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2020年06月28日
関係代名詞2「který」(六月廿四日)
今日は関係代名詞の使い方の説明というよりは、具体的に「který」を2格以下の格で使う例を紹介して、簡単なコメントをつけていくことにする。形容詞の格変化を覚えていれば、関係代名詞「který」なんて習うより慣れよで、いろいろ考えながら使っているうちに使えるようになるものだ。
・Univerzita zrušila letní školu, které jsem se chtěl zúčastnit.
(大学は、私が参加しようと思っていたサマースクールを中止にした)
連体修飾節が付く名詞はサマースクール、チェコ語では「letní škola」なので、「který」は女性型の格変化をしなければならない。連体修飾節の動詞「zúčastnit se」は、2格をとるので、女性単数の2格「které」になるというわけである。一方主文の動詞「zrušit」は4格を取るので、「letní školu」となる。名詞と関係代名詞の格は一致しなくてもいいのである。
・Potkal jsem na nádraží Čechy, kterých jsem se zeptal na cestu na nádraží.
(駅までの道を尋ねたチェコ人達に駅で会った)
名詞は男性活動体複数。連体修飾節の動詞「zeptat se」は2格を取るので、関係代名詞は複数2格で「kterých」となる。本当は「さっき」とか加えたかったのだけど長くなりすぎるので省略。
・Kamarád, kterému jsem půjčil peníze, jel do Japonska.
(お金を貸してやった友達が日本に行った)
名詞は友達。この場合は男一人なので、関係代名詞は男性活動体単数で変化させる。動詞「půjčit」は、日本語の「貸す」と同様に、貸す相手を3格で表すので、「kterému」としなければならない。2格と3格は、わかりやすく、日本語と対照しやすい例を探すのが大変だった。
・Prodal jsem v antikvariátu knihy, které jsem si koupil v Japonsku.
(古本屋で、日本で買ってきた本を売った)
この文では、名詞は本で女性名詞だが、複数なので関係代名詞は女性の複数を使う。動詞「koupit」が必要とするのは4格なので、女性複数の4格「které」を使う。
・Chodíme každý měsíc do divadla, které vlastní náš známý.
(私たちは、毎月、知り合いが所有する劇場に通っている)
名詞が中性の劇場で単数。連体修飾節の動詞が必要とするのは4格で「které」となる。
・Cestoval jsem po Japonsku s kamarády, které znám od svého dětství.
(子供のころから知っている友人たちと日本を旅行しました)
名詞は友人。ただし男性を含む複数。連体修飾節の動詞「znát」のせいで、関係代名詞は4格。つまり複数4格の「které」が使われる。友達が一人の場合は、男女それぞれ以下のようになる。
・Cestoval jsem po Japonsku s kamarádem, kterého znám od svého dětství.
・Cestoval jsem po Japonsku s kamarádkou, kterou znám od svého dětství.
次は6格だが、前置詞なしには使えないことを覚えておこう。ここは場所を表す前置詞でちょっと遊んでみる。
・Mluvil o státu, ve kterém pracoval jako učitel.
(あの人は先生として仕事をした国について話した)
名詞の国は男性不活動体単数。名詞「stát」は場所を表す前置詞としては「v」を取るので、関係代名詞の男性不活動体単数6格の前に「v」を置かなければならない。国名は国によっては男性名詞だったり女性名詞だったり、単数ではなく複数だったりするので、いろいろなバリエーションで使われることになる。
・Mluvil o České republice, ve které pracoval jako učitel.
・Mluvil o Česku, ve kterém pracoval jako učitel.
同じチェコを表す言葉でも正式名称のチェコ共和国を使うと、女性名詞単数になるので、関係代名詞は「ve které」、略語というか俗語のチェスコを使うと中性名詞単数なので、「ve kterém」となる。
・Mluvil o Slovensku, na kterém pracoval jako učitel.
・Mluvil o Ukrajině, na které pracoval jako učitel.
同じ国名でも、中性単数のスロバキアと、女性単数のウクライナの場合には、「v」ではなく「na」を取る。さらにフィリピンは女性名詞の複数なので次のようになる。
・Mluvil o Filipínách, na kterých pracoval jako učitel.
こんなややこしいのは嫌だという人のために存在するのが、いや本当はそんなことはないのだろうけど、前置詞「v/na」の代わりに場所を問う疑問詞「kde」を使う方法である。これなら、地名の性も単複も、必要とする前置詞も問わずに問題なく使える。これについてはまた、別の機会にまとめて説明、いや例文を紹介しよう。
前置詞を使わずに「který」を7格で使う例文が思いつかなかった。それっぽいのは思いついたのだけど、どれもこれもなんか変というものばかりだったので、割愛せざるを得ない。その分、前置詞+7格の例文をたくさん考えることにする。ということで、今回もちょっと挙げたけど、次回は全治しつきの関係代名詞である。
2020年6月25日10時。
2020年06月25日
関係代名詞1「který」(六月廿二日)
ヨーロッパの言葉においては必要不可欠な物でありながら、日本語では必要としないものの筆頭がこの関係代名詞である。我らが先人たる文明開化期の外国語使用者、翻訳者たちなどもこの関係代名詞には苦労したのは想像に難くなく、古い翻訳調で書かれた文章を読むと、「私が住むところのオロモウツ」と、普通なら「私の住むオロモウツ」と単純な連体修飾節で済ませるところに、形式名詞の「ところ」を入れて無理やり関係代名詞に対応させている例もよく見かける。漢文訓読調を翻訳に取り入れたなんて言えなくもないけど、漢文の連体修飾節がすべて「所」で導かれるわけではないし、他の訓読のしかたができるところもある。
それはともかく、そんな厄介なものを日本人が自然に使えるようになるわけはなく、使うためには文法的な思考が必要になる。英語を勉強していたときには、何も考えずに例に基づいて当てはめていただけだったから、あまり意識しなかったけれども、日本語を基準に考えれば、名詞の前に置かれる連体修飾節を、名詞の後ろに置き、名詞とつなぐために必要なのが関係代名詞である。なんとまあ効率の悪いことである。チェコ語にも連体修飾節を名詞の前に置く方法は存在するが、今ではあまり使われておらず、チェコ人でも完全に使える人はあまり多くないらしい。
とまれ、名詞と連体修飾をつなぐ関係代名詞で注意しなければいけないのは、形容詞型の格変化をして、性も単複も必要に応じて形を変えられる関係代名詞の性と単複は、名詞の性と単複に一致しなければならないということである。ただし、格は、それぞれ別の動詞に対応するので、一致させる必要はない。文の構成によっては一致することもあるけど。
その辺がわかりやすくなるように、まずは、連体修飾節の付く名詞が、連体修飾節の動詞に対しても主文の動詞に対しても主語として機能する、つまりは一格で使われる例を挙げる。「プラハに住んでいる友達がオロモウツに来ました」という文をチェコ語にするときに、まず考えなければならないのは、「友達」の性と数である。
男性一人
・Kamarád, který bydlí v Praze, přijel do Olomouce.
女性一人
・Kamarádka, která bydlí v Praze, přijela do Olomouce.
男性二人以上か男女合わせて二人以上
・Kamarádi, kteří bydlí v Praze, přijeli do Olomouce.
女性二人以上
・Kamarádky, které bydlí v Praze, přijely do Olomouce.
名詞と関係代名詞の性と単複が一致しているのはわかってもらえるだろう。どちらも一格なのでわかりやすいはずである。さらにこの場合は主文の動詞が過去なので、性と単複によって語尾を変えなければならない。連体修飾節を過去にすることも可能で、文を「プラハに住んでいた友達がオロモウツに来る」に変えると以下のようになる。英語で苦労したことだけは覚えている時制の一致というものはないので、楽である。
・Kamarád, který bydlel v Praze, přijede do Olomouce.
・Kamarádka, která bydlela v Praze, přijede do Olomouce.
・Kamarádi, kteří bydleli v Praze, přijedou do Olomouce.
・Kamarádky, které bydlely v Praze, přijedou do Olomouce.
性と単複の順番は最初の例と同じ。関係代名詞を使えない場合には、「z Prahy(プラハから)」で代用するという方法もあるのだが、友達がプラハに住んでいるのか、たまたま今プラハにいるのか、プラハの出身なのかはっきりしなくなる。文脈からわかる場合、お互いにわかっている場合にはこれでも全く問題ないのだが、より具体的に正確な情報を伝えたいときには関係代名詞を使ったほうがいいのである。
ちなみに、「プラハ出身の友達」なら、友達が男一人だとすると「kamarád, který pochází z Prahy」になるし、「今プラハにいる友達」なら、「kamarád, který je momentálně v Praze」となる。関係代名詞が使えると表現の幅が大きく広がるのである。
上の文は、中性の友達というのは存在しないので、名詞が中性の例としては残念ながら使えない。男性名詞不活動体の例にも使えないか。「プラハに本拠地のあるサッカーチームがオロモウツに来た」にしてみよう。チームを「tým」と訳せば男性名詞不活動体だし、「mužstvo」と訳せば中性名詞になる。それぞれ上が単数で下が複数の場合である。
・Fotbalový tým, který sídlí v Praze, přijel do Olomouce
・Fotbalové týmy, které sídlí v Praze, přijely do Olomouce
・Fotbalové mužstvo, které sídlí v Praze, přijelo do Olomouce
・Fotbalová mužstva, která sídlí v Praze, přijela do Olomouce
ここに挙げた例を比較すれば、関係代名詞「který」を使う際に、性と単複の一致が重要で、どこに気をつけなければならないのか理解できるはずである。次回は連体修飾節と主文の動詞に対して、名詞が1格以外の役割を果たす場合の説明をしよう。格の組み合わせとか、前置詞との組合せがあるし、すべてのパターンの例文を考えるのは面倒くさい、じゃなくて難しいので、思いつくものができるだけバリエーションに富んだものになることを願っておく。
2020年6月23日19時。
2020年06月20日
チェコ語の疑問詞10「どう」2(六月十七日)
チェコ語を勉強していると、意味はわかるけど日本語にしにくいよなあと頭を抱える表現に出会うことがある。その一つが形容詞と数詞を組み合わせた表現で、特に形容詞「starý」を使ったものは日本語にすると「starý」を感じさせる言葉が消えてしまうので、通訳なんかの際に日本語がとっさに出てこなくて変なことを言ってしまったこともある。
・dva roky stará nehoda
・padesát let stará budova
逐語訳すれば、それぞれ「二年古い事故」「五十年古い建物」となるのだが、なんとも怪しい日本語である。自然な日本語にするなら、「二年前の事故/二年前に起こった事故」「建築後50年を経た建物/五十年前に建てられた建物」なんてことになるだろう。これらの日本語を逆に連体修飾節を使ってチェコ語に訳した表現も存在するし、使えなくはないのだが、一番普通に使われるのがこの数詞と形容詞を組み合わせた表現なのである。
・sto metrů vysoká věž
・více než sto kilometrů dlouhá řeka
この二つの場合には、「高さ100メートルの塔」「長さ100キロ以上の川」と、それぞれ形容詞を名詞化した言葉を使えるからとっさの場合でも訳せないと言うことはないのだけど、チェコ語で聞いてもこんなのでいいのかという落ち着きなさを感じてしまう。最近は大分なれてきたかな。もちろんチェコ語でも形容詞を名詞化した「výška(高さ)」「délka(長さ)」という言葉は存在するけれども、
長々と疑問詞とは直接関係ないことについて書いてきたのは、「jak」と形容詞を組み合わせることで、高さや長さなどを、どのぐらいと質問するからである。
・Jak je tato budova stará?
(この建物は建てられてどのぐらいですか?)
・Jak je vysoká tato věž?
(この塔の高さはどのぐらいですか?)
二つの文で形容詞の位置が違っているのは、どちらが正しいのか確信が持てないからである。頭の中で読んでみると、どちらも正しそうに思われてしまう。「být」以外の動詞では、こんな使い方をする。
・Jak starou jste si koupil knihu?
(何年ぐらい前に出された本を買いましたか?)
・Jak vysokou věž plánujete postavět?
(どのぐらいの高さの塔を建てる計画ですか?)
この二つも語順が違うのは、どちらがいいのか確信がないからである。
副詞にかける使い方だが、日本語では副詞なしで「どのぐらい」だけで済ますことができる疑問文も多い。
・Jak dlouho trvá z Olomouce do Prahy?
(プラハからオロモウツまでどのぐらいかかりますか?)
・Jak často chodíte do školy?
(学校にはどのぐらい通っていますか?)
形容詞の場合とは違って「jak」と副詞は分けることなくセットで使われることで、これらのほかにも、「jak rychle(どのぐらい速く)」「jak daleko(どのぐらい遠く)」などの表現がぱっと思いつく。
派生語は、他の疑問詞の場合と同じように「nějak(どうにか)」「nijak(どうにも)」「jakkoliv(どうにでも)」なんかがよく使われる。特殊な使い方としては、相手の思いがけない話を聞いて、「Jak to?」と言うことがある。日本語にすると「どうしたの?」「どうして?」というところだろうか。さらに言葉を足して「jak to že」とすると、「proč」と同じような理由を問う表現になる。使い方からすると「jak to že」のほうが強い表現ということになるかな。
最後に映画「トルハーク」に出てくる「jak」を使った名言を紹介しておこう。これは疑問詞としての使い方ではないのだけど、関係詞に入る前の導入ということで。
・Jak je ten film drahý, tak je blbý.
ちょっと語順が怪しいし、映画の中ではプラハ方言で形容詞の語末がだらしないことになっていたけれども、正しいチェコ語にしておく。意味は「この映画は金がかかる分だけばからしい」とでもなるだろうか。またまた「トルハーク」でチェコ語の勉強をしてしまった。
2020年6月17日24時。
タグ:疑問詞
2020年06月16日
チェコ語の疑問詞9「どう」(六月十三日)
今日取り上げるのは、昨日の「jaký」の副詞形である「jak」である。「どのように」「どのぐらい」などいろいろな訳し方の必要な言葉だが、副詞なので動詞で表される動作がどのように行われるのか、形容詞で表される状態がどの程度なのかを問うための疑問詞で、ばあいによっては副詞にかけてつかうこともある。
一番よく使うのは、動詞と共に使うもので、特に次の二つの文は、初学のころから、数え切れないほど使ってきた。当時はこんなものだと思って覚えたけれども、後になって知識が増えると何でこんな言い方をするのだろうと不思議に思うこともある。
・Jak se máte?
(お元気ですか/調子はどうですか?)
・Jak se jmenujete?
(お名前は何ですか?)
この二つを無理やり解釈してみると、ます前者は、動詞の「mít se」と組み合わされているが、「se」が自分を意味する再帰代名詞なので、「自分を持つ」と解釈できる。その自分の持ち方がどうなのかを問うのが、この疑問文だと考えることができる。つまり「自分をどのような状態で持っていますか」という意味から、「(持っている体・心の)調子」と問うことになり、状況に合わせた日本語の自然な表現を考えると、「お元気ですか?」にも対応するのだろう。
もちろん、日本語を直訳して、「Jste zdravý?(健康ですか?)」「Jaký je váš zdravotní stav?(健康状態はどうですか?)」なんて疑問文を作ることは可能だし、文法的にも(多分)正しい。しかし、こんなのは挨拶代わりの質問には使えないのである。前者はこれだけ見ると何か皮肉に響くし、後者は面接か何かのときに健康状態を確認するのに使いそうである。
名前を尋ねるほうも、直訳して「Co je vaše jméno?」なんて言いたくなるけどこれは正しくない。使わないけれども無理やり使うとすれば、「Jaké je vaše jméno?」だろうか。いや、使わないか。「Jak se jmenujete?」を使いたくないときには、「Řekněte své jméno(名前を言ってください)」と言ってしまうからなあ。
とまれ、「Jak se jmenujete?」を解釈すると、動詞「jmenovat」は、「jméno(名前)」からできた動詞で「名付ける」と理解することができる。再帰代名詞の「se」をつけて、「自らを名付ける」と考えても、受身と考えて「名付けられる」と考えてもいいが、「jak」で、どのように自分を名付けているか、どのように名付けられているかを問うと考えればいい。
こんなことを考えたからといってチェコ語ができるようになるとは思わないけれども、よくわからないまま、文法的に納得がいかないまま使い続けるよりは使いやすくなる。その解釈が、真偽の甚だ怪しいいい加減なものであったとしても、自分の頭で考えることが大事で、言語学者じゃないんだから言語学的な正しさなんて何の役に立たないものを求める必要はない。正しいに越したことはないと思うけど、正しさと納得できることのどちらを取るかといわれたら断然後者である。
動詞と組み合わせたもので、よく使うのが「Jak to vypadá?」である。動詞「vypadat」は「見える」という意味だが、「〜が見える」ではなく、「〜のように見える」という形で使い、その「〜のように」の部分を問うのに「jak」が使われる。ただ、直訳した「どのように見える?」という日本語の疑問文から想定されるより、はるかに使える場面は多い。職場だと仕事の進捗状況を聞くのなんかに使うし、学校だと授業が理解できているかや、テストなんかについて使う。スポーツなら試合の状況について聞いてもいいし、日本語だと「どう?」「どんな感じ?」と状況を尋ねるような場面で使うと覚えておくといい。
同じ「見える」と訳される「vidět」を使う場合には、二人称を使って「Jak to vidíš?/Jak to vidíte?」となる。こちらは「どう見える」ではなく、「どう見る」かを問う疑問である、つまり状況を見て、相手がどう判断しているのか、どう評価しているのか、考え、意見を聞くために使われる。言葉にすると使い分けが難しそうだけど、慣れれば問題ないはず。
もう一つ、記憶に残っているのが、ノバの再放送用のチャンネルで再放送が繰り返され続けているアメリカのドラマ『フレンズ』の登場人物ジョーイの口癖である。日本語版でどんな訳が当てられているのかも、英語でどう言っているのかも知らないが、チェコ語のジョーイは「Jak to jde?」を連発する。
以上の三つは進行中の状況、経過の様子を聞くものだが、結果がどうなったかについて聞く場合には、「Jak to dopadlo?」と「vypadat」ではなく「dopadnout」という動詞を使う。「Jak to jde?」を過去形にして、「Jak to šlo?」を使ってもいい。大切なのは、どちらの動詞を使う場合でも、三人称単数中性形にするということである。これがチェコ語のいわゆる無人称文というのになるのかどうかは、よくわからない。これは知らなくても、特に考えなくても使うのに特に問題のないことである。
余計なことを書いていたら、長くなってしまったので今日の分は動詞との組み合わせだけで終わりにしよう。
・Jak se to řekne japonsky?
・Jak se dostanu na nádraží?
・Jak to má být?
・Jak se to dělá?
どれもこれも、チェコ語を勉強している一度は見たり聞いたりしたことはあるはずである。
2020年6月14日10時。
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タグ:疑問詞
2020年06月15日
チェコ語の疑問詞8「どんな」(六月十二日)
前回で、チェコ語の疑問詞のうち、「k」で始まるものはすべて取り上げたと思うので、今回からは「j」で始まるものである。二つしかないので、長くなっても二回で終わる予定。一つ目は、「který(どの)」との使い分けが難しいこともある「jaký(どんな)」である。大抵は日本語の「どの」と「どんな/どのような」に対応するような使い分けをしていればいいのだが、たまにあれっと思うような例に遭遇する。また述語的に「〜はどうですか」という文にも使われる。
この言葉、見てわかるように、形容詞型の格変化をするし、形容詞的に名詞と組み合わせて使う。関係詞としても使えるので、形容詞の格変化というのも、覚えるのは大変だけど一度覚えてしまえば、その後の学習がものすごく楽になるのである。それはともかく、いつものように例文をいくつか挙げおこう。
1格
・Jaké počasí bylo dnes?
(今日はどんな天気でしたか?)
・Jaké bylo dnes počasí?
(今日の天気はどうでしたか?)
無理やり訳し分けたけれども、どちらもどんな天気だったか質問するときに使うもので、チェコ語では下のバージョンを使うことの方が多いと思う。
2格
・Z jakého jazyka jste přeložil tuto knihu?
(どんな言葉からこの本を翻訳しましたか?)
3格
・Jakému kamarádovi posíláte dopis?
(どんな友達に手紙を送っていますか?)
4格
・Jaké máte nejoblíbenější pivo?
(どんなビールが一番好きですか?)
6格
・O jakém tématu píšete článek?
(どんなテーマについて記事を書いていますか?)
7格
・S jakou japonskou univerzitou spolupracujete?¨
(どんな日本の大学と協力関係にありますか?)
2格以降は、「どんな(jaký)」よりも、「どの(který)」を使った方がよさそうに感じるのは、日本語の影響だろうか。チェコ人に聞いたら、どちらでもいいとか、どちらも意味はあんまり変わらないという答えが返ってきそうだけど、自分では、最初から「jaký」を使うぞという意識を持っていなかったら、「který」を使ってしまうと思う。もちろん、ここに挙げた例文が、文法的な正しさはともかく、チェコの人が普通に使うものであるかどうかについては自信はない。
・Jaké je nejkrásnější město v Japonsku?
(日本で一番きれいな町はどんな町ですか?)
無理に直訳した日本語を読んだら、どんなまちって一番きれいな町って言ってるじゃないかという感想を持つだろう。日本語なら「どこですか」と聞くところなので、「kde」を使いたいところである。ただこの手の分で使うと、「どこにありますか」という意味になってしまって、本来の意味とは微妙にずれてしまう。それで、チェコの人はここにあげた、日本人が初めて見たり聞いたりしたら、ぎょっとするような疑問文を普通に使うのである。「どの町ですか」ということで「které」を使ても問題はないはずだけど。
一応、いくつかの選択肢が提示されていて、その中のどれという場合や、提示されていなくても文脈から選択肢が限られている場合には「který」を使って、選択肢の限定がない場合、あらゆるものが対象になる場合には「jaký」を使うのかなと考えている。ただ、最後の例文でも、日本の町ならどこでもいいと言う意味では制限はないが、日本の町の中から選ばなければならないと言う意味では制限があるので、「které」を使いたくなるのである。
この「jaký」からも他の疑問詞と同じような派生語が作られる。「nějaký(或る)」「nijaký(どんな〜〜も(ない))」「jakýkoliv(どんな〜でも)」「jakýsi(或る)」など、単独では訳しにくいものも多いけど、特別なものとしては「ledajaký」というのがある。京産大の辞書には載っていないのだけど、大抵は否定の「není」と共に使って、普通の一般的などこにでもある物ではなく特別なものであることを示す表現だったと思う。思うというのはそんなによく使う言葉ではないので、確信を持ってこうだと言い切れないのである。
この「jaký」、普段はあまり考えずに使っているけれども、いざ説明しようと思ってあれこれ考えると、本当にこれでいいのかと確信が持てなくなってくる。確信が持てないときには「který」で代用してごまかせることが多いとはいえ、厄介な言葉である。
2020年6月12日24時。
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2020年06月07日
チェコ語の疑問詞6「どこ」2(六月四日)
チェコ語には、もう一つ場所にかかわる疑問詞で、何でこんなのがあるのといいたくなるものがある。知らなければ使いようがないし、チェコの人もそんなに頻繁に使わないというか、別な表現を使って質問することが多いから、チェコに住んでチェコ語を使っていても、耳にする機会はあまり多くないかもしれない。それは「kudy」という疑問詞なのだが、「どこを通って」という意味になる。
日本語訳から想像できる通り、組み合わせて使える動詞はそれほど多くなく、基本的には移動を表す動詞ぐらいのものである。一般的に、「〜を通って行く」という場合には、前置詞「přes」に場所を4格でつけるか、前置詞なしで7格を使う。例を挙げると次の通りになる。
・Tento vlak jede do Prahy přes Pardubice.
(この電車は、パルドビツェを通ってプラハに行きます)
・Na nádraží jdeme touto ulicí.
(駅へはこの道を通って行こう)
だから、疑問文にするときにも、「どこ」ではなく、場所を表す名詞を使うことが多い。
・Přes které město jede tento vlak do Prahy?
(この電車はどの町を通ってプラハに行くんですか?)
・Kterou ulicí jdeme na nádraží?
(どの道を通って駅に行こうか?)
この事実と、時間を表す疑問詞として「dokdy」「odkdy」があることから、もし「どこをとおって」という質問をするなら、前置詞と組み合わせて「
答え方は、上の例を見てもらえばいいのだけど、ここでも「こっちを通って」「あっちを通って」というのは、挙げておこう。「tudy」と「tamtudy」である。「こちらからどうぞ」という意味で、「Tudy prosím」なんてのは言われたことがあるかもしれない。自分ではうちのに教えられた「tadyma」を使うことに方が多いかもしれない。「tama」が「tamtudy」の代わりに使えるんだったかなあ。
派生語ではないのだろうけど、指摘しておいたほうがいいこととしては、「kde」のように「de」で終わる言葉の中に、場所を表すものがいくつかあることである。ぱっと思いつくのは、「jinde(別の場所で)」「všude(あらゆる場所で)」の二つなのだのが、オロモウツ地方の方言の一つ「nende」に初めて気づいたときには、よくわからんけど場所に関する言葉だと思ったのは、これが原因である。実際には「nejde」がなまったもので、場所とは全く関係がないのだけど。
同様に、「jinam(違う方へ)」は方向を表し、「odjinud(別の場所から)」は起点となる場所を、「jinudy(別の場所を通って)」と「všudy(あらゆる場所を通って)」は通る場所を表わす。この辺は使わなくても生きていけるけど、まとめて覚えておくと便利で、チェコ語ができるようになった気分に浸れる言葉である。「všam」「odvšud」がないのが残念。
せっかくなので時間を表わす言葉についても触れておくと、「dy」で終わる。「jindy(別なときに)」「vždy(いつでも)」「navždy(永遠に)」などである。「vždy」は「vždycky」という形で覚えている人が多いかもしれない。
さて、ここで疑問。じゃあどうして「tady」は、時間じゃなくて場所を表すんだろう。「tade」じゃだめだったのだろうか。方言ならありそうである。
2020年6月5日9時30分。
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2020年06月06日
チェコ語の疑問詞6「どこ」(六月三日)
しばらくは、チェコ語の話を続けよう。今日の疑問詞は場所を問う「kde」からである。日本語では、動詞によって場所を表す「で」と「に」を使い分けるが、チェコ語では動詞によって、場所を表す表現が必要なのか、方向を表す表現が必要なのかを考えなければならない。すでに「tady」と「sem」の違いについては説明したと思うが、前者が場所で後者が方向である。だから「kde」も方向を問う「kam」と使い分ける必要があるのである。
・Kde mám nechat?
・Kam mám položit
この二つは、日本語にすれば、どちらも「どこに置けばいい?」という意味になるのだが、動詞が必要とするものが違うために疑問詞も変えなければならないのである。日本語で考えたときの「どこに」は、場所であろうか、それとも方向であろうか。何とも言い難いので、チェコ語でもどちらを優先的に使うと決められず、大抵は間違えてしまうのである。
この二つの疑問詞も他と同様に、「někde(どこかで)」「kdesi(どこかで)」「nikam(どこへも)」「kamkoliv(どこへでも)」なんていう派生語を作ることができるが、「ně」と「si」の違いとかややこしいので、疑問詞につける接頭辞、接尾辞のまとめもしたほうがよさそうだ。「kde」に特徴的な派生語というと他の疑問詞と組み合わせた「kdeco(何でもかんでも)」「kdejaký(どんなものでも)」「kdekdo(誰でも)」などだろうか。知らなくても困る言葉ではないけれども、正しく使えたら嬉しくなる言葉でもある。あまりうまくいったことはないけどさ。
日本語で「どこ」を使う表現から考えると、「どこまで」は、「どこに」と同じように方向を現すものなので、「kam」を使えばいい。「まで」と強調したいんだという場合には、「až kam」と「až」をつけてやれば、それっぽくなる。逆に「どこから」は、「odkud」という特別な言葉を覚えなければならない。ただ、初学のころから出身地を聞く質問の「Odkud jste?」というのを使っているから知らない人はいないはずである。
注意しなければいけないのは、この言葉には方言めいたバリエーションがたくさんあることで、南モラビアのスロバーツコの辺りだと「zkama」という言葉を使う人が多いし、他にも「odkaď」というのも聞いたことがある。知らないと答えに窮してしまうので、この二つぐらいは覚えておいた方がいいかもしれない。
ところで、「odkud」という言葉の構成から「kud」というのが、「どこ」をあらわす要素で、それに「od」がついて、「どこから」という意味になったと考えられなくもない。実際に他の前置詞と組み合わせた「dokud」「pokud」という言葉もある。「dokud」なんて最初見たときは、辞書を引くまでは、「どこまで」という意味に違いないと思い込んでいたのだが、残念ながらこの二つは疑問詞ではないのである。
特に「dokud」は厄介な言葉で、「〜する限り」とか、「〜まで」という意味を表すのだが、使い方がよくわからない。使われた場合、たいていは問題なくその意味を理解できるのだけど、自分で使うと、違うと言われてしまう。そのたびに説明を受けて、次に使うときにはその説明の通りに使ったつもりなのだけど、それでも違うと言われてしまう。そんなのを何度も繰り返して、自分で使うのをあきらめてしまった言葉である。なくても何とかなるし。
それに対して、「pokud」は辞書だと「dokud」と同じような訳語が上がっているけれども、実際に使うときには、仮定法、もしくは条件法的に使えるので非常に楽である。「〜するなら」「〜すれば」という意味で、しかも動詞の時制はそのままでいい。「jestli」と同じような使い方なのだが、こちらは「〜かどうか」という意味で使うことが多いので、仮定法ではあまり使わないようにしている。
それから「odkud」で聞かれたときの答え方だが、具体的な場所であれば、「z」の後ろに地名を二格で置けばいいというのは、「Jsem z Japonska」と答え慣れているからわかるはずである。場合によっては「od」でもいいけど、それは、「その場所の近くから」という意味になる。これも授業では習わなかったなあ。
では具体的な地名ではなく、「ここから」「あそこから」と答えたいときにどういうかというと、「odtud」「odtamtud」ということになる。「tam」を付けることで、話し手から遠くの場所を表すのは、「tamten(あれ)」何かと同じである。この二つの言葉も、取り立てて授業で教わった記憶はない。どんな時に使うのか想定しづらいというのもあるのかなあ。
・Odkud jste?(どちらの出身ですか?)
・Jsem odtud.(私はここの出身です)
なんて会話が成り立つのかどうか。遠くに見える町を指差して、「Jsem odtamtud.」とか言えそうな気もするんだけど、それなら「Jsem z tamtoho města.」と言った方がわかりやすいか。どちらも落ち着きが悪いのは、こちらのチェコ語の能力のせいかな。
2020年6月4日10時。
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2020年06月05日
チェコ語の疑問詞5「いつ」(六月二日)
昨日の時点で、次はチェコ語の関係代名詞だとのろしを上げたのだが、再度確認したら、疑問詞の方で書いておかなければならないものがいくつもあることに気づいた。疑問詞を書いておかないと関係詞について書くわけにはいかないから、チェコ語の文法を網羅的に書こうと思ったら、外せないのである。
疑問詞については、格変化のある代名詞的なものから始めたわけだが、次は格変化はないけど、「k」で始まる点では、「který」「kolik」などと共通な疑問詞を扱う。初学のころから登場してあまり考えないままに使っている言葉もあるけど、意外に便利な使い方ができたりするものもあるので、一つまとめておこう。
最初は「いつ」という意味の「kdy」。もちろん、日本語と同様に、「何時に」「何日に」などと具体的に時間や日をもとめる質問の方法もあるが、「何時に」を意味する「v kolik hodin」以外は、特に必要がない限り、「kdy」で済ませてしまうことが多い。それで期待した答えが返ってこなかったときに改めて、「ve kterém měsíci(何月)」とか「ve kterém roce(何年)」などと聞きなおすのである。個人的には、「何日」は、格変化に自信がないので避けることにしている。
この「kdy」の特徴としては、二つの前置詞と組み合わせ使える点がある。日本語でもよく使う「いつから」「いつまで」をチェコ語では「odkdy」「dokdy」というのだ。問題は一単語としてまとて書くのか、前置詞と疑問詞に分けて二単語にするのかだけど、話すときには気にする必要はない。うちのに聞いたらどちらも可能だと思うという返事が返ってきたし。もちろん、「何月まで」「何年まで」という質問も可能である。
昔、「do kolika hodin(何時まで)」というのが使えるようになった後に、「いつまで」ってどう言うんだろうとあれこれ考えて、適当に「dokdy」というのを使ってみたら、間違いだと指摘されることもなく、「えっ、こんなんでいいの?」と困惑したのを覚えている。なんで格変化しないのかとか言いたいことはいくつもあるけど、一番問題なのは、教科書でも授業でもまったく説明されていないことだろう。少なくとも説明されたことはない。
こんなのそのままじゃないかというのは、知っている人だから言えることであって、何でこうなると言いたくなることばかりのチェコ語を勉強している人間にとって、そのまま二つの言葉をつなげるだけというのは、想像しがたいことなのだ。それに一単語なのか二単語なのかという問題もあるのだから、説明があってしかるべきだと思うんだけど。まあ、「odkdy」「dokdy」なんて使わずに済ますことができるといえばその通りで、存在を知るまでは動詞を変えることで対応していたのだった。
・Dokdy budeš v Olomouci?
(いつまでオロモウツにいるの?)
・Kdy odjedeš z Olomouce?
(いつオロモウツを出て行くの?)
・Odkdy jste tady?
(いつからここにいますか?)
・Kdy jste sem přišel?
(いつここに来たんですか?)
どちらも微妙に意味は変わるけど、答えとして得られる情報は同じである。外国語を使うということは、知らない言葉でも、自分の知っている言葉を使って何とか表現することでもあるのだ。それには外国語の能力以上に母語の能力が必要になる。
・Dokdy muším dokončit tuto práci?
(いつまでにこの仕事を終わらせなければなりませんか?)
この質問に対する答えは、いろいろ考えられる。
・Do středy.(水曜日までに)
・Do příštího pátku.(来週の金曜日までに)
この辺は問題なく使えるようになるのだけど、次の答えは慣れるまでは苦労した。どちらも別の答え方はできるとはいえ、自分でも使うようにしておかないとチェコ人に言われたときに理解できなくなる。最初言われたときはよくわからなくて、言い直してもらったしなあ。
・Do dvou dnů.(二日以内に)
・Do tří měsíců.(三ヶ月以内に)
おそらく、「二日後までに」と理解してもいいのだろうけど、チェコ語では「後」も「までに」も前置詞で表現する。前置詞を二つ重ねて使うこことはできないのでこんな形になっているのだと理解している。逆に「Do dvou dnů」を、迷わず「二日以内に」と訳せるチェコ人がいたら、その人の日本語能力はなかなかのものだということになる。
他の疑問詞と同様「kdy」にもいろいろな派生語がある。「někdy(いつか)」「kdysi(いつか)」「kdykoliv(いつでも)」なんかは、使い方はともなくとして、日本語に訳すのには苦労しない。それに対して動詞の否定形と共に使う「nikdy」は、文脈に応じて「絶対に」「一度も」「二度と」などと訳し分ける必要がある。
他に覚えておいたほうがいい派生語としては、「málokdy(まれに)」なんかがある。これも疑問詞である「jak」と組み合わせて「jak kdy」というのは、「場合によって」とか、「そういうこともある」なんて意味になる。「když」も派生語と言えば言えるのだろうけど、これについてはまた別の機械に説明することにしよう。書けば書くほど書くべきことが増えていくこの不思議。
2020年6月3日10時。
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2020年03月17日
チェコ語の疑問詞4(三月十四日)
コロナウイルスの感染が予想以上の広がりを見せ、そちらに気を取られてしまったせいで、しばらく間が開いてしまったけれども、久しぶりにチェコ語の話である。今回は、疑問詞の中でもよく使われる「který」である。関係代名詞としてもよく使うのだが、関係代名詞としての用法は、また別の機会に扱うことにする。チェコ語の疑問詞ってほとんどすべて関係詞として文をつなぐのに使えるし、関係代名詞としてしか使えない言葉もあるので、そちらはそちらで一まとめに説明する。まだまだ先の話だけど。
この「který」は、長母音「ý」で終わることからも明らかなように、形容詞型の格変化をする。単独で「どれ」という意味でも、名詞とともに「どの」という意味でも使われる。特に4格で使うときに、「どの」にあたる「který」と名詞が泣き別れになっていて戸惑うことがある。チェコ語の(他のヨーロッパ系の言葉でもそうかもしれないけど)形容詞と名詞を使うときによくあることではあるのだけど。
とりあえず1格から例文を挙げていく。
・Která kniha je nejzajímavější?
(どの本が一番面白い?)
・Která je nejzajímavější kniha?
(どれが一番面白い本?/一番面白い本はどれ?)
何冊かある本の中から、一番面白いものを聞くときの疑問文は、普通はこのどちらかの形を使う。目の前に対象となる本が並んでいるような場合には、本だというのは明らかなので、「kniha」を省略することもあるし、ちょっとこった語順にすることもあると思う。
・Která je nejzajímavější?・
・Která je kniha nejzajímavější?
ここで「Která」になっているのは、「kniha」が女性名詞の単数だからというのは、問題ないと思うが、問題は述語が形容詞ではなく、名詞で、しかも疑問詞の後につく名詞と性や単複が違う場合である。名詞を省略しなければいいだけなんだけどね。
・Které noviny jsou Mladá fronta?
(どの新聞が「ムラダー・フロンタ」ですか?)
名詞を省略した場合も、省略した名詞に合わせればいいと思うのだけど確信はない。
・Které jsou Mladá fronta?
2格以降は、動詞の人称変化と疑問詞の間に関係がなくなるからその分楽になるのだけど、疑問詞と名詞の格変化を一致させる必要が出てくる。
2格
・Do které základní školy jste chodil?
(どの小学校にかよいましたか?)
3格
・Ke kterému politickému hnutí patří?
(あの人はどの政治団体に属していますか?)
4格
・Kterého prezidenta považuješ za nejlepšího?
(どの大統領が一番よかったと思いますか?)
6格
・Ve kterém městě bydlíte?
(どの町に住んでいますか?)
7格
・S kterou kamarádkou se dnes setkáš?
(どの友達と今日会うの?)
数詞を入れて複雑にすることもできる。
・Ve kterých třech městech najdeme horní náměstí?
(ホルニー広場はどの三つの町にありますか?)
他の疑問詞と同様、「ně」を付けた「některý」という言葉もある。「どれか」と訳せなくもないけれども、文になっている場合には、「〜ものもある」「〜人もいる」という意味に理解したほうがいい。
・Některé věci se nedají koupit v obchodech.
(お店では買えないものもある)
・Někteří zaměstnanci této firmy umějí japonsky.
(この会社には日本語ができる社員もいる)
・V některých obchodech mají české pivo.
(チェコのビールがあるお店もある)
ただし、「ni」を付けた「nikterý」というのは、あるのかもしれないけど、使ったことはないし、使われているのを見たことも聞いたこともない。似ているものとしてはチェコテレビのボサーク師匠がよく使う「nikterak」というのがあるのだけど、これもよくわからない言葉である。
2020年3月14日24時。
2020年02月27日
チェコ語の疑問詞3(二月廿四日)
またまた忘れてしまいそうだったけれども、思い出したので続ける。前回は数詞に関して質問をするための疑問詞を取り上げたが、今回はまず、順序数詞を問う疑問詞である。チェコ語の順序数詞は、1が「první」、2が「druhý」となる以外は、数詞との関連性が非常に高いので覚えやすい。品詞としては形容詞扱いをしてもいいのかな。日本語だと名詞か、形容動詞か悩むところだけど。
順序数詞が形容詞、もしくは形容詞的な変化をするということは、順番を問う疑問詞も、形容詞型の言葉だということになる。前回の数を問う「kolik」からの派生語なのだろうけど、「kolikátý」という言葉が使われる。使われると言いながら、絶対にこれを使わなければいけない場面というのはそれほど多くなく、昔チェコ語のサマースクールに来ていた外国人とチェコ語で話をしていたときに使ったら、「何それ」と言われたこともある。
日本だと教科書に取り上げられていたと思うので、大抵の人は知っていると思うが、日付を聞くときにこの言葉を使う。日付で思い出さなければいけないのは、「prvního ledna」のように、なぜか2格を使うということで、この疑問詞も2格で使用することになる。
・Kolikátého je dnes? Dvacátého čtvrtého/Čtyřiadvacátého.
(今日は何日ですか?/廿四日です)
日付を、「何番目の日」と意識しているわけなので、月や年、世紀に関しても、「kolikátý měsíc」「kolikátiý rok」「kolikáté století」という表現が使えるはずなのだが、どちらかというと、日本語の「どの」にあたる形容詞型の疑問詞「který」を使うことの方が多い。日本の年号を使う場合、非常に限定的な使い方になるけど、「v kolikátém roce éry Heisei(平成何年に)」とかやるのはありかもしれない。でも、この場合でも、「který」で十分である。
時間の場合も、「kolikátá hodina(何時)」という言い方はあるけど、ほとんど使わず、「v kolik hodin(何時に)」「od kolika hodin(何時から)」などの表現のほうがはるかによく使われる。「七時半」と言われて、「何時半?」と聞き返すときに、「půl kolikáté?」という質問はしそうだけど、これも「kdy」とか、「v kolik」で用は足りるから、無理して使う必要はない。
それから、建物の階について問うのも、「kolikáté patro(何階)」という表現が使えるので、次のようなやり取りもできる。
・V kolikátém patře se to bude konat? Ve třetím.
(それは何階で行なわれるの?/四階だよ)
気をつけなければいけないのは、確か英語でもそうだったけど、階の数え方が日本語と一つずれていること。一階はチェコ語では「přízemí」という。厄介なのは、うちの部屋のある建物もそうなのだけど、入り口を入るとすぐに上りと下りの階段がある建物で、下は地下一階というよりは半地下で、上は二階というほど高くなっていない。その場合、入り口を入ったところが「přízemí」で、ちょっと階段を上ったところが「první patro」となるのだろうか。その場合は日本と同じかなあ。正直よくわからない。
ただし、この例に挙げた文も、残念ながら「ve kterém patře」と「který」を使うことのほうがずっと多い。チェコ語も、特に話し言葉では簡単な表現を好むところがあるようである。日本語でも確かにそんな表現はあるけど、普通は使わないというのも結構あるわけだし、いやそんな表現は日本語の方がはるかに多いわけだから、ここはチェコ語に文句を言うところではあるまい。こういう表現をあえて使うことで出てくる効果というのもあるし。
何階かを聞くのではなく、建物が何階建てかを聞く場合には、またちょっと違った形容詞型の疑問詞「kolikapatrový」を使うことができる。できるんだけど、こんな長ったらしい言葉は使いたくないのか、「何階建てですか」と聞くのではなく、「階はいくつありますか」と聴くほうが多いので、「Kolik pater má tato budova(この建物には階はいくつありますか)」と聞かれるほうが多いかもしれない。
この手の「kolika」の後にあれこれつけて疑問詞になるものもいくつかあって、「kolikaletý(何年の)」「kolikanásobný(何倍の)」なんかがすぐに思いつく。もちろん、これらの表現も、別な言い方で十分なので、わざわざ覚える必要はないのだけどね。
もう一つ、「何回目」かを聞く質問にも「kolikátý」を使う。こんな質問そんなに何度もするわけではないし、うまく使えば「kolikrát」で何とかなるからなあ。とはいえせっかくなので、例文を挙げておく。
・Po kolikáté se letní školy zúčastníte? Po třetí.
(サマースクールに参加するのは何回目ですか?/三回目です)
重要なのは前置詞の「po」を使うということで、確信がないのは、「Po kolikáté」と二つの単語にするのか、「Pokolikáté」とつなげて一単語にするのかということである。初めてが「poprvé」と一単語になることを考えると、つなげたほうがいいのかなあ。書くときはともかく話すときは、つなげても、つなげなくても発音は変わらないから、どっちでもいいか。
こういう細かいことは、普通の教科書では分量の関係で書かないのだろうけど、分量を気にせず書けるのが、ブログの利点と言えば言えるか。これでも細かすぎるのでちょっと遠慮して少なめにしたんだけどさ。次はここでもちょっと触れた便利な「který」である。説明することはあんまりないので、例文の山になりそうである。
2020年2月25日24時。