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2018年04月27日

自転車漫画4(四月廿四日)



承前
 次に気になったのが、『びわっこ自転車旅行記』。題名から小学生か中学生の男の子が、自転車に乗って旅行する話かと思ったら、「東京在住の三姉妹」が滋賀まで自転車で帰省する話だった。帰省ということは大学生か社会人の女性が三人ということか。作者の実体験をもとに描かれた作品だというのには惹かれるけれども、子供が旅先で出会う大人に助けられながら、目的地までたどり着くというお話を題名から期待してしまっただけにちょっとなあ。
 そんなことを考えていたら、シリーズには「滋賀→北海道編」というのがあって、こちらは三人姉妹のうちの一人が高校生のころに、夏休みに滋賀から北海道まで自転車で旅をしたお話らしい。さらに「琵琶湖一周編 ラオス編」というのもあって、実家在住の末っ子が姉達と一緒にママチャリでびわ湖一周に挑戦するとあるけど、表紙を見るとママチャリに乗っているのは、末っ子だけのようである。
 全部で三冊しかないし、各巻ごとに完結しているようだし、合わなかったら一冊で止められるし、今のところ、これが一番敷居が低いなあ。レンタで読めるようだったら、読んでみようかなと確認してみたら、レンタでは取り扱っていなかった。ヤフーのブックストアで買って読めという表示が出るのだけど、これ以上登録サイトを増やしたくはないので、却下。読むとすれば、hontoを使うことになる。ということでこれも保留。次行こう、次。




 次に見つけたのが『Over Drive』。ロードレースを舞台にしたスポ根物らしいから、『シャカリキ!』や『弱虫ペダル』の路線である。出版社は講談社だから大きく外すことはないと思うのだけど、あらすじを読んでいると、少年マンガにありがちの無茶な展開も垣間見えて、ドラマチックに盛り上がる面白さはあるのだろうと思うけど……。試合やレースがなかなか終わらないという少年マンガの最大の欠点を、多分にもれずこの作品も供えているようだし、それを超えるだけの面白さがあるのかどうかだなあ。一巻の表紙を見る限り絵柄的には好きなほうに入るから、ちょこっと読んでみたい気もする。



 hontoでは、「ブックツリー」という本の専門家がテーマに沿って本を推薦するという趣旨のサービスをやっている。正直な話、いくつか期待して覗いたブックツリーは、すべてこれで終わり? 言いたくなるような期待はずれなもので、あえて見るまでもないと結論付けていたのだが、自転車漫画に関しても「読めば自転車に乗りたくなる!主人公がのめり込む姿が熱い自転車漫画」というブックツリーが存在して、五つの作品が紹介されている。一つ目はすでに取り上げた『弱虫ペダル』、四つ目に『Over Drive』が入っている。せっかくなので残りの三つも見てみよう。


 二つ目に上がっているのは、『ツール!』。題名からツール・ド・フランスを意識させるから、ロードレースがテーマであることは間違いない。自転車レースの専門家が監修についている分、ルールやレース展開は正確で現実的なものになっているだろうが、その分、少年マンガ特有のでたらめさのもたらすドラマ性というものが希薄になっているなんてことがあるかもしれない。実は昔少年サンデーのサイトでWEB連載をしていたころに何回か読んだ記憶がある。子供が主人公でジュニア世代のレースとはいえ、本格的なロードレース漫画は内容的には満足したけれども、これでツール・ド・フランスまでたどり着けるのかなと思っていたら、いつの間にか連載が終わっていた。



 三つ目が『かもめチャンス』。仕事と子育てに忙殺される主人公の人生が一台の高価なロードバイクとの出会いで大きく変わるというコピーには、ものすごく惹かれる。これまで取り上げた自転車漫画の中でも一番である。「ビックコミックスピリッツ」の連載作品だから、主人公の能力を除けば設定周りにはそれほどの無茶はないだろうと思うのだけど……。




 最後の五つ目は、『サクリファイス』。現在取り扱いできないと書いてあるから、紙の本は絶版で、電子書籍化が済んでいないということのようだ。「ブックツリー」のところにある紹介を読むと、主人公は陸上から自転車に転向してプロになるようなのだけど、高校生なのか大学生なのか。そんな内容よりも気になるのが原作者の存在で、近藤史恵。この人推理小説を書いていなかったかと思って確認したらその通りだった。創元推理文庫でちょっと変わった作品を発表していたのを覚えている。その近藤史恵が新潮社から刊行した小説版の『サクリファイス』をもとに漫画化されたようだ。





 小説版のほうはミステリーとしても高い評価を得ているから、純粋な自転車小説ではなく。ロードレース界を舞台にした事件の謎を解く推理小説としての一面が強いのかもしれない。ロードレース界なんてドーピングを筆頭に謎だらけだしさ。
 スポーツを題材にした小説はあたりはずれが大きく、スポーツを知らない書評家の評価も当てにならないことが多いのだけど、この小説はどうだろうか。以前どこかで絶賛されていた箱根駅伝を舞台にした小説を読んで、ドラマとしての面白さはあったものの、あまりの現実性のなさにがっかりしたこともあったしなあ。
 この近藤史恵の場合には、他にも自転車小説を刊行しているようだから、そこまで心配することはないのかな。こんなことを書いていたら、取り上げた漫画よりもこの小説の方が読みたくなってきた。
2018年4月24日23時。










posted by olomoučan at 06:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 本関係
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