ボーカルを生々しく再現してくれる。
価格コムやPhile-webコミュニティに書かれているレビュー1つ1つに同感してしまう恐るべきスピーカーだ。私的にS-HE100との音の違いを料理で表現するとこうなる。
「S-HE100は鍋料理の美味しさかな。料理(音質)は美味しいけど具(楽器)は混在してしまい素材そのものの良さは分からなくなってしまう。」
「S-1EXは懐石料理だ。1品1品の料理(音質)は美味しいし、その器(楽器)も目(耳)を楽しませてくれる。しかもコース料理(音楽)として完成している。」
これでS-1EXの音の素晴らしさを分かってもらえるだろうか?
私はオーディオ・リファレンスCDとして1990年に手に入れた「SONY TECHNO FAIR ANNIVERSARY ALBUM」というゴールドCDを良く聴く。22トラック目に「鳥の楽園〜セイシェル」という浜によせる波と数々の鳥の声を録音したものが収録されている。この時は部屋を暗くして目を瞑って聴いていたがまるで浜辺に立っているようで、途中大波が寄せるその瞬間には反射的に足を上げてしまった。色々なスピーカーで聴いて来たがこんなことは初めてだった。(笑)
このスピーカーで音楽を聴いているとスタジオやライブ会場の雰囲気まで伝わってきて2つのスピーカーユニットから再生される音にここまで情報が刻まれているのかと驚いてしまう。それを再現できるこのスピーカーが凄いのか、それともその音からこれだけの情報を聞き分ける人間の聴覚が凄いのか、とオーディオから大脳生理学的な話まで考えさせられてしまう程だ。(笑)
こうして我が家のS-1EX-LTDにはニックネームが2つ付いた。1つ目は”イタコ”。既に鬼籍に入ってしまったミュージシャンを目の前に呼び寄せてくれるからだ。カレン・カーペンターのボーカルを実に魅力的に聴かせてくれる。
2つ目は“ローレライ”。この音に魅入られるとセンタースピーカーにはS-7EXを、リアスピーカーも同じEXシリーズで揃えたくなってしまう。魔性の音を奏でて人を音の渦の中に飲み込むこのスピーカーにはピッタリの名前だと思う。(爆)
最後にS-1EXの弱点もちゃんと指摘しておこう。
1)グリルネットの骨組みの開口率が低く音質に不利だ。なおS-3EXではユニット前はネットのみと改善されている。
2)グリルネットとパーフェクト・タイムアラインメント・デザインのフロント・キャビネットの間に隙間があり埃が付き易い。こちらもS-3EXではグリルネットがカーブしており隙間が無くなった。
3)フット4本でスパイクの高さ調整が難しい。もっともこのお陰で震度5でも倒れなかったのだから文句は言えない。
09/30(金)の記事に書いた通り、TAD-E1-WNが発表されたことで再びS-1EXが注目されて、そのパフォーマンスの高さが見直されると思っている。果たしてこのまま生産終了となってしまうのだろうか・・・。
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