2017年01月30日
マリフアナが体内発生? 睡眠不足で「抗いがたい食欲」が止まらない
受験勉強や仕事などで深夜まで起きているとき、「おなかが減ったな」と感じて、スナック菓子が止まらなくなった経験はないだろうか。
「夜遅くまで起きて勉強や仕事をしているし、エネルギーを使っているかもしれない。おなかがすくのも当然だから、食べてもいいか」なんて安心して食べていると、知らないうちに体重が増加していたという事態になりかねない。
なぜなら、この食欲、どうやら自分では抑えられないものなのだそうだ。
□強制的に睡眠不足状態に… すると「抗いがたい食欲」が止まらない!
睡眠不足になると、なぜ食欲が増加してしまうのか。なぜその食欲を抑えられないのか。
アメリカのシカゴ大学の研究チームは、睡眠不足と食欲の関係について調べた。14人の20代の若者に協力してもらい、4日間ずつ、2パターンの睡眠時間で寝てもらった。最初の4日間は通常の睡眠時間で、1日にベッドの上で8.5時間を過ごし、そのうち睡眠時間は平均7.5時間だった。
別の4日間は、睡眠不足の状態にするため、ベッドの上で4.5時間いてもらい、平均睡眠時間は4.2時間だった。両4日間とも、午前9時、午後2時、午後7時の1日3回食事を取り、4日目の夜だけスナック菓子も与えられた。
そして、グレリンという食欲増進に関わるホルモンと、レプチンという満腹中枢に関わるホルモンのレベルを測定した。グレリンが高濃度、レプチンが低濃度になると、食欲が増すことがこれまでの研究で分かっている。しかし、研究チームは、これだけが食欲の原因ではないと考えていた。
□マリフアナに含まれる化学物質と同じものが体内で生成
研究チームは、内因性カンナビノイドの血中濃度も測った。
カンナビノイドはマリフアナの原料である大麻に含まれる化学物質で、鎮痛効果や幻覚作用は言うまでもないが、食欲増進の効果があるとされている。
内因性カンナビノイドの血中濃度レベルは通常、夜間は低く、日中上昇して午後の早い時間帯にピークを迎える。ところが、睡眠不足の場合には、通常の睡眠を取った場合に比べて、血中濃度が33%アップした。また、ピークを迎えたのは午後2時と通常より90分遅く、夜9時まで濃度が高い状態が続いた。
まさに睡眠不足の被験者たちは、昼の食事を終えて満腹のはずの午後2時ごろに空腹感を訴えた。血中の内因性カンナビノイドのピーク時間と一致している。
□睡眠不足では、オイリーな食べ物を好む傾向に
4日目の夜には、スナック菓子が与えられたわけだが、睡眠不足の場合は、通常の睡眠の状態に比べて、カロリーが50%多く、脂肪分は2倍あるスナック菓子を食べる傾向にあった。
□「起きている分カロリー消費している」?…いえ、それ以上に食べてます!
研究チームによると、1時間長く起きていても、たったの17キロカロリーしか消費しない。
一晩で4時間余分に起きている、つまり、いつもより4時間睡眠時間が少ない場合でも、通常よりも70キロカロリーしか消費しないということだ。しかし、この調査では、被験者たちはこの睡眠不足で起きている4時間の間に、300キロカロリーものスナック菓子を食べている。
このままでは、何年か後にはとんでもない体重増加につながっているのは確実だ。
夜中まで仕事や勉強に励んでいる際、抗いがたい食欲に襲われたら…寝るのが一番だろう。何しろマリフアナと同じ成分で、あなたを高カロリーな食事へと誘っているのだから。寝てしまえば食べることもない。