人間の心理状態や性格的傾向を計測し、数値化できるようになった世界。あらゆる心理傾向が全て記録・管理される中、個人の魂の判断基準となったこの計測値を人々は、「PSYCHO-PASS(サイコパス)」の俗称で呼び習わした。【番組エンドタイトル解説文より】
西暦2112年日本はシビュラシステムを導入して犯罪とストレスの少ない理想的な社会となっていた。その社会システムを守る為公安局刑事課一係に配属された新人監視官常守朱(つねもり あかね)は、部下の執行官狡噛慎也(こうがみ しんや)が追う槙島聖護(まきしましょうご)[3年前の標本事件の犯人]が引き起こす事件に巻き込まれていく、というSFポリスストーリーだ。
第1話を観た時には『攻殻機動隊』的な作品と思ったものの、「犯罪係数」計測による「潜在犯」の扱いはまるで『マイノリティ・リポート』の様だし、槙島が登場して狡噛とお互いの思考パターンを読み合い知恵比べを始めると『DEATH NOTE(デスノート)』の夜神月(やがみライト)と名探偵L(エル)の対決を彷彿とさせ、監視官宜野座 伸元(ぎのざのぶちか)と執行官征陸 智己(まさおかともみ)の親子関係は『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダーの影響が見て取れる。こういった影響を受けた作品が何かと想像するのも楽しい。
この作品の根幹を成すシビュラシステムは、最近では『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』でのデュランダルが推し進めようとしたデスティニープランや1984年放送の『機甲界ガリアン』の征服王マーダルが破壊しようとしたランプレートを思い出させる。悩みや争いの無い世界は本当に理想郷なのかという問いを突き付ける。
常守朱の行動を貫く法律順守という精神とその法を司る者の正体等観終ってから色々考えさせられることは多い。話も監視社会を破壊して単純にハッピーエンドではないところも高評価だ。もっともこれで続編製作可能と言う大人の事情も垣間見えるようだ。(笑)
サイコパスで人の進路適正や職業適性を明示するシビュラシステムに嫌悪感を抱く視聴者も多いだろう。だが現在も偏差値で進学校を決められ職業適性診断テストの結果を参考に進路を決めている。もしその数値化の精度が上がり成果が出たら民衆は支持するようになるのだろうか?
多くの品揃えがあっても売れ筋はその中の3点ほど、商品購入時の評価確認に口コミサイトを利用する等、何でも選べると言う自由には自己責任というストレスが付き物だ。標準化された幸せの家族像を演じる夫婦をタガメ女とカエル男と例えた新書が話題になるように意外と人は自分が幸せだと確認出来る指針を必要としているようだ。
『PSYCHO-PASS』はエンターテイメント作品でありながら色々な問いを投げかけてくる。是非大勢の人に観てもらいたいと思うものの、前半の犯罪が猟奇殺人、死体オブジェ化、特殊銃「ドミネーターデストロイ」による犯人炸裂等のグロイシーンも多く生理的に受け付けない人もいるだろう。
オリジナルアニメ作品だけに当初は残酷なシーンで話題性を作ろうとしたのかもしれないが、それが観る人を選ぶことになっているのが残念だ。
【関連リンク】
『サイコパス公式サイト』
http://psycho-pass.com/news/
『「幸せな結婚」という偽装工作で男をハメる「タガメ女」とは』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130508/247724/
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