心筋梗塞が健康診断などでお馴染みのメタボリックシンドロームと関係しているという話はみなさんよくご存知かと思います。しかし、最近、実は肥満より瘦せ型の人の方が心筋梗塞になりやすいとの報告があったのをご存知でしょうか。
心筋梗塞は肥満より痩せ型の方がリスク高いというのは本当なのか、医師に解説していただきました。
「心筋梗塞は太っている人がなりやすい」はウソ?
肥満をはじめとする生活習慣病は、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高まるイメージがあると思います。
しかし、実は太っている人よりもやせている人の方が危険度が高いことが、厚生労働省研究班(上島弘嗣・滋賀医科大教授)の調査でわかったのです。
この調査は、90年に全国の保健所で健診を受けた男女7200人の10年間の追跡調査で、死亡原因を調べたものです。メタボリックシンドロームの診断基準が、やせている人たちのリスクを見逃してしまう可能性があるということがわかり、問題となっています。
メタボに当てはまらない=安心ではない!
それでは、メタボリックシンドローム診断基準には以下のようなものがあります。
・肥満
・高血圧
・高血糖
・高中性脂肪
・低HDLコレステロール
日本の診断基準においては肥満を重要視し、ウエストサイズを肥満の診断基準として必須条件としているのです。具体的に男性85センチ以上、女性90センチ以上が肥満に当てはまります。
なんと、日本ではウエストサイズが痩せていればメタボリックシンドロームに該当しないことになるのです。
痩せている人の方がリスクあり?
次に、上島教授らの調査を具体的に見てみます。
一般に肥満の指標となるのはBMI(体格指数)と呼ばれ、身長を体重の二乗で割った値です。
BMI計算式:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
この値が25以上の場合、肥満とされます。
この肥満の人が循環器疾患で死亡するリスクは、肥満でなく他の危険要因もない人と比べると、メタボリックシンドロームの診断基準が肥満以外に2つの場合は1.5倍となり、3つ以上だと2.4倍だったのです。
一方、BMIが25未満の人で同じ比較をすると、それぞれ2倍、2.8倍となり、肥満傾向の人よりも高かったのです。
つまり、やせた人の中でも心筋梗塞などを起こしやすい人いて、太っている人よりもリスクが高まりやすいと報告されたのです。
昔から太っていた人より、昔は痩せていた人のほうが要注意!
一体なぜ、この報告のようになのでしょうか。
その1つの要因として痩せている人が太ると、心臓脂肪が蓄積しやすいからだと考えられています。
肥満の方はたくさんの脂肪細胞がすでに体内にあるので体全体に分散されますが、痩せている人は体内の脂肪細胞が少なく、脂肪を貯め込める容量が少ないのです。
つまり、元々痩せていた人が過剰な食事摂取などで脂肪が心臓血管にたまり、心筋梗塞になりやすくなると考えられます。若い頃は痩せていたのに、運動不足などで急に太った人などは心臓脂肪ができやすくとても危険です。
以上のことから心筋梗塞は肥満より痩せ型の方がリスク高いというのは本当なのです。
メタボリックシンドロームでなくても心筋梗塞になりやすい人がいるので注意が必要なのです。肥満でなくても様々な原因で心筋梗塞になる可能性があります。
肥満ではないからといって油断せずに、規則正しい生活を心がけていきましょう。