2011年05月22日
疫病(感染症・伝染病)を防ぐ。その2 vol.3
この記事は『疫病(感染症・伝染病)を防ぐ。その2 vol.2 』の続きです。
[原因病原体]
インフルエンザウイルス
[臨床的特徴]
今現在において、避難所では A香港型(H3N2)の流行がみられている。
[注意点]
手洗い、咳エチケットの徹底が基本。
目などの粘膜を介した感染の可能性にも注意。
[原因病原体]
肺炎球菌
[臨床的特徴]
典型的には“大葉性肺炎”、“鉄さび色の痰”が特徴。
敗血症、髄膜炎、関節炎など転移性病変の合併率が高い。
[注意点]
避難所では 老人〜子供間 の飛沫感染が頻発する可能性あり。
[原因病原体]
マイコプラズマ
[臨床的特徴]
“頑固な咳”が特徴。
[注意点]
避難所内で飛沫感染により蔓延する可能性あり。
長引く咳を示す患者さんはマイコプラズマ、百日咳、結核の恐れあり。
[原因病原体]
百日咳菌
[臨床的特徴]
潜伏期間:約1週間。
カタル期→痙咳期(咳発作期)→回復期。
1〜2週間のカタル期(咳、痰、鼻水、微熱などのカゼ症状)ののち、
痙咳期(激しい発作性の咳)が1〜6週間持続。
[注意点]
避難所内で飛沫感染により蔓延する可能性あり。
1歳未満では重症化傾向が強いことに注意。
手洗い・咳エチケットの徹底が原則。
※ワクチン接種者でも感染する可能性がある。
[原因病原体]
大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、ビブリオ属細菌、
ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌など
[臨床的特徴]
◇注意しなければならない細菌性食中毒の特徴。
≪腸管出血性大腸菌≫
鮮血便、強い腹痛が特徴。
糞口感染で感染性が極めて高いことに注意(赤痢と同様)。 ≪赤痢≫
発熱、下痢、腹痛を伴うしぶり腹、膿や血便を伴う下痢便が特徴的。
日本での症例は“ソンネ菌(Shigella sonnei)”が原因であることが多く、
軽度蹴りや無症状で経過する症例もある。
この菌で汚染された食品を介した感染の他に、手指を介した二次感染
事例も多い。
赤痢は感染性が強いので、コップやペットボトルの共有は避ける。 ≪サルモネラ≫
原因食材としては鶏肉・卵が重要(卵内感染例あり)。 ≪カンピロバクター≫
原因食材としては鶏肉が重要。新鮮な肉(特に肝臓)に存在。 ≪ビブリオ属細菌≫
原因食材としては魚介類が重要。
肝硬変などの基礎疾患を有する宿主がある種のビブリオ属細菌で
汚染された食材を摂取することにより、急激に敗血症を発症。
この場合の死亡率は高い。 ≪黄色ブドウ球菌≫
耐熱性毒素による食中毒(熱をかけた食材でも発症)。
本金は傷の化膿創から高率に分離される。
避難所では“おにぎり”などの食材を介した感染に注意。
摂食から症状発現まで3〜6時間。
水様下痢、発熱なし が特徴。 ≪ボツリヌス菌≫
“飯寿司(いずし)”など嫌気状態で保存される食材が原因となる。
ボツリヌス菌の産生する毒素による筋肉の弛緩性麻痺が特徴的。
めまい、頭痛、眼瞼下垂、複視、嚥下困難、呼吸菌麻痺など。
乳児では蜂蜜摂食による 乳児ボツリヌス症 に注意。
[注意点]
避難所内でのトイレ環境の維持、手洗いの徹底が基本。
[原因病原体]
ノロウイルス、ロタウイスル
[臨床的特徴]
潜伏期間:1〜3日。
冬季に流行。嘔気、嘔吐、下痢、発熱。
ノロウイルスはもっとも頻度の他界食中毒原因病原体である。
原因食材としては カキなどの2枚貝類 が重要。
ロタウイルス感染症は小児重症胃腸炎の原因として重要。
症状は3〜8日持続、水様・白色便が特徴的。
[注意点]
感染性が極めて強いことに注意。
糞便だけでなく、汚物を介した吸入感染の可能性もあり。
アルコール消毒は無効で、次亜塩素酸製剤による消毒が効果的。
[原因病原体]
A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス
[臨床的特徴]
潜伏期間:2〜6週間。
A型は飲食物(特に海産物)、E型は未加熱動物肉(鹿、猪など)の摂取により
感染。
発熱、倦怠感、食思不振(食欲不振)、嘔吐で発症。
典型例では 黄疸、肝腫大、濃色尿、肝酵素上昇を示す。
E型は妊婦で重症化傾向あり。
[注意点]
50歳以下はほとんどがA型抗体陰性。
冬から初春にかけての感染例が多いことからも、避難所内でのA型肝炎ウイルス
の糞口感染に注意する必要あり。
[原因病原体]
サルモネラ属菌
[臨床的特徴]
潜伏期間5〜21日。
感染者の便・尿、汚染食品・水・手指を介して経口的に感染。
三徴:比較的除脈、バラ疹(体幹の淡い斑状丘疹)、脾腫。
第1週に三徴出現、第2週は極期、第3週に腸出血・穿孔などの合併症を認める
ことが多い。
[注意点]
治癒後、数%が慢性保菌者になることに注意。
-------
一つの記事に入りきらないため、このまま『疫病(感染症・伝染病)を防ぐ。その2 vol.4 』へ続きます。
同ページ内の場合はそのまま下へスクロールさせてください。
◆インフルエンザ
[原因病原体]
インフルエンザウイルス
[臨床的特徴]
今現在において、避難所では A香港型(H3N2)の流行がみられている。
[注意点]
手洗い、咳エチケットの徹底が基本。
目などの粘膜を介した感染の可能性にも注意。
◆肺炎球菌性肺炎
[原因病原体]
肺炎球菌
[臨床的特徴]
典型的には“大葉性肺炎”、“鉄さび色の痰”が特徴。
敗血症、髄膜炎、関節炎など転移性病変の合併率が高い。
[注意点]
避難所では 老人〜子供間 の飛沫感染が頻発する可能性あり。
◆マイコプラズマ症
[原因病原体]
マイコプラズマ
[臨床的特徴]
“頑固な咳”が特徴。
[注意点]
避難所内で飛沫感染により蔓延する可能性あり。
長引く咳を示す患者さんはマイコプラズマ、百日咳、結核の恐れあり。
◆百日咳
[原因病原体]
百日咳菌
[臨床的特徴]
潜伏期間:約1週間。
カタル期→痙咳期(咳発作期)→回復期。
1〜2週間のカタル期(咳、痰、鼻水、微熱などのカゼ症状)ののち、
痙咳期(激しい発作性の咳)が1〜6週間持続。
[注意点]
避難所内で飛沫感染により蔓延する可能性あり。
1歳未満では重症化傾向が強いことに注意。
手洗い・咳エチケットの徹底が原則。
※ワクチン接種者でも感染する可能性がある。
◆感染性下痢症・食中毒(細菌)
[原因病原体]
大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、ビブリオ属細菌、
ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌など
[臨床的特徴]
◇注意しなければならない細菌性食中毒の特徴。
≪腸管出血性大腸菌≫
鮮血便、強い腹痛が特徴。
糞口感染で感染性が極めて高いことに注意(赤痢と同様)。 ≪赤痢≫
発熱、下痢、腹痛を伴うしぶり腹、膿や血便を伴う下痢便が特徴的。
日本での症例は“ソンネ菌(Shigella sonnei)”が原因であることが多く、
軽度蹴りや無症状で経過する症例もある。
この菌で汚染された食品を介した感染の他に、手指を介した二次感染
事例も多い。
赤痢は感染性が強いので、コップやペットボトルの共有は避ける。 ≪サルモネラ≫
原因食材としては鶏肉・卵が重要(卵内感染例あり)。 ≪カンピロバクター≫
原因食材としては鶏肉が重要。新鮮な肉(特に肝臓)に存在。 ≪ビブリオ属細菌≫
原因食材としては魚介類が重要。
肝硬変などの基礎疾患を有する宿主がある種のビブリオ属細菌で
汚染された食材を摂取することにより、急激に敗血症を発症。
この場合の死亡率は高い。 ≪黄色ブドウ球菌≫
耐熱性毒素による食中毒(熱をかけた食材でも発症)。
本金は傷の化膿創から高率に分離される。
避難所では“おにぎり”などの食材を介した感染に注意。
摂食から症状発現まで3〜6時間。
水様下痢、発熱なし が特徴。 ≪ボツリヌス菌≫
“飯寿司(いずし)”など嫌気状態で保存される食材が原因となる。
ボツリヌス菌の産生する毒素による筋肉の弛緩性麻痺が特徴的。
めまい、頭痛、眼瞼下垂、複視、嚥下困難、呼吸菌麻痺など。
乳児では蜂蜜摂食による 乳児ボツリヌス症 に注意。
[注意点]
避難所内でのトイレ環境の維持、手洗いの徹底が基本。
◆感染性下痢症(ノロウイルス、ロタウイスル感染症)
[原因病原体]
ノロウイルス、ロタウイスル
[臨床的特徴]
潜伏期間:1〜3日。
冬季に流行。嘔気、嘔吐、下痢、発熱。
ノロウイルスはもっとも頻度の他界食中毒原因病原体である。
原因食材としては カキなどの2枚貝類 が重要。
ロタウイルス感染症は小児重症胃腸炎の原因として重要。
症状は3〜8日持続、水様・白色便が特徴的。
[注意点]
感染性が極めて強いことに注意。
糞便だけでなく、汚物を介した吸入感染の可能性もあり。
アルコール消毒は無効で、次亜塩素酸製剤による消毒が効果的。
◆ウイルス性肝炎
[原因病原体]
A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス
[臨床的特徴]
潜伏期間:2〜6週間。
A型は飲食物(特に海産物)、E型は未加熱動物肉(鹿、猪など)の摂取により
感染。
発熱、倦怠感、食思不振(食欲不振)、嘔吐で発症。
典型例では 黄疸、肝腫大、濃色尿、肝酵素上昇を示す。
E型は妊婦で重症化傾向あり。
[注意点]
50歳以下はほとんどがA型抗体陰性。
冬から初春にかけての感染例が多いことからも、避難所内でのA型肝炎ウイルス
の糞口感染に注意する必要あり。
◆腸チフス・パラチフス
[原因病原体]
サルモネラ属菌
[臨床的特徴]
潜伏期間5〜21日。
感染者の便・尿、汚染食品・水・手指を介して経口的に感染。
三徴:比較的除脈、バラ疹(体幹の淡い斑状丘疹)、脾腫。
⇒バラ疹:腹部や胸部にピンク色の斑点が現れる症状。
⇒脾腫:脾臓が腫大した状態。
⇒脾腫:脾臓が腫大した状態。
第1週に三徴出現、第2週は極期、第3週に腸出血・穿孔などの合併症を認める
ことが多い。
穿孔⇒:穴があくこと。
[注意点]
治癒後、数%が慢性保菌者になることに注意。
-------
一つの記事に入りきらないため、このまま『疫病(感染症・伝染病)を防ぐ。その2 vol.4 』へ続きます。
同ページ内の場合はそのまま下へスクロールさせてください。
【東日本大震災関連の最新記事】
この記事へのコメント