2020年06月16日
チェコ語の疑問詞9「どう」(六月十三日)
今日取り上げるのは、昨日の「jaký」の副詞形である「jak」である。「どのように」「どのぐらい」などいろいろな訳し方の必要な言葉だが、副詞なので動詞で表される動作がどのように行われるのか、形容詞で表される状態がどの程度なのかを問うための疑問詞で、ばあいによっては副詞にかけてつかうこともある。
一番よく使うのは、動詞と共に使うもので、特に次の二つの文は、初学のころから、数え切れないほど使ってきた。当時はこんなものだと思って覚えたけれども、後になって知識が増えると何でこんな言い方をするのだろうと不思議に思うこともある。
・Jak se máte?
(お元気ですか/調子はどうですか?)
・Jak se jmenujete?
(お名前は何ですか?)
この二つを無理やり解釈してみると、ます前者は、動詞の「mít se」と組み合わされているが、「se」が自分を意味する再帰代名詞なので、「自分を持つ」と解釈できる。その自分の持ち方がどうなのかを問うのが、この疑問文だと考えることができる。つまり「自分をどのような状態で持っていますか」という意味から、「(持っている体・心の)調子」と問うことになり、状況に合わせた日本語の自然な表現を考えると、「お元気ですか?」にも対応するのだろう。
もちろん、日本語を直訳して、「Jste zdravý?(健康ですか?)」「Jaký je váš zdravotní stav?(健康状態はどうですか?)」なんて疑問文を作ることは可能だし、文法的にも(多分)正しい。しかし、こんなのは挨拶代わりの質問には使えないのである。前者はこれだけ見ると何か皮肉に響くし、後者は面接か何かのときに健康状態を確認するのに使いそうである。
名前を尋ねるほうも、直訳して「Co je vaše jméno?」なんて言いたくなるけどこれは正しくない。使わないけれども無理やり使うとすれば、「Jaké je vaše jméno?」だろうか。いや、使わないか。「Jak se jmenujete?」を使いたくないときには、「Řekněte své jméno(名前を言ってください)」と言ってしまうからなあ。
とまれ、「Jak se jmenujete?」を解釈すると、動詞「jmenovat」は、「jméno(名前)」からできた動詞で「名付ける」と理解することができる。再帰代名詞の「se」をつけて、「自らを名付ける」と考えても、受身と考えて「名付けられる」と考えてもいいが、「jak」で、どのように自分を名付けているか、どのように名付けられているかを問うと考えればいい。
こんなことを考えたからといってチェコ語ができるようになるとは思わないけれども、よくわからないまま、文法的に納得がいかないまま使い続けるよりは使いやすくなる。その解釈が、真偽の甚だ怪しいいい加減なものであったとしても、自分の頭で考えることが大事で、言語学者じゃないんだから言語学的な正しさなんて何の役に立たないものを求める必要はない。正しいに越したことはないと思うけど、正しさと納得できることのどちらを取るかといわれたら断然後者である。
動詞と組み合わせたもので、よく使うのが「Jak to vypadá?」である。動詞「vypadat」は「見える」という意味だが、「〜が見える」ではなく、「〜のように見える」という形で使い、その「〜のように」の部分を問うのに「jak」が使われる。ただ、直訳した「どのように見える?」という日本語の疑問文から想定されるより、はるかに使える場面は多い。職場だと仕事の進捗状況を聞くのなんかに使うし、学校だと授業が理解できているかや、テストなんかについて使う。スポーツなら試合の状況について聞いてもいいし、日本語だと「どう?」「どんな感じ?」と状況を尋ねるような場面で使うと覚えておくといい。
同じ「見える」と訳される「vidět」を使う場合には、二人称を使って「Jak to vidíš?/Jak to vidíte?」となる。こちらは「どう見える」ではなく、「どう見る」かを問う疑問である、つまり状況を見て、相手がどう判断しているのか、どう評価しているのか、考え、意見を聞くために使われる。言葉にすると使い分けが難しそうだけど、慣れれば問題ないはず。
もう一つ、記憶に残っているのが、ノバの再放送用のチャンネルで再放送が繰り返され続けているアメリカのドラマ『フレンズ』の登場人物ジョーイの口癖である。日本語版でどんな訳が当てられているのかも、英語でどう言っているのかも知らないが、チェコ語のジョーイは「Jak to jde?」を連発する。
以上の三つは進行中の状況、経過の様子を聞くものだが、結果がどうなったかについて聞く場合には、「Jak to dopadlo?」と「vypadat」ではなく「dopadnout」という動詞を使う。「Jak to jde?」を過去形にして、「Jak to šlo?」を使ってもいい。大切なのは、どちらの動詞を使う場合でも、三人称単数中性形にするということである。これがチェコ語のいわゆる無人称文というのになるのかどうかは、よくわからない。これは知らなくても、特に考えなくても使うのに特に問題のないことである。
余計なことを書いていたら、長くなってしまったので今日の分は動詞との組み合わせだけで終わりにしよう。
・Jak se to řekne japonsky?
・Jak se dostanu na nádraží?
・Jak to má být?
・Jak se to dělá?
どれもこれも、チェコ語を勉強している一度は見たり聞いたりしたことはあるはずである。
2020年6月14日10時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
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