癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

子供の頃・・・小学生だったか、中学生だったか

思い出せないが・・・母は「酢」を飲んでいた。

確か・・・「リンゴ酢」だった。

元々、大酒のみのアル中で職人の父が作った借金や

父の度重なる入院費（アル中が要因）など、

我が家の家系は火の車だった。

母が独り奮闘せざるを得ない家庭だった。

働き詰めの母は休みがない。

だから疲れるに決まっている。

母は疲れが抜けない毎日から脱出すべく

「リンゴ酢」に頼った。

以降、時代の流れもあり、

母はやがて、「疲れ酢」を購入するようになった。

遺品整理した時、大量の「疲れ酢」が出てきた。

闘病中は、服用していた沢山の薬との

飲み合わせを気にしてか、飲むのを止めていたようだ。

今日は身体が動かなかった・・・母はそう言っていた。

一度や二度ではない・・・何度もあった。

母の戯言（たわごと）・・・のようにしか聞かず、

殆ど聞き流していたあの日・・・。

母が倒れた年だけでも、何度あっただろうか・・・。

父の介護で辛かった筈の母。

自分の身体に鞭打っていた母。

あの時・・・母の頭には、腫瘍があり、

両肺には、腫瘍が拡散していた。

調子が良い日なんてなかった筈だ。

最後の最期まで・・・


AD