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2016年10月07日

家づくりに関する読書

(最初におことわりしますが、本記事にはプロモーションの内容を含みます。)

寝る前には眠くなるように、本を読むようにしています。今回の本は「資産価値の高い家づくり 22の知識」(幻冬舎)です。

私が本業で使っている事務所は、築70年の民家です。もとは終戦後すぐに作られた医院でした。戦後すぐのさまざま不足する中で、よくこれだけの病院を建てることができたなと感心しています。そこを5年前に大家さんの了解を得て、私自身が手を入れて仕事に使えるようにしました。

この本には長く持つ家づくりのコツが紹介されています。読みながら感心しました。本に書かれていることを、すでにこのお医者さんがその多くを実践なさっていたことです。しかも終戦後すぐのものがない時期にです。

私自身もこの本を読む前から、今の家は20,30年しか持たないということを、様々な方からお話を聞いてその通りだと思っていました。そこで、この元医院の、床下が高くて部屋の風通しがよく乾燥していることが気に入り、借りることにしたのです。はめられているガラスの一枚は手作りガラスです。外がわずかに歪んで見えます。新築の医院でありながら、ガラスは当時のものをリユースしていたことになります。ものを大事に使っている一例だと思います。この一枚でも相当な価値がありそうです。

じつは、その前は1970年代の高度成長期に建築された郵便局跡を借りていました。ここは、この本にあるように絵にかいたような「悪い見本」でした。場所は地元では1等地です。しかし、借りる当初からすでに傷みが激しく、屋根や壁などかなり手を入れてやっと使える状態にしたのですが、使い始めてすぐにカビと雨漏りに悩まされ、すでに手に負えない状態で断念して手放したのでした。選択は失敗でした。

その苦い経験から、今度は風通しのいい、この医院跡を借りることにしました。ここについては、なるほどと本を読みながら、うなずかされます。本来の基本通りの「夏を重視した家づくり」をよい部材を使って作れば長持ちし、リフォームにも応え、さらに永くもたせることができると実地でわかります。

70年の間、歴史上の名前のついている周囲に甚大な被害をもたらした巨大台風をやり過ごしてきた経験をもつ家です。実績がその頑強さと作りの良さを物語っています。

この本には、一見すると当たり前と思われる項目もあります。しかもすでに書かれてから4年が過ぎています。しかし、日本のここ四半世紀の家づくりは、この「当たり前」がすでに当たり前でなく、不条理なばかりの家づくりが行われ、30年持たない家を作り出してきました。常識が通用しない家が作られ、そして無価値となり朽ちていこうとしています。

私の住む周辺でもリフォームが可能なのは、高度成長期前の民家が多いです。皮肉にも部材の豊富でない時期の家の方が、リフォームできるという何とも皮肉な結果となっています。

例えば、私の父は、昭和初期の築80年以上の家を水回りを別にすれば、自分で手を入れつつ住んでいます。リタイア後に故郷に戻った父は、新築を選択しませんでした。そのかいあって、すでに20年住んでいますが、とても快適です。

私自身の失敗をまじえた経験から、この本に書かれているように、海外のように、今後、価値を下げない家づくりが「新たな常識」として日本で普通になることを願っています。
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資産価値の高い家づくり22の知識

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