癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

朝の１０時
娘は友達とお出掛け
息子はバイト
家には妻と私だけ

開け放った窓からほんのりかおるのは
キンモクセイ

近くのグラウンドから風に乗ってくる声
野球の試合だ
高校生か大学生かわからない

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家の中には洗濯機の回る音と
妻が家の掃除やら何かをしている音だけ

何にも追われることなく
何かに駆られて焦ることもない
何と穏やかな休日の幕開けだ

生前の両親はこれほどまでに
穏やかな休日を過ごしたことがあるだろうか

子供の頃の記憶は
いろんなシーンの一つ一つをかいつまんでくっ付けるために
良いようにも悪いようにも作れてしまう。

父は職人で不規則な生活
母は父が作った借金のために昼も夜も仕事
という時期もあった。

自己破産で解決したと思えば
父が脳梗塞で倒れ介護生活が始まり
常に何かに奔走していた感がつよい

他界した両親が私の中で生き続けていてくれているのであれば、
今もこの穏やかな瞬間を共に感じてくれているはずである。

そうであれば…
コーヒーでも飲もうか
父も母もコーヒーが好きだったから


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