癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

入所中の父にラジオを届けた。

闘病中に母の為に購入したCD＆ラジオ。

音楽療法を取り入れようとの試みでもあった。

左半身麻痺の父にとって、自由は効かない。

それはラジオも同じ。

施設の職員さんにスイッチを押してもらう必要がある。

チャンネルも変えられない。

父はニッポン放送（1242Ｈｚ）が好きだった。

そのチャンネルに合わせてあげると

嬉しそうに笑っていた。

ラジオが大好きだった父にラジオを与えた・・・

たったそれだけの事・・・それだけのことが出来なかった私。

それだけのことにとても嬉しそうにしてくれた父。

たったそれだけの事に、2年以上気づくことが出来なかった。

私にはテレビもパソコンも携帯もある、もちろんラジオも・・・。

父には何もない・・・テレビはあっても自由は効かない・・・。

唯一、自分が独り占めできるものが食事とベッドと車椅子。

訳あってベッドのある部屋でしか聴けないが、

ラジオが聴けることは父にとってかけがえのない時間なのかもしれない。

今の自分に父の苦しみを理解することはできない。

それが出来る時は、きっと後悔している時だろう・・・

母にもそうだったように・・・。

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