思わず食べてみたくなるようなクレヨンだ。色素成分として野菜や果物の粉末を使い、国産米の米ぬかで作った「ライスワックス」で成形してある。
安全にこだわった素材を使ってあるので、幼児が誤って口にしても「安心してください」というわけだ。さすがに「食べられますよ」とまでは言えないが、野菜ならではの色合いの優しさも魅力で、出産祝いとしても人気のクレヨンだ。
■ニョキニョキ出てきたのはクレヨンの芽
ネットで楽しい動画を見つけた。畑からニョキニョキと出てきたのは、野菜ならぬクレヨンの芽。赤、黄、緑、茶と色とりどりで、その名も「おやさいクレヨン『vegetabo(ベジタボー)』」。まさに畑から生まれたクレヨンだ。
■わが子からの手紙から 安全なクレヨンへの興味
作ったのは青森市にあるデザイン事務所。2012年3月、事務所の代表の女性が、当時8歳のわが子のために、安全な文房具を作りたいと考えたのがきっかけだ。
「いつもお仕事してくれてありがとう」とクレヨンで書かれた手紙をもらったことから、クレヨンに目を付けた。子どもが口に入れても害がないクレヨンがあったらいいな、野菜や果物を原料にしたクレヨンができないかしら…彼女はそう考えた。
■野菜、果物と米ぬかのコラボで、口に入れても安心なクレヨン
クレヨンの素材に選んだのは、キャベツやホウレンソウ、カボチャなど野菜のほか、リンゴやクリなどの果物も。青森県産の素材を粉末にして使うことにした。色素と混ぜて固めるワックスには、石油成分ではなく、国産の米ぬかを材料にした「ライスワックス」を利用した。
■安心なクレヨン。塗っているうちにリンゴの香りが
色の名前もちょっとユニーク。赤や緑、黄色ではなく、「ねぎ」「とうがらし」「とうもろこし」「やまぶどう」「ふきのとう」など、材料の名をそのまま使った。
通常のクレヨンに使われる色素を含まないため、色調はパステルのように淡い。しかし素材本来の香りがする。「りんご」は塗りつぶすうちにリンゴの香りが漂ってくる。ちょっと残念なのは「青色」がないこと。青い色の野菜や果物がないとあっては、それも仕方ないが。
■「色合いがステキ」 「新野菜」も続々と
2014年3月の発売以来、人気は上々。「口に入れても安全なクレヨン」という評判だけでなく、「色合いが水彩画のようでステキ」といった声も届いている。
好評を受けて新色ならぬ「新野菜」も続々と加えた。やはりクレヨンも、「安心安全」がトレンドのようだ。
■「みつばちクレヨン」 安全性も折り紙付き
安全といえば、安全を売りにして世界中で親しまれているクレヨンがある。「蜜ろうクレヨン」だ。
蜜ろうは、ミツバチの分泌腺から出るろうで、ハチの巣の材料になる。それを精製したものをワックスとして使って、天然由来の色素と組み合わせたクレヨンだ。
蜜ろうは化粧品や菓子などの原材料にも使われており、安全性は折り紙付きだ。中でも岡山県の山田養蜂場の「みつばちクレヨン」は色素も天然素材にこだわった「世界一安全なクレヨン」を売りにした人気商品として知られる。
■自然素材のクレヨン、おいしそう…だけど、やっぱりご注意を
おやさいクレヨン、みつばちクレヨン、ともにおいしそうなネーミングだ。難点は値段がちょっと高いことだが、「安全」が買えるとなれば安いとも言える。しかし食べ物ではないため「食べても大丈夫」というわけではないことをお忘れなく。