癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

まだまだ元気

まだまだ健康で生きてくれる

そんな独りよがりな考えを早く捨て去るべきだった

気づけば母は肺がん

発見時既に脳に転移していた

というよりは脳腫瘍が見つかって肺がんが発覚した

奇しくも、母の最愛の弟と同じ場所の脳腫瘍だった

母の弟は脳腫瘍で若くして他界した・・40代だった

母が肺がん・・・とてもとてもショックだった

あれ以来「がん」にとても敏感になった

なぜ・・何が原因で・・・なぜこのタイミングで母が・・・

色んな事を考えた

どうすればいい・・何とかならないか・・・ひょっとしたら誤診かも

悪い夢だったらいいのに

どれもこれもどうにもならなかった

ありとあらゆる手を尽くすことも出来ず

何が何だかわからないまま時が過ぎていた

一日一日を大事に・・・と言い聞かせながらも

心のどこかで明日がある・・・と思っていたに違いない

母が他界した日から後悔が湧き水のようにあふれ出した

がんに敏感となったはずの私も

時が経つにつれその意識が薄れたのか

父ががんを患うという考えを持ちあわせていなかった

二度の脳梗塞で左半身麻痺だった父

それ以外は健康そのものだと信じ切っていた

母が他界して二年と三ヶ月

父も天に召された

食道がんを直接の要因とする誤嚥性肺炎

親がいつまでも元気なはずもなく

自分が年をとった分

親も年をとっていたのだ

当たり前の事だが

毎日の延長で感覚が麻痺していたのだろう

親はいつか死んでしまう・・・の「いつか」は

10年も20年もあとの事のようにしか考えられなかった


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